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自分でバトルストーリーを書いてみようVol.19

1 :気軽な参加をお待ちしております。:05/01/29 09:43:29 ID:???
 銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。 
 長い戦いの歴史を持つこの星であったが、その戦乱も終わり、
 平和な時代が訪れた。しかし、その星に住む人と、巨大なメカ生体ゾイドの
 おりなすドラマはまだまだ続く。

 平和な時代を記した物語。過去の戦争の時代を記した物語。そして未来の物語。
 そこには数々のバトルストーリーが確かに存在した。
 歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
 されど語り部達はただ語るのみ。
 故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。

 過去に埋没した物語達や、ルールは>>2-5辺りに記される

2 :気軽な参加をお待ちしております。:05/01/29 09:44:51 ID:???
ルール

ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
時間軸及び世界情勢に制約は有りません。自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。

例外的に18禁描写はご遠慮下さい。

鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。

3 :気軽な参加をお待ちしております。:05/01/29 09:46:34 ID:???
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.18 (前スレ)
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1104481409/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.17
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1101864643/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.16
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1099232806/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.15
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1097215306/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.14
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1094509409/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.13
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1092163301/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1089854742/-100
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.11
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1086517669/l50
自分でバトルスト^リーを書いてみようVol.10
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1082898104/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.9
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1079611268/l50
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.8
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1074016593/

4 :気軽な参加をお待ちしております。:05/01/29 09:47:57 ID:???
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.7
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1067667185/
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.5 (実質Vol.6)
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1063986867/
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.5
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1059948751/
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.4
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1054241657/
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.3
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1008860930/
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.2
http://salad.2ch.net/zoid/kako/998/998659963.html
自分でバトルストーリーを書いてみよう!!
http://salad.2ch.net/zoid/kako/976/976898587.html

作品保管所

名無し獣弐氏の過去ログ保管場所
http://sak2-1.tok2.com/home/undecidedness/storage/story.html(現在更新停止中)
にくちゃんねる過去ログ
http://makimo.to/cgi-bin/search/search.cgi?q=%8E%A9%95%AA%82%C5%83o%83g%83%8B%83X%83g%81%5B%83%8A%81%5B&G=%8E%EF%96%A1&sf=2&H=ikenai&andor=and

5 :デスザウラーの憂鬱:05/01/31 20:04:24 ID:???
 日頃からデスザウラーは、他のゾイドたちに陰口を叩かれていた。
「いいよな、お前はさ。いくら強力な新型ゾイドが出ようと、旧時代の宿敵が復活しようと
トミーのご贔屓で勝たせてもらえる、負けても華々しくカッコ良く散れるんだからよ」と。
 デスザウラーは心の中で思う。
「…こんな不自然な厨房設定は要らない、俺は兵器なんだ! ゲームのラスボスじゃあない!」
 そんなある日、デスザウラーは一機の大型ゾイドに出会った。
 その機体は灰色と青で、胸部のガトリングなどに派手なメッキパーツが使われている。
「アンタは……アンタは楽だろうな。絶対に負けないし、もう思い出の中でしか現れない。
汚れ役を押し付けられる事も、もう無いんだからな。俺はいつまで経っても、
『真の最強』にはしてもらえない。いつまでも『ボスキャラ』のまま…」
 そのゾイドは深く溜め息をつき、こう言った。
「…違うぜ、デスザウラー君よ。『真の最強』ってのはな、最悪のポジションだ。
『出たらゾイドの歴史が終わっちまう嫌われ者』なんだよ」
 衝撃を受けるデスザウラーに、彼は穏やかな声で続ける。
「だからよ、真の最強なんか目指すな。お前にはまだ、活躍を待ち望んでくれる
根強いファンが居るじゃないか…」
 いつのまにかそのゾイドは、デスザウラーの前から姿を消していた。

…一発ネタスマソw一回こんなの書きたかったw

6 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/01 12:22:49 ID:???
>>5
哀愁漂う雰囲気イイ!なんか泣けてきたよ。

7 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/01 13:27:25 ID:???
なんか渋いオッサン系の声が浮かんだ最後のゾイド最高w

8 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/01 18:36:28 ID:???
 ―前スレまでの話―

 人々が年号の概念をも忘れ去った遥かな未来、旧暦を使うのならZAC5013年の惑星Zi。
 ゾイドと融合し、特別な力を得る「能力者」が生まれる時代である。
 2年前に起きた戦いで、戦後復興の道を辿っていた世界は再び混乱の様相を呈する。
 そして――能力者の抹殺を唱える謎の組織「円卓の騎士」が現れ、その混乱を加速させていた。

 能力者で構成された治安維持特殊部隊「星光の鎖」の一員であるオリバー=ハートネットは、
騎士に敗れたことから強さを求め、凄腕のゾイド乗りである少女・リニアの元に弟子入りする。
 騎士の情報を求めて奔走した親友・マキシミン=ブラッドベインが騎士に殺され、
能力者解放団体の首領オレーグ=カーティスから友の訃報を聞いたオリバーは
騎士への復讐を誓う。
 知り合いの情報屋により、騎士の所在を掴んだオリバーはリニアが寝ている隙に、
騎士を倒すべくマウントアーサ要塞跡に向かってしまった。
 途中、オレーグとその部下を仲間に加え、オリバーは要塞跡にて
騎士ジークフリートに戦いを挑む。圧倒的な力にピンチを迎えるも、
リニアの助力と新たな能力の目覚めにより辛くもジークフリートを破った。
 だが、帰途につく彼らをデッドボーダー初号機が急襲。オリバーが拉致され、
彼は暫定政府の研究施設で目覚める。進化した能力者の第一号として、
戦闘テストを受けろと言うのである。
 テストにて、ヴォルフガング=フォイアーシュタインの駆るデッドボーダーに
惨敗を喫するオリバー。一方、オリバーの救出に向け動き出すリニア達。

 荒れ果てた世界を再び炎に染め、その戦いは加速する――。

9 :Innocent World2書いてる物体:05/02/01 18:40:57 ID:???
書いてる本人が言うのもなんですが…重要な箇所が飛んでたら指摘してください。
あらすじを纏めるのはかなり大変。

前スレでいろいろとありましたが、いま自分にできることはただ書くのみ。
終わったならば、足りない脳を捻ってHPのひとつでも作りたいと思ってます。

10 :Full metal president 15:05/02/02 03:23:40 ID:???
「釣れ…てます…か?」
言葉を詰まらせるミリアン。ここはホバーカーゴの左右に展開した甲板の上である。
マクレガーとファインを含むミリアン以外の者は、今日の夕飯の”おかず”を釣っている。
その最中である。…が甲板には、海産物より廃棄物の方がはるかに多かった…。

ー 深海よりの追撃者 ー

「良し!掛かった!大物だぞ…今度こそマスターより大きな獲物を釣り上げてやる!」
無駄な対抗意識で、勝手に勝負を仕掛けるマクレガー。
今年は並び月の年だけに食い付きは良い。しかし、問題はその獲物が何かである事に尽きる。
「はあっ!…って!?シンカーの幼生か。今度は群でくっついている…とほほ。」
この3日の間、マクレガーは食用に耐える存在を釣り上げていない。
何としても食べれる存在を釣り上げたかったのである。

そんな間に、ファインは魚を釣り上げている。
「さて…今度は鯛ですか。しかし食べれない物が甲板に山積…。処分できますかね?」
彼は、廃棄物から何とか再利用できる物が無いか?値踏みを為ながら糸を垂らす。
そして…「何と!?ワカメですか…。奇妙な物を釣り上げましたね。ううむ…。」
それ以降ファインは、ぱったりと釣りを止めて機体のチェックを始めていた。

「何か気になる事でも有ったのでしょうか?大統領?聞いてきましょうか?」
ミリアンの言葉にマクレガーはこう返す。
「頼む。ワカメを釣り上げてから表情が変わった…何か有るかもしれない。」
”ワカメ”それが、何を示すのかは血相を変えて戻ってくるミリアンの姿で想像できる。
「敵襲か!船底の警戒を怠るな!私とマスターは直接迎撃に海に入るっ!」

ワカメの意味は、”大海原でワカメなんて釣れる筈が無い”と言う事になる。
つまりは…潮に乗って、回遊する魚礁に見せかけたゾイドの可能性が有るという事だ。
パープルオーガとベルゼンラーヴェは、起動後素早く海に突入する。
遅れを執れば即撃沈。海戦とは、無情な機動砲撃戦が基本なのである…。

11 : ◆.X9.4WzziA :05/02/03 23:52:12 ID:???
自作品の容量に関して申告します。
今までに長篇と言えるものは九作品、投じているのですがその内訳は以下の通りです。

魔装竜 対 晶剣竜          41k
魔装竜 対 鉄面蛟          56k
夏休み                31k
魔装竜 対“シュピーゲルフューラー” 59k
魔装竜 対 翻旗石竜         49k
魔装竜 対 一角鬣獣 対 憑鷲機   65k
魔装竜 対 六ツ首竜        114k
泣き虫と魔女と、わがままな竜     66k
僕のゾイドになれ!          69k

因みにこの数値、自前のサイトで保管してある状態での容量です。
…後書きの分も計上しているので、後書き抜きだったらもう少し数値は下がります(最大で5〜6k位)。
現実問題として各人の投稿量がどの程度なのかきちんと把握している人自体が
そもそも少ないと思うので(投稿者も読者も)、まずは申告してみようと思いました。

12 :機獣幻想紀の作者:05/02/04 00:07:36 ID:???
◆.X9.4WzziAさんへ

結構多いですねって言ってられないのですが。
自分は…。

因みに、感想など抜きで約950レス×約2kb
1900kb+感想と一緒に付けた設定等約20レス×約2kb=約2000kb
4スレ分だ_| ̄|●

13 : ◆.X9.4WzziA :05/02/04 00:58:01 ID:???
大事なことを言い忘れていました。自分自身は一本の作品を複数スレに渡って
発表したことはない筈です(あったとしたら…申し訳ない)。
つまり申告した数値は、自分のスレ一つにおける投稿量とほぼ同じ意味を持つことになります。

14 :荒野の少年7:05/02/04 17:39:52 ID:???
前の話の続きです・・・

「前の戦いでのダメージは大きかったな・・大丈夫か?」
アトルが言った。それもそのはず・・・あの戦いは激しかったからである
そして再び立ち上がった
ヒマ潰しに野生ゾイドを倒していた・・・その時だった・・・
「!?」
目の前を赤いゾイドが通ったのである
あきらかに野生ゾイドでは見当たらないのである
そのゾイドはいなくなった。
もちろんそんなことは気にしていない・・

一方、キール・ブラッドレイの方は
ジェノザウラーが更なる進化を遂げていた・・・
そしてキールも共に腕をさらに上げていた・・・・・

そんなことはアトルに知る由も無かったのである・・・・・・



15 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/04 18:17:55 ID:???
>>14
今が書き込むべき状況だと思っているのか?

16 :荒野の少年7:05/02/04 18:20:09 ID:???
すいません

17 :三虎 ◆O26xjlwiJQ :05/02/04 21:42:26 ID:???
開いた時間で繋ぎ繋ぎ書いて、やっと投下できるようになったのですが気が付いたらこのような流れに…(汗
新参者なのでぼんやりとしか話がわかりませんが、話の決着がつくまで投下は見合わせるほうが、よろしいのでしょうか?

18 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/04 22:00:59 ID:???
>>15
頭ごなしに怒る必用は無いでしょ。少し文字を柔らかくしようよ。
>>17
少し待った方が良い。
スレの空気が、ピリピリしてるからその気はなくても>>15みたいな反応がでてしまうから。

それにしても…何が発端だったんだろう?

19 :三虎 ◆O26xjlwiJQ :05/02/04 22:03:47 ID:???
>>18
そうですか。では、暫くは見守りたいと思います。


20 :鉄獣28号:05/02/04 23:08:21 ID:???
え〜・・・とりあえずサイト制作中なんですが、これがなかなか当初思っていたより随分難航してます。
その上親が仕事の都合で土日パソコンを持ち出すとか言ってさらに遅れそうですorz
とりあえずその辺の事分かって下さいみたいな感じの報告です。以上。

仮に批判の声が挙がったとしても返事を返すのは前述の理由により数日後になります。

21 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/04 23:43:59 ID:???
>>18
こういう流れ。ちと長いので2レス使うよ。各レスは要所だけ挙げてるから。

320 :鉄獣28号 :05/01/29 09:37:38 ID:???
先日、例のジェネシスについての情報が入ってきたワケですが、それを踏まえて今後の路線について言っておきたいと思います。
何でもジェネシスはまた千年単位で時代が飛ぶと言う話なんですが、さあどうしましょうなんて思っちゃいました。
現行のシリーズはまだ終わらせる気はありませんが、ジェネシスが始まったらそっちにも興味を持つ可能性もあります。
と言う事で、現段階で考えている案としては、

1:凄い技術の前倒しが出来たと言う無茶な理由で現行シリーズの世界観にジェネシスの世界観をくっつける。
2:現行シリーズとは別に、ジェネシス世界観ベースの話を新規に作って、二つの話を交互に書く形で同時進行

とか考えてます。でも正直今の世界観も捨てがたいんですよね〜・・・何と言いますか、何でもアリ感があって。

322 :名無し獣@リアルに歩行:05/01/29 13:51:18 ID:???
同時進行は辛いと思うよ。
今のヤツを終わらせるとかしないと多分無理だと思われ。


22 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/04 23:45:21 ID:???
328 :鉄獣28号 :05/01/30 09:46:33 ID:???
>>322
その辺は何とかなると思います。現行シリーズは書き置きしてる分だけでも
ワード100ページ以上は残ってますし。

334 :名無し獣@リアルに歩行:05/01/30 13:30:25 ID:???
>鉄獣28号氏
そろそろいい加減にして頂きたいのだが。
二本同時進行なんて言うけど、貴方はこのスレで一体何回書き込みしてるか数えたことがあるか?
悪魔の遺伝子が68回(粗筋含まず)、誕生秘話が30回。98回だよ。作品発表以外での書き込みを加えたら、
120回以上は書き込んでいる計算になる。…スレの、実に三分の一以上だぞ。
この状況でストックと同時にもう一本投稿を開始したら、下手すりゃスレの三分の二が貴方の書き込みで占拠される。
2ちゃんねるといえども公共の場なんだから、もう少し自重すべきだろう。単に自作を垂れ流すのだけが目標なら、
それこそこんなところではなく、ホムペ立ち上げて発表すれば良いのだから。

更に言えば、既にストックがある割には毎度のように訂正レスを書き込んでるし。原稿を見直してない証拠。
その上これだけ書いている割には相変わらず言い回しは単調だし、!や?を乱発するばかりで進歩が見られない。
一行の文字数も滅茶苦茶。これは幻想記の人にも言えるのだけど、一行七十字とか平気でやってる。

貴方は闇雲に書くよりも前に、やるべきことがあるんじゃないの?
人に自作を読んでもらおうという姿勢には思えないよ。

23 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/04 23:46:59 ID:???
>>21
でもその件については既に解決済みだし、と言うかついさっき本人がサイト作ってる言うてるやん
だから今更この話題を蒸し返すのは容量の無駄になるし、鉄獣氏にとっても迷惑が掛かると言ってみる。

24 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:01:41 ID:???
>>23
二本同時進行の件は、荒れる直接の切っ掛けに過ぎないのでは?
本当に問題なのは、連張りのルールが全く定まっていないってこと。
鉄獣氏にはきついことを言うけれど、片方を彼自身のサイトで
発表しようがしまいが、このスレで今までのようなペースで自作を
張りまくっていたら何かの切っ掛けで又荒れると思う。

25 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:03:52 ID:???
>>24
前スレの最後見るとその件についても解決されたっぽいけど?
このスレはあくまでリンク貼る場所としての使用に止め、あくまで新作は
その本人のサイトに置く形を取れば容量だの何だのの心配をする必要は無いみたいな
事書いてる人いなかったっけ?

26 :25:05/02/05 00:04:36 ID:???
365 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/02 17:50:22 ID:???
>>364
結局奴は唯の煽り厨だったわけだ。
でもこの手の厨が湧く原因がこのスレにあったのも確かだ。
別にこのスレに書かなくてもいいんじゃね?
テキストにしてうPすれば文字数とか同時進行とか関係なくなるんだし。
で、このスレはリンク貼り用にすれば無問題な気がする。


これだよこれ

27 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:07:17 ID:???
いずれにせよこれ以上特定の人物を叩くのは良くないと思う

28 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:13:38 ID:???
>>25
おいおい、一人が発言したらそれで決定なのかよw
だとしたら俺はその案、大いに反対する。
ふとゾイドのSSを読みたくなって、ふらっとページを開いてみたら手頃なのが読める。
そういうのがこのスレの存在意義なんじゃないの?
それを只のリンク張り専用スレにしちゃったら、それこそ虹板みたいになる。
いいのかそんなので。

29 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:14:54 ID:???
>>28
だからその辺どうしようか?ってのが今の話題ちゃうん?
今少なくとも言える事があるとするならば個人叩きはお門違いと言う事か

30 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:17:25 ID:???
>>29
じゃあ、>>25はあくまで案の一つ?
そういう風には読めないんだけど。

31 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 00:32:40 ID:???
>>30
案のひとつ。

書きたい量があまりに多過ぎるならサイトでの連載もひとつの形だとは思うんだが、
それならゾイド板のスレを使ってやるまでもないかもね。
自分もこのスレの存在意義について>>28のようなものだと考えていた。

32 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 01:26:52 ID:???
じゃあ、叩き台として挙げてみる。

スレ一本、一人につき最大100k前後の書き込み
スレ一本での完結推奨(続き物はなるべく区切りの良いところで終わらせる)
複数のスレに跨がって書き込む人はまとめサイトの自作を推奨
一行の文字数は四十字前後に納める

33 :Innocent World2書いてる物体:05/02/05 15:50:53 ID:???
ぐ…まとめサイトか……。
そちらの系統(HP作成)に関しては素人ですんで、まずどうやって作るかとか
決めないといけないなぁ…プログラミング技術も無きに等しいし。
でも、ただの連張りになるよりはそっちの方がいいかも…?
そうするとこのスレはリンク張り専用になるわけですか、やはり?多少は
感想なんか書いたりするスペースが生まれるのではないかとも思いますが。

34 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/05 20:01:31 ID:???
>>33
>そうするとこのスレはリンク張り専用になるわけですか、やはり?
違うってば。初掲載はここで無問題。
いざここでの作品に興味を持ったとしても、スレがdat落ちしちゃうと
中々以前の作品を追えなくなるのが現状。だからそういう人達への
フォローをして下さい、という主旨。
漫画雑誌での連載と単行本との関係みたいなもの。

35 : ◆.X9.4WzziA :05/02/06 03:02:02 ID:???
>>32

「最大100k前後の書き込み」ですが、他の常連諸氏の投稿量申告を待ちたいところです。
それからバランスを取るのでも良いだろうし、例えば時期的に投稿者が減っている場合は
制限を緩める…などといった柔軟なものが必要ではないでしょうか。
他は特に異論ない…と思います。今の時点では。

あと、自分からも提案が。
・運営・感想専用スレの別個立ち上げ、本スレを投稿専用に特化
・年内に一度、オフ会を開催

いずれもとにかくアイディアとして言ってみます。
特に後者なんですが、やはり名無しとは言え投稿者も読者も確実にいるスレッドです。
お互いを全く知らないというのはそろそろどうかと思いますし、特に投稿者の立場から言わせてもらえば、
読者から面と向かって意見を言ってもらえたらやる気が出てくるというもの。
「お前幹事やれよ」と言われちゃうとちょっと困りますが(そこまで余裕はない)、
それなりに歴史あるスレッドになりつつあるわけですから、
何かしらのイベントがあっても良いのではないかと思います。

36 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/06 09:17:23 ID:73g6LqAv
ここROMってたが、そろそろ話をまとめた方が良くないか?
案を出してから言えって言われても困るが、かなり停滞してるようだし。

37 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/06 09:39:37 ID:???
俺も提案。
誤字など修正のみの書き込みは原則禁止。
職人各氏には徹底的なチェックをお願いしたいところ。それによって投稿ペースが遅れるのは全く問題ないのでは?
まとめサイトや運営スレといった案が通るならそちらでフォローしても構わないだろう。
ああいうのもログ流れを速めている原因だし、何より噛み付かれる隙にもなってると思う。
もう少し、職人は堂々とするべきだよ。
考えられる例外は張り順のミス修正くらいでしょ。そんなにあることではないと思うけど。

38 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/06 14:20:04 ID:???
>>32氏案をベースに肉付けすると、こんな感じ?

・スレ一本、一人につき最大100k前後の書き込み(※1)
・スレ一本での完結推奨(続き物はなるべく区切りの良いところで終わらせる)
・複数のスレに跨がって書き込む人はまとめサイトの自作を推奨
・一行の文字数は四十字前後に納める
・誤字など修正のみの書き込みは原則禁止(張り順ミスのみ例外)
・運営・感想専用スレの別個立ち上げ、本スレを投稿専用に特化
・年内に一度、オフ会を開催

※1 100kという数は常連の書き込み申告を待って再検討。

適当にコピペしてつなぎ合わせた代物だから、更に肉付け・削ぎ落としが必要だろう。

>◆.X9.4WzziA氏
>柔軟なもの
一定期間書き込みを遠慮してもらうのでいいと思う。一ヶ月とかだと流石に長いから、
二週間程度ってのはどうよ?

39 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/06 19:32:22 ID:???
なあ?
40文字って何処から来てるんだ?
それって幻想紀氏のみ直撃のルールじゃん。
鉄獣28号氏は前スレの過剰反応で拗ねて一生懸命ホームページ作ってるし。
一部の奴は、作者側から見ると叩きと変わらないのではないか?
何か書く側の〇慰行為に付き合ってやってんだ的なスタンスはおかしくない?

スレが有る以上は、意見なり感想なり作品なりを書き込んでいる者が参加者。
でも何で力関係が…意見>超えられない壁>作者となってるんだ?
作品を書いている人が上だろうよ。

読みにくいのなら、メモ帳辺りに張って適当に改行すれば良いだけじゃん。
書く側の労力を考えずに、読む側ばかりの権利を押しつけるのは良くないと思うぞ。
それに40文字の基準が

◆.X9.4WzziA氏
340 ◆2V5TMXGvAs氏

だったら怒るぞ?マジで。それは始めから制限を課してやってる人だからこそできる物。
それに、その制限も本人のパソコンの画面の使い方次第。
Innocent World2氏は340 ◆2V5TMXGvAs氏の影響を受けているからそう成っていると本人の過去の書き込みから判断できる。
最近書き込み始めた作者氏も、3氏を基準にして文章を組み立てている節が或る。

特に注意もされずに、スルーされ続けて書いていた人間にいきなりそうしろと言っても無理な話ではないか?
随分前のスレで読んだんだが、幻想紀氏が直接スレに書き込んでいると言っていた。
1発本番でスレに書き込んでるらしいからそれは、無理なんじゃないか?
上の方に試しに書いて有るが、スカスカのパンみたいになってるぞ。
前なら1行50〜70文字ぐらいで済む表現が、3倍以上の文字数と行数を使ってる。
頭ごなしに押さえろ。とか言ってる前に例でも出してやった方が良い。誰か良い人居ないかな?

40 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/06 19:50:21 ID:???
>>39
しかし、何かしらの基準を決める必要はあると思う。確かに貴方の言うような力関係であってはならないが
読み手がいてこその、作品だ。作者が絶対的な存在ではないしメモ帳に貼り付けてなんてのは尚更だ。
作者側にもアドバイスをしてより良いスレにして行くことが大切だと思う。

あと、個々の時間があるかもしれないが、集中的に議論を行った方が良いと思う。
今のように作品が投稿されないという状況が長引くのは良い事ではないので。

41 :三虎 ◆O26xjlwiJQ :05/02/06 20:04:38 ID:???
新参ですが一応前スレの容量申告を…

三虎伝説1〜6     27KB

一応複数のスレに跨る形になってますが、前スレ後期から入ったので
現行スレ内で確実に完結すると思います。まとめサイトの件が正式な
ルールになった場合。これについては例外と言う扱いになるんでしょうか?


42 :39:05/02/06 20:18:42 ID:???
>>40
まあそうだな。
コピーなんかの話はどうしてもの時と言う話。実際にそうしなくても問題無く読んでたし。
上の文を見て解る通り…漏れには文才がないので例を出せない。
でも如何見ても40文字の表現で押さえろとしか幻想紀氏が執ってないのでちょっとね…。

43 :鉄獣28号:05/02/06 22:21:56 ID:???
自分も容量申告とかしようと考えたのですが、話数の時点で数が多すぎて一個一個数えていたら
こちらが死んでしまいますorz
正確な数は分かりませんが少なくとも機獣幻想記作者さんのそれより多いはずです。
それともやはり明確に数で表現する方が良いでしょうか?

後今後の方針としては・・・、前書いた通り書き置きだけでもかなりの量なんで、
そっちは現在製作中の自作サイトの方に置く事をメインにしたいと思ってますがどうでしょう?
このスレに書き込むとなるとまたかなりの量がどうとかでうるさく言われると思いますし。

44 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/06 22:34:49 ID:???
>>43
長時間に及ぶなら数字にしなくても構いませんよ。
書き置き分の件については今上がっている意見の
100kまでってのに、従って頂ければ結構だと思いますよ。

45 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 00:24:38 ID:???
>>41
貴方は例外で良いと思うよ。あと「荒野の少年」書いてる人も。
まずは書き切って、それからここに腰を落ち着けるのか、それとも他へ移るのか、
じっくり検討すれば良いんじゃないかな?

46 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 01:45:27 ID:???
>>39
>頭ごなしに押さえろ。とか言ってる前に例でも出してやった方が良い。誰か良い人居ないかな?

つか、制限付きでやってる人がここ数日来ているみたいだから、
直に聞いてみた方が早いのでは?

魔装竜の人か、Innocent World2書いてる物体氏、よろしければお願いします。

47 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 14:17:46 ID:???
>>39
>>46
つか、>>10は行開けのし過ぎだろう。段落ごとの字下げもしてないし。
字下げをしつつ行を詰めていけば良いんじゃないだろうか。
三氏ともそういうところは共通してるよ。

48 :Innocent World2書いてる物体:05/02/07 18:47:39 ID:???
KB申告の件について、恥ずかしながら質問が…

1スレごとに書いてる容量の数え方が解りません_| ̄|○
もしかして、書き込みごとのKBとか知る方法が?

>>46
自分が40文字前後としたのは、シャア板の小説スレで文章の批評をしてもらった際に
「ある程度のところで強制的にでも改行を入れると読みやすい」といわれた事からきています。
もちろんそれを絶対のルールと言うつもりは無いのですが、それをやってから
自分で自分の文章が読みやすくなったような気がしたので「これ定着さすか」となった次第です。

それで、「例を出す」とは?

49 : ◆.X9.4WzziA :05/02/07 20:03:53 ID:???
>>46
>>10に関しては>>47氏の説明で全く問題ないと思います。
強いて挙げるなら、例えば一行四十字と決めたら四十字、フル活用すること。
本文と内容が台詞の鍵括弧は一行にしないこと。

これから夜勤なので、明日の昼頃まで戻れません。すみませんが議論の方、よろしくお願いします。

50 :48:05/02/07 20:25:10 ID:???
>本文と内容が台詞の鍵括弧は一行にしないこと
えー、つまりこんな感じですか?

例1:一行に入れちゃった場合
 リニアは右方のスラスターを噴射し、その勢いで高速旋回した機体が
ビームブレードを突き刺す。「…殺ったか!?」

例2:鍵カッコの文を次の行に
 リニアは右方のスラスターを噴射し、その勢いで高速旋回した機体が
ビームブレードを突き刺す。
「…殺ったか!?」


 ところで自分は…文章の区切りによっては30字ほどで改行する場合もあります。
単語の途中とかで切ってしまうと見づらいかと思ったので…。

51 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 20:41:58 ID:???
>>50
それで良いのでは無いかと。あと、この際、単語の途中で区切れて読みにくい場合でも
四十字に統一した方が良いと思います。それを考えて皆が適当な区切りでやると今回の
話の意味が薄れてきてしまうと思うので。小説本等でもそういうことは良くありますし。

52 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 21:26:37 ID:???
なるべく区切りが中途半端にならないように、文章を工夫していることもありますね

53 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 21:39:56 ID:???
>>52
そのように工夫するのも手ですね。

54 :機獣幻想紀の作者:05/02/07 21:58:20 ID:???
おお!?参考になります。
行開けのし過ぎとかの件は…
一応行間を、開けずに続けて読むと自分自身の言語翻訳がオーバーヒートを起した場合。
それと話の内容上で、時間軸で略平行な場合。
続けて書くと、内容に破綻がおきそうな場合の補填を長々とする時。
が基準になっています。

ええと>>50のInnocent World2の作者さんの様に
無理やりな言葉を付け足さずに、
普通に見切りを付けて改行でも大丈夫と言う事でしょうか?

55 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 22:36:21 ID:???
>>54
出来れば40に統一してもらえると良い。上でも言われているが
各自がそれぞれの考えで行変えしてしまったらこの話合いの
意味が微妙なものになってしまう。行を空ける等については
文章表現にどうしても必要な場合は仕方が無いと思う。

56 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/07 22:58:09 ID:???
>>55
「40あたりで改行」で良いのではないかな。

ガチガチの統一フォーマットを作ろうという話し合いじゃなくて、
読みやすくかつ書きやすい投稿方法をある程度ルールとして決めようという
討論だったと思っていました。

57 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/08 11:16:47 ID:???
>>56
同意、大体四十字ってことで良いかと。
ところで、結構意見が出てきたので、
そろそろまとめにかかった方が良いのでは?

58 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/08 11:22:30 ID:???
なんかしばらく来ない間にややこしい事になってますな。
これからSS書いて見ようと思ってたんだけど、

一行40字程度に収めるのと、鍵括弧(主にセリフ)は別の行にするってルール定めるの?

それくらいなら守れるけど、>>56と同じで40字ぴったりってのはやめて欲しい。
正直堅苦しくて新参にはきついぽ('A`)


59 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/08 11:57:12 ID:???
>>58
最高四十字ってことでいいじゃないか。
後は>>38を煮詰めれば良いかと。

60 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/08 12:37:46 ID:???
>>38でほとんど完結してるんじゃないかと思ったよ。
あとは、書いてる方やこれから書く予定の方にとって問題があったら
いま声を挙げてもらえばいいような。

ただ、オフ会は実際に幹事をやりたいという方が出てきてからだね…
もし実行するとしたら、初回はなんかのゾイドイベント後に開催する形になるかな?
あと、もし運営スレを建てるんであれば運営以外にもと色々使えるようなものが欲しい。
なんというか「面白いバトルストーリーとは何ぞや」を考察するスレがあったら良いなと
考えていたもので。
再利用できそうなスレがありそうだけど。

以上、>>58氏とは別にまた参加してみようと思ってる奴の意見でした。

61 : ◆.X9.4WzziA :05/02/08 13:49:38 ID:???
>>48
>1スレごとに書いてる容量の数え方が解りません_| ̄|○
>もしかして、書き込みごとのKBとか知る方法が?

自分自身の原稿を.txtなり.htmlなりの形式でまとめて保存。で、「ファイルの情報を見る」。
macだとcommand+i、winだと…ううっ、すみません。自分マカーなので…。

>>50
事例に関してはまさにその通りです。

>>54
行開けは、場面転換の時に限って使うのが色々な点で効果的です。
明らかに場面が続いてる箇所で使うと、却って各行のつながりが薄れてしまいますから。
あと、>>50を是非参考にして下さい。第三者視点で展開される本文中に突如当事者視点の文章
(例えば鍵括弧)を混ぜちゃうと、しばしば後者の言葉の意味合いが曖昧になってしまいます。
要は、詰め込むにもセオリーがあると言うことなんですね。

>>58
>鍵括弧(主にセリフ)は別の行にするってルール定めるの?

もともとは>>39氏→>>46氏の流れに対しての自分のレスに過ぎません。
要望を確認の上でレスしたのですが…ちょっと、本題からはズレていますね。申し訳ありません。

以上、流れを切るような書き込みを御容赦下さい。
これを書き込んだらひとまず、仮眠します(夜勤明け)。何時間か、間を開けて又来ますので。

62 :Innocent World2書いてる物体:05/02/08 18:10:55 ID:???
重要な事を言おうと思っていたのを忘れてた!
ひらく漢字を増やす事も大切だったと思います。例えば
例1:できるだけ変換した場合
 レイヴンは気付かぬ振りをしていた。だが、最早誤魔化す事は出来ない。

だと、なんだか読みにくい場合が。自分は書くときに、適当な漢字をひらがなで
書いています(事→こと、など)
例2:少し修正した場合
 レイヴンは気付かぬふりをしていた。だが、もはやごまかすことはできない。

この場合は殆どひらがなになってしまいましたが、多分こちらの方が読みやすいかと。
できるだけ漢字にすれば、確かに字数は少なくなります。ですが、少ない行に文章を詰め込むよりは
多少長くなっても読みやすい文にすべき…だと、思います。

それから何かOFF会やるとかやらないとか…自分が行くとかなり違和感出まくりと言うか
場違いな悪寒がするのですが。もとはただの趣味で始めた小説ですし…。

63 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/08 21:23:56 ID:???
>>62
確かに大事な事。
モニタ画面ってただでさえ読み辛いから・・・。
送り仮名は漢字にしない、という決まり事も確か存在してますね。

あと、ここは2chだし基本的に仕事でやってる人はいないハズだよw
もし今後オフの話があったら、参加したい人が参加すればいいだけ。

64 : ◆.X9.4WzziA :05/02/08 22:18:55 ID:???
>>38を元にまとめてみました。アレンジが入っていますので、
必要に応じて更に弄ってやって下さい。

・スレッド一本の書き込み量は一人につき最大100k前後です。
 100k前後に達した場合、スレッドが最終書き込み日時から二週間放置された時は書き込みを再開できます。
 上の条件を満たさない場合は次スレまで御遠慮下さい。
 これは荒らし行為など明らかに規定に反する書き込みを除きます。
 
・スレッド一本での完結を推奨します。続き物はなるべく区切りの良いところで終わらせて下さい。

・複数のスレッドに跨がって書き込む人は「まとめサイト」の自作を推奨します。

・一行の文字数は最高四十字前後に納めて下さい。

・誤字など修正のみの書き込みは原則禁止します。但し張り順ミスのみ例外とします。

・本スレッドは投稿専用です。運営・感想・様々な議論の書き込みは運営スレッドまでお越し下さい。
 (ここにURL)

・年内に一度、オフ会を開催する予定です。

こんな感じですか? オフ会などは改めて議論するとして…。

65 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/08 22:39:12 ID:???
>>64
まとめ乙。オフ会はそれぞれのスケジュールがあると思うんで参加型ってことでいいのでは?
もし人の集まりが悪くても運営スレを立てれば、それなりに話す機会は作れると思いますし。

66 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/09 03:32:47 ID:???
>>64
そんな感じで良いと思う。
後少し前のスレで半角の”,,,,,,”を入れて無理矢理容量限界に持っていってスレを落す。
こう言うのも原則として禁止にして欲しい。勝手にスレの格納依頼を出すのも。
この板では余りスレが立たないし、スレの関係上可能な限り残って欲しいものだから。
漏れは専用ブラウザで、見てるから一度ログにしとけば落ちてものぞく事ができる。
でもそうで無い人には辛いと思うからね。

・スレッド一本の書き込み量は一人につき最大100k前後です。
 100k前後に達した場合、スレッドが最終書き込み日時から二週間放置された時は書き込みを再開できます。
 上の条件を満たさない場合は次スレまで御遠慮下さい。
 これは荒らし行為など明らかに規定に反する書き込みを除きます。
 
・スレッド一本での完結を推奨します。続き物はなるべく区切りの良いところで終わらせて下さい。

・複数のスレッドに跨がって書き込む人は「まとめサイト」の自作を推奨します。

・一行の文字数は最高四十字前後に納めて下さい。

・誤字など修正のみの書き込みは原則禁止します。但し張り順ミスのみ例外とします。

・本スレッドは投稿専用です。運営・感想・様々な議論の書き込みは運営スレッドまでお越し下さい。
 (ここにURL)

・運営スレッドの総意無しに格納依頼を出さない事。余った容量を勝手に埋めない事。

・年内に一度、オフ会を開催する予定です。

こんな感じは?
後2週間は、住民の分布図で荒らし分が多いこの板では獲物にされてしまうかもしれない。

67 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/09 23:44:37 ID:???
>>66
>後2週間は、住民の分布図で荒らし分が多いこの板では獲物にされてしまうかもしれない。

じゃあ10日ならどう?
一週間だと最悪、ほぼ一ヶ月でスレが埋まることにもなりかねないけど、
10日なら多少は延命されるので良いんじゃないかと。

68 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/10 18:59:43 ID:???
>>67
そこら辺が妥当な辺りかな?
荒らすにするも…
一発ネタ系ならまだ我慢も出来るが、無駄な一行レスの塊だけは避けないとね。
後はAA付きヒルツの悲鳴とか。

>一週間だと最悪、ほぼ一ヶ月でスレが埋まることにもなりかねないけど
その辺は大丈夫だと思うよ。
書き込み制限の発端は、前のスレの機獣幻想紀氏からでた発言だから。
結構色々と気にしてるし乗り気が無いと投稿してない。1週間ぐらい書かないときも有ったから。
他にも、一行の文字数の制限でレス一つに書ける文字数が多少なりにもへるからね。
特に機獣幻想紀氏の書き方なら。

69 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/10 20:36:54 ID:???
「埋め立て殺しましょう、感想スレ立てましょう(藁」

70 : ◆.X9.4WzziA :05/02/11 00:29:52 ID:???
>>67案を組み込みつつ>>2と合体させてみました。将来のテンプレ案。

ルール

・ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
 勿論オリジナル設定も可。自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
 例外的に18禁描写はご遠慮下さい。

・スレッド一本の書き込み量は一人につき最大100kb前後です。
 100kb前後に達した場合、スレッドが最終書き込み日時から十日間放置された時は
 書き込みを再開できます。
 上の条件を満たさない場合は次スレッドまで御遠慮下さい。
 これは荒らし行為など明らかに規定に反する書き込みを除きます。

・スレッド一本での完結を推奨します。
 続き物はなるべく区切りの良いところで終わらせて下さい。

・複数のスレッドに跨がって書き込む人は「まとめサイト」の自作を推奨します。

・一行の文字数は最高四十字前後に納めて下さい。

・誤字など修正のみの書き込みは原則禁止します。但し張り順ミスのみ例外とします。

・本スレッドは投稿専用です。運営・感想・様々な議論などの書き込みは
 運営スレッドまでお越し下さい。
 (ここにタイトルとURL)

・サーバ負担の軽減として450〜470Kbで次のスレッドを用意して下さい。
 運営スレッドの総意無き格納依頼、余った容量の勝手な埋め立てを禁止します。

71 : ◆.X9.4WzziA :05/02/11 00:33:58 ID:???
すみません、二回に分けて書き込みます。流石に1レスでは厳しかった…。
一応、このルール自体も一行四十字以下に押さえてみました。
用語に関しては最近2ちゃんねる初心者も多数見受けられるので、多少変更してあります。
オフ会云々はひとまず削ってみました。未決定事項なので、
運営スレを立てるならそちらで議論するのが得策と判断しました。

よく考えてみたら、運営スレのテンプレも考えなければいけないのか…。

72 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/11 17:38:00 ID:???
運営スレ立ったら、気兼ねなく「職人キタ――(゚∀゚)――!!!」とか
言ってもいいわけですな?

73 : ◆.X9.4WzziA :05/02/12 00:29:05 ID:???
運営スレのテンプレ案です。

****

「自分でバトルストーリーを書いてみよう」運営スレ<その1>

ここは「自分でバトルストーリーを書いてみよう」スレッドの運営・感想・議論などを
行なうためのスレッドです。どなたでも気軽にお書き込み下さい。
現行スレッド・過去スレッドは>>2以降を参照のこと。
※現行スレッドは完結し、次のスレッドに移行している可能性があります。

****

以下、本スレの>>3-4+現行スレのURLを貼る感じでしょうか?
あともう一つ。各自のまとめサイトなんですが、テンプレに含めた方が良いでしょうか?
それぞれの意思表示に応じて貼るのがいいのかなとは思うのですが…。

74 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/12 00:35:58 ID:???
>>73
まとめサイトをテンプレに載せたい人はご自分で申告してもらえばいいと思います。
もしもひっそりとやりたいのであれば、例えば一度スレで晒して後は音沙汰なし、とか。

75 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/12 00:58:43 ID:???
…で、今すぐ立てるの?
つか立てちまった方が良いような気が。

76 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/12 02:33:46 ID:???
>>75
夜が明けるまで待った方が良いと思われ。
結構重要な案件が含まれているのだしね。

77 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/12 13:42:58 ID:???
立ててみた。立ててみたんだが…!

"自分でバトルストーリーを書いてみよう"運営スレlt;その1gt;
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1108181848/l50

スレタイ、やっちまった…。文字化けです。
当初提示されたスレタイだと字数制限が引っ掛かるので結構弄ってみたんだが、
ミスしたとしたら多分その時。本当に、申し訳ない。
それと、>>2以降はテンプレとしても使えるように本スレの>>1から貼ってみた。
まとめサイトの掲載はこれからってことで。意思表示に関しては時間も掛かるだろうし。

78 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/12 20:31:30 ID:???
>>77
スレタイに > 使ったでしょ?
> は化けるつーかきちんと表示されんわけだが

79 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/12 23:39:52 ID:???
まあ、これ以上の細かい議論は運営スレが立ったようなので、そっちでやれば良いな。
とりあえず話しに決着がついたようなので↓からマイバトスト再開って事で。

80 :三虎伝説 エピソード7 シークレット:05/02/13 11:05:30 ID:???
ライトについていった二人が辿り着いた先はビルの脇にあるゾイド開発局だった。そこは
一般の施設とは比べ物にならないほどの機材が揃い、技術者の数もまた同じだった。そ
れに加えて多くの警備員の姿…異様な緊張感を醸し出している。そんな光景が広がる局
の内部をだいぶ進むと、あるゾイドの前でライトは足を止めた。
「さて、僕も君等もそろそろ待ちきれなくなって来た頃だろうから説明を始めさせてもらおう
かな!え〜と、まずこのゾイドを見てくれ!」
ライトは目の前のゾイドに指を差した。
「この白く美しい容貌を持つ、社長の愛しの彼女はワイツウルフ!現在ZOITECの最重要
計画プロジェクトLWの中心となる存在であると共に君たちが知りたがっている、あのよう
な試験を行う発端となったゾイドだ!」
「試験の発端…この新型ゾイドが?」
「その通り。まあ、厳密には新型であると言い切るのは微妙なとこなんだけどね。」
「どう言う事だ?」
ロンは眉に皺を寄せつつ言った。
「まあ、それは今から説明するプロジェクトLWの柱となってくる部分だから焦らず聞いてくれ。
まず、ワイツウルフの詳細から説明しよう。その抜群の機動性を生かして、白兵戦や近接射
撃などの接近戦に重視された機体だ。技術的な流れはコマンドウルフやケーニッヒウルフの
流れをくんでいると言って良いだろう。今までの蓄積された技術力によって中型クラスながら
使いようによってはゴジュラスにも対抗できるポテンシャルを持っている機体だ。ちなみに当
社二体目のBLOX外でのオリジナルゾイドでもあり、本来ならカタログに大きく載せてCMと
かでもバンバン宣伝したいところだけど、残念ながらそれは無理。何故ならコイツに内蔵され
ているコアは世界に二つとない物だからだ。」
「二つとない?絶滅種の生き残りか何かか?」


81 :三虎伝説 エピソード7 シークレット:05/02/13 11:09:38 ID:???
ファイが問う。それにライトは首を横に振りながら答えた。
「いや、もともと唯一の存在なんだ。今の姿に至るまでの経緯は不明だが、とにかく
古い時代に生まれた事は確からしい。それが新型と言い切れない理由の1つでもあるね。」
「ふーん。だが、何故そんな物を…?企業的には利益の無い、損な開発なんじゃねぇか?」
「いや、金が企業の利益の全てというわけではないぞ。」
話しているロンの背後から太い声が聞こえた。
「これは、これは。社長お待ちしていましたよ。」
ライトが頭を下げた。その先にいる鋭い皺のある顔をした人物…先ほどの声の持ち
主でもある彼こそ、大企業ZOITEC社長、ケイン・ルーザーであった。現場で自ら指
揮を取り、多くのプロジェクトを成功させてきたことで有名な人物であった。しかし、そ
れは過去の事で、今は社長職に徹しているという噂だった。
「社長?何故、こんなところに?」
二人が不思議そうな顔をして聞いた。
「勿論、君たちにお詫びとしてきちんと説明しようと思ったからだ。まあ、そんな事はど
うでも良いだろう。」
答え終わると、社長はロンの顔に目をやった。
「君はさっき利益にならない開発といったね。同じ事を言うが、このような開発産業に
とって金だけが全てではないのだよ。社員一人一人の技術力や信念があってこそ企
業が成り立ち、成長があるのだ。夢だってその原動力の1つになる。…このゾイドの
開発は始め、前社長の夢だった。理論では計測できないほどの未知の生命体エネル
ギー、これを制御して使いこなす肉体を作ってやる事は並大抵のことでは無かった。
このコアを手に入れた前社長は企業としての営業とこのゾイドの開発に板挟みになり
ながらも、長い対照研究の末、シールドライガーやセイバータイガーの元となるタイガ
ー野生体とこのコアが非常に酷似している事を見つけ出し、コアに与える負担を考え
た虎型ゾイドのフレームを作り上げた。」


82 :三虎伝説 エピソード7 シークレット:05/02/13 11:11:28 ID:???
「しかし結局、肝心の制御装置は未完成のままだった。そこで前社長は当時の技術力
ではこのゾイドを完璧な姿で完成させることは不可能だという結論を出した。だが、一
度目覚めさせてしまったコアをそのまま保存する事は難しかったため、コアの遺伝子
情報を分割して圧倒的な性能を封印する事によって取り敢えずの機械化を成功させ
た。そして、前社長は元ゾイド開発局最高責任者だった私に、いつかこのゾイドを完全
な姿で機械化することが出来るようになった時のことを託した、それは事実上プロジェ
クトLWが打ち切られた瞬間だった…もう40年も前の話だ。そして社長が変り、またし
ばらく時が経った。…ある日のことだった。ZOITECが新しい工場を開発するために調
査していたある土地に青いコアが祭られている遺跡が埋もれていることに我々は気が
付いたのだ。そのコアは調べて間も無く、例のコアと共通した性質があることに気が付
いた。その時、プロジェクトLWはLTシリーズ計画という姿に形を変えて再び息を吹き
返したのだ。早速、私はその青いコアを搭載したゾイドの開発に取り掛かった。一種の
使命を感じていたのかも知れない。それまでに己を優秀なリーダーとして高めてきた私
はその中で構築してきた柔軟な思考と経験、大企業となったZOITECの資金力、そして
何よりも私を信じて付いて来た社員の総力を注ぎ込み、LTシリーズ第一弾レイズタイガ
ーを完成させた。このゾイドにはコアの有り余るエネルギーを全身に循環させ、必要に
応じて自由に武器に転用する事が可能なシステムが積まれていた。今でも最高水準の
技術と言えるだろう。」


83 :三虎伝説 エピソード7 シークレット:05/02/13 11:14:31 ID:???
「…だが、この完璧と思われたレイズタイガーにさえも問題があった。それは、乗りこな
せるパイロットがいなかったと言う事だ。我々が夢見たのは、置物ではなく、颯爽と地
を駆ける姿だった。だからこそ、フレームだけでなく制御装置の完成にも拘った。そし
て、コアに関する情報やパイロットのステータスを分析し尽くした結論は、以外にも機
械的、技術的な面ではなく生物としてのゾイドという面にあった。彼等は例え体を機械
化されてしまっても、自分自身の意志をしっかり持っている生命体、乗り手を選ぶ権利
があるのは当然の事といえば当然だ。勿論それはただ、腕が良ければいいというもの
でもない。しかし、これは私を始めとしたスタッフ全員にとっての盲点だった。BLOX技
術の使用によって、様々なゾイドの機械化をコアの領域まで行ったことによって性能面
では少し劣るものの低価格化、生産性の向上を成功させ業績を上げる事により大企業
までのし上ったZOITEC社の歴史が我等の視界を遮る分厚い煙となったのだ。その後
パイロットの後天的な特性が無関係である事が判明、次に始まったのが適正パイロット
の条件探しだ。分析という点では我々がやっていることに変化は無かったように見える
が、これは制御装置を開発する事の比ではないくらい困難なことだった。まず遺伝子的
な部分から始まり、コアの野生体として活動していた頃の記憶という不確定な要素の調
査まで…。レイズタイガーのコアに関する、ある程度のデータはあったが、機械化に関
する物に限られており、膨大な記憶に関するメモリーの領域は手付かずだった。私は
絶望した。もう目の前にある夢が、形さえ保ち、触れる事さえできる夢が、未来へと遠のい
ていくのだ。しかし、天は私たちを見放さなかった。定期的に連絡を取り合っていた前社
長が白いコアの解析は既に完了している事を知らせたのだ。我々は一気に絶望の淵か
ら蘇った。それを知ったとき近くにいたスタッフ全員が涙を流して喜んだ。勿論私も例外
ではなかった。」


84 :三虎伝説 エピソード7 シークレット:05/02/13 11:19:13 ID:???
しかし、我々が驚くにはまだ早かった。制御装置の開発を任せてひっそりとコアの分
析を行っていただけに思われていた前社長は、分析の過程でコアの生命的な部分
に気付いていた。その上、もうパイロットの候補さえ絞っていると言う話だった…。」
社長が口を閉じるとワイツウルフの脇に一体のBLOXゾイドが移動されてきた。可愛
らしい顔つきをし、戦闘向きとも言えないほどの限られた武装。正直な所、弱そうと言
うのが第一印象として最もふさわしいと思えるゾイドだった。
「今、運ばれてきたゾイドの名はサビンガ。中心にあるネオコアブロックにはワイツタイ
ガーの分割された遺伝子の一部が組み込まれている。ちなみにこのブロックのコード
ネームはK、君たちも聞いたことがあるだろう。」
Kというキーワードを聞いたロンは、話の整理を中断して本来聞くべき事を思い出した。
「K!そうだ、俺たちが聞きたかったのはそれだ!何故Kを俺たちに運ばせたんだ?
ホワイトナイツの連中は試験だのと言っているが、一体どう言う事か説明してくれ!」
「…うむ。そうだったな、君たちに詫びるという点ではこの事を話さなくては意味が無い
だろうからな。先程、前社長がワイツタイガーのパイロット候補を絞っていると言ったろ
う?絞っているとは言ったが、私が連絡に答えたときには既に1人だった。戦争が終わ
り、世界の人口の7割近くがゾイドを操縦できないという状況の中で適性者を見つけ出
す事は困難だったため、1人だけでも見つかった事は奇跡だった。前社長はこの時よ
り強く、運命と言うものを感じたと言う。そして、その適性者は所属していたチームから
引き抜かれるような形で新しいチームを作り、前社長に導かれて独立を果たした。その
時に前社長が彼に送ったゾイドが凱龍輝だ…。だんだん話が見えてきただろうか。そう、
その適性者というのが君達のチーム、トライクロウズのリーダー、カルロ・ウィンドだった
のだよ。」
「…まさか!?では前社長とは、もしかしてDrランのことなのか?」
黙って話を聞いていたファイが驚きにつられて口を開いた。
「…ランか。君達にはその名を使っているのだったな。ああ、まさにそのDrランこそが前社
長ウィリアム・エクスト本人…そして、君達の知りたがっている試験の基礎を考案した人物だ。」


85 :名無し獣@リアルに歩行:05/02/15 18:31:16 ID:???
「――作戦の決行は明日、午前零時。まず私とエルフリーデが潜入し、オリバーの居所を
探り出して救出する。大体の見当は付いているからな」
 プロの軍人の如く、デイビッドから渡された暫定政府本部の内部構造図を指で示しなが
らブリーフィングを進めるリニア。
「…そして、オリバーのイクスが無事ならばそれに乗って、無事でなければ彼もろとも私
のシャドーエッジに乗せて運ぶ。気付かれずに脱出する事は不可能だろうから、そこでエ
メットがアウトレンジからの狙撃で援護する…」
「まっ、待て。ワシの配置は?」
 不安そうにワンが訊くと、リニアはその黒い瞳をきらりと光らせた。
「あなたは、エメットが撃ちもらした敵の追撃を止める係だ」

「アーサー、随分残酷なコト考えるじゃないか」
「何のことだ?」
 ラインハルトはいつも通り軽薄な笑みを浮かべ、アーサーの真意を読もうとその顔を観
察する。が、彼の口元はただ面白がっているような笑みを浮かべるばかり。
「まさか、おもしろ半分にやったワケか? とんでもねえ鬼畜だぜ」
 くっくっ、とアーサーは低く笑う。
「ただ闇雲に能力者を殺すのも、つまらんではないか。なら、こんな余興もあっていいは
ずだろう? ――ことに、ジークフリートを殺した相手ともなればな…」
 彼は勾玉のような形状をした通信機を取り、『余興』の役者へと指令を出した。
「さあ、行きたまえ。 ――“血塗られし剣”を持つ者よ」

 オリバーは独房のような、狭い部屋で目が覚めた。
 硬度の高いプラスチックでできているらしい格子から外を覗くと、暗い廊下がある。ど
うやら施設内の監房ブロックに閉じ込められているらしい。
「もう負けただけでそう騒ぎはしないけどよ……あの野郎、騎士より強い!」
 おかしな話だ。騎士よりも強いゾイド乗りを有する政府が、何故騎士の討伐に出ない?
 確か、ニュースでは政府の表明として『能力者を無差別に殺害する円卓の騎士をこれ以
上のさばらせておく訳には行かない、彼らを指名手配とする』と言っていた。
「…裏があるのか?」

86 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/15 18:36:32 ID:???
 オリバーは政治の事になどまるで興味が無い。仕事の成功率も高かった彼は、『税金が
高い』とかその手の不満に縁が無かったし、そうでなくともこの時代は誰もが自分のこと
で精一杯だ。
 しかし、そんな彼でもこの状況を見れば疑いたくなってくる。今まで味方と信じていた
暫定政府の者に、実験材料として拉致されるなどという経験をすれば。
 その時、廊下を歩いてくる足音が聞こえた。
「…!!」
 オリバーはとりあえず質問攻めにしてやろうと待ち構えていたが、現れたのは彼よりも
遥かに年下の少女。
 そして、その少女が年齢にそぐわない高圧的な口調で彼を値踏みする。
「へぇ……ふ〜ん…? どんなごつい能力者かと思ったら、案外カワイイのね」
 無駄にひらひらしたドレスを着ているあたり、身分の高い子なのだろう。オリバーはそ
の物言いに多少ムッとしたものの、すぐに考えを改めた。
「(こーいった女の扱いも、ちゃんと解ってる……この子を『落とし』て、脱獄に協力し
てもらおうか)」
 ただ、以前と違いオリバーはその決断に多少の罪悪感を感じていた。だから、こう付け
加える。
「(…あんまり、本気にさせないようにしないとな。あくまでも『ちょっと手を貸したく
なるくらいの好意』だ…)」
 ――やれるか、俺?
 彼は自問し、目の前の少女の瞳をしばらく見つめてからにっこりと微笑んだ。
「(――やってみせるさ。どんな手を使ってでも、俺は帰る!)」
「アナタ、いったい何やってこんな所に入ってるの?」
 脳内から対処法を一つ一つ引き出し、オリバーは実行にうつし始めた。
「…いや、君に聞かせるほど面白い事をやったわけでもないよ」
 呟き、憂鬱そうな表情を作って溜め息を一つ。
 少女は彼に興味を持ったらしく、更に問い詰める。
「新しいタイプの能力者、ってことだけは聞いたけど? 面白くなくてもいいから、何
があったか教えなさいよ」

87 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/15 18:44:00 ID:???
 ――第一段階『つかみ』成功。が、油断はできない。全ては彼女にかかっている。
「無理矢理戦闘テストに引っ張り出されてね……デッドボーダーに乗った男にボコられ
て、気がついたらここに居た」
「あら、そのデッドボーダー…パイロット知ってるわよ。私の叔父さんですもの」
「な……!?」
 予想外の展開に、一瞬表情を作る事すら忘れかけるオリバー。さらに彼女は続ける。
「驚きなさい、私はレティシア・メルキアート=フォイアーシュタイン。――暫定政府
最高議長、アルフレッド=フォイアーシュタインの娘よ。そしてあなたが戦ったのは、
その弟…私の叔父、ヴォルフガング=フォイアーシュタインね」
「そ、そんな大事なことを俺なんかに喋ってもいいのかい?」
「いいのよ。私、父と叔父は好きじゃないもの」
 もちろん遠慮の台詞は芝居だ。沸き起こる喜びのあまり、口元が緩みかける。だが、
彼の賢さゆえにかえってその仮面は剥がれない。
 そしてこれはまたとないチャンスだった。この少女からヤツの情報をも引き出した上
で、政府が何をやっているかまでも上手くすれば解ってしまう。
 細心の注意を払い、彼は次のステップへと歩を進めた。
「それにしても、綺麗な名前だね。なんて呼んだらいい?」
「やめてよ、こんな無駄に長い名前……父は貴族か何かになったつもりでしょうけど、
名前を書くときも言うときもいちいちフルネームで……面倒な事この上ないわ。それに、
父が私をここに閉じ込めてるおかげで、同年代の友達ってものが一人もいないんだから」
 拒んではいるが、その口調に若干の照れが見える。彼はさらに押す。
「いや、いい名前だとおもうよ。とても、そう……キュートだ」
 彼女が見かけ通りの幼い少女であれば、ここで『落ちて』いる。しかし、オリバーは
既に彼女が10歳の少女とは思えぬ高い知性を持っていることを見抜いていた。
 ストレートに『僕と友達になろう』などといって応じる相手なら、どんなに楽か…。
 ――長期戦になる。
 オリバーは覚悟を決めた。つねに重くのしかかる罪悪感に、押し潰されぬために。

88 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/15 18:47:49 ID:???
「やっと落ち着いたと思ったら円卓の騎士、そして今度は……これか」
 暫定政府議長、アルフレッド=フォイアーシュタインは机に数枚の写真を叩き付けた。
 傍らでは弟のヴォルフガングがPCを開き、せわしなくキーボードに指を走らせている。
その手がふと止まり、兄の方へとさらに数枚の写真を放る。
「一難去らぬうちにまた一難……騎士のほうは、もう軍に任せちゃっていいんじゃない
のかネェ? “こんなモン”が出てきたんじゃサァ」
 アルフレッドが目を通す写真には、いずれも中空を舞う半透明の奇怪な『何か』が写
し出されている。それはブレて細部まで見ることができないが、どうやら生物らしい。
「――“アーティファクト・クリーチャーズ”…」
 呟く口調は、忌むべき過去の亡霊の名を口にしたかのごとく苦々しい。
「これまで何度かチェーンアーツが遭遇して、中隊単位で全滅したって話は聞くけどネ
…こんな数で出現したのは、初めてのことだろ?」
 危機感の無いヴォルフガングの態度に、アルフレッドは苛立ちを露にする。
「笑い事ではないのだ、ヴォルフィ! 奴らの数によっては、世界そのものが滅びかね
ないのだぞ…!!」
 兄に叱責され、肩をすくめるヴォルフガング。しかし……と、写真を横目で見る。
 ――確かに笑い事では済まされない。騎士の存在など、『これ』に比べれば些末事で
しかないだろう。…それほどまでに、相手は手強い。
「お前の言うとおり、騎士に関しては軍に一任すると伝えろ。お前は……コイツらの巣
を見つけだし、その全てが地上に解き放たれる前に殲滅するのだ」
「りょーかいっ、と」
 部屋から出て行きかけるヴォルフガングが、ふと立ち止まって肩越しに訊く。
「…第二世代能力者のサンプル、どうする?」
 アルフレッドは、これで終わりとばかりにピシャリと言い放った。
「お前の姿を見た者はどうなるか……それくらい、自分で考えろ」

89 :Full metal president 16:05/02/22 08:05:58 ID:???
「ワカメは無いだろう…しかも根まで確り付いているなど。」
水深4000ホバーカーゴとの相対距離約480000の位置。
追撃艦隊旗艦超大型潜水艦トライアングルマンタレイの艦長席で艦長らしき者が言う。
「申し訳ありません少佐。どうやら部下達はDSZSに浮かれていたようです。」
副官らしき男が艦長席に座る若い女性艦長に答える。
「全く…お兄様は大統領なのに気張っちゃって。ファントムブレイブのお手並み拝見。」
メリー=マクレガー少佐は命令を出す。
「DSZS隊出撃せよ!ホバーカーゴの足止め以外に目を向けるな!」

「この部隊の動き…メリーかっ!」
やっとの事で見付けた目標から多数のデススティンガーとウオディックを確認する。
紛れてハンマーヘッドとモサスレッジ、カノンダイバー、スティルアーマーまで存在する。
可能な限り寄せ集めたという感じは拭えないがこの頭数は素晴らしいものだ。
マクレガーは感心しながら可能な限り搭載してきた魚雷を一斉に発射する。

「魚雷の機影確認!数48…いえ増えていきます!364!多弾頭魚雷です!」
副官の男が報告する。
「レーダー手!相対距離が8000を切ったら報告!その後こちらのアレで撃ち落とす。
ガーディック!念の為DSZS部隊には散開させろ!ディープストライカー隊出撃準備!
魚雷処理後に出撃。ベルゼンラーヴェの足止めをきっちりしてやれ!」
副官クリウス=ガーディック大尉は命令を復唱し更に付け加える。
「ベルゼンラーヴェと無理に殺り合うな!データ照合の結果奴の海戦能力は…
…圧倒的だ。現行のゾイドで歯が立つ相手では無い!継ぎ接ぎ竜の負の遺産。
その異名は伊達ではないからな。無駄死にだけは避けろよっ!」
偽装の失敗は、上の出港準備の前倒しが原因であるが今更どうこう言っても無駄だ。
できうる限り被害を抑える。
それ以外の手が無い事をガーディックは恨めしく思う事しかできない。
「距離8000を切りました!」
「よし!タイダルスマッシャー発射!魚雷を撃ち落とせ!」
メリーの指示が海に巨大なうねりを穿つ事を宣言する。

90 :Full metal president 17:05/02/23 03:56:10 ID:???
本来なら潜航用のバラストらしき水、だが排出口に一工夫が在る。
小さな排出口が円盤状の物に有り、中心に回転軸が有るのだ。
これを高速回転しながら一斉にバラストを排出すれば…?
結果はこう成るのである。

「くうっ!?何だこの無秩序なうねりは…。」
マクレガーは、ぶれる操縦桿を必至に押さえながらうねりを乗り切る。
しかし彼のパープルオーガサブマリンバッシャー装備の魚雷は消えていた。
トライアングルマンタレイの甲板より満を持して出撃する巨大な影。
「…参ったな海軍は地味に予算をやりくりしているとは聞いたが?
まさかアレの為だとは…恐れ入るよ。どうりで近海の保安が万全な訳だ。」
舌打ちするマクレガー。それもしょうがない事でありその目に映った機体。
それは深海及び洋上戦闘を考慮したマッドサンダーの勇姿なのである。

「ん?ベルゼンラーヴェの姿はまだ見えないのかっ!?索敵は正確なのか?」
メリーはマッドサンダーディープストライカー隊の発進を確認して、
状況の報告をレーダー手やその他の部署に返答を求める。
「いえ!機体駆動音及び固有魔力振動波無し。
それに機体サイズから予想されるうねりの確認も有りません!」
それを聞いたメリーは血相を変えて艦長席より立ち上がり叫ぶ。
「SAM(Ship-to-Air Missile=艦対空ミサイル)!
全砲門より緊急発射!相手は上空から落ちてくるぞっ!
浮上のタイミングを狙ってきたと言うの!?揃いも揃って予測の斜め上を…。」
指示を出した後艦長席に座り直し渋い顔をするメリー。
「始めから海に飛び込むのを確認させてその後上空に出るつもりだったか。
機体の力も常識外れなら、運用や戦術も想定外になる。痛い相手ね。」
海面に向かって素早く消えて行くSAMを見送りながら次の手を模索する。
たった2機のゾイド相手に、全力で立ち向かう必要が有る事。
それを疎ましく思いながらメリーは状況の変化を待つ事にした…。

91 :Full metal president 18:05/02/24 04:28:59 ID:???
一方その頃そのSAMの目標であるベルゼンラーヴェは…?
「おおっ!?暴れない暴れない!痛いことはしませんから…。」
ホバーカーゴに付かず離れず偵察をしていた魚礁迷彩のウオディックを抱えていた。
しゃむに暴れる自動操縦のウオディック。それを抱える姿は大物を持った漁師の姿。
何とものどかな風景である。目的は…
当然魚礁に付いている今日の晩御飯(予定)である。ついででウオディックの鹵獲だ。

数km以上先に水柱が上りSAMが空中に飛び上がっていくのを確認するファイン。
「…こっちに来ますね。」
ウオディックの自動操縦を切り終えてぐったりとしている彼を右腕で抱き、
左手に数十年来の相棒、邪神銃ウェイブレイダーを握り締める。そして1発。
それだけで自動制御でベルゼンラーヴェを再ロックしたSAMを全て叩き落とす。
重力と慣性を無視して機動する光の矢はSAMを始末すると消え失せた。

「ウェイブレイダーの発砲を確認!数1!我が艦を狙ったものでは無いようです。」
クリウスは状況をメリーに報告する。ホバーカーゴの位置を示す光点は既に無い。
「ウオディックが捕まったみたいね。損失は数百万HZ$ってところかしら?」
その声にクリウスは驚く。
「それはウオディックでは無くて魚礁迷彩の魚介類の値段ではっ!?」
「そう。どうせウオディックは私達に友好の証として授与された機体。値段はただよ。
でも偽装に使ったあの魚介類は海軍の自腹なんだから…この借り10倍返しよ。
ディープストライカー隊に通達!マリンボルテックスの使用を許可する!」
それに伴い8機のディープストライカーがホバーカーゴに向かい進撃する。
「くそっ!よりにもよってマッドサンダーに戦線を抜かれた!」
マクレガーは器用にDSZSを行動不能にしながら立ち廻っていた。
だがその一瞬の隙を素早く擦り抜けた巨体には追い縋る事ができない。
パープルオーガの装備では推進力の差が余りにも大き過ぎたのである。
そして彼の機体も自身も4機のDSZSに羽交い締めにされ深海に引き込まれる…。

92 :三虎伝説 エピソード8 リバイバル:05/02/26 15:35:53 ID:???
 ZOITEC社長の口から今回の騒動に隠された秘密が明かされつつある時、カルロは
ある場所にいた。まるで戦時の砦のような無骨な外見を持つその建物は、あるチーム
の本拠地であると同時にカルロにとって忘れる事のできない思い出の地であった。
 ―チームの名はGALES。旧式ゴジュラスたった二機でブルーシティーSランクリーグ
の参戦権を地方リーグから得た、恐ろしいほどの実力を持った二人のパイロットによる
タッグチームだ。登録ゾイドにゴジュラスが二機もいるためか彼等を知らない者は良く
チーム名に疑問を持ちがちであるが、その疑問を持つ者は彼等の試合を見た人々の
中には誰一人としていなかった。何故なら過去のどんな試合においても、制限時間の
半分以内で決着を付けていたからである。一般的な試合では制限時間を使い切るとい
う話はそう無い事で、時間の半分さえつかわないと言う事など、良くある事であった。だが、
それはあくまで一般的な試合のことであってブルーシティーのSランクリーグの試合な
ら話は別だ。強者の中の強者、世界のファイターの頂点を定める闘い…当然パイロットの
腕も桁違いであり、ゾイドにおいても最新技術を駆使した精鋭中の精鋭といえる機体ばか
りだ。ゴジュラスギガならまだしも当然、旧式のゴジュラスで制限時間半内の勝利を掴む
等というのは並大抵の事ではない。この事はいかにパイロットが化け物じみているかを語
っている。だが、もちろん彼等も始めから化け物だったというわけでは無い。多少の才能
はあったとしてもそれを上回る多くの経験が無くてはこれほどに強くなる事は不可能だ。
多くの経験、それはバトルに限った事でもなく彼等は今まで多くの人々との出会いと別れ
を繰り返してきた。そんな彼等三十年余りのファイター人生の中でも特に忘れられない
出会いの1つにカルロの姿があった。彼は一時期チームに所属し、さまざまな事を学んだ
後にDrランと出会い、当時の相棒を自分の居た証としてチームに残し離れて行った。


93 :三虎伝説 エピソード8 リバイバル:05/02/26 15:40:35 ID:???
 「原点を確認しろ…だ。」
 原点を確認しろ…これは当時カルロが良くバトルで負けていた頃、GALESのリーダー
が必ずアドバイスとしていっていた言葉だ。
 「原点を確認しろ!原点が見えねぇ奴は進む道だって見えねぇんだ!何かにぶち当た
ったら、それは道が見えてねぇ…つまり原点が見えてねぇって事だ。だから確認する
んだ、来た道を例え戻っても、何をしてもでも良い、自分の原点を探すんだ!」
 これがリーダーの口癖だった。もう耳にタコができるくらい聞いているせいか、カルロ
はそれを完全に覚えてしまっていた。だが、この言葉を覚えていたからこそ、ここに向
かったのだ。何故ならば、ここがカルロの考えるファイターとしての原点そのものであ
り、それと同時に自分が駄目になってしまっていることを自覚していたからだ。何をす
るか具体的には考えていなかったが、これが今のカルロに思いつく中で自分に出来る
ことだった。
 カルロはそんな思いを胸に建物の正面扉の脇についているインターフォンを押した。
高く響きの良い音がなった。数秒後1人の男が扉を開けた。
 「どちら様で?」
 「ル、ルドさんか。俺だよ。昔ここで世話になったカルロ・ウィンドだよ。」
 「カルロ…?まさかこの立派な青年が、あのアロザウラー殺しのカルロだって!?」
 扉を開いた男の名はルドブ、このチームの底を支える優秀なメカニックだ。アロザウラ
ー殺しとは、当時まだ腕が未熟で真っ先に敵の標的になり、毎回搭乗機であるアロザウ
ラーをボコボコにされて帰ってきたカルロにルドブがつけた異名の事だった。
 ルドブは訪問してきた確りとした体つきの青年が、そのアロザウラー殺しだと理解する
と気分を良くしたのか、用件も聞かずに格納庫の方へとカルロを連れ出した。


94 :三虎伝説 エピソード8 リバイバル:05/02/26 15:43:56 ID:???
「悪いな、来て早々。だが真っ先にコイツにアンタが来た事を知らせたくってな。」
「アロザウラーか。?だけどコイツ、見た感じだと俺がここを出て行った時から全然変っ
てないっみたいじゃないか。むしろ新しくなったみたいな感じが…。」
「当たり前さ!長い間ご主人様が居なかった上に毎日俺が丁寧にメンテやなんかをし
てやったんだからな!」
「そうか、じゃあコイツも幸せにやってたのか。俺はてっきり放置状態になってるかと思
ったよ。」
「ふん、俺の正確を良く知っていたからこそコイツを残していったくせによく言うな。とこ
ろであの爺さんは元気にしてるか?凱龍輝の調子はどうだ、一緒に来てるんだろ?メ
ンテくらいしてやってもいいぞ?」
「いや、今日は凱龍輝とは一緒じゃないんだ。Drは…。」
「ん?どうしたんだ、さっきから…せっかく久しぶりに来たのにあまり元気が無いみたい
じゃないか。あれからグラーグのチャンピオンになったんだろ?もう少し、こう、堂々とし
てたらどうだ?」
「ふ…チャンピオンか、なぁちょっと俺の話に付き合ってもらえないかなルドさん―」
ルドブはそれに答えてリビングへと移動した。その後ろでアロザウラーは静かに相棒で
あった男の心を感じとっていたのか、微動だにせず、ただカルロの背中を見つめていた。

「―そんなことがあったのか。で、グラントの言葉に従ってここへ来たと。」
「ああ、だが何をするかってのは考えてなかったから、こうやって愚痴をこぼしてるんだ
けどね。…なぁ、ルドさん。俺はどうしたらいいんだ?俺は今からでも治安局に行って自
首しに行ってくればいいのかな。正当防衛の部類には含まれるよな…。」
「バカな事を言うな!しっかりしろ!どうも聞いた限りじゃ、これはただ事じゃないみたい
じゃないか!Drとやらの言っている事が本当なら治安局と言えど分からないぞ!」
「どう言う事だ?」


95 :三虎伝説 エピソード8 リバイバル:05/02/26 15:47:02 ID:???
 「おいおい、頭まで駄目になってるみたいだな。冷静になって良く考えてみろ。まず、
大規模な開発事故が起きていて治安局がその情報を知らないはずが無いだろう?
ましてや、危ない事をやっていたのだとしたら、ブルーシティーの調査機関だって何
かしら尻尾を掴んでいたはずだ。だが、何事も無かったのかのようにされている…。
それは、その事件に治安局内部にも何かしら関係があり、しかも大沙汰にしたくない
って事を示してるじゃないか。で、その後君等が任された仕事がKとやらの輸送だ!
君たちはDrを信じきって行動していたようだが、こんなにスムーズな行動を起こせる
と言う事は何かしらの計画がなければ無理だと思う。そして、そのような計画を立てら
れるという点から恐らくDrは事件に隠された真相を殆んど把握しているであろうと言え
る。それに加えて輸送先が世界全体に対して力を持つ大企業ZOITECだ。治安局、
ZOITECこの二つが絡んでいる時点でこの町を中心に何か大きな事が起きようとして
いる事は明確じゃないか。」
 「………。そうするとDrというのは一体何者なんだ?俺はDrに導かれてここを飛び出し、
実際にリーグチャンピオンになった…だから、Drがそんな危険な何かに関わっている
人物だなんて信じられないよ。」
 「だが、凱龍輝を与えたのも、雷電というプログラムを与えたのもそのDr本人だ。そこか
ら考えていくと、もしかしたらお前自身も今回の件で重要なポジションにいると言う可能
性だって否めんのだぞ。」
 「そんな…。じゃあ襲ってきたアイアンコングは?」
 「Kを奪いに来た事は確かなんだな?それならばDr、ZOITECにとっての敵対組織であ
ることはまず、間違いないだろうな。技術者の誘拐事件と繋がっているとDrが言っていた
事からデスレイザーの連中とも繋がっている可能性がありそうだな。」


96 :三虎伝説 エピソード8 リバイバル:05/02/26 15:54:53 ID:???
 「…!…!…!じゃあ、本当に俺達はとんでもない事に巻き込まれちまってるって
事か?在り得ない、こんな壮大な計画が現実に蠢いているだって?映画の見すぎ
じゃないのか!?」
 「信じたくないならばいいが、俺は少なくともその線は十分在り得ると思う。出なけれ
ばこんな犯罪の数々がそれぞれDrを通して関係している等とは考えられないけどね。
だが、お前は直ぐDrの元へ向かわ無くてはいけない!そして真実を聞き出せ、何度
も言うがこれはただ事じゃないぞ!この町にとってもお前にとっても!」
 「…くっ、なんだよ!急に深刻じみたかと思えば。俺が聞きたかったのは―」
 「黙れ!本当に罪を償いたいと思うなら、この事件を解決することだ。目先のことに目
を奪われず、全体を見渡せ、最初の実験がどうこうって話が本当ならば方向次第では
お前はさらに多くの人の命を奪う事になるぞ。…俺は殺しを正当化する気は無いが、今
回の敵は命を掛けて闘わなければ自分が死ぬと思え!もし相手を殺めてしまっても少
なくとも俺は人殺しなんて呼びはしない。安心しろ、いざとなったら俺はお前の味方だ!」
 「…ルド…さん。……分かった。直ぐに何かをやれるかは保証できないけど、俺は俺を
信じて、相棒を信じてやってみるよ…。悩んでいる暇は無いってことはもう、疑わない。話
せて良かった。」
 「ああ、俺もだ。だが、こんなことを知ったからには俺も黙っちゃいない。俺も出来るだ
けお前の手助けをしよう…。それで良いだろ?グラント!フランカ!」
 

97 :三虎伝説 エピソード8 リバイバル:05/02/26 15:55:44 ID:???
「えっ?」
 カルロが振り向くと後ろにはこのチームの最強タッグ、髭の生えた顔にがっちりとした肉
体の逞しい男と黒く流れるような美しい髪の女、グラントとフランカの姿が在った。
 「いいぜ!勿論だ!俺もそんな裏で何やってんだか、わからねぇ町で頂点に立ってもちっ
とも嬉しくねぇからな!!原点を確認するのと逃げる事の違いも分からねぇ精神と、老人介
護でついた腕じゃまだまだ不安だからな!俺がサポートしてやる!感謝しろ!」
 「あら、もう戦う気なの?ZOITECにしろ、Drにしろ、まだ貴方をファイターとして雇ってくれ
るか分からないのに…。ま、私も概ね賛成だから人の事は言えないけどね。」
 「兄貴、姉御…。」
「ふふ、皆意見は同じようだね。ではDrの元へ行こうではないか。案内を頼むよ、アロ殺し君!」



98 :荒野の少年8 悪夢の戦い:05/02/27 11:03:46 ID:???
「あれから3日か・・・・・・」
アトルは何もすることも無くただぼやているだけだった・・・
その時、赤いゾイドが目の前を通った。あの時のゾイドでは無く、ジェノザウラーに似たゾイドだった
まさかと一瞬思った。まさにそのまさかだった。
そう、キール・ブラッドレイとジェノブレイカーが目の前にいるのだ。
「今日こそ貴様を潰す!」
と言うなり飛び掛ってきた!
前よりも格段に強くなっている。
休み無く攻撃を叩き込んでいる。
ゼロのダメージは大きかった。
「ストライクレーザークロー!!」
攻撃をたたき込むが全くびくともしない
そして次の瞬間だった
「ドオオオオン!!!!」
激しい爆音と共にゼロが崩れ落ちた・・・・・
そして奴とジェノブレイカーは消えていた・・・・・・・
「ゼロオオオオオオ!!!!!!」
その悲しい声が荒野に響き渡った・・・

99 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/27 13:32:24 ID:???
 午後11時、『作戦』の決行まであと一時間。
 リニアは思いをめぐらせていた。デッドボーダーのこと、兄とよく似た能力の事、そし
て――オリバーに会ったら、何と言おうか…ということ。
「あいつ、先約がいるんだったっけ」
 店の格納庫には、ワンやエメットの機体も入っている。時間になったら、それぞれが配
置につくのだ。ここを拠点として。
 そして、リニアの横では壁にもたれかかり、エルフリーデがすやすやと眠っている。オ
リバーの『先約』とは当然、彼女のことである。
 別に、リニアは彼女が邪魔だとか思っているわけではない。まだ自分の気持ちに確信が
もてないし、オリバーとエルフリーデはとても――『お似合い』に見える。
 しかし、ふと寂しい想いが胸中をよぎるのは何故なのだろう。やはり彼にルガールの影
を重ねているのが原因なのか。
「私は……何を恐れているんだ?」
 わからない。それを知るためにも、もう一度オリバーに会いたい。
 脳裏にさまざまな光景が去来する中、ふと時計を見れば時刻は11時30分。ワンが立ち上
がり、エメットを起こしている。
 彼女もまた、隣で眠る少女の肩を揺すった。
「…起きてくれ。『時間』だ」

 オリバーとレティシアは、格子ごしに互いの話をしていた。
「英才教育って、ホントに嫌なモンなのよ! 子供の意思なんかこれっぽっちも尊重して
はくれないし、私を将来何にしたいんだか…」
「そう……普通に生きるのも、いい事ばかりじゃないけどね。それでも、俺は充実した日
々を送ってたよ。――騎士が現れるまでは」
 さりげなく、身の上話から本題に入る。直接用件を聞かずに、相手に興味を持たせるこ
とがポイントだ。
 彼ほどの美少年が、騎士の登場でどんな変化を受けたのか。気にならない女性はそうそ
ういない。レティシアも例外ではなかった。
「騎士…円卓の騎士? 政府が世界中に指名手配してる、能力者狩りの集団?」

100 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/27 13:35:43 ID:???
「そう。俺は連中の一人と遭遇し、そこで生まれて初めての敗北を味わった。それからは
強くなりたいと願い……自分よりもよっぽど強いゾイド乗りに会って、その強さを痛感し
たんだ。負けなしだった頃に比べりゃ、随分と自分が弱くなったような気がするけどさ。
でも、そんな人たちと戦って俺は強くなったらしい。ここにつれてこられる前、騎士の一
人は俺が倒してきたんだから」
 まず疑って掛かるのが普通だ。オリバーとて、始めから信じさせようと思って言った訳
ではない。そのあとが重要なのだ。
 しかし、情報の回りは意外にも速かった。
「そう、じゃあマウントアーサ要塞を灼熱地獄にしたのはあなたなのね。…『第二世代』
ってのは、円卓の騎士にも勝てるのかぁ…」
 少しオリバーの株が上がったらしい。“攻める”なら、今だ。
「政府が血眼になって探しても見つからないなんて、騎士はいったいどこに隠れているん
だろうね?」
 一人で考え込む振りをしつつ、レティシアの方を見やるオリバー。
 ――さあ、どう出る?
 レティシアは何重にも髪を縛り付ける野暮ったいリボンを外し、唐突に言った。
「あなた……情報収集なら諦めた方がいいわよ? 私みたいな子供には、情報の全容なん
て知らされないんだから。――たとえ、最高議長の娘であってもね」
 オリバーは彼女の洞察力に舌を巻くと同時に、ゲームオーバーを悟る。
 ――万事休す、か…。
 しかし彼女は思いがけぬ言葉を続けた。
「ねえ、取引しましょう。十中八九あなたは、ここから逃げ出す為に私を利用しようと考
えていた。…その考えに乗ってあげる。その代わり、私を一緒に連れて行って」
「……え? 何だって?」
 作戦がばれたかと思ったら、次の瞬間にはこれだ。どうやら彼女は、オリバーより二枚
ほど上手だったらしい。
「私を外に連れ出してくれたら、いまの私が知りうる情報の全てを教えてあげる。といっ
ても、断ればあなたはこのままここに居て、いずれは叔父に始末される運命でしょうから
……選択肢は、ないと思うけどね」
 もはやオリバーにはそれ以外の脱出法が残されていない。他の方法を探せば、まさしく
お決まりの3択にぶち当たる。

101 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/27 13:38:08 ID:???

  1・ハンサムなオリバー君はここで奇跡の大脱出法を思いつく
  2・頼りになる仲間たちが助けに来てくれる
  3・脱出できない。現実は非情である

「ここで期待したいのは『2』だが……師匠たちをこんな事で危険にさらす訳にも行か
ないな。かといって『1』を考えている暇もそうなさそうだ…『3』は論外として」
 オリバーの胸に、冷え冷えとした決意が固まった。
「よし、解った。君を連れて行くよ……それで、どうやって脱出する?」
「ごく一部の人間以外は、あなたが囚人であることを知らないわ。だから、通常のフロ
アに出てしまえばもう大丈夫なはず、そこからは――」
 その時、轟音と共に建物が振動した。

 時刻は来た。予定通り、リニアとエルフリーデは換気ダクトから政府本部に侵入し、
3階の暗い廊下で建物の見取り図を見ている。
「臨時的な独房施設が、66階にある。オリバーがまだ生きているなら、ここだ」
 まだ生きているなら――何気ない一言に、エルフリーデは寒気を覚える。
「エレベーターが使えれば楽だが、監視カメラがきっちり取り付けられていて駄目だ。
だから階段で行く。…63階分のぼるが、耐えられるか?」
 試されているような気がした。エルフリーデは気持ちを引き締め、強く頷く。
「…大丈夫です」
 そう、たとえどんなに長い階段でも昇ってみせる。オリバーを助け出すためならば。
「じゃあ、行動は迅速に――だ。…行くぞ!」
 通路の隅にある、薄暗い非常用の階段。リニアが凄まじいスピードで駆け上っていく
のに驚きながら、エルフリーデもまたそのあとに続いた。

 “市街”の防衛システムを脅かすほどの存在は、2年前から絶えて久しい。騎士とい
う例外はあるにしろ、この街が危機に陥ったことなどなかった。だからこそ、僅か2年
で街は驚くほどの復興を遂げられたのである。

102 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/27 13:44:37 ID:???
 が、人々の寝静まったその夜――ある“存在”が、市街の隔壁を通過した。
 『それ』はレーダーにも掛からず、待機場所で仮眠を取っていた警備員達は、自分達
に起きた事すら――自らの死にすら、気付かなかった。
 その身体は数十mと長大で、中空を滑るように飛び、グロテスクな風貌と半透明の姿
は明らかにゾイドのものではない。
 異質な『何か』は、狭い家の間を縫ってゆっくりと市街の中心部へと向かった。

 時を同じくして、もう一つの脅威は暫定政府本部への侵入を果たした。敷地内に突然
現れた大型ゾイドに、守備隊はひたすら逃げ惑う。
 その機体は地中より現れた。強固な装甲とEシールドで身を包み、全身の重武装は瞬
く間に守備隊を蹴散らしていく。
 オリバーたちが感じた振動は、このゾイドの攻撃によるものだった。
「…敷地内に侵入した。目標の位置は?」
<アーサーには敬語で、俺にはタメかァ!? …まあ、いい。それよりちょっと面白い余
興が見られそうだから、しばらくそこで待っとけ>
 通信の相手は、ラインハルトだった。彼のいう『余興』が何なのかなど知りたくもな
いが――それまで、ここを守る連中でもいたぶって遊ぼうか。
 その機体を操る少年は、ただ何を考えるでもなく守備隊に襲い掛かった。自分が何者
であるかも、殺すべき目標が誰であるかも解らずに。

 一方、細い階段を駆け上るリニアたちには、地上で行われる戦闘の振動も一大事だ。
よろけて後ろに落ちかけるリニアを、とっさにエルフリーデが支える。
「ああ、ありがとう」
 感謝されているのに、エルフリーデはにこりともしない。――できない。
「あの…リニアさん」
「ん?」
 先延ばしにしてきたが、彼女と二人になるチャンスはそう無い。ここで聞かなければ
機を逸するだけだろう。エルフリーデは静かに、質問を口にした。
「あなたは……あなたにとって、オリバーはどんな存在ですか?」
 しばしの間呆気に取られたリニアだが、その真意を感じるや吹き出す。
 ――彼女は、私がオリバーを“奪う”のではないかと恐れているのか。

103 :Innocent World2 円卓の騎士:05/02/27 13:55:26 ID:???
 何ともかわいらしい発想に笑ってしまったリニアだが、エルフリーデはなおも真剣な
表情でリニアを見ている。
「…あなたと彼は、師弟関係だと言っていましたね。でも、あなたのことを話す彼の口
ぶりからは、何かそれ以上のものを感じるんです!」
 彼女はあくまでも真剣だ。リニアも笑みを引っ込め、答える。
「それ以上のことなんて、別に無いさ。心配はいらない。…オリバーの側には、君がい
てやることだ……あいつは、支えてくれる人を探してる」
 多少ホッとしたのか、エルフリーデの表情が緩んだ。階段をまた昇りだしながら、親
友に冗談でも言うような口調で言う。
「そうですか……でも、確かにあなたは綺麗だし、強い人ですけど、オリバーは…彼だ
けは渡せませんからね!」
 そう、彼女はまったくの冗談で言った台詞だった。が、その言葉は言った本人がこめ
た以上の意味を持ってリニアの胸を刺す。
「オリバー…」
 ――あいつは、私の……何だ?

 基地内に警報が鳴り響く。レティシアが外からドアの鍵を開け、オリバーはやっと外に
出ることができた。とは言え、まだ暗い廊下なのだが。
「どういうことだ…? 外で戦闘が起きてるらしい事はわかるが……暫定政府本部といえ
ば、かなりの警備がされてるはずだ。侵入者はどうやって入ってきた?」
「解らないけど、脱出にはこれくらいのパニック状態が好都合よ…行きましょう」
 格納庫にはまだ、オリバーのイクスが保管されているはずだ。大事な『実験材料』なの
だから。レティシアはここの内部構造を詳しく把握しているらしく、30階から格納庫へ直
通のエレベーターがあると言った。
 が、階段を駆け下りていくうちに、下の方から聞きなれた声がした。
「まさか…!?」
 そして、その『まさか』は的中した。階下から凄い勢いで、エルフリーデとリニアが上
がってくる。彼女たちはオリバーの姿を見るなり、安堵の表情を浮かべた。
「オリバー! 無事だったか……その子は?」
「脱出を手伝ってくれる仲間だよ。 ま、いまはここから出る事を考えようじゃないか!」

104 :Full metal president 19:05/02/27 23:32:38 ID:???
DSZS(Death Stinger Zalca Systemの略)。
あるルートで連絡を取れた者がニカイドスのザルカ博士に強引に頼んだシステム。
それを搭載したデススティンガーを便宜上こう呼ぶ。名前が長いからである。
本人はスリーパー件緊急時の搭乗使用の為のシステムとして制作したそうだ。
インターフェイス無しにOSの力を最大限に引き出し更に性格を従順に押さえ込む。
このシステムの登場により共和国と帝国の戦闘は泥沼に落ちたと言う記述が在る。

フルスペックを安定して使用できるデススティンガー…。
元々の性能により高いサバイバビリティと戦闘力を併せ持つ機体を大量投入できる。
これは革命的な事であり、この後OSを利用したゾイドが突然増加したという。
マクレガーのパープルオーガはこれを利用しない機体。
ギガの本体の力が更に跳ね上がった機体である為4機掛かりで漸く押さえ込める。
それでも暴れるのを必至で取り押さえている風景は…
DSZS4機分を超えるパワーを持っている事が容易に推し量れる程である。
「くそっ!こっちは4機掛かりなのにこれかよ!フルパワーで押さえ込めっ!」
小隊長機の号令の元更にパープルオーガを締め上げるDSZS。

「そっちがその気なら…やれるか?パープルオーガ?」
その声を聞いたか聞かないかで突如機体の輪郭がぼやけ海に透き通り始める。
約5秒程の後には透明な空間に群がるDSZS4機が間抜けに見える風景。
その後1機づつ機能停止して海上に浮上して行く…勝利の予感からの一転。
それは最後まで彼等を支えていた勝利への希望と立ち向かう勇気を萎えさせる。
気力と作戦従事への使命感で支えられた薄皮1枚が破り取られる瞬間だった…。

圧倒的な暴力とそれを振るう者が姿を消して見えないと言う状況。
それは過剰な閉塞感と絶望感を植え付けそれまでの鉄壁指揮系統を打ち砕いた。
指揮系統の混乱は恐怖を助長し既に収拾が付かなく成っている。
「ディープストライカー隊以外を撤退させろ!
姿が見えない相手に海戦を挑むのは無謀だ。部隊を回収後全速後退!
一々相手の土俵に上る必用は無い!」

105 :Full metal president 20:05/02/28 01:51:05 ID:???
トライアングルマンタレイは生き残った味方機を回収すると後退を始める。
「くう…純粋な海戦用でも無ければベルゼンラーヴェの様な推進器も無い。
追い付くのは無理かっ!」
悔しそうにどんどん小さくなるトライアングルマンタレイを追う事を断念する。
逆に距離を取りホバーカーゴの護衛に向かうパープルオーガ。
しかしそれを易々許すメリーではない。

「主砲発射用意!マリンブレイカー発射準備せよっ!
5秒おきに3発づつ斉射。ターゲットの位置を特定せよ。その後一斉掃射!」
伊達にケチって費用を捻出していた訳では無い。見せかけの平和が崩れる。
その時の為の開発だ。既存の機体の効率的量産化に始まりを告げ、
戦艦級の機体に使用できる素体の研究、探索費用。
海対空や海対地、海対海粒子兵器の開発。それの運用の為の訓練カリキュラムの整備。
その成果が今結果として還元されようとしている。
高い水圧でも揺らぎの無い砲身。それが3連装された主砲の数10。
淡い青緑の閃光が海中を駆け抜ける。

「海中より振動!?うねりが少々。しょうがありませんね。」
マッドサンダーの姿を確認して迎撃に移ろうとしていたベルゼンラーヴェ。
それをファインは止めてホバーカーゴの周辺の空間の動きを止める。
マリンブレイカーの発生させた振動は波を生み出していたが、
空間を固定させていたホバーカーゴの周辺は何も起こらない。
時間等を固定するのと違いその空間が動くのを止めるのは時間をそうする簡単で、
コストもさ程掛からない為長時間それを使用できる。
固定を解いてマッドサンダーの迎撃に入るベルゼンラーヴェ。
驚く程静かに海中に潜航していき8機のマッドサンダーと対峙する。
その脇をマリンブレイカーがガンガン通り過ぎていくが気にする事は無い。
どうせ当たらないのだから…味方を巻き込む程愚かな存在は作戦指揮等到底できない。
安心して迎撃に専念できるとベルゼンラーヴェをマッドサンダーに向けた…。

106 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:18:42 ID:???
―部屋全体を威圧する巨大なスクリーン。そこにはホバーカーゴにゴジュラスを積む様子
が映し出されていた。それを見ていた男は受話器を取り、ある指令を連絡先の男に伝えた。
邪魔な虫が付いた、計画に支障をきたす恐れがあるので隙を見て排除せよ、と。その指令
に短く答えると、男は骨角を衣のように纏った禍禍しい姿の愛機に乗り込み、ハッチを飛び
立った。その背後に無数の赤い悪魔を従えて…。

「もう直ぐだ。ここのロードを抜けた真横にDrお手製の工場が見えてくるはずだ。」
カルロはホバーカーゴ内のモニターに写された映像を指差して言った。
「流石にホバーカーゴを使ったから早かったな。それにしても随分と辺鄙な所に在るな、君
の言うようにDrランという人物は相当、人が苦手みたいだな。…五年前にウチに来た時は
そんな感じは全くしなかったがねぇ。」
「うん。実際に人柄自体はそういう感じはしないんだ。でも、俺達がリーグで優勝した時でさ
えTVのインタビューや取材には絶対に出てはくれなかった。例えこちらからどんなに誘ってもね。」
「う〜ん、やっぱり怪しい爺さんだな。だが、怪しいだけじゃなくてあの爺はかなり目も効く。
ちょっと、俺のゴジュの動きを見ただけで十年以上掛けて俺が構築してきたセッティングを
見抜きやがった。正直、人間業じゃねぇよあんな事。だから俺も安心してカルロ、お前を預
ける事も出来た。もしかしたら、爺直々に勧誘されたお前には、何かとてつもない才能が眠
ってるんじゃねぇかって思ったしな。」


107 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:19:42 ID:???
「そう、確かに彼にはオーラを感じたわ。今考えてみれば、私たちがそう簡単に入ったばかり
の未熟な弟分を、見ず知らずの老人に預けるなんて、どうかしてたとしか思えないわ。」
「全くだ。まあ、技術屋としての俺のプライドなんて役に立たないくらいの腕の持ち主だったか
ら、俺に口出しする権利は無かったと思うけどね。たったの三日で抜け殻だった凱龍輝にゴ
ジュラス二体とアロザウラー一体分の戦闘データとメモリーをたいした機材も無くコピーして
動かせるようにさせた日にゃ、どうぞ連れてって下さいとしか言い様が無かったよ。」
「そういや、なんであん時は命よりも大切なゴジュのデータなんてコピーさせちまったんだろ?
今ならまず断ってると思うが…。」
「もう、自分が乗った話じゃない。カルロを連れて行く条件として、三日以内に凱龍輝にこのチ
ームの全ゾイドのデータを入力する、もし成功したらカルロを凱龍輝のパイロットとして連れ
て行くが、失敗した場合は凱龍輝をこのチームに登録し、自分もチーム専属の技術者として
ルドブのアシストを担当し、最後までチームのために尽くすって言われたじゃない。で、結果
は今ルドブがいった通り。ていうか、その話を覚えている事を前提で話したんだと思うけど?」
「ああ、そうだったな!確かに、爺さんの皺の寄った手を見て、こりゃ無理だろうなって思った
記憶があんな。まあ、成功したらしたでカルロが使うんならいいかって思ってた気もするが…。」
「会話が成立せんな。まあ、昔話はその辺にして直接本人にいろいろ聞いてみるのが早いだ
ろ。ここを出た横だっけか?カルロ、右か?左か?」
「左だ。左側に入り口がある。」


108 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:21:42 ID:???
「了解っ。」
カーゴはゾイドロードを抜け、左折した。だが、その先にあのレトロな雰囲気の工場の姿
は無く、広大な廃墟が広がっているだけであった。
「…左で間違いなかったんだよな?いや、間違いだろうな?」
内心最も驚いていたのはカルロだった。間違いなく左のはずだ。もう十回近くここに来て
いる、間違えるはずは無い。それよりも気になるのは目の前の廃墟だった。どこか見覚
えのある機材が埋もれいている…まさか。首筋に緊張が走った。
「ちっ、ここはあの爺の家に間違い無さそうだぜ。ほんの数時間前まではな!」
「何故、断定できる?兄貴はDrの家には言った事無かったはずじゃ?」
「何故かだって?お前にはコイツが見えねえのかよ!」
グラントは目つきを尖らせてモニターの端にある赤い点を指差した。すかさずルドブが拡
大するとそれは一機の赤いゾイドだった。さらに拡大しようとすると突然、激しいノイズが
現れ、画面が見えなくなった。そして、その次の瞬間、カーゴが巨大な揺れを感知した。
「なんだ!?」 
「敵さんに決まってんだろ!やっぱりあの爺さんはそうとう、危ねぇ橋渡ってるみてぇだ!
出るぞ!フランカ!」
グラントが怒鳴りながら格納室へと向かって駆け出した。
「まあ、思ったよりも早く戦場についちゃったみたいね。まあ、ゾイドが修理中みたいだから
カルロはルドブと一緒に五年ぶりの私たちの戦いをゆっくり観戦しててね♪」
そう言い残すとフランカも髪を結いながら後を追った。
「…………。」
カルロは声を掛けることが出来なかった。何故なら、自分の事に自分で蹴りを付けられな
い事に憤りを感じていたからだ。だが、今はただ見守る事しか出来ないと思った。
ハッチからゴジュが発進すると、余り見かけ無い赤い怪物のような姿をしたゾイドがカーゴ
に噛り付いていた。一部に蒼いカラーが入ったグラントのゴジュラスは、その巨体に似合わ
ない瞬発力でカーゴを駆け上ると、一瞬で赤いゾイドを引き剥がした。昆虫のようにウネウ
ネと足をもがかせて抵抗を続けてるそのゾイドをゴジュは容赦なく噛み砕いた。噛み砕かれ
た装甲があたりに散らばると、突然甲高い音が短く鳴り響いた。


109 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:27:29 ID:???
「なんだ?今の音は?」
「分からないわ。ルドブ、解析頼むわ。」
「もうやってる。もう少し待ってくれ。」
ルドブが急いで解析を始めたがそれは無駄な事であった。その音が意味するものは直ぐ
に判明した。
「なんだ、あの数は?」
見上げるとそこには先程破壊した赤いゾイドの大群…百機近くが空を覆い尽くしていたの
だ。そして、それらはスピードを上げてゴジュラスに飛び掛ってくる。対空装備を施してい
ない彼等のゴジュラスを補うため、カーゴの装備で対抗するが全く間に合わない。それど
ころかほとんど効き目がないようにも見える。さっきとは同じ形をしているがまるで別物の
ようだ。対空レーザーの発射音も虚しく、一瞬で大地は赤い色で染まった。そして、その
血のような色をした怪物たちは二体のゴジュラスに踊りかかった。
「やばい数だな。やっぱそれなりにって事か…。」
「ええ、どうもルドブの解析結果によるとこいつ等はキメラドラゴンというAIを積んだパイロ
ットのいないキメラBLOX…終戦以来製造が禁止されたゾイドよ。」
「AI…どうりでこんな数を当てられるわけだ。だが、舐められたもんだな多勢に無勢なん
て言葉があるが、どうやら敵さんは俺達が例外に入ることを知らないらしい。」
「ええ、そのようね。カルロも見てるし、いい機会ね私たちの実力、見せてあげようじゃない!」
「よし、決定だ。いくぜ!フォーメーションは無しだ!」
グラントの掛け声と共にゴジュラスが咆哮した。大地もそれを感じとり振動する。キメラドラ
ゴンはそれに怯む事無く飛び掛かってくる。巨大な鋏と顎がゴジュラスの体を捕える。次第
にゴジュラスの体は十機あまりのキメラに覆い尽くされてしまった…かの様に見えたその時、
再びゴジュラスが咆哮した。そしてキメラドラゴンの体を身の一振りでなぎ払った。


110 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:29:22 ID:???
そして一瞬の隙をも見せずに顎、爪、尻尾全てを使い竜巻のように舞い、キメラドラゴン
を次々と切り刻んでいく。二体のゴジュラスが進むたびに無機質な悲鳴が響き、同時に
鈍く金属の擦れるような音も鳴った。
「ガラァアァッァアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ゴジュラスとともにグラントも咆哮した。その様子はまるで鬼、その物である。それに答え
るようにゴジュラスもスピードを上げキメラドラゴンの束を粉砕し、バラバラに千切り飛ば
していく。残虐…というよりも清々しいほどの破壊の光景にカルロは言葉を失っていた。
爆発音、悲鳴、振動音、咆哮…赤く変色していた大地が様々な音が鳴り響く度に元の色
を取り戻していく。そして、そのスピードはさらに上がっていく…。
「うらぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁああ!!!!!!!」
次に咆哮したのはフランカだった。戦闘中の彼女はもう1人の鬼であった。ファンの話では
荒っぽいグラントと組んでいる理由がバトルを見れば良くわかるということらしいが、全くそ
の通りだった。次第に香ばしい匂いが広がり、辺りは残骸の山となった。本当に一瞬の事
であった。百機ほどの中型ゾイドが僅か三十分足らずで壊滅したのは…。これを遠隔操作
していたリードはその光景に目を疑った。馬鹿な。こんな物人間の乗ったゾイドの動きじゃ
ない、野性ゾイドそのものだ。凄まじい反応速度に加えて恐ろしいまでに滑らかな動き、正
直、見くびっていたというのが本音だった。
「ゴジュラスギガだってあんな動きができるもんか…。本当に社長の言う通り厄介な助っ人
がついちまったみてえだな。直ぐに報告せねばなるまい。」
数百メートルはなれた地点で待機していたロードゲイル3C(キメラ・コントロール・カスタム)
はブルーシティーへと飛び立った。その後ろにはまだ五十機ほどのキメラドラゴンを連れて
いたが、これ以上の投入は無意味だった。


111 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:31:06 ID:???
「ま、こんな物だな。」
コクピットハッチを開き、汗をぬぐいながらグラントはゴジュラスから降りた。その様子
に疲れは見えない。あれほどの戦闘の後だというのに恐ろしいほどの体力の持ち主
だ。さらに凄いのはその相棒のゴジュラスの状態だった。多くの裂け目が体中に刻ま
れているにも関わらず、全て装甲の分厚い部分で受け止められ、間接には一切の傷
を負っていなかったのだ。フランカのほうも同じ、むしろ傷の数その物が極、少なかった。
「ふう、全く達が悪いわね。こんなお人形さんで私たちと遊ぼうってんだから…。」
「まあ、ファーストバトルとしては、良いウォーミングアップにはなったな。」
「そうね。だけどDrとやらは無事だったのかしら?私たちと違って彼は技術者なわけだし。」
「それについては大丈夫じゃよ!」
「?」
二人が振り向くとそこには記憶にぼんやりと残っていた老人の姿があった。老人は二人
に近づくと、何かを差し出した。
「君等は実に素晴らしいZiファイターだ。わしも今まで色々なバトルを見てきたが君たちの
は次元が全く違った。そこで、このIDカードを渡そうと思う。このカードを持っていれば君等
はZOITEC最強部隊、ホワイトナイツ隊の自由なポジションに行き来する事とができる。」
「あぁ?いきなり出てきたかと思えばなんだ?馴れ馴れしい。大体アンタ今まで何処にいた
んだよ?」
「何処に?わしならずっとカーゴの中にいたじゃないか。得体の知れないだの、凄いだのと
わしの話題でお前さん方の話は持ちきりだったようじゃったが、狭いトレーラーの荷台に居
るわしに気を使ってくれたわけじゃなかったのか。」


112 :三虎伝説 エピソード9 ダンス:05/02/28 17:33:26 ID:???
「トレーラー?おい、カルロどう言う事だ!こっちへ来い!」
カルロは素っ頓狂な顔をして三人の近くへ走り寄った。
「え?Dr今の話は本当なのか?」
「本当じゃとも、お前さんがアイアンコングの件でちょっと落ち込んでると聞いたん
で気になってのう。まあ、自分達で解決してくれた様じゃから良かったがのう。」
「全く、ジェームズ・ボンドもビックリね。」
「誰だよ。そいつ。」
「あら、誰だったかしら?」
グラントがフランカを問い詰めている傍らでカルロはIDカードを見ながら言った。
「何故いきなり兄貴と姉御にホワイトナイツだかに入らないかなんて言ってきたん
だよ?あまりにも短絡的に事が進めようとするもんで混乱してきたんだけど。」
Drは髭に手を当ててポケットから白い色をした球体を取り出して、それを見せた。
「短絡的?そうじゃない。今回の事はカルロ、それはお前さんが原因じゃ。わしは
コレをお前さんが立ち直ったら託そうとチャンスを伺っていたのだが、その過程で
お前さんが秘密の一部始終を彼等に話してしまった事…最も秘密だとは知らなか
ったようじゃが、それを知ったんじゃ。わしはお前さんを自由にした事を後悔した。
按じていた事…一般人を巻き込んでしまうという事が起きてしまったからな。だが、
彼等は秘密の背後にある恐怖におびえる事無く、お前さんを信じて助けようとした。
そこで、これは一種の運命で在ったのではないかとわしは思ったんじゃ。だから彼
等を引き入れる事にした。腕も立つし信頼も置ける者達だと認識した。ただ、それだけじゃ。」


113 :Full metal president 21:05/03/01 06:12:55 ID:???
「見えない相手にそれは余りにも非効率的です。発射を…?
何だっ!?マリンブレイカーが屈折したっ!?」
無謀に見えたマリンブレイカーの斉射をクリウスは止めようとする。
しかし目の前の状況を見てその考えを改める。
「そう言う事よ。あの機体はね…死にそうに成ったコアをOSの投入で蘇生させた機体。
その際にコアに与えた異変で、希少固体にのみ現れるホロテック化現象を起しているの。
無消費の光学迷彩。それと装甲内偏光能力。
あの機体は戦争中凡ゆる帝国機を屈服させた紫紺の鬼。
あんな化け物を真面に相手をしようというのが間違いよ。空爆要請を出しているわ。
ディープストライカーが足止めをしたら終わりよ。任務は追撃!
撃沈ではないわ…砲撃手!手を緩めるな!相手は見えないだけ。どんどん撃ち込め!」
メリーの指示で矢継ぎ早にマリンブレイカーが斉射される。

「さて…我等の相手はゼネバスの怪人!貴様では無い。用件はさっさと終わらせてもらう。」
指揮官らしき者の声で8機の内5機のマッドサンダーがホバーカーゴを取り囲む。
そして頭部を海面に向けると一斉にマグネーザーを高速回転させ始める。
しかも本来なら左右逆に回転する物を同じ回転方向に全機揃えて行っている。
「っ!?これは不味いですねっ!」
何を為ようとしているかは正確には解らないがそれでも理論的に考えれば危ない事は解る。
それを阻止しようと明らかに異常なスピードでマッドサンダーに迫るベルゼンラーヴェ。
「させんっ!喰らえっ!ボルテックスマグネランサー発射!」
指揮官機のマッドサンダーより鎖で繋がれたマグネーザーが海中を叩き割り飛ぶ。
その回転力は遠心力と極小重力制御で海を割り、あまつさえその海を巻き込み直進する。
「表層が高圧水流の海水。中味はマグネーザー。
…異常な放電現象が発生している原因はこれでしたか。全く痺れますね。」
異常放電によるシステム障害を機体の強制分解で吹き飛ばしマグネーザーを回避、
その後再結合後指揮官機のマッドサンダーの眉間に一撃殴りつけるベルゼンラーヴェ。
マグネーザーの戻って居ない今本来届かない場所に届く攻撃。ファインの表情が緩む。
しかもこの一撃は特別な攻撃でマッドサンダーの持ち味である強固で堅牢な防衛力、
それが全く通用しない攻撃だった…。

114 :名無し獣@リアルに歩行:05/03/01 14:19:18 ID:bS7pZvyF
sss

115 :Full metal president 22:05/03/02 06:30:47 ID:???
「振動波増大!このままでは機体が分解します!」
「焦るなっ!反荷電粒子シールド緊急始動!シールド内部振動体で振動を散らせ!」
有る意味屈辱的な行動を迫られるマッドサンダー。
威力はろくに無くただ揺らされているだけでこの始末は正直目を疑う状況。
だが指令室の艇長は冷静に指示を出し振動波を散らせる事に成功する。
「速い!どうやら定員分きっちり乗って居ますねっ!
パイロットだけならこんな瞬時に対応できるものではありません。出方を変えないと。」
折角マッドサンダーの数少ない弱点を突いたにも係わらず失敗。
手加減してはならない相手だという事を認識し直すファイン。

相手は3機のマッドサンダー。それも全て効率より任務の達成を考慮した全員搭乗。
レーダー手、砲撃手、指揮官、パイロットと完全分業が出来る機体はそうそう無い。
マッドサンダーを除けばウルトラザウルス、他にホエールキング等の戦艦級のみで、
他の機体は1人で乗っても早々代わり映えしない機体ばかりである。
この差が戦場では直に結果に表れてくる。現に今は優位性を打ち消したデスザウラー。
それでもマッドサンダーに敵わないと言われるのはこの差である。
2人乗せたらデッドウェイトなデスザウラーに比べると…、
マッドサンダーは常時2人で攻撃を仕掛ける事ができるため圧倒的に有利なのだ。
これがゼネバス帝国滅亡への坂道を転がり落ちた直接の原因にもなる。

機体調整が海戦用に調整されたらしいマッドサンダーは直ぐさま反撃を開始する。
ビームキャノンよりマリンブレイカーを発射。6本の光条がベルゼンラーヴェに刺さる。
それは装甲内部で集光パネルとホロテックルーン装甲で無効化されるが、
所詮光学兵器としてのダメージを防ぐのみでその勢いに海中を数十m後退させられる。
そんな中5機のマッドサンダーが遂にそれを発動させる。
「マリンボルテックス発動!」
一斉に発生した水流はやがて大きな渦潮を作り出しホバーカーゴの自由を奪う。
通信では慌てる他の者の声が聞こえて来る。状態の維持で精一杯のようだ。
「どうしても…本気でやらせたい様ですね?それでは…そちらには不本意でしょうが、
ベェェェルゼェンラァァァヴェッ!ショウターイムッ!!!」

116 :Full metal president 23:05/03/03 05:34:57 ID:???
命令の通り必要最小限の攻撃で引く戦法をとるマッドサンダー。
しかし先程のトライアングルマンタレイの通信を傍受したファイン。
それの内容は空軍への空爆の要請。知ってしまったからには止めなければならない。
マクレガーに素早く通信内容を送信すると直に雷神狩りにとりかかる。

右手に同じく邪神銃カラミティシャドウを構える。だがそれを見てパイロットの1人は
「何をしている!炎などこの海の中では…っ!?」
途中からその声が驚愕の色に染まっている。データの詳細が知られている今では…
その状況を初めて見て驚くしか彼等には残された道は無い。
海中を…水中である事を気にせず、消えず、燃え盛る火球が直進する姿。
流石に相手も黙って当たってくれる事は無いがこの一撃で心理的に負目を負わせる。
極端な話ではあるがベルゼンラーヴェにはマッドサンダーに対して優位な事と言えば、
地理的優位と無秩序かつ無謀な程の移動速度のみ。それを術式で補う形となる。
装甲の面では数十年付き合ってもいまだマッドサンダーには届かず、
格闘攻撃力では語るのも馬鹿馬鹿しいレベルの物だ。人と角竜では計る意味すらも無い。

水中戦仕様と言う事でミサイルの代わりに魚雷を発射するマッドサンダー。
「こんな所で撃ってしまっても良いのですか?」
その声と共にベルゼンラーヴェは器用にそれ等を回避してその追尾能力を利用する。
「うわっ!?来るな〜〜〜っ!!!」
素早くマリンボルテックスを起している1機を機体と魚雷の間に挟み込む。
数秒後海上に水柱が幾重にも上りその後仰向けのマッドサンダーが浮かび上がる。
機体損傷は殆ど無いが味方の魚雷を全て貰い機能が停止してしまったようだ。
それにより効果が弱まったマリンボルテックスを維持しようと4機が移動を始める。
「お疲れさまですっ!バイバイ!雷神様!てぇああああっ!!!」
強烈な蹴りをマッドサンダーの横腹に決める。その直後にアーバレストが機動。
マッドサンダーを海上へ蹴り飛ばし海面から空中に蹴り上げる。
空中から海面へのダイブの結果また1機マッドサンダーは動きを止める。更には…。
「しまった!パー…。」
通信が途切れる。そこにはマッドサンダーの尾を掴み振り回すパープルオーガが居た。

117 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:38:22 ID:???
☆☆ 魔装竜外伝第三話「暗殺ゾイドは地獄の底から」 ☆☆

【前回まで】

不可解な理由でゾイドウォリアーへの道を閉ざされた少年、ギルガメス(ギル)。再起の
旅の途中、伝説の魔装竜ジェノブレイカーと一太刀交えたことが切っ掛けで、額に得体の
知れぬ「刻印」が浮かぶようになった。謎の美女エステルを加え、二人と一匹で旅を再開
する。反目していたギルとブレイカーは理解し合い、「水の軍団」と名乗る追っ手をどう
にか退けた。だが、軍団の長「水の総大将」は新たな刺客を放つ…。

夢破れた少年がいた。愛を亡くした魔女がいた。友に飢えた竜がいた。
大事なものを取り戻すため、結集した彼らの名はチーム・ギルガメス!

【第一章】

 吹き荒れる砂塵は双児の月をも呑み込み、闇の帳を金色に染め上げていた。風と粒子が
混ざり、折り重なり合う様はまさしく狂乱の宴。
 その中を、抗い進む人影二つ。布切れで全身を包み込み、僅かな肌をも隠した姿はさな
がら岩が歩むよう。だが、その目の辺り。…ゴーグルの、妖しい輝き。無機物などには到
底抱けぬ野心の証し。
 やがて立ち止まった影達。一人が右手を翳す。掌に収まっているのは懐中電灯。発せら
れた光は思いのほか眩く、己が足元をも掻き消す砂嵐でさえ貫いてみせる。
 それを合図に、低い鳴き声が風の音に混じって聞こえ始めた。…砂のカーテンを掻き分
け現れたのは一匹の四足竜。長い胴体に短い足。葡萄酒色の鎧を身に纏い、巨大な兜の鼻
先には一本角、錣(しころ)には四本角。必殺の突撃に倒れぬもの無し、人読んで「紅角
石竜」レッドホーン(※石竜=トカゲ)。金属生命体ゾイドの中でも、最もZi人と馴染
んだ存在の一つ。
 レッドホーンの巨体は並々ならぬ。民家が三軒程も連なり、這って進むのだ。だがそれ
が減速し、二人の前で横向きに止まった時、意外にも周囲の砂を巻き上げることはなかっ
た。この緻密な動きからも、如何にこのゾイドが躾けられているか伺い知れるというもの。

118 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:39:56 ID:???
 ゆっくり四肢を折り曲げ、うつ伏せた鋼の石竜。背中には、胴の半分程もある巨大なコ
ンテナ。何処かの飲料メーカーの広告があしらわれ、又分厚い窓ガラスが横並びに幾つも
埋め込まれている。中央部分に見えるのは、引き戸と、長い梯子だ。
 開いた、引き戸。出てきたのはやはりボロ切れで自らを覆い隠した者達。手を振ると、
外の二人は歩を速め、梯子伝いにコンテナに乗り込んでいく。…徐に立ち上がった石竜。
何事もなかったかのように、再び歩き始めた。
 コンテナ内部には、背もたれ付きの座席が、奇麗な順序で何十個も並んでいる。どうや
らコンテナは旅客用。このゾイドは地球で言うところの「バス」や「電車」のようなもの
らしい。だが室内には先程まで外を歩いていた二人と元から乗車していた一人、計三人し
かいない。
 中央・一番奥の座席に、まずは二人が、続いて残る一人が着席。一人が徐に、顔の辺り
のボロ切れを解いた。しかしこびり着いた砂粒が零れ落ちると共に、露になったのは両目
をゴーグルで、口元をマスクで隠した得体の知れぬ格好。次いでマスクを下顎にまで降ろ
すに至ってようやく素顔が明らかになった。二人の頬はいずれも痩け、又無精髭で覆われ
ている。一方、彼らを招き入れた残る一人も痩けてはいるが、鬚の手入れは十分だ。
 その彼が、ゴーグルを額まで上げつつ告げる。
「お待ちしておりました。我らは、お二方を『同志』として歓迎します」
 頷く二人。応じて彼らも又ゴーグルを上げる。
「かたじけない。必ずやかの地・リゼリアで再起を果たし、蛇の旗を掲げてみせよう」
 いずれの瞳も禍々しく輝く。
 石竜は、この曰くありげな乗客のことなど意に関せず黙々と歩行を再開した。…だがそ
れも、束の間のこと。
 先程腹這いになった辺り。
 突如、砂の隆起。粒子の隙間から、一瞬溢れた輝き。だがすぐに消滅し、隆起だけが石
竜を追い掛けていく。
 そして、遂に真下に到達するや否や。
 大きく揺れた、コンテナの室内。慌てて座席にしがみつく三人。
 灯が消えた、照明。歩行音も静まり返り、室内には只々強風と、叩き付けられる砂粒の
音だけが響いている。

119 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:48:15 ID:???
「どうした、何が起こったというんだ!?」
「そ、それが長(おさ)、こいつ急に動かなくなっちまって…」
 コンテナ前方の窓が、石竜の額の蓋が共に開き、パイロット(彼も全身に布切れを覆い
被せている)と「長」と呼ばれた乗客が事態を確認し合う。一方その後ろ。早速元通りの
服装に戻す二人。懐から、引き抜かれたのは人の頭蓋骨程もある長尺の銃。安全装置を解
除すると背後を向いた「長」に対して無言で頷き、臨戦体勢に入ったことを示す。
 乗客三人と、パイロット。布切れを纏った四人が外へ降り立つ。…砂嵐はいっこうに止
む気配を見せない。
 石竜は、四肢の力も、瞳の輝きも完全に失っていた。その周囲を、銃で指差し警戒しつ
つゆっくり回る四人。
「…おい、これは何だ?」
 一人が見つけた異変。…石竜の、腹の辺り。歩くと、何故か水の溢れる音。いや、それ
が水溜まりではないことは匂いでわかる。
「これ、あ、あぶ…!?」
 別の一人が声を上げようとしたその時。
 砂の海が、不意に、爆ぜた。忽ち覆い被さる波の檻。その中に四人は見た。…砂中から
競り上がった、鈍い土色のハサミが一対。人の背丈程もあるそれは、彼らが最期に認識し
た視覚。
 断末魔。粒子の波が叩き付けられた後には、ひたすらもがく八本の手と、散乱する四丁
の銃が見受けられるばかりだ。
 徐々に弱まってきた手の動き。
 嵐は収まる気配を見せぬまま、夜は更けていく。

 眩しい朝日は昨晩の砂嵐を精一杯、偽ってみせた。代償は、惨劇の結末を晒すこと。
 その辺りを数体のレッドホーンが取り囲んでいる。背中の辺りに赤と青の照明を灯した、
まさしく警察部隊専用のもの。左右には、人が乗るには少々大きめな踏み台と取っ手がつ
いている。

120 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:51:48 ID:???
「よーし、ゆっくりやるぞ。せーのっ」
 掛け声と共に少しづつ横倒しにされる真っ最中なのは、あのコンテナを背負ったレッド
ホーン。いや、正確にはその亡骸か。周囲には、人よりは大きい程度のゾイド達が群がっ
ている。白い装甲を纏い、直立するが、寸詰まりの頭部、そしてその半分程も占める一つ
目から、受ける印象は明らかに人とは別のもの。人呼んで独眼猩機(どくがんしょうき)
ゼネバスゴーレム。レッドホーンらと共にZi人に最も馴染んだゾイドの一種であり、ゴ
ーレムといったら大概これを指す。
 やがて地響きし、砂煙りが舞い上がる。横転する鋼の亡骸。ゴーレム数体の腕力により、
明らかになった致命傷。
 一匹のゴーレムが、睨む。と、何かを見つけて指差した箇所は亡骸の腹部。…関節の隙
間にねじ込まれた、人の拳程度しかない小さな穴。そこからは今も油が溢れている。事件
後間もないことを物語るもの。すぐさまその辺りにカーキ色のヘルメットと作業着で身を
固めた者が複数集まり、カメラのフラッシュを焚く。
 その傍らでは、やはり数体のゴーレムがスコップを担ぎ、砂を掘り起こしていた。
 人が、すっぽり収まる程の穴が既に横並びに、三つ。ゴーレム達はその隣に手をつけよ
うとしていたが、辺りに見受けられるのは…。
 既にどす黒く変色した、二本の手。ピクリとも動かない。
 穴のすぐ脇では担架が四本。既に二人並べられているが、いずれも顔から足まで白い布
で覆われている。そして今し方、三人目がやはり作業着の者達の手によって安置され、布
を被せられたところだ。四人目が並ぶのも時間の問題だろう。

 全く別の丘の上では、和やかな朝日を拝んでいた。
 ちょっとした集落ができそうな程に広いこの場の半分近くを占めるのは、民家二軒分程
もある深紅の二足竜。背中に巨大な二枚の翼と六本の鶏冠を備えたその容姿は誠に勇まし
げだが、首と、長い尻尾を丸めて気持ち良さそうに眠りこける様子は思いのほか、愛らし
い。人呼んで「魔装竜」ジェノブレイカー。又の名を「殺戮と破壊の使徒」。…と先日ま
では呼ばれていたらしいが最近は、どうなのか。

121 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:54:18 ID:???
 その傍らには、折り畳み式のテーブルと椅子を中心に、流浪の旅を続ける者に必要な様
々な道具が立ち並ぶ。…右から、小さめのテントが二つ。貯水タンクや簡易キッチン。そ
れに仮設トイレと、何やらカーテンに囲まれた箇所が見受けられる(その上からは湯気が
見える。ゾイド用の馬鹿でかい薬莢でも拾って風呂代わりにしているのだろう)。
 キッチンの前では、女性が、鼻歌を交えつつ調理の真っ最中だ。…高い背丈、すらりと
しなやかな肢体。長袖のブラウス、ジーンズのスカートにサンダル履きと、比較的ラフな
服装。だがピンと張った背筋故か、却って気品を感じさせる。そして、面長の端正な顔立
ち。肩にも届かぬ短い黒髪は丁寧に調髪され、切れ長の蒼き瞳は実に涼しげである。
 ふと、丘を早足で駆け上がる音。反応した深紅の竜が首をもたげ、尻尾の先を跳ね上げ
ながら勢い良く振ってみせる。
 音の主は、小柄な少年。大きめのシャツに半ズボン、素足に運動靴。そしてボサボサの
黒髪。どこにでもいそうな格好だが、大きめで粒らな瞳の輝きと真一文字に結んだ口から
は、不思議な雰囲気が感じられてならなお。
 大きく乱れる吐息。汗で頬もシャツも、濡れている。
「はっ、はっ、はっ、たっ、ただいまっ、エステル、先生っ」
 手を休めず、首だけを傾けた女性。
「お帰りなさい、ギル。お風呂、湧いてるから。砂はよく払ってね」
「あっ、ありがとうっ、ございますっ、ん?」
 深紅の竜がギルに顔を近付け、首を傾けてみせる。このゾイドも所々、砂埃がひどい。
「ブレイカー、午後の練習前に少し流そうか?」
 彼の一声に尻尾の先を軽く振ると、今度はエステルの方に視線を傾け、同意を求める。
「三日三晩、砂嵐だったものね。『明日』のこともあるし、軽く水浴びするといいわ」
 機嫌良さげに甲高く鳴いた深紅の竜。…一方のギルはテントに戻るといそいそと、着替
えの支度を始めたところだ。彼の相棒はすぐに何もなかったかのように首と尾を丸めよう
としたが、ふと、再度体を持ち上げると丘の下方に視線を投げかける。

122 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:55:38 ID:???
 軽い地響きと共に小走りに近付いてきたのは、これも又レッドホーンだ。但し従来のも
のと違うのは、背中やら尻尾やら、様々な箇所に銃器が備え付けられていること。そして
錣(しころ)に青・赤・紫の三色で彩られたリゼリアの旗が描かれていること。
 開いた頭部ハッチ。現われたのは、くたびれた軍服にちょび鬚の男。彼が軍帽を脱いで
お辞儀をした時、ブレイカーはお愛想としては至極十分な程に尻尾を振ってみせた。

「まず、先日皆さんを襲った謎の集団についてですが…」
 テーブルについたギルとエステル、そしてちょび髭の男。覚えている方もいらっしゃる
だろう、前話「僕のゾイドになれ!」のクライマックスでギル達の戦闘に割って入り、又
ごく簡単に彼らの取り調べをしたリゼリアの守備隊長だ。食事しながら彼の言葉に耳を傾
けるギル達師弟。一方、ブレイカーは今度こそ寝息混じりに丸くなっている。
「回収したゾイドの破片・残骸を鑑識した結果、リゼリアのデータベースには一切登録さ
れていないことがわかりました」
 バターを塗ったバゲットにかじり付いていたギル。一瞬口の動きを止めたかと思うと、
大きく項垂れ、溜め息をついた。
「守備隊長さん、ちょっとそれは…」
「ギル、『わからない』ということがわかったのは大きいわよ?」
 美貌の女教師の言葉にすぐさま顔を持ち上げる。守備隊長は頂いた紙コップ入りのコー
ヒーにひとまず口をつけると、相変わらずのゆっくりとした調子で言葉を続ける。
「左様。まず未登録データしか回収できなかった結果、彼らが近頃惑星Ziを騒がす『水
の軍団』である可能性が高まりました」
「水の、軍団…」
 ギルの脳裏を過った光景。相棒・ブレイカーの放つ渾身の一撃をも受け止めてみせた、
水色の直立二足竜を駆る異相の男。渾身の鍔迫り合いの最中、あの男は頭部キャノピーを
開けて平然と名乗っていた。我らは「水の軍団」、我が通り名は「水の総大将」、と。

123 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:56:52 ID:???
「ヘリック共和国が惑星Ziを完全統一した数年後から、データベースには一切登録され
ない謎のゾイド群が世界各地で確認されるようになりました。
 彼らが確認される時は大概決まっています。規模の大小を問わず、テロ・紛争が共和国
軍の手で電撃的に鎮圧される時…」
「つまり、共和国が公にしない特殊部隊というわけね?」
 エステルの言葉に守備隊長は軽く頷く。
「断定はできませんが、その線が極めて濃厚ですな。但し、ここリゼリアで彼らが確認さ
れたのは数える程です。
 それに彼らは戦績こそ百%に近い勝率ですが、行き過ぎたやり方も多く、決して人々の
支持を受ける存在ではありません。皆さんが襲われたのも誤認によるものでしょう。又狙
われた時は、遠慮なく通報して下さい」
 誤認、か。本当にその線だったら良いのだけどね。そう、ギルは心の底で呟く。誤認ど
ころか、彼奴らは何か明確な理由の元に僕らを追い掛けているみたいだ。やっぱり、僕の
額の…。
「あとですね、昨晩『ゲリラ殺しのジンザ』がリゼリア近郊で出没したようです」
 守備隊長の用意してきた豊富な話題は、結果としてギルをひとまず沈鬱から引っ張り上
げた。
「ゲリラ、殺しの…?」
「如何にも。今朝、警察部隊が事件現場を捜索したところ、四人とゾイド一匹の死体が…
あ、食事中すみません」
「いえ、どうぞ続けて下さい。相当な、やり口なのですね?」
「…はい。司法解剖を待たねばなりませんが、四人の死因は恐らくゾイドに地中へ引き摺
り込まれた挙げ句、大量に砂を呑み込んでの窒息死。ゾイドは腹部からコアに直接高エネ
ルギーを注入されてのショック死。やり口の残忍さから犯人は『ゲリラ殺しのジンザ』と
睨んでいます。
 死体の身元ですが、四人の内二人は国際的に指名手配されたゼネバスゲリラのビルカザ、
ジランビと判明しました。もう二人は調査中ですが、恐らくリゼリアで潜伏中のテロリス
トでしょう」

124 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 13:58:13 ID:???
 パンを頬張る動きが止まったままのギル。対照的に、エステルはパンをちぎりながら黙
々と話しを聞いている。
「妙な義侠心を持った輩が多い、というわけね?」
 我が意を得たとばかりに、守備隊長は大きく頷いた。
「水の軍団との関係を指摘する声もあります。巻き込まれたら元も子もありませんから、
どうかお気をつけ下さい。
 時に、ギルガメス君。…明日、だったかね?」
「…あ、は、はい!?」
 急に話しを振られて慌てる少年。口を塞ぎ、食べかけのパンをすぐさま呑み込みつつ、
どうにか答えようとする。
「そ、そうです、あ、あ、明日、トライアウト、です」
 ゾイドウォリアーになるためには「ジュニアトライアウト」か通常の「トライアウト」
のいずれかを受験し合格しなければならない。前者は受験費を始め様々な費用が無料とな
るが、ジュニアハイスクールの最高学年でしか受験が許されない。後者は年に数度、各地
で行なわれる。だが受験費は極めて高額、ゾイドも武器・弾薬なども自前で用意しなけれ
ばいけない。現実問題、貧乏人がジュニアトライアウトで不合格に処されたらウォリアー
の道は閉ざされたに等しい。
 さてジュニアトライアウトで好成績を納めながら不合格に処されたギル。だが彼は夢を
諦め切れず出奔し、結果ブレイカー、そしてエステルと運命的に出会った。それが切っ掛
けで、遂にトライアウトへの挑戦の機会を獲得していたのだ。
「そうだったか。是非頑張ってくれたまえ。
 エステルさん、それでは今日の昼頃にも?」
「いえ、夕方ですね。連日の砂嵐でこの子達も身体が鈍ってますから。みっちり汗を流し
て備えさせようと思います」
 女教師の返事を聞き大きく頷いた守備隊長。紙コップのコーヒーを飲み干し立ち上がる。
「では皆さん、道中お気をつけて。ギルガメス君、吉報、待っているよ」
 師弟も立ち上がり、深々と頭を下げた。


125 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 14:00:41 ID:???
 雲海の上を飄々と泳ぐのは、鋼の要塞。胴体は円盤状。そこから鰭(ひれ)状の長い翼
が四枚、短かめの尻尾、そしてドームが埋め込まれたごく小さな頭部が生えている。ユー
モラスな外見だが、その口から網目羽根の小型竜・プテラスが数匹飛び立った時、要塞の
尋常ならざる規模に誰もが声を失うだろう。…民家一件程もあるプテラスの群れが、こい
つの前では芥子粒に見える。人呼んで「玄武皇帝」タートルカイザー。言わずと知れた、
水の軍団の旗艦ゾイドだ。
 頭部・ドーム内部はプラネタリウムのような空間が広がっている。中央は円錐状に盛り
上がり、頂上にて姿勢よく着席するのはこの超巨大ゾイドの主人。2メートルはある巨体
ながら良く引き締まった筋肉。その身には水色の軍服・軍帽、マントという水色尽くしの
服装を折り目正しく着こなしている。だが最も特徴的なのはその人相。馬面に痩けた頬、
落ち窪んだ上に守宮のように瞳が大きい、まさに異相の男。
 一方円錐の下方にて着席し、黙々と雑務をこなしているのは彼の側近達だ。又、室内外
周はその半分程がコントロールパネルや様々な大きさのモニターで埋め尽くされており、
通信士やこの超巨大ゾイドの操縦要員が着席し、せわしなく動いている。いずれも異相の
男同様、水色尽くし。
「ロブノル、作戦地域から千キロ以内に到達しました」
 操縦要員の一人が朗々たる調子で報告する。起立して応じた異相の男。
「これより作戦を開始する。総員配置につけ」
 男が宣言する間に、割り込んだブザー音。慌てて通信士の一人が受信する。
「リゼリアのジンザより、総大将殿に面会の通信が届いております」
「馬鹿者、たった今作戦開始が宣言されたばかりだぞ!」
 側近の一人が怒鳴ったが、異相の男は黙って手を上げ、静止した。
「ジンザならば吉報に違いない。『上』に繋げ」
 緩やかな曲面で構成された天井の壁に、早速映像が映し出される。…ゾイドのコクピッ
ト内としては、かなり狭い作りだ。着席するのは黒い頭巾で頭も顔も覆った者。露出する
のは両の瞳の辺りのみ。暗い室内の中、コンソールが頭巾に照り返される。それに混じっ
て輝く瞳の、何と禍々しいことか。

126 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/03 14:01:50 ID:???
「総大将殿、リゼリアへ密入国したゼネバスゲリラのビルカザ、ジランビ両名を葬りまし
た。現地では早速報道されており、数時間後には共和国内でも大々的に報道されることで
しょう」
 ひどく嗄れた声。だがその声に、このドーム内で歓声が起こる。
「何と、早々に彼奴らを葬り去ったか!」
「いずれもゾイド自爆テロを多数指揮し、七つの都市を恐怖に陥れた奴ら」
「これで惑星Ziの平和が又一歩近付いたというもの」
 側近達までもが先程とは打って変わって褒めちぎる。
「ジンザよ、『飛び込み』の任務ながらよく解決してくれた。感謝する」
 総大将と呼ばれた異相の男までもが深々と頭を下げる。
「お気遣い下さいますな、総大将殿。懸案がございます故」
 途端に静まり返る室内。「懸案」の対象は言わずもがな。黒頭巾の男・ジンザは続ける。
「…明日、リゼリア郊外にてトライアウトが開催されます。チーム・ギルガメスの参加は
既に確認済み。
 好機を伺い、必ずや葬り去って御覧に入れましょうぞ」
「よくぞ申した! 更なる吉報、期待している。惑星Ziの!」
「平和の、ために!」

 静寂の大地。陽の乾いた香りが辺りを包む。
 突如、舞い上がる土と砂。それと共に地の底から這い上がってきたのは、人の、数倍も
ある巨大な鋼の蠍(さそり)。土色に鈍く輝く四対の足はか細く、疾走・跳躍には向かぬ
だろう。だが緻密な動きは長時間、砂中を潜伏する異能の源。更に一対のハサミと、背負
った得体の知れない銃器類。そして滑らかに動く尻尾の先端から伸びる切先は毒針にも、
銃器にも見える。思いのほか武装の充実したこのゾイド、人呼んで毒蠍機(どっかつき)
ガイサック。ヘリック共和国が誇る暗殺・奇襲用ゾイド。
 頭部・キャノピーが開く。片膝をつき、その身を晒したジンザ。外の眩しさに手でひさ
しを作る。
「ブズゥよ、あれが此度の戦場。いざ参ろう」
 ジンザの声に応じ、ブズゥと呼ばれたガイサックは牙と、ハサミを鳴らす。誇りと決意
の意思表示は澄んだ鐘の音にも似た。
 彼らの視線の遥か向こう、蜃気楼に揺らぐ風景の中には間違いなくリゼリアの城壁が隠
れている筈なのだ。                       (第一章ここまで)

127 :Full metal president 24:05/03/04 04:55:34 ID:???
マッドサンダーが既に2体機能を停止しているがコアが死んだ訳では無い。
通常のゾイドは俗に言う想定外の攻撃には脆い。それはマッドサンダーとて例外ではない。
先の眉間への攻撃。多数の魚雷の横腹への直撃。
装甲で固めては有るがコアが受ける疑似ダメージは強烈な物に成る。
それ故の機能停止。はっきり言って最強の盾と矛を持つマッドサンダーでもそれ以外は…、
と言う事になる。その為完全な分業を行い正面以外に相手を移動させない。
この戦術が崩壊した時無敵のゾイドは薄紙の如く脆い姿を晒すのである。
実際にダメージを受けていないのにこう成るのだからゾイドという存在は謎がまだまだ多い。

一方マッドサンダーを海中でありながら尾を掴んで振り回すパープルオーガ。
こっちの場合は完全にパワー負けの状態である。
OSの利き過ぎでゴジュラスからGTOの如き劇的なパワーアップを果たしたゴジュラスギガ。
その力は既にこの時点で最強の格闘能力を持つ事になる。
マクレガー以前のパイロットの話ではデスザウラーを片手で数百m投げ飛ばしたという話だ。
恐らくパワーだけならキングゴジュラスに匹敵するであろうと後の語り草になっていたらしい。
更にもう片方の手は援護に入った他のマッドサンダーのマグネーザーを握り潰していた…。
これで姿を消すと言う芸当までするのだから何故戦争に共和国軍が勝利できなかったか?
それが疑問に思える程である。

「それでは…大統領。マッドサンダーは御任せします。
私の方は空をのんびり飛んで来る方に挨拶をしてくるので…。」
マッドサンダーの乗組員の顔が見る見る血の気を失って行く。
多分地獄絵図を想像したらしい…ベルゼンラーヴェを逃がす訳にはいかないのだ。
だが現実は冷酷非情。
それよりも強い相手にてこずっているのでそんな暇は全く無いのである。
そして…1機づつ確実に機能停止に追い込まれるマッドサンダー達。
落ち度が全く無い為に余計に敗北感を噛み締めている事であろう。
パープルオーガは暴れ足りないと言ったところか海上に顔を出すと…。
「暴れたりねえぞ!コンチクショウッ!!!」
と言わんばかりに空に向かって怒りの咆哮を上げていた…。

128 :Full metal president 25:05/03/04 06:04:09 ID:???
「ディープストライカー隊からの通信が途絶しました…。作戦は失敗の様です。」
クリウスはメリーに報告する。
「しょうがないわ。ホバーカーゴの索敵範囲内から漂流機体が消えたら回収!
間違っても彼等に機体を与えては駄目よ!
ホバーカーゴに向けて魚雷斉射!無理矢理その場を退かせるわよ!」
メリーの指令が素早く行動に移され魚雷発射管から魚雷が2セット発射される。
「報告書を提出させなさい。期限は3日以内としてパイロットから徴収するように!」
「了解しました。艦長。…しかし見事にやられましたね。」
クリウスの感想に…
「空軍の奴等も大変でしょうね…もうそろそろ作戦失敗の報告が届きそうだわ。」

案の定その言葉の数分後…空爆部隊の全滅の報告が入った。
しかもネオタートルシップ3隻と無人ザバット満載のホエールキング2隻を失う。
と言う被害報告を見てメリーはこう切り捨てた。
「撃墜じゃなくて強奪の間違いね。兄はともかくあっちのご老人の方は…
戦場で相手の武器や機体を強奪するのが得意中の得意だったそうだから…。
ご愁傷様。空軍さん。」

その頃…ホバーカーゴの甲板では?
「でえいっ!」
誰も魚を捌けないと言うのでファインが取り出した包丁で魚介類の下ごしらえをしている。
「…だれも魚が捌けないとは思いませんでしたね(汗)よいしょっと…。」
料理はできても魚は捌けなかったらしい他の一行。
「申し訳有りません…。」
周囲の全員から平謝りの声が聞えて来るばかり。こんな調子でその日も暮れていく…。
しかし次の日の朝日を見るとき彼の姿はそこになかった。

ー 深海よりの追撃者 終 ー

129 :悪魔の遺伝子 779:05/03/04 13:32:38 ID:???
第18章:オラップ島バトルグランプリ序章編

「久しぶりに実家に帰ってみようかな〜・・・。」
ある日突然マリンの発した言葉によって、彼女等の次の目的地は決まった。まあ特に
やる事も無く暇だったと言う事もあり、皆はマリンの実家へ向かう事になった。
「お前の実家がどんなんなのか気になるよイエ〜イ!!」
「俺もだぜベイベー!!話によるとお前の実家は料理店らしいからどんな料理が
あるか食ってみたいぜベイベー!!」
相変わらずビルトとミレイナの二人はノリノリだったが、マリンは困った顔で二人を
睨み付けて言った。
「別に構いはしないけどさ、そのメイクは取ってちょうだいね!」
「何でだよベイベー!!」
「このチーマーメイク&ファッションは私達のトレードマークなのよイエ〜イ!」
「だからいけないの!!まったく・・・こっちまでおかしい人みたいに
思われるでしょ!!?」
マリンはいつになく怒鳴っていたが、その後でゆっくり腕組みをしながら空を眺めた。
「それにしても実家に帰るのは久しぶりかな〜・・・。今まで色々あったしね・・・。
みんな元気でしてるかな〜・・・。」
と、その時ルナリスがマリンに近寄って来た。
「お前の故郷ってどう言う所なんだ?」
「別に大した事は無いよ、別に都会でも田舎でも無い、中級規模の小さな町だよ。」
「そうなのか〜・・・。って事は周囲を眺めると色々田園風景とか見られたりするのか?」
「いや・・・、そんなの無いから・・・。と言うかさっき田舎じゃないって言ったでしょ?」
「そうか・・・、田園風景は無いのか・・・。」
ルナリスは哀愁漂う雰囲気で空を眺め始めた。と、その時マリンが彼女の肩を
ポンと叩いた。

130 :悪魔の遺伝子 780:05/03/04 13:34:31 ID:???
「貴女も久々に実家に帰って見たら?きっとパパンも喜ぶよ。」
「ば!!馬鹿にするな!!!誰があんなクソ親父の所なんて!!」
ルナリスはマリンの手を振り払いながら怒鳴りつけた。が、その後直ぐに下を向いた。
「ま・・・、まあ・・・爺ちゃんの方は心配だがな・・・、もう歳だし・・・。」
「なら近々里帰りして見る?」
「・・・・・・・・・・・。」
マリンは体をやや下に下ろした状態で下から見上げる形でルナリスに言ったが、
彼女は黙り込み、そのまま黙ったままだった。
「なあ!所で俺達の故郷については聞かないのかベイベー!!」
「そうそう!気になるとは思わない?私達二人の故郷イエ〜イ!」
「いや?全然・・・。」
「・・・・・・。」
マリンの無情な返事にビルトとミレイナも黙り込み、周囲に沈黙が走った。

それから4人と4機はマリンの実家へ向けて移動を開始した。途中たまたま
出会った賞金首等を捕まえ、治安局から賞金をせしめると言った事等を行わなかった
ワケでは無いが、色々あって彼女等はマリンの故郷、フィスリルタウンに到着した。
「ここがお前の故郷か〜・・・って確かに普通な町だな・・・。」
「だから言ったでしょ?普通って・・・。」
マリンの故郷であるフィスリルタウンは前述の通り、田舎で無ければ都会でも無い。
強いて言えば中間くらいの規模のごく普通な町であった。まああえて付け加えると
するならば近くに山があると言う事くらいであろうか。
「それじゃあ私の家まで案内するよ。ついて来て。」
「確かマリンさんの実家は料理店なんですよね〜。一体どんな料理出してるんですか〜?」
「別に、いたって何処にでもある様な普通の大衆食堂だよ。」
「もっとも、マリンの腕から考えて、出て来る料理の味は普通じゃないのだろうがな!」
皆はそう雑談をしながらマリンにとって懐かしい道を進んでいた。
ちなみにビルトとミレイナの二人はマリンの言い付け通りメイクを取り、
服装も普通の格好の弱気なメガネ君モードの状態である。

131 :悪魔の遺伝子 781:05/03/04 13:37:23 ID:???
「いやいや本当に懐かしいな〜・・・。私がこの町を出る時からまったく変わってない・・・。」
マリンは自らの故郷を懐かしみつつ、また久しぶりに出会った知り合い等とも挨拶を
交わしていたが、その時突如として、全身にプロテクターを装備し、メリケンサックや
鎖等の凶器で武装した不良の大軍が彼女等の前に現れたのだ。
「ハッハッハッハッハッ!!ここしばらく町を離れたと聞いた時は俺達から逃げた
のだと思っていたが・・・やっと帰ってきやがったなマリン=バイス!!」
「え?ああ・・・、何だ・・・。貴方達まだ懲りて無かったの?」
「何だコイツ等は・・・。話が見えて来ないぞ。」
突然の出来事にルナリス等はワケの分からないと言った顔をしていたが、マリンが
彼女の方を向いて説明を始めた。
「まあこちらにいる人達は、私がまだ幼稚園児だった時に私を虐めていた近所の
悪ガキ達でございます。」
「ええ!!!?って事は彼等はマリンさん以上に強いって事ですか!!?」
「おっかね〜・・・。」
ビルトとミレイナはガクガクブルブルと恐怖に打ち震えていたが、マリンは笑って言った。
「いやいや、別にそんな事は無いよ。たしかに幼稚園の時まで私を虐めていたのは
確かだけど、私が小学校に入学した頃から急に弱くなっちゃってね、今では
この通り立場が逆転しちゃった!アッハッハッ!」
「何がハッハッハだぁぁぁぁぁ!!!!」
「今日こそお前をぶっ殺す!!」
不良達は手に持つ凶器を振り上げて一斉にマリンに飛び掛った。が、それも
一瞬の出来事だった。彼等はあっという間にマリンになぎ倒されてしまったのである。

132 :悪魔の遺伝子 782:05/03/04 13:39:02 ID:???
「ひ・・・ひぃ・・・ひぃ・・・。ま・・・前より強くなって・・・やがる・・・。」
「まあ生きるか死ぬかの戦いとか色々修羅場潜って来たしね・・・。でも貴方達!
貴方達もいつまでもそんな不良ごっこは止めて、真面目に働いたらどうよ!」
その場におきなみ倒れている不良等を優しく戒めた後、マリンはルナリス等の所へ
戻ってきた。
「それじゃあ行きましょう?」
「(私が思うにこれは、マリンが小学校に入学してからコイツ等が弱くなったん
じゃなく、マリンの方が強くなったんじゃないのか?)」
ルナリスは内心そう考えていたが、面倒なのでそれ以上詮索するのは止めた。

その後マリンは皆を案内しつつ、とある大衆食堂規模の料理店の前に到着した。
「ここが私の実家で経営している料理店なんだけど・・・、今日は定休日って書いて
あるよ・・・。」
「どうでも良いけど、この看板名何とかならんかね?“料理の猫屋”って・・・、
料理店なのか猫売ってる店なのかどっちなのかわからんぞ・・・。」
料理店の看板を見つめつつルナリスは眉を細めていたが、マリンも困った顔をしていた。
「そんな事言ったってウチの店は私が生まれるずっと昔からこう言う
名前なんだからしょうがないじゃない・・・。」
「じゃあこの店の名前の由来は一体何なのですか?」
今度はさり気なく口を開いたビルトの方へマリンが向いた。
「ウチの店は100年以上前のあの大戦が終わった後で、マオ曾お祖母ちゃんが
作った店なんだけどね、店名を考える時、何でも曾お婆ちゃんの“マオ”って名前は
地球の中国と言う国の言葉では猫って意味らしいって話を聞いたから何と無く
こういう店名にしたんだって!」
「オイオイ・・・それで良いのかよ・・・。」
ルナリスは開いた口が塞がらなかった。が、彼女は知らなかった。マリンの曾祖母に
マオは地球の中国の言葉で猫を意味すると言う事を教えたのはルナリスの祖父、
ルーガスであったと言う事を・・・。

133 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 16:54:19 ID:???
【第二章】

 群青の夜空を、満天の星が流れていくかに見える。
 その下を、軽快に滑走する深紅の竜。常ならば折り畳んでいる二枚の翼もこの時とばか
りは水平に大きく広げ、伸びやかに、しなやかに、踏み込んで勢いをつける。加速には、
背中の鶏冠六本を天を衝く程逆立てつつ、その先端から蒼炎を放って一層助勢。その様、
疾風とも稲妻とも。…だが肝心の竜の表情は険が感じられない、誠に爽やかなもの。
 竜の両手には一台のビークルが握られていた。座席の真下には寝袋が敷かれ、毛糸の帽
子を耳まで被りながら熟睡している者が、独り。
 不意の、アラーム音。寝袋の主は不機嫌そうに右手を出すと、頭上のコントロールパネ
ルをまさぐった。音が途切れてから寝袋のチャックが開き、現われたのは紺の背広とコー
トに身を固めた男装の麗人。徐に背伸びしたところ、竜が彼女の顔を覗き込んできた。
「おはよう、ブレイカー。…ギルは?」
 エステルの声に応じ、竜は軽く胸のコクピットハッチを軽く叩いてみせる。…返事は、
ない。代わりに、微かながら漏れ聞こえるアラーム音。いや、完全密封されたこのコクピ
ットハッチからアラーム音が溢れるということは、室内では相当な音量で鳴り響いている
に違いない。
 指示を仰ぐ深紅の竜に対し、エステルは無言で、両手を下へ倒す仕種を返す。
 ゆっくり、開いたハッチ。蝶番は下方にあるため、橋を降ろすような形になる。…座席
にはギルの姿はなく、その真下には、やはり寝袋に包まって熟睡する少年が一人。アラー
ム音は依然鳴り響いたまま。
 急激な冷気の侵入に、一度は身体を丸めた少年だったが、やがて寝返りを打つと寝ぼけ
眼でのぼやき。
「…んっ。し、閉めてよぅ、ブレイカーぁ…。もぅ少し、寝かせ…て!?」
 開かれた少年の視界に飛び込んできたのは、男装の麗人の蒼き眼差し。エステルは、コ
クピット内に乗り込みギルの顔を間近で覗き込んでいた。…止まった、時間。見愡れたか
のように暫し硬直したが、慌てて声を上げたギル。彼女から遠ざかるように反転すると、
寝袋に入ったまま上半身を持ち上げる。
「よ!? お…おおお、おはようござい、ます」
「…おはよう」
 何ら動じることなく余裕の微笑みを返したのはエステルだ。

134 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 16:57:31 ID:???
「眠れないとか言っていたけど、大丈夫ね?」
「あ…は、はい、大分。ブレイカーのゆりかご機能に助けられました」
 その声に深紅の竜は少々誇らしげに鳴いてみせる。ブレイカーはパイロットとのシンク
ロ(同調)によって真の力を発揮するオーガノイドシステム搭載ゾイド。シンクロ率が高
まるとパイロットにダメージが再現される弊害もあるが、代わりにパイロットのダメージ
を治癒・軽減する能力も持っている。…今日のテストを控え、寝つけなかったギルは相棒
ブレイカーの「ゆりかご機能」のお陰でどうにか熟睡できた。
「あと一時間もすればリゼリアに到着するわ。目を覚ましておきなさいね」
「は、はい!」
 小気味よいギルの返事。エステルは横倒しになったハッチを伝ってビークルに戻った。
 ゆっくり持ち上がるハッチ。コクピット内の全方位スクリーンが輝きを取り戻すが、映
し出されるのは深い夜闇ではある。だがそれも、遥か向こうの地平線では徐々に群青から
青へ、そして空色へと塗り替えられつつあった。

 リゼリアの高い城壁は、戦死者の遺骨で組み上げられたと歴史家は言う。
 かつて民主主義の完全勝利を掲げたヘリック共和国が惑星Ziの大半を平定した際、僅
かな地域だけは最後まで徹底抗戦した。ガイロス然り、このリゼリア然り。手を焼いた共
和国上層部が提示したのが「民族自治区」案だ。この妥協案にリゼリア国内も大きく揺れ
たが民衆は厭戦に傾き、程なく国家としてのリゼリアは厳密には消滅した。だが自治政府
はこの「民族自治区」というキーワードを最大限に活用したため、結果、共和国領の他の
地域にはない自由な雰囲気を獲得することとなる。無論それは危険と隣り合わせであり、
ゲリラの有力な逃亡先になるなど誘発した問題も数多いのだが。
 ギルは今、そのリゼリアの城壁内にいる。

135 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 16:58:49 ID:???
「…ふぅ」
 ゴーレムが五、六匹は入りそうな程広い休憩室。片隅で、ギルはテーブルに座ると大き
めのパーカーを引っ掛け、うずくまった。…別に眠いわけではない。しかしこの室内、何
しろ紫煙や汗、それに油の匂いが充満しているのだからたまらない。ここはリゼリアのゾ
イドウォリアー・ギルドが運営する施設の一つだ。ギルを始め、今日のトライアウト受験
者は身体検査・筆記試験を済ませ、ここで待機している。…午後からは実技試験。その組
み合わせ発表を皆待ち詫びていた。
 それにしても、疲れた。…気苦労だ、これは。ジュニアトライアウトと比べたら随分と
いい加減な内容に、呆れ半分、戸惑い半分。
(不審な点があったら遠慮なく問い質せ…って先生は言ったけれど。
 まずは身体測定、次は視力やら血圧やら測って、後は尿検査と血液検査、それにレント
ゲン、だったか。
 この辺だけだよな、気になるところは。筆記試験はジュニアどころかエレメンタリーレ
ベルだったし…)
 話しは先月まで遡る。ギル達一行が水の軍団を追い払った後、東リゼリア村民の助力も
あってすんなりとトライアウトの受験申し込みができた。…肝心の受験費用は、エステル
の全額支払いだ。如何に物価の安いリゼリアで行なわれるとは言え、国民の収入役半年分
に匹敵する費用を僅かでも借りて賄うのは、流石に師弟も心苦しいものがあったのである
(尤もパスポートなどと同様、巧妙に偽造された銀行口座からの振り込みではあったが。
…生徒の方は恐縮しているが、女教師は悪怯れる様子を全く見せないのだから少々困り者
ではある)。申し込み手続きを済ませてから最初の数日間は、何故ギルがジュニアトライ
アウトで抜群の成績を納めながら不合格に処されたのか、検討が続いた。
 …いや、正確には狼狽えるギルにエステルが諭す、といったところか。


136 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 17:00:09 ID:???
(陰謀説? 感心しないわね)
(でも、そう考えたら納得できるような…。「刻印」は偉い人から見たら危険って思うか
も知れないです。ジュニアトライアウトで僕が不合格になったのは、「刻印」を何らかの
形で検出したからじゃあないのかな、って)
(貴方、ジュニアの頃に「刻印」は発動していないでしょう? ないものをどうやって検
出するの?)
(う…)
(それにね、Zi人と古代ゾイド人、目立った違いは二つしか無いわ。一つは刻印。もう
一つは刻印に繋がる脳の発達の微妙な違い。…でもこういうのは頭蓋骨を切開でもしてみ
ないとわからないわよ。
 細胞レベルでの違いなんて、殆どないの。輸血もセックスも問題無し。混血可能よ。そ
れ位、近い存在なんだから身体検査ごときで違いが見抜けるとは思えないわ。大体、見抜
けるなら今頃「魔女狩り」よろしく「古代ゾイド人狩り」やってるんじゃない?)
(…)
(もっと、下らない理由でしょうね。誤った測定方法、不正、不手際、人は幾らでもミス
をする。…飲み込まれなければ良いわ。だからギル、貴方は毅然とした態度で臨みなさい)

 大丈夫。…大丈夫だよ、きっと。先生の言うことももっともだし。それに、刻印がなけ
れば先生やブレイカーとも出会えなかった。刻印が元凶なわけがない。…元凶で、あって
たまるか。
 そう自らに言い聞かせつつ、組んだ腕の隙間から周囲を見渡す。
 人種の、坩堝(るつぼ)だ。肌の白い人、黒い人。褐色、黄色。服装も様々だ。ギルの
ようにどこでも見掛けそうな格好の者もいるが、他方、民族衣装を着こなす者も見受けら
れる。この内の何割かはトライアウト受験者なのだ。…おや、あの全身黒尽くめの人は格
好良いな。黒の頭巾にゆったりとした黒装束。東方大陸出身だろうか。
 不意に、ざわめき始めた室内。ギルも隙間越しに遠方を見渡す。遥か向こうの壁では、
この施設の職員が何やら無闇に長いポスターを掲示板に張り付けている。
 …ポスターじゃあない。実技試験の組み合わせ表だ。床と椅子とがけたたましく擦れ合
うと共に、忽ち壁際にできた黒山の人だかり。

137 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 17:01:40 ID:???
 ギルも気にならないわけがない。早速確認すべく立ち上がろうとした。…だが、急に暗
転した正面風景。
「…ギルガメスってのは、てめぇか」
 質問より貶みの意味が上回る濁声と共に、少年の身体を逆方向の重力が襲う。…途端に、
真っ白になった視界。苦しい、呼吸ができない。
 真空の正体は彼の襟を引き掴み、自らの身長よりも高く釣り上げていた。巨躯、太い手
足、パイロットスーツは無駄な装飾で固められて原型を留めていない。面構えも格好に相
応しく、知性の欠片も感じられない薄ら笑いと三白眼。
 たちの悪いことに、こんなチンピラ風情が似たような格好の取り巻き数名を従えギルを
取り囲んでいるのだが、彼自身は不意の苦痛に確認どころではない。掴む両手を振り解こ
うとするが、到底及ばぬ力。
「噂通りのチビでクソガキだな、あぁ?
 実技試験の相手は俺様の、ゴジュラスだからよ。よ、ろ、し、く、た、の、む、ぜ?」
 チンピラが一文字言うごとに、締め上げられるギルの首。堪え切れず口を開ける。
「きったねえな、涎、零してんじゃねぇよ」
「まあまあ兄貴、お手柔らかに。スキンシップ、スキンシップ。」
「おおそうだったな。それじゃあお互い、が、ん、ば、り、ま…い、痛っ!?」
 弛んだ、ギルの拘束。正常な重力によって解放されると跪き、何度も咳き込む。
 彼の窮地を救ったのはサングラスで表情を隠した男装の麗人。エステルはチンピラの左
手を掴むが早いか、忽ち捻り上げる。
「痛たたたたっ、な、何すんだてめぇ!?」
「あら、『何すんだ』ですって? レディに恥を掻かせないでね。スキンシップ、スキン
シップ。」
 緩む口元。だがサングラスの奥の瞳は笑ってなどいない。
「このクソアマ、兄貴に何を…!」
 するんだと取り巻きが言い掛けたところで、エステルはサングラスを持ち上げてみせる。
眼光、一閃。悲鳴を上げ、尻餅をつく彼ら。
「小細工は抜きにして、正々堂々戦いましょうね、皆さん?」
 不敵に言い放つとサングラスを戻し、掴んだチンピラの左手を離す。
「ち、畜生! 実技試験、痛い目にあわせてやるからな!」
 早々に室内を立ち去るチンピラ共。だがエステルは一瞥すると早々に視線を不甲斐無い
生徒に向けた。

138 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 17:03:46 ID:???
 依然、苦しそうに咳き込むギル。と、背中に感じた柔らかい感触。
 ギルに寄り添うようにエステルは膝をついた。彼の背中を優しく摩る。
「ごめんなさい、大丈夫? 苦しいかも知れないけれど、さっさとここを出ましょう」
 辛うじて頷いてみせたのが少年の精一杯の意地であった。

 退出した師弟の、一悶着あった辺りに着席していた、黒装束に黒頭巾の男。ギルが格好
良いなと感じたあの男だ。
 ふと、彼の向いの席に今度は別の男が座った。緑色に金縁のローブを羽織り、首にはヘ
リック正教の十字架をぶら下げている。顎鬚を蓄え、不敵な笑みを浮かべた顔をフードの
奥に秘めた男。
「流石に一筋縄ではいきませんな、『ゲリラ殺しのジンザ』よ」
「『破戒僧』グレゴル。何用か」
 両者とも、周囲の者が聞き取れぬ程の小声。黒尽くめの男こそはジンザであった。では、
向いの男は何者か。
「哀れな四匹の小羊が天に召されたと聞き、せめて祈りを捧げんと思いました」
 ジンザが目を細めた。
「うぬも馳せ参じておったか。手柄を奪って済まなんだ」
「いやいや、我らが大義の前ではちっぽけなこと。それより…」
 緑色のローブの男、グレゴルが膝を詰める。
「凄まじい殺気でございましたな」
 ジンザは同感とばかりに大きく頷く。
「小僧一人の時、殺れると思った。だが辺りを漂う殺気の『残り香』に一瞬躊躇した」
 そう言いながら、右手を出してみせる。軽く、袖を振った時。その掌には小石程の大き
さの拳銃が握られていた。余りにも小さいが、手に馴染んだ様子と口振りから相当な実績
があると伺い知れた。
「それで良かったのだ。小僧を庇った女の実力は並々ならぬ。仕掛けたとしても小僧でさ
え、殺れたかどうか」
 もう一度袖を振る。すぐさま隠れる銃。最初から何も無かったかのように。

139 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 17:05:00 ID:???
「やはりゾイド乗りはゾイド乗りらしく立ち回るより他、無さそうですな」
「全くだ。幸い、餌も見つけたので上手く使おうと思う。…不覚をとった時は、頼む」
「それは無論。ですが今は何より、イブに貴方の必勝を祈りましょうぞ。…惑星Ziの」
「平和の、ために」

 廊下の途中。殺気が遠ざかるのを感じ取ったエステルは、内心ホッとした。勿論、チン
ピラ風情が発散したものではないことは彼女も重々承知の上だ。
「あ、あの、せ、先生…」
 美貌の女教師に寄り添われ、肩を抱かれながら歩くギルの、赤面。女教師は我に返った。
「…なぁに?」
「ちょ、ちょっと、恥ずかし…ケホ、ケホッ」
 又咳き込む。エステルはひたすら、背中を摩ってやる。
「『刻印』の力は目立つから、外でね。それまで我慢して」

 そういえば少年の相棒は、今頃どうしているのか。
 リゼリア城壁の、その又離れを見れば鉄塊が犇めき合う場所が幾つか確認できる。この
町のゾイド溜まりだ。…巨大な種類が多いゾイドを町の中に入れるのは問題が多すぎる。
そもそも町の構造自体をゾイドに合わせて作り直さねばならないが、費用や工期が甚大に
なるだろうことは言うまでもない。それにゾイド自体の暴走に対しては無力だ。従って人
と同程度の大きさでもない限り、ゾイドは町の外に待機させることとなる。
 さてその、ゾイド溜まりの一角。主人の帰りを待ち詫びて、じっと身を伏せているのが
翼を背負った二足竜。我らが魔装竜ブレイカーだ。
 ふと。
 微かだが、風を切るような音。
 何ら動じることなく左手を翳したブレイカー。その手に掴んだものを見つめてみる。…
小石、だ。他愛もない。
 飛んできた左方を一睨み。…やはり身を伏せる小型の竜の一匹が、そっぽを向いた。よ
くある嫌がらせだ。何しろ竜が翼を背負っているなんて、ゾイドの世界では例外を除いて
異端中の異端。彼らからしてみれば侮蔑の対象になり得る。勿論そんなことはとっくの昔
に経験済みのブレイカー。掴んだ小石を無造作に落とすと、再び顔を伏せた。

140 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 17:06:13 ID:???
 だが、又ふと。風切る音が。
 今度は右方から。やはり手を翳したブレイカー。やはりその手に掴んだのは小石。右方
を睨む。向こうの四足獣の足元に、蹴り込んだ後が。ムッとした風にしばらく凝視すると、
今一度顔を伏せた。
 と、今度は小刻みに。
 両手を広げ、立ち所に受け止めたブレイカー。流石は格闘の雄、華麗な捌き。だが一通
り掴むと、堪え切れず掌を地面に叩き付ける。半身を起こし、苛立ちを隠しもせずキョロ
キョロと見渡すが。
 コツン。
 遂に、竜の鼻先に当たった小石。しんと静まり返る中、微かに聞こえる嘲笑の息遣い。
爆発寸前の竜。落ちた石目掛け、八つ当たりの掌撃、連打。
「ほらブレイカー、静かになさい」
 助け船が向こうからやってきた。エステルと、彼女に付き添われたギル。ピィピィと甘
い鳴き声を上げつつ、竜は主人の頬に鼻先を近付ける。依然喉は痛いギルだったが、相棒
の雰囲気が何やらしおらし気なことに気がついた。
「甘えてる。…いじめられた?」
 嫌がることなくキスに応じながらポツリと呟く。
「碌でなしはどこにでもいるのよ」
 周囲を見渡したエステル。サングラスで視線を隠したままでも、並のゾイドには十分な
威嚇だ。忽ち嘲笑の息遣いは消え去り、どのゾイドも彼女の視線を避けて顔を深く埋めた。
「さあ、ブレイカー。ギルは喉が痛いから、それ位にしてね」
 彼女の言葉をじっと聞き入った竜は、今一度しっかりと鼻先を主人の頬に押し付けてか
ら、ようやく顔を伏せる。
 ゾイドは沢山いるが人は見掛けないこの辺り。ブレイカーが翼で囲いを作るとその中に
引っ込んだ師弟。エステルの額に浮かんだ刻印。そのままギルの首の辺りに手を翳すと、
絞められた跡が真っ赤に残っていた部分が徐々に元の肌色に変色していく。…少々、身体
が火照るような感覚にやや惚けたギル。

141 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/04 17:11:30 ID:???
「身体検査の書類やサンプルね。後の扱いを透視して見てみたけれど、特に何か弄ったり
はしてなかったわ」
「え!?…痛っっ」
「ほら、力まない。普通に回収していたから、万が一弄られるとしたらリゼリアのゾイド
バトル連盟支部内しか考えられないわね。
 まあ、これで又不合格にでもされるなら、連盟内部に乗り込んで書類改竄でも何でもや
るわよ」
「あ、あの…」
「…?」
「な、何故そこまでするって言うんですか?」
「先生だからよ。そういう答えじゃ駄目?」
「は、はあ、いや…」
 ギルは返答に窮するを得ない。実のところ似たような質問はもう何度もしているのだが、
彼女の答えはほぼ決まっている。
「…はい、おしまい。後ね」
 ギルが完治した首の状態を手触りで確かめる中、エステルは言葉を続ける。
「実技試験だけど、貴方は刻印を使わずに倒しなさい。
 ブレイカー、貴方も『ゆりかご機能』は使わずにね?」
 突然の指示。思わず目を見開いたギル。首をもたげたブレイカー。
「あんな奴、刻印を使うまでもない。…使ってるようではこの先やっていけないわ。
 それに、悔しいでしょう? あんな奴に絡まれて。だから、ゾイド乗りとして借りをき
っちり返しなさい」
「ゾイド乗り、として…。
 は、はい!」
 思わず大声で返事した。ブレイカーも負けじと甲高く鳴いてみせる。だが両者の決意を、
嫌な顔一つ見せずに聞き受け止めたエステル。
 無言で、生徒の前に伸ばした右の掌。甲を上に向けて目配せ。
 真意を理解した生徒。師匠の手甲の上に、自らの掌を。
 すると何を思ったのか、生徒の相棒も掌を伸ばした。尤もこの竜の場合、重ねるのは長
い爪の先ではある。しかしこの瞬間、二人と一匹は確かに繋がった。皆、決意を胸に秘め。
 そこに思わぬ落とし穴が隠されているとは、当のギル自身知り得ようもないことではあ
ったのだが…。                         (第二章ここまで)

142 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:29:36 ID:???
「ちょっと待ってください。」
声の持ち主はルドブだった。その顔険しい皺の寄った顔はいかにも納得がいかないと
言う様子だった。
「なんじゃ?」
「いえ、貴方があまりにも身勝手に発言をするものでね。ようは秘密を知ったから扱い
に困った、だが良い筋のZiファイターだったのでこれはこれで利用価値がある…そうい
う事でしょう?我々も元々カルロを手助けするつもりで付いて来たのだからZOITECの
ファイターになってくれという事に異論はありません。最強部隊であるというなら尚更で
す。しかし、今の発言のような考えならば我々は別行動を取り、彼を支援していく道を選
びます。まあ、それだけ形振りを構っていられない理由があると言うなら話は別ですがね。」
「ふん。成る程な。だが、ちと言い方が回りくどすぎるな。最初から一言、今回の一件の
背景にある秘密が知りたいと言えば良いではないか。」
「では、教えてくれるのですか?」
「ああ、勿論だとも。カルロを守りたいと願う君達なら、真実を聞かせる価値は十分にある
からな。」
「じゃあ、その真実とやら、俺達にも教えてもらおうか?」
グラントとフランカが近寄ってきてDrを四人が囲む形となった。
「ふふふ。別にわしは逃げたりはしないから安心せい。では、話すとしよう…まずはワイツ
ウルフというゾイドの話から始めようとしよう――。」

「――そして、凱龍輝を渡し、お前さんを連れ出したという事じゃ。」
「そんな!まさか、その数少ない適正者が俺だっていうのかよ!」
「その通りじゃ。まだ新人だったとは言えお前さんが、ファイターであった事は非常に有難
かった。」
「やっぱり、コイツにはとんでもない可能性があったってわけだな。」


143 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:32:47 ID:???
「だが、此処までの話ではDr、貴方が言うほど重要な事には聞こえませんが?危険な実験
と言う話にも絡んではきませんし。話の続きを聞かせてもらえませんか?」
「分かっとる。この程度の話で納得する等、鼻から思ってなどいない。続きを話そう。…それ
からカルロはメキメキと力を発揮した。これは訓練によるものもあったが、ファイターに成り
立て同然のカルロが地方リーグとは言え、トップランカーを次々と倒したんじゃから原因が
他にあるというのは明白だった。そういう意味ではカルロが新人であったことは良かったと言
えるな。そして、その原因とはわしが凱龍輝に施したちょっとした細工にある。その細工とはあ
るゾイド…ワイツタイガーのゾイド因子のデータをBLOXシステムを介して組み込むということ
じゃ。わしの研究データからいってほぼ確実にカルロが適正者であることは分かっていたんじ
ゃが、より正確な判断を下したかったので実験をさせてもらったと言うわけだ。凱龍輝というゾ
イド選択も良質なゴジュラスのデータがあった事、ZOITEC社を代表する名機である事、と様々
な理由があるが、その大半はこのシステムをほとんど抵抗無く受け取る事ができるという事に
あった。まあ、それでも飛燕、月甲どちらか片方に全て組み込むと今度はそれぞれの擬似因
子と反発してしまう恐れがあったので二体に情報を半分ずつ組み込まねばならなかったがね。
そして、実験は先程も述べたように大成功。みごとに彼が適正者である事を示してくれたよ。そ
れから彼に仲間が出来、グラーグのチャンピオンになるまではわずかな時間だった。しかし、そ
のわずかな時間の中で事態は急変していった。そして、その引き金となったのは第三のLTの
覚醒にあった。…三年前、ガラット山脈のある地点で異常な熱反応を感知した事を付近のある
ZOITECの施設が現社長に知らせてきた。当然現場に行って調査をしたわけなんじゃが、その原
因となる物の姿は見当たらなかった。

144 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:35:43 ID:???
そして、しばらく調査を続けた後に微弱ではあるがある特別なエネルギーを発する金属の破片が
冷え固まった地面の中から大量に発見された。なんと、それらが発していたエネルギーの成分は
意外な事にあるエネルギーのデータと完全に一致したんじゃ。そして、そのデータの一致が示す
ものは三体目の覚醒…要するに一致したそのデータとはLTシリーズ二体のものだった分けじゃ。
しかし、そのコアは既にその場所に無かった。つまり誰かに持ち去られてしまったわけじゃ。当然
その持ち去った人物を追おうとしたんじゃが、なにせ現場のあらゆる物質が地上では考えきれな
いほどの熱によって蒸発してしまっていたので証拠らしきものが殆んど存在せず、足取りはつか
めなかった。ただ、そんな灼熱の真っ只中からコアを引き上げる技術を持った輩であるという事は
確かであったがな。しかし、もし悪さをするのであれば瞬時に察知できるほどのエネルギーをコア
は持っていたので後からどうとでもなる。その時はその持ち主に使い方をゆだねようと思い、それ
以上の詮索は行わなかった。しかし、今にしてみればこれが不味かった。そして、二年経ったある
日、実験施設が謎の現象によって次々とこの地上から消えるという事件が起こった。しかし、不自
然な事に治安局はこのことには一切触れず、表には余り知られないものとなった。そして、その最
近の例の一つがブルーシティー付近にあったあの研究施設だ。そこを見たカルロなら分かる通り、
その研究施設は廃墟となってはいたものの原型を留めていた…つまりそのエネルギーに対する
対策が出来上がりつつあると言うわけだ。これは研究施設の建った年から考えて施設その物が
新しく強いものになった訳ではなく、コアのエネルギーを制御する技術が高まったと判断して良い
だろう。つまり確実に実験は成功に近づいているという事だ。そして、この事件の後を追うように発
生したのが連続技術者誘拐事件だ。主にこの事件が世間に広まるのと同時に施設炎上事故の規
模が縮小傾向へ変化していった等の観点から、この事件の犯人は高確率で三つ目のコアの持ち
主によるものである事が予想された。

145 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:37:21 ID:???
だが、我々が相当の年数を掛けて開発してきた制御システムだ、高々二年余りでは開発等出来
るわけがない。要はそれまでに犯人の尻尾を掴む事は難しいことではなかったということじゃ。だ
が、実際にそんなことを言っている余裕は無かった。多くの実験施設から見つかった石化した龍
型ゾイド…それに非常に似たゾイドが突如グラーグの大会に参加し始めたからだ。我々はそれを
チェックし続けていたが、王者争奪戦の時についに奴等は化けの皮を脱ぎ、その巨龍の姿を露に
した。しかもその闘いから分かった事は奴等がコアの持ち主に深く関わっている事だけではなかっ
た。何故ならその対戦相手がホワイトの適正者、カルロだったからだ。考えてみれば、力を示した
いのなら当然ブルーシティーのリーグを選ぶはずだ、だが彼等が選んだのはグラーグという地方
リーグ。地元メディアくらいしか扱わないような小規模なリーグだ。この選択の動機として、カルロ
以外は奴等が三つ目のコアに関わっている以上、我々の中からは挙がらなかった。そしてそれが
指す物は適正者という存在…制御装置は事件が続いている所を見る限り、完成してはいないはず
だ。それなのに適正者の必要性に何故気付けたのか?大変、嫌な考えが我々の中に流れた。誰
かが社内の情報を流出しているのではないか、ということだ。それを事実として仮定するならば、そ
の犯人探しよりも早くコアのパイロットを完璧なものに育て上げ、対抗しなくてはならないと我々は
判断した。その方法が少々強引なものとなったが、K輸送からの一連の流れというわけだ。」


146 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:37:52 ID:???
「…大変だな。」
グラントはフランカに目をやる。
「…ええ、大変ね。」
ウィリアムは手をすり合わせて笑みを浮かべて言った。
「まあ、直ぐに理解してくれとは言わない。ただ、事態の重大さ、それを分かってもらえば良い。だが、
これだけは言える。カルロがかなり深い所まで関わっている、そして奴等が我々を邪魔な存在だと判
断した場合、最も危険が及ぶのもカルロであるということ…。それを知った上でもカルロの一番近くで
行動できるホワイトナイツの席が嫌だと言うのなら別行動をするのも止めはしない。」
ルドブはグラントとフランカの方を向き、組んでいた腕を解いて話し掛けた。
「…と、いう事らしい。俺はもう、どうするかを決めたがアンタ等はどうする?」
グラントは硬く握った拳を前に突き出した。
「そんな事決まってんじゃねぇか!!カルロがそんな危険なことになってるってのに先輩の俺達がそ
ばにいてやら無い理由なんてないぜ!なぁ!フランカァ!」
「ええ、そうね。」
「で、問題はカルロじゃが、どうする?もし嫌ならばZiファイターを止め、隠れて生活する事も可能だぞ?
まあ、そんな生活を望むならばな。」
「いや、俺はもう決めた。にわかには信じられない事ばかりだけど、少なくともこの前俺を襲ってきたコ
ングも廃墟にあったデスレイザーの残骸も皆、この目で見たことだ。そう、これは俺に与えられた試練、
運命…そして現実だ。逃げる事は簡単な事でもないし、俺の未来、運命を否定する事になると思うんだ。
だから巻き込んでしまった仲間たちのためにも俺はやる。自分の意思で…!」


147 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:39:23 ID:???
グラントはカルロの頭を鷲づかみにして勢いよく揺さぶった。
「よく言った!!よし、俺等はお前の一番近い護衛に付いてやる!このカードがあれば出来るんだよな爺!!」
「…いや、それは無理じゃ。」
「はっぁ?なんだって!このカードがあれば自由に好きなポジションに付けるって言ったじゃねぇか?俺
達を入れるために嘘でもついたのか?」
「嘘ではない。好きなポジションとは言ったがそれは部隊内の4つのランクのことで細かい配属先等は社
長が決める事じゃ。そして、お前さんが欲しがっているポジションは今回の計画の機能上最も高いものだ。
そこに入るためにはある試験をクリアしなくてはならないんじゃ。」
「ある試験?そりゃなんだ?」
「その試験とは社内トーナメントの上位者になる必要があるんじゃ。…ファイターなら知っているとは思うが
毎年ZOITECのエキシビジョンマッチが行われるじゃろう?」
「ああ、参加資格がZOITEC登録のファイターっていう、結構腕の立つ奴等が集まる個人戦限定の大会か?
そういえば今年も、もうそんな時期だな。」
「そう、その事じゃ。表向きはエキシシビジョンという事になっているが実は本当の目的はZOITECの中でホ
ワイトナイツの最重要ポジションを争うことなんじゃ。これの参加資格としてこの特別なIDカードが必要なわけだ。」


148 :三虎伝説 エピソード10 リスタート:05/03/04 21:40:10 ID:???
グラントは軽く首を縦に振った。
「なるほどな。ならそれに参加すればいいわけだ。」
「まあ、そういう訳じゃな。で、勿論お二人さんは参加する気なのじゃろう?登録の手続きを済ませておこうか?」
「ええ、そうして。」
「へん、バトルなら負けやしねぇ!!やってやるぜ!!…よし、そうと決まれば特訓だな!!ルドブ、ハンテ
ィングの依頼を大量に取っておいてくれ!」
「了解した。」
ウィリアムは近くに付けてあったグスタフの光学迷彩を解いて歩き始めた。
「じゃあ、行こうか、カルロ。」
「ああ、兄貴達とは此処でひとまずお別れってわけだな。」
「そうだな、まあお前はお前で頑張れよ!!」
「兄貴達こそな!!」
そして、カルロとDr、GALESの二組に分かれ、その地を後にした。そう、それはまるで五年前のあの日、カ
ルロにとって全てが始まったあの日のように…。


149 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:28:58 ID:???
【第三章】

 全方位スクリーンに囲まれたブレイカーのコクピット内で、ギルは大きく伸びをした。
 それにしてもと天を仰ぐ。この室内からでさえ伺える、抜けるような青空。まさしくバ
トル日和。
 トライアウト実技試験の会場は、リゼリア郊外に設けられていた。…郊外とは言うが、
リゼリア城壁の位置はここからだと東の地平線に溶け込む一歩手前の辺りでようやく確認
できる。相当遠くに会場を設けたわけだが、これはやむを得ない措置だろう。如何にテス
トとは言え、ゾイド同士の戦いを都市の近辺で行なうのは危険極まりない。
 一方、西側。すぐ先に小山が聳え立っており、そろそろ適度な日陰が辺りにできつつあ
る。これが辺りを完全に包み込む頃には全ての受験者の命運も決まっている筈だ。
 さて肝心の試験会場といえば。…地面に白線を書き、境界線を設定しただけという何と
もシンプルな代物。広さは数キロ四方に渡り、白線はゾイド及びそのパイロットが目を凝
らさず視認可能な程、太い。そしてこの内側では、今まさに二匹のゾイドが殴り合い、組
み合い、撃ち合っている真っ最中だ。実戦と大差ないこの光景を御覧になってもおわかり
の通り、実技試験とは実戦さながらの試合形式、ここは試験会場というよりは試合場と呼
ぶのが適切である。
 そしてこの場よりやや離れた東側と西側。実技試験参加ゾイドがそれぞれ横隊を組んで
待機し、軒並み蹲って決戦の時を今か今かと待ち詫びている。逆に南側と北側に控えてい
るは審判団所有のゴーレム十数匹だ。ゾイド同士の戦いを裁く以上、彼らも全くの生身で
待機するわけにはいかない。その上巨大な台車が数台用意され、それらには尽く月相虫グ
スタフ(連なる装甲の形状が月の満ち欠けに似ていることからついた徒名)が繋がれてい
る。負傷したゾイドの運搬用だ。如何にトライアウトとは言えゾイドバトル、これ位の準
備は当然必要と言えよう。
 ギル達二人と一匹は東側。リゼリア城壁を背負った形。一方西側の横隊ほぼ真正面には、
あのチンピラが言っていたゴジュラスが見える。何しろ巨大なゾイド故、他より目立つ。
 ではここで実技試験のルールを紹介しておこう。…実に、簡単だ。


150 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:30:41 ID:???
・試合形式。3分1ラウンド、審査員の判断でもう1ラウンド追加。
・ダメージによるダウンを確認次第、試合終了。
・銃器は全てペイント弾。三発急所に命中した場合、試合終了。
・場外に出たら減点。ペイント弾の命中一発分に相当する。

「この子は飛び道具を持たないも同然だから、貴方達は避けることだけ気にしておけば良
いのだけどね」
 右のスクリーンの一部に投影されたのはエステルだ。彼女はビークルでブレイカーの脇
に随伴している。生徒とその相棒は、彼女の言葉に同意した。禁断の荷電粒子砲を封印し
た今、深紅の竜の武器は只ひたすら己が肉体のみ。傍目には決して有利に見えないが、そ
の辺を竜自身はどう感じているのか。
 不意に、大きく後ろへ傾くコクピット内。ギル自身も上半身は固定器具とシートベルト
でしっかり固定されてはいたが、重力の変動までは抗い切れない。
「ブ、ブレイカー? 一体どうしたんだよ!?」
 深紅の竜は両手を地について、大きく背伸びしていた。軽い準備運動。だがシンクロ、
それに「ゆりかご機能」を解除した状態ではギルに掛かる負担も想像以上のものがある。
茶目っ気一杯に鳴いてみせるこの竜に迷いは欠片もない。
「ほら、貴方達。出番よ?」
 美貌の女教師の言葉に緊張を取り戻した生徒。改めてスクリーンの前方を睨む。
 隣に並んでいた四足獣が立ち上がる。あと3〜6分で、彼らの出番だ。
 その様子を西の小山で見つめる者がいる。…ジンザだ。懐から徐に双眼鏡を取り出す。
 試合終了を告げるブザーが、鳴り響く。それを合図に引き上げる二匹のゾイド。スピー
カーの音量一杯に、審判の指示が飛ぶ。
「次の試合を行ないます。受験者は試合場へ入りなさい」
 バネのように跳ね立ち上がるブレイカー。向いのゴジュラスも又尻尾を地に打ちつけ、
気合十分だ。東と西から試合場に乗り込む二匹。
 それと共に、白線ギリギリにまで近付いてきたのはエステルが繰るビークル。彼女は意
外にも、着席すると腕を、そして足を組み、右手で頬杖をついてみせた。男装の麗人、余
裕綽々。
 一方向かい側で、ギル達主従に悪口雑言を浴びせかける面々。あのチンピラの取り巻き
共だ。コクピット内で少年は一瞥するものの、すぐに真正面の敵に視線を戻した。

151 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:32:03 ID:???
 正面のスクリーンに映し出されたのは、巨塔のごとく、仁王立する白銀の二足竜。背丈
はブレイカーをも上回り、陽射しを背負ってこの深紅の竜を覆い包む程の影を作る。その
身に合わせて肥大した頭部は上下の顎も見事に比例、開けばゴーレムごとき丸のみにでき
そうだ。大きさへの驚きはこれに限らず、三枚の背鰭、主武装と思しき長い両腕と三本の
鉤爪、そして己が巨体程もある長尺の尻尾と枚挙に暇がない。更にこの巨体から来る隙を
補うべく、腹部や尻尾の先端などに銃器類を埋め込んだ姿は物々しい印象を一層周囲に与
えるだろう。人呼んで「暴君竜」ゴジュラス。ヘリック共和国の伝統的主力ゾイドにして、
生きる伝説。
「行くぞクソガキ! パパに買ってもらったゴジュラスの力、見せてやるからな!」
 …乗り手が相応しいかはひとまず置いておく。
 しかしながら、ギルは流石に呆然。
(ジュニア時代はゴドスより大きなゾイドに乗ったことも、戦ったこともなかったよな…)
 思い出し、少々気後れ。
 だが、ふと切り替わった映像。…迫り来る、水色のゴドス!
「…っ? み、水の軍団!」
 肉迫するゴドスに慌ててレバーを引き絞り、防御に転じようとする。だがこの時点で、
ギルは気がついた。一ヶ月半程前の戦闘の映像ではないか。レバーもしっかりロックが掛
かっている。ゾイドならではの機転。気弱な少年を奮起させるには十分だったようだ。
「そうだよね、僕らは連中とやり合ったんだ。こんな奴らに負けられないよね」
 と、映像は彼を再び現実世界に引き戻す。審判団のゴーレムから発せられた声。
「次の試合を行ないます。用意…始め!」
 ブザー音の高鳴りは突撃を合図する法螺貝の音にも似た。吠えるゴジュラス。無言で地
を蹴る深紅の竜。
「さっさと死にさらせ!」
 両手を大の字に振りかざしたゴジュラス。腹部の銃器から弾丸を連謝する。無論これは
ペイント弾、命中したからと言って竜自身にダメージが及ぶわけではないが、迂闊に喰ら
って良いものでもない。
「だけど、マグネッサーは使えない。…試合場、狭いからね。
 ブレイカー、左回り!」
 甲高く吼えたのは了解の合図。砂塵が舞う。小走りに、ゴジュラスの外周を左に回り込
む深紅の竜。

152 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:33:31 ID:???
「…時速百キロも出していない。だが賢明。勢いをつけ過ぎて場外に出るわけには行かぬ
だろう」
 双眼鏡越しに睨むジンザの呟きだ。
「それにしてもあのゴジュラスのパイロット。…こんな腕前では共和国の英霊が泣くぞ」
 一方、エステルは試合が始まったというのに未だに余裕の態度を崩さない。
 回り込みながら深紅の竜は、背部の翼を水平に広げていた。ゴジュラスの方と言えば、
竜を追い掛けるように旋回。ひたすら闇雲に、腹部の銃器から連射、連射。だがこの主人
運の悪いゾイドはともかく、パイロットの方は気付いているのか。深紅の竜が、回り込み
つつ間合いを縮めていたことを。…巨影から、とっくの昔に解き放たれていたことを!
「や、野郎、速えぇっ!?」
 慌てるゴジュラスも、旋回。だが既に、両者の距離は百メートルもない。両腕を振り上
げる暴君竜。狙うは一か八かのカウンター。
 だが、この距離差で。
「翼のぉっ!」
 ギルの合図。正拳突きのごとく、左のレバーを前に押し出す。地を蹴る魔装竜、飛翔。
 …縮まる。百メートルが、民家一〜二軒程にまで。
 この刹那、左の翼下、双剣を展開させつつ渦を巻く竜。そして、着地と共に。
 谺した、金属音。
 捉えた双剣。暴君竜の左膝を、内側から。
「刃よぉっ!」
 渾身の力で左のレバーを引き、右のレバーを前へ。返す刀で、渦の逆回転。
 再び金属音が谺した時、右の双剣は暴君竜の左膝を外側から捉えていた。
 透かさず両のレバーを引き絞ったギル。それを合図に深紅の竜、時計回りに一周。尻尾
の一撃でコンビネーションブローを締めたのだが、これは必要無かった。
 回転を完成した時。既に、膝から崩れ落ちていた暴君竜。パイロットの身に襲い掛かる、
不意の重力。
「何だ!? 何が起こった!? 何で沈んだ!?
 馬鹿野郎、このポンコツ! 立て、立て、立てぇっ!」
 レバーを何度も押す、引く。だがパイロットの狼狽が事態を好転させることはなかった。
 試合場を鳴り響く、ブザー。

153 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:34:54 ID:???
「赤いゾイド、離れて!」
 審判団の声に、我を取り戻したギル。深紅の竜は悠々と白線まで後退してゆく。…見た
目には、たった二合。にも関わらず、コクピット内のギルは額も頬も汗びっしょりだ。や
はり刻印の力を使わず、ゆりかご機能も使わないとなると小柄な少年の肉体に掛かる負担
は相当大きい。
 白線外のエステルを視認したギル。だが声を掛けようとした時、彼女が無表情であるこ
とに気がついた。怒っているのでも、無関心なのでもない。…彼女にしてみれば当然のこ
と。まだ、試合終了は告げられていないのだ。無言の諭しにギルもすぐ理解し、結局彼と
その相棒は黙したまま白線ギリギリまで下がっていく。
 彼らの後方では何匹ものゴーレムが試合場に乗り込み、不運な暴君竜に群がって容態を
確認中だ。やがてゴーレムのうち一匹が手を振ると、合図と共にグスタフが乗り入れる。
引き摺られた車輌の上にどうにか載せあげるまで、待つこと数分。
 やがてグスタフとゴーレム達が引き上げた時、審判は改めて告げた。
「試合終了、ゾイドは退場して下さい」
 ホッと、胸を撫で下ろしたギル。この一試合、この結果で退場して良いということは、
実技試験が極めて優れた成績で終了したことを意味する。
 恐る恐る、ギルは後方を見遣る。無論ブレイカー越しにではあったが。しかしこの深紅
の竜の視線の中に少年の視線が混じっていることは、エステルも十分承知だ。…頬杖して
いた右手を解き、軽く拳を握ってみせる。そして、微笑み。
 ようやくギルの表情にも、笑みが戻った。
 しかし、目を細めたのは彼らだけではない。
「…参るか」
 呟いたジンザ。影のごとき黒装束を翻した時、その身は完全に消え去っていたのである。

「お疲れさま」
 しゃがみ込むブレイカーの胸部ハッチが開いてギルが降り立った時、目前には長めのタ
オルを差し出す美貌の女教師がいた。軽くお辞儀してタオルを受け取ると、早々に顔の汗
を拭う。拭いたタオルを首に引っ掛けると、今度目の前に差し出されたのは水筒だ。絶妙
な手際良さだがそこに気付く程、彼はまだ大人ではない。とにかく更に一礼、直に口を付
けつつ一気に飲み干す。中身は単なる真水。だが惑星Ziにおいて最も美味しい飲み物。

154 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:36:05 ID:???
「あ、ありがとうございます」
 今の彼にはこれが精一杯の返事。しかしエステルは満足げに頷く。
「それじゃあ、私はリゼリアの方へ戻って退出手続き、済ませてくるから」
 そういうと颯爽と身を翻し、ビークルに乗り込む。ちょっとした仕種でさえ余りに華麗
な彼女の動きにギルは一瞬我を忘れていたが。
「あ…あのっ!」
 慌てて声を掛ける。僕は受かったのだろうか、又前のようにわけのわからない理由で落
とされはしないか、この期に及んで不安が脳裏を過る。喉から、沢山の言葉が出掛かる。
 徐にサングラスを持ち上げたエステル。…切れ長の蒼き瞳の穏やかさに、不肖の生徒は
出掛かった言葉を全て飲み込んだ。
「…流した汗と、相棒位は信じなさい」
 ピィと甲高く鳴きつつ、ギルの後ろから彼の頬に鼻先をすり寄せてきたのはブレイカー
だ。不意の冷たい感触に生徒はハッとなったが、女教師の諭しとこの組み合わせは不安を
断ち切るには十分だった。結局ギルは会釈すると、発進する彼女を見送りつつ暫し相棒と
身を寄せ合っていたのである。

(それにしても、あの時の殺気。持ち主は一体…)
 サングラスをゴーグルに換えつつ、エステルは思い返す。さっきギルが休憩室内でチン
ピラ共に絡まれた時、彼らとは遥かに異質な気配を確かに感じていた。間違いない、あれ
は相当な手練。…だからきっと、何処かで仕掛けてくると踏んでいたが、遂にその事態に
直面せぬまま生徒の実技試験終了と相成った。
 ひとまず今はブレイカーを付けているから安心だが、さっさと用件を済ませたら引き上
げてしまおう。
 ビークルのエンジンを吹かす。後方では、グスタフが発進。しかしながら引き摺る荷物
の重量にいささか速度を出し倦ねている様子。車輌上に載せているのはギル達が粉砕した
あのゴジュラスだから仕方ない話しではあるが。
 両者の距離が離れていく。グスタフを尻目に、女教師は急いだ。

 試合場の離れで、深紅の竜はうつ伏せ、身体を丸めていた。僅か二合の決着とは言え、
休息と、心の安らぎは必要だ。バトルは、それだけのエネルギーを消費するものなのだ。
そしてそれは、この竜の主人も同じこと。コクピット内でボオッとしていたギル。

155 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:37:33 ID:???
「このまま、すがってしまいそうだよ…」
 少年のつぶやきに、深紅の竜は真意を確かめるがごとく一層首を丸め、胸に頬を押し当
てる。
「君や先生に出会えて良かった。でも今は、それが怖い。すがって、すがりついた挙げ句
溺れてしまいそうで。
 もっと、強くなりたい。ちょっとやそっとではへこたれない位…」
 言い掛けた時、全方位スクリーン越しに見えた光景。ギルは声を失った。…あの、チン
ピラ共のゴジュラスを載せた車輌が今まさに引っ張られていくところだ。
 視線が、合ってしまった。少年と、あの主人運のない暴君竜とが。…車輌の上で片膝を
ついたまま、恨めしそうに、睨み付けている。いやおかしい、コクピット内にいるのにど
うして視線を合わせられるのか。だがあの敗者の憎悪に満ち満ちた眼差し。焦点がずれる
こともなく只ひたすら少年の瞳を追い続けている。激しい、動悸。締め付けられる胸。い
やそれ以前に、そもそも視線を躱すことすらままならない。
 返す言葉もなく、眼光に呑み込まれようとする少年。だが彼を取り巻く全方位スクリー
ンの電源が、突如、落ちた。…途端に真っ暗になる室内。予想外の事態に慌てて抗議しよ
うとしたギルだったが、今度彼を襲ったのは凄まじい眠気。ブレイカーのゆりかご機能は
ギルの葛藤を心身の疲労と判断したようだ。
「そういうことか。ご、ごめん…」
 このまま、ギルの視界がしばらく閉ざされるかに見えた。

「全く、あの忌々しいクソガキにクソゾイドが!」
 車輌の上で、怒鳴り散らすゴジュラスのパイロット。反対に取り巻き達はしゃがみ込み、
項垂れるばかり。
「でも兄貴、あのゾイドは強すぎっすよ…」
「じゃあ、あれを一丁、盗るか!?」
 パイロットの言葉に立ち上がり、急に目を輝かせる取り巻き達。
「良いっすねぇ。盗っちゃいましょ!」
「盗ったらバラして、パーツを売り捌くのも良し」
「生きたまま横流ししても結構良い値段だと思いますぜ」
「よーし、決まりだ! でもその前に、パパにこいつを修理してもらわないとな」
 その言葉に又項垂れる取り巻き達。戦争だろうがゾイドバトルだろうが、敗北の後始末
が大変なことに変わりはない。

156 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:38:51 ID:???
「それにしてもこいつ、遅ぇな。…運ちゃん! もっとスピード上げろよ!」
 車輌を引っ張るグスタフに向かって叫ぶ。しかし程なくして得られた回答は彼らの想像
を越えていた。
 このゾイドの小山程ある背中の上。そこから不意に、チンピラ共の前に落ちた、影。慌
てて一歩下がる彼らの前に、躍り出たのは黒頭巾に黒装束の男。急な出来事にポカンと口
を開ける一同だったが、それが彼らの死を早めることとなった。
 翻った黒装束。右手を広げるように半円を描く。それで終わりだ。果実が潰れるような
音が、数度。音が収まった頃にはバタバタと倒れるチンピラ共。…この怪しげなる男の右
手には、いつの間にか掌に収まる程小さい拳銃が握られていた。右手を軽く振る男。あっ
という間に袖の中へと隠れる拳銃。
 チンピラ共の屍を、車輌から蹴落としたジンザ。
「金で力は買えるが実力は買えぬものだ」
 嗄れた声で嘯くと、颯爽と元来たグスタフの背中に飛び移った。次いで、このゾイドの
先頭についた小さな首目掛けて。…頭部キャノピーは開いたままだ。
 それが、やがて締まるや否や。
 ゴジュラスを引っ張るこのゾイドの、大回り。進行方向が百八十度切り替わった時が、
急加速の合図だ。

「そこの赤いゾイド、退きなさい!…赤いゾイド、聞こえないのか!?」
 怒鳴り声は審判団のもの。
 しかし、ゆりかご機能のお陰でうつらうつらしていたギル。ブレイカーも主人の様子が
気になって、しばらくは胸部ハッチに頬を当てつつ丸くなっていた為に、半ば不意打ちの
格好。慌てて飛び跳ねる。だがコクピット内のギルはわけもわからずシェイクされる始末。
 ブレイカー、着地。砂塵と共に突っ込んできたものの正体を、横目で睨む。
 ここでようやく電源の入った全方位スクリーン。眠気と平衡感覚の乱れにすぐには焦点
が定まらず、首を小刻みに振ってようやく我に返るが。
「な、何だよ一体…って、あれは!」
 ゴジュラスを積んだ、あのグスタフだ。
「ブ、ブレイカー、計測して…じ、時速、三百キロ!?
 何でグスタフがそんなに速く…って暴走!?」
 疾走する砲弾と化したグスタフ。勢いのまま突き進む先に、見えるのは試合場。受験者
のゾイド達が慌てて散らばる中を突破し、目指すは西の小山。

157 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:43:36 ID:???
 呆然と立ち尽くす深紅の竜。だが気を抜く暇はなかった。引き摺られていく車輌の上か
ら、飛行機雲のごとく流れていく煙。…硝煙だ! 察知し、慌てて両の翼を前方に展開。
 衝撃は、無きに等しかった。命中したのはペイント弾。不運な暴君竜の武装ではないか。
「拉致されたのか? それとも僕達を誘ってる?
 ええい、四の五の言ってる暇は無い! ブレイカー、追うよ!」
 ところがギルの相棒。すぐには動こうとしない。
「ど、どうしたんだよ…え、連絡?」
 右方のスクリーンにウインドウが開かれる。
「わ、わかったからひとまず追わないと!…先生、エステル先生?」
 相棒に追跡を促しつつ、無線を繋ぐ。
 ビークルのコントロールパネルが発するアラーム音。見る間に険しくなる女教師。
「…ギル、どうしたの?」
「あ、先生! えぇっと…グスタフが、暴走したんです。それで…」
 その言葉にハッとなったエステル。慌ててコントロールパネルを叩く。たちまち備え付
けのモニターが映し出した、この辺り一帯の地図。 …後から近付いてくる筈の巨大な熱源
が、見当たらない。堪らず頭を抱える。
「追い掛けます」
「駄目」
 エステル、即答。ウインドウに映った彼女の眼差しは、ゴーグルを間に介しても相当厳
しいものがある。
「それは、罠よ。何者かが貴方を誘い出すために仕掛けた…!」
「わ、罠? 何でそんなことがわかるんですか!?」
「とにかく、駄目。暴走したなら早く守備隊か警察部隊に通報して…」
「嫌だ!」

158 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 00:44:41 ID:???
 スピーカー越しに響いた割れんばかりの怒声。堪らず耳を塞ぐエステル。
「罠だってことは、あのゾイドや、パイロット達を巻き込んだってことでしょう?
 このまま、見殺しになんかできないよ!」
 言い放つや否や、落ちた映像。
「…何だよ、人やゾイドに迷惑掛けるなって言ったのは先生じゃないか。
 ブレイカー、行くよ!」
 やや乱暴気味にレバーを入れる。やむを得ないと諦め気味の様子で、極めて徐に身構え
た相棒。…水平に広げた翼。背の鶏冠六本から迸る蒼炎。乾いた破裂音と共に、深紅の竜、
助走。急激な重力はさっきの実技試験同様だが、竜の主人は狼狽えることなくレバーを握
り締めている。忽ち滑空、追撃を開始する深紅の竜。目指すはグスタフが昇りゆくあの、
西の小山。
 一方、エステルと言えば。
「あの子ったら、もう…」
 よもやの生徒の反発は、様々な思いを去来させる。だが、こういう展開になってしまっ
た以上、彼女がやるべきことは一つ。
 ビークル、旋回。どんなに怒ろうが、不快感を抱こうが、この美貌の女教師に生徒を見
捨てるという選択肢は考えられなかったのである。         (第三章ここまで)

159 :Full metal president 26:05/03/05 03:41:14 ID:???
「…それではまた。」
何処かへの通信を終えて老人は夜空を見上げる。やはり都市を離れただけの事はある。
空に瞬く星はその存在感を徹底して彼に示す様にアピールする。
それを暫く見た後海に目を向ける…。
するとそこにはホバーカーゴに付いて来る様にネオタートルシップとホエールキングが居る。
昼間に彼がせしめた戦果である。

夜半を過ぎた頃…老人はホバーカーゴの艦橋に一通の手紙を置きその場を離れる。
電子情報の類だとその内容が簡単に共和国新政府軍に漏れてしまうと言う配慮からだろう。
二つの月が並び夜を照らす並び月の年。しかし今年に限っては良い年に成らないだろう…。

ー 暁月の狂獣 黒の魔導士 ー

「ふふふふふ…来おったか。やはり放って置く訳にはいくまい。」
血の様に赤い月光に照らされる白い機影。それより発せられる声。
その声は夜空で対峙する銀光に深緑と真紅の意匠を施された大袈裟な姿の半人半獣を撃つ。
「あれ程手を出さない方が良いと言っていたのに…。
全く元美術品窃盗の常習犯だけはありますねえ?レドリック議員?」
その声に答えるは白の機影の主。
「まあそう言うな。存在する物は…使ってこそ初めて意味を成す。そんな事も解らんか?
ファイン=アセンブレイス!否!邪聖天獣ベルゼンラーヴェ!」
その言葉が口火となり二つの影は重なりそして離れる。

「…そんな物を持ち出してくるとは。急ぎすぎですよ?」
ベルゼンラーヴェは白い機影にカラミティシャドウの攻撃を撃ち込む。それを避けない機影。
灼熱の炎の中現れたのは…細かい所が所々違ってはいるが間違い無く攻撃を仕掛けた存在。
ベルゼンラーヴェその物だ。
「あいたたた…まだそれが残っていましたかっ!貴方の商売の仕方と同じですねぇ。」
正確にはベルゼンラーヴェの紛い物。嘗て彼のライバルを宣言したキ印科学者の傑作。
ペルグリエントと言うベルゼンラーヴェの高位量産機である。

160 :Full metal president 27:05/03/05 04:29:40 ID:???
「流石は良くできた弟くんと言った所でしょうか?ですがもう焦げていますよ?」
防御を失敗したのだろう…ペルグリエントの右腕の一部が消し炭となり脱落している。
しかしレドリックはそれ程気にはしていない。何故なら…
赤い月の光を浴びて欠損部分がみるみる内に元通りに修復されていくのである。
「月の力は偉大なり!」
ペルグリエントが両手を前に差し出しサブマニュピレーターの指を開く。
すると指先より機体の腕1本分程の光の刃が出現する。
その光の中に一瞬だが月の紋様と呪殺術式の公式が見えたのをファインは確認した。
それを滅多矢鱈に振り回すレドリックのペルグリエント。
空間が歪められその歪みから同じ性質の光が刃となってベルゼンラーヴェを襲う。
だが…それはベルゼンラーヴェの目の前で急にその向きを替えペルグリエントに向かう。
「力馬鹿と言った所でしょうね。呪殺の反射は難易度からすれば…初級ですよ?」

ペルグリエントと言う機体は開発コンセプト自体がとっぴな機体である。
そのコンセプトとは…魔術師以外の存在でも運用出来る高性能量産呪装ゾイド。
本来なら机上の空論を詰め込むだけ詰め込んだ実現不可能な存在であった。
しかし事実彼は存在する。初期ロット30機。最終量産機数合計320+30+α。
破格の生産台数を誇ったZOITECのエクストラモデルゾイドシリーズの花形だった…。
当然ZOITECが絡んでいるだけ有りブロックスゾイドのカテゴリーに入る。
だが実際ゴテゴテに武装された機体は初期の30機のみで他の機体は危険地帯調査や、
ゾイドバトル用。消滅した帝国自治区の治安用等と用途に別れて装備が違う。
今目の前に居るのは間違い無く初回30機の1機で通称βドールと呼称された機体である。

呪殺反射倍返しの法則で戻るそれを難無く切り裂くペルグリエント。
光の刃より呪殺の公式が消え代わりに倍打術式の公式が新たに書き込まれる。
今のレドリックの状態は戦略的に非常に優れた状態に有る。
実力の無さを魔導機”月読の壺”で補い、行使能力の穴をペルグリエントで埋める。
機体自体がベルゼンラーヴェよりカタログスペックで上回る為操縦機関の差も余り無い。
月明かりの中怪しく揺らめく影を背負い跳ぶペルグリエント。

161 :三虎伝説 エピソード11 RAIDEN:05/03/05 12:29:15 ID:???
―ZOITEC本社、以前カルロが来た時と比較して全く外見に変化は無かった。しかし、
カルロの目にはまるで、後から色を塗ったかのように、ビルの銀が鮮やかに写った。
そして、それが反射する太陽の光の中に二人の仲間…ロンとファイの姿を見た。置き
去り同然にしてきてしまった彼等は自分に対して怒りを感じているだろうか?いや、
例えそうだとしても、二年の間、喜びも苦痛も共に分かち合ってきた仲間だ。分けを
話せば必ず理解してくれるはずだ。心配は感じない。それならば、早く会い、詫びな
くては成らない…。
「Dr…俺、あの二人に会いたいんだけど、今何処にいるんだ?今回の全ての指揮を
取っている貴方なら知っているのだろう?教えてくれないか。」
ウィリアムは耳の裏を掻きながら振り向かずに答えた。
「…彼等なら、ホワイトのリーダー・ライトの元にいるだろう。まあ、按ずるな。直に会えるはずだ。」
「直に会える?もしかして今日合わせたい人物というのはそのライトって人なのか?」
その問いにウィリアムは答えなかったが。若干歩くスピードが上がったところを見ると図星のようだった。



162 :三虎伝説 エピソード11 RAIDEN:05/03/05 12:29:48 ID:???
カルロが連れて来られた先はライン兄弟も導かれたゾイド開発局だった。しかし、二人が
呼ばれた時とは違い、辺りは静まり返り人の姿も見えなかった。そして、暫くその中を進む
とある物がカルロの視界に入った。
「凱龍輝…。」
そのある物の正体とは、もはや懐かしささえ感じられる、相棒の姿だった。その体には遠い
あの日、自らを犠牲にして自分の身を守ってくれたRAIDENの姿も確認できた。あの時はと
てつもなく恐ろしい殺人兵器にしか見えなかったRAIDENだが、何故か今はこれ以上無いほ
ど頼もしく見えた。今思えば、RAIDENというプログラム…これは一体なんだったのだろうか?
一瞬、そんな考えがカルロの頭を過ぎった。だが、それは直ぐに、視界に入った白いゾイドに掻き消された。
「白い体に、コマンドともケーニッヒも違う狼の姿を借りたゾイド…これがワイツウルフか、Dr?」
「その通りじゃ。お前さんの未来のパートナーでもある、伝説のコアを持つ機体だ。」
未来の…その言葉にカルロは疑問を持った。確かに今より数秒後でも未来ではあるが、Drの
口調からはそのような意味は感じられなかった。
「…?今、直ぐ乗れるわけじゃないのか。俺はてっきりワイツウルフで訓練をして、慣れてきたら
ワイツタイガーに移行するばっかりだと思っていたが…。」
Drの顔が険しくなった。
「…コイツを操縦するという事は、そんな簡単なものでは無い。何故ならコイツは他のどんなゾイ
ドよりも強力な自我を持っているからじゃ。つまりそのパイロットには強力な自我…それを宥め、
従わせるほどの強靭な精神が必要ということになる。だが、まだお前さんはそれほどの精神力を
持ってい無い。それは雷電による実験でも証明されている。」
「RAIDEN?さっきも聞こうと思ったが、RAIDENとは一体なんなんだ?単なる自立型自爆装置
という訳ではない事くらいは見当がつくが…。」


163 :三虎伝説 エピソード11 RAIDEN:05/03/05 12:33:13 ID:???
「当然の疑問か…では、お答えしよう。…雷電とはパイロットの精神を反射する鏡のようなものなんじゃ。」
「鏡?だが、俺は自爆したいだなんて全く思わなかったけど?」
「そりゃそうじゃ、そんな事を思う輩などそうはいないじゃろうからな。鏡とは言っても雷電は
感情等をそのまま映し出すわけではなく、そのパイロットの精神の持ち様によって行動を判
断するマインドコントロールシステムを積んだゾイドでな、時にパイロットが怒りを感じれば
全弾を発射し尽くすまで射撃を繰り返したり、時にパイロットが逃げたいと思えばマルチプル
キャノンからスモークを吐き出したり等、状況によってパイロットの考えとは別に勝手に行動
するようになっている。というわけじゃ。」
「なんか、厄介な代物だな。実用的とも思えない。」
「いや、これは精神力の弱いパイロットに起こりうることで強靭な精神の持ち主であれば、タイ
ムラグを最小限に抑えて武器(雷電)を扱えるので遠隔操作を必要とする飛燕、月甲なんか
よりもずっと便利なサポートゾイドとなる。だから、精神力を測る物差しとしてはぴったりという訳じゃな。」
「そうか…それなら自爆っていうのはどういう精神の表れなんだ?…悪いって事は想像できるが。」
「ふむ、自爆か…これは、身の危険性を強く感じた時…例えば恐怖を感じた時などの行動じゃな。」
「……恐怖!!」


164 :三虎伝説 エピソード11 RAIDEN:05/03/05 12:34:04 ID:???
「そう、詳細は後から聞かせてもらったが窮地に追いやられたお前さんが再度攻撃を仕掛けよう
としたその時、雷電は発動したらしいな。おそらく、お前さん自身が気付くはずも無い心の奥深く
で、雷電は恐怖が勇気を上回るほど膨れ上がっていた事を察知したのだろうな。…この強い恐
怖心というのがお前さんの一番の弱点だ。それを克服せず、ウルフに乗ること等、わしは許すつもりは無い。」
「…当然だな。戦いの中で恐怖心ほど手強い敵はいない、ましてや怯えているパイロット等、どれ
よりも気高い精神を持ったゾイドが乗せておくはずも無いな。…なぁDr、俺をもう一度、鍛え直して
くれないか?GALESを離れたあの日と同じように、精神、操縦テクニック共に…!」
「ふ、ふふ。そう言うと思ったわい。…それに、今のお前さんはグラーグにいた頃よりもいい目をして
いる。これは期待できそうじゃな。いいだろう、みっちり鍛えてやろうじゃないか!」
「恩に着るよ、Dr。…そういえば、今日は誰かに合うって話じゃなかったっけ?」
その言葉に反応してDrは腕時計をさっと見ると一言短くこう言った。
「走るぞ!カルロ!」



165 :三虎伝説 エピソード11 RAIDEN:05/03/05 12:36:36 ID:???
研究に没頭していた老人とは思えないほどの速さで走るウィリアムにカルロは半分驚
いていたが、待ち合わせ場所で明かされた二人の行動を聞くとそうしてばかりはいられなくなった。
「――今の話は本当なんですか?」
「ああ、勿論だとも。前社長の前でこの私が嘘をつくとでも?」
「いや、だってまさかあの二人までも二ヵ月後の大会のために特訓中だなんて…。大体、
あの二人は独立したゾイドを持ってないわけだから、どうやって個人戦に出るつもりだ…?」
「ま、その辺は当日になってからのお楽しみというわけさ。まあ、大会でもし上位者になれ
なくても彼等みたいな若い勢いのある人たちがホワイトに入ってくれるってだけで隊長の僕は満足だけど。」
「また、ホワイトナイツか…こりゃ、俺も負けてられないな…。」
カルロは腕を組んだ。その表情には驚きと焦りがはっきりと浮かんでいた。
「…まあ、そういうことなんで。えーと、前社長。今日はこの報告だけで宜しかったのですよね?」
「ああ、ご苦労。わざわざ呼び出してすまなかったな。」
「いえ、いえ、では失礼致します。」
ライトは一礼すると足軽にその場を後にした。カルロはその背中を見つめながらまた、二人
の仲間の事を思い出した。


166 :三虎伝説 エピソード11 RAIDEN:05/03/05 12:37:07 ID:???
「奴等も俺のために協力してくれようとしているって事か…。Dr!用は済んだんだし、今日か
ら特訓を開始しよう、兄貴、姉御、そしてロンとファイがそれぞれの道を決めて行動している。
俺だってそれに追いつかなきゃいけないと思うんだ。まずは雷電を使いこなせるようにならなくちゃな!」
「ほほう、お前さん以前に比べて随分と明るくなったな…。分かっている。目標は二ヵ月後の
大会までにワイツウルフの乗り手になるという事じゃろう?ビシバシ行くから覚悟しろ!!」
「了解!」

会話は殆んどの時間を必要としなかった。それは今後の時間を惜しんでいるようにも、焦って
いる様にも捉える事が出来た。ただ、間違いないのは運命の歯車の速度が確実に早まってい
るということだった。そして、その歯車に従うように二ヶ月という時間はあっという間に過ぎ、大会
当日の日がやってきた…だが、彼等はこの大会が一つのターニングポイントになることにはまだ、
気付いてはいなかった。


167 :悪魔の遺伝子 783:05/03/05 13:46:25 ID:???
「こっちの店が定休日なんじゃあここにはいないみたいね・・・。じゃあ次こっちに
付いてきて!」
と、マリンは再度皆を先導しつつ歩き始めた。次に到着したのは
“バイスゾイド修理工場”なるこれまた微妙なネーミングの工場だった。
しかし、こちらも中小企業レベルの規模なのだが、結構な賑わいを見せている様子で
数多くの工員が様々なゾイドの修理作業を行っていた。
「ただいま〜!今帰って来たよ〜!」
マリンがそう工場で働く皆に呼びかけた時だった。突如としてうるさい程鳴り響いていた
作業音が止まり、工員達が一斉に彼女のもとへ駆け付けて来たのだ。
「マリンさんが帰って来たぞぉぉぉぉぉ!!!!」
「おお!!!久しぶりに帰るという連絡があったのは本当だったのかぁ!!」
工員達はまるで子供の様にマリンの帰省を喜んでいたが、それだけ彼女が
慕われていた事を意味していた。
「お久しぶりです!あれかたなおお美しくなられたご様子で・・・。」
「え?」
一人の工員が彼女をおだてた時、彼女は眉を細めながら鏡を取り出して己の顔を見つめた。
「ねえ・・・、本当に美しいの・・・?この顔が・・・。」
「そりゃそうですよ。私がウソを言っているように思えますか?」
「いや・・・、ウソじゃないのは分かってる・・・。今までも散々言われて来たし・・・。
でも私は分からないよ・・・。こんな顔が美しいなんて分からないよ!!ひょっとして
これは私の美的感覚がおかしいって事なのぉぉぉぉ!!!!?」
マリンは突然取り乱し始め、修理中のレッドホーンの脚部装甲に頭突きを始めてしまった。
「うわぁぁぁぁ!!!マリンさん落ち着いて下さい落ち着いて下さい!!!」
「・・・・・・・・・・。」
工員が慌ててマリンを落ち着かせようとして工場中が大騒ぎになっていたが、
その様子をルナリス等は唖然と見つめる事しか出来なかった。と、その時だった。
工場の奥の方から立派な仕事着に身を包んだ一人の女性が現れたのだ。それは年齢的には
30を過ぎているのであろうが、それでいて大人の雰囲気を漂わせる美人であった。

168 :悪魔の遺伝子 784:05/03/05 13:48:28 ID:???
「マリンが帰って来たって本当?」
「母さんただいま・・・。」
マリンとその女性=母親は互いにゆっくりと近寄った。ただ、その母親は金髪の
マリンとは違い、やや青っぽい髪の色をしており、顔の感じも違っていた。それだけで
マリンは母親似では無い事がわかる。
ちなみに彼女が工場の奥から出てきたのは、彼女がこの修理工場の社長業を
担当しているからである。
「お帰りなさい・・・マリン・・・。」
と、久々の親子再会という事に加え、二人が互いを見つめ合うという感動のシーンが
展開されていたのだが、その直後、母親の顔が豹変した。
「!!マリン!!貴女その顔の傷はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「え?これ?まあ色々あって・・・。」
その直後、母親は物凄い速度でマリンの肩を掴んだ。
「貴女一体何をしたの!!?どうしたらこんな傷が二つも付くと言うの!!?」
「あ・・・あ・・・あ・・・。」
左頬と右目に付いた傷について問い詰められたマリンは無言のまま口を
パクパクさせていた。
と、そんな時だった。工場敷地の外にコンテナに大型冷蔵庫を積んだグスタフが停まると、
そこから一人の男が現れたのだ。
「買出し帰りついでに寄ってみたら何あってるみたいだが・・・、お〜い一体どうか
したのか〜?」
「貴方!!マリンが帰って来たんだけど!!」
「何!!?マリンが帰って来ただと!!?」
その男はマリンの父親だった。と言うより、思いっきり父親だと分かる顔をしている。
まあ確かにマリンが母親似では無い以上、父親似である事は間違い無いのだが、
なんとまあ傷の付き方まで同じだったのだ。もちろんその父親はマリンの父親で
あるだけに、結構な男前なんだが、小柄なマリンと違って身長は高く、体格的にも
ガッチリしていた。その一方で無精髭などが目立ち、割と大雑把そうな感じの男でも
あった。ちなみに彼は料理店の経営を担当していたりする。

169 :悪魔の遺伝子 785:05/03/05 13:49:52 ID:???
「貴方!!マリンの顔を見てちょうだい!!」
「ん〜?何だ〜?マリンの顔になんか付いてるのか〜・・・ってなんじゃ
こりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その時父親は何処かの刑事ドラマの主人公の断末魔の叫びの様な大声を上げ、
そのまま母親と共にマリンに顔を近付けたのだ。
「おおおおおおおおお前何だその二つの傷はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「え?いや・・・その・・・、まあ色々あって・・・。」
「色々って何だよぉぉぉぉ!!」
両親は真面目に取り乱していた。それだけに二人がどれだけマリンを大切に
思っていたのかがよく感じられた。そして両親はすぐさまマリンの両手を掴んで
何処かへ引っ張って行こうとしていたのだ。
「マリン!!ちょっと来なさい!!」
「きゃあ!!父さんに母さん!!いきなり何処に連れて行くの!!?」
「そんなの決まっているじゃないか!!整形外科だよ整形外科!!」
「整形外科に行って貴女のその二つの傷を治してもらうのよ!!」
二人はそのままマリンを引っ張った、しかしマリンは慌てて抵抗していたのだ。
「いいよいいよもう別にそんな事しなくても良いよ!!」
「何で!!?そんな傷が二つもあったらみっともないでしょ!?」
マリンは父親の顔を指差した。
「みっともないって・・・、ならお父さんにも私と同じ様に顔に大きな傷があるけど
これはどうなの!?」
「俺は良いんだよ!!」
「何で!?どうしてお父さんは良くて私はダメなの!?」
マリンは真面目に傷を消すのを嫌がっていた。彼女は何だかんだ言って顔の二つの
傷を気に入っていたのだ。さらに彼女はその傷をある種のトレードマーク及び
ステータスとしても見ていたのだが・・・、両親は困った顔をしてマリンに顔を近付けた。
「どうしたもこうしたも無い!!俺は男だがお前は女の子だ!!男である俺の傷は
“漢の勲章”だが、女の子であるお前の傷は正直アレだぞ!!」
「そう!!アレよ!!」
「アレって何よぉぉぉぉ!!!」

170 :悪魔の遺伝子 786:05/03/05 13:58:38 ID:???
バイス家三馬鹿親子のコントにもはやルナリス等三人や、他の工員は入るスキも無く、
唖然と口を開けたまま事の次第を見守る事しか出来なかった。と、その時だった。
ここにきてやっとマリンの両親がルナリス等の存在に気付いたのだ。
「おや?君達は?マリンのお友達かな?」
「え?あ・・・ハイ・・・。」
マリンの両親に尋ねられたルナリス等であったが、先程までの唖然がまだ続いており、
返事が出来なかった。が、それに気付いたマリンが変わって3人の紹介を始めたのだ。
「紹介するよ。こちらがルナリスちゃん。そしてこっちのメガネの二人がビルト君と
ミレイナさん。」
「だからちゃん付けするなよ。しかも私だけ・・・。」
やはりルナリスは例による突込みを行っていたが、マリンの両親が目の前にいると
言う事もあり、彼女の頭を小突くのはやめた。
「そうか・・・、マリン・・・。お前は旅の中で良い友達を持ったのだな・・・。」
「ま・・・まあ色々大変な事もあったけどな・・・。」
父親は微笑みつつ彼女にそう言っていたが、今度は母親がマリンの耳に口を近づけ、
小声で言っていた。
「ねえ・・・新しい友達が出来たのは良いけど・・・、何で彼氏がいないの?あちらの
メガネの二人はまあカップルであると言う事は想像に難くないから除外するとして、
あちらの長い黒髪のお嬢さん・・・っては!!マリンちゃんダメ!!
レ○はダメよ!!お母さんが許しませんよ!!」
「ちょっと母さん何変な想像してるの!?」
またもマリンと母親のコントが始まってしまい、ルナリス等は呆然と事の次第を
見守る事しか出来なかった。

171 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:06:15 ID:???
【第四章】

(追って来たか、これは重畳。然るべき決戦の舞台に招待してくれようぞ)
 グスタフのコクピット内で腕組みするジンザ。…レバーを握る必要はなかった。コント
ロールパネル上には「自動操縦」の文字がくっきりと浮かんでいる。しかしながらパネル
の下方、各種端末の接続口には何やら得体の知れぬ小さな機械が差し込まれているではな
いか。恐らくこれが、自動操縦のみならずこのゾイドの暴走状態を演出するものに違いな
い(同じものはゴジュラスにも取り付けられているのだろう。先程のペイント弾での狙撃
はそれで説明がつく)。
 石を、岩を、亀裂を踏み越え着々と小山を登板していくグスタフ。その度揺れるコクピ
ット内。だがジンザは寧ろ笑みを浮かべつつ、目標地点への到達を心待ちにしていた。

 竜の主人の、何ともひどい顰めっ面(しかめっつら)。原因が自らにあることを十分に
理解しているだけに、額の皺も年不相応に多く、険しい。…刻印未発動、且つ小柄で成長
しきっていない肉体の持ち主だ。相棒の速度を上げようにも、その身に掛かる負担が大き
すぎる。急激な重力は彼の身体をグイグイと座席に押し込む上に、レバーを握る両腕も震
えっ放しと来た。本来、少年が斯様な超高速ゾイドに乗り込むこと事態、相当な無理があ
る。現在、時速二百キロに到達するか否か。
「ま、参ったな。スピード、上がらない…」
 上がるわけがないし、上げさせてくれるわけもない。相棒たる深紅の竜が主人の身の安
全を最優先したら、こういう結果になるのは自明のこと。
 不意に、全方位スクリーンの右方に開いたウインドウ。女教師を呼び出して、刻印を発
動してもらうようこの竜は促している。
「…いや、いい。いいよ、刻印は。くやし…じゃなくて!
 いつかは自分一人の力で君を乗りこなさなけりゃいけないんだし」
 この意地が如何につまらないものか、認識するのをギルは敢えて避けた。
 小山を登る坂道は、決して長くはない。それに、目標は全方位スクリーンの真正面に映
っているではないか。とにかく、追い付けば後は捕まえるだけ。
 ところがその目標が、逸れた。…左方に、大きく。正面方向にはまだまだ小山が続いて
いるが、左方の先には…!
「崖!? 馬鹿、ちょっと待てってば、自殺する気かよ!」

172 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:10:13 ID:???
 ギルの怒鳴り声が届いた様子は微塵も伺えない。そしてそのまま…。
 視界から、グスタフ、消失。
 数秒も経ずして轟いた、爆破音は盛大だ。…深紅の竜が崖の目前に到達するまでに、上
がってきた灰色の爆煙。
 砂塵を巻き上げその場に到着すると、崖下を、じっと覗き込む竜。…思いのほか低くは
ないが、このギルの相棒なら十分飛び降りることは可能だろう。スクリーン上で視認した
グスタフとゴジュラスは、パンの切れ端程も大きいのだ。
 深紅の竜、跳躍。両の翼を雄々しく広げて。そして、頭から急降下。見る間に崖下の地
面が近付いていくが、ギルは意を決してレバーを引き絞る。
 地表すれすれで、首が、胸が、持ち上がる。舞い上がる砂塵は飛沫のごとく。そして、
滑空。徐々に速度を落とし、ようやく翼と鶏冠を畳んだ深紅の竜。地に足を付けた。
「って、何であんなに砂が…うわっ!?」
 両足が、ずぶずぶと沈んでいく。ギルは慌ててレバーを強く下げる。相棒はさっき畳ん
だ翼、鶏冠を早々に広げざるを得ない。結局相棒は、爪先ギリギリで浮かんだまま。
「…砂だらけだ。この前の嵐で貯まったんだな。まともに足を降ろしたら一気に沈んで生
き埋めだよ」
 ともかく、辺りを見渡す主従。
 落下したゾイド達は、所々パーツが吹っ飛んだ状態で横たわっていた。しかも少しづつ、
この砂溜まりに沈んでいこうとしているではないか。とにかく砂中から少しでも引っ張り
出し、容態の確認だ。まずはゴジュラス。…頭部キャノピーは砕け散り、瞳の輝きは既に
失われている。パイロットが誰も搭乗していなかったのがもっけの幸いか。深紅の竜は腹
部に頬を寄せ、ゾイドコアの心音を確かめてみる。…全方位スクリーン上に展開されたウ
インドウは僅かながら「反応あり」を告げた。胸を撫で下ろすギル。続いてグスタフ。…
こちらも、半壊状態ながらゾイドコアの反応を確認。
「でも、どうすればこいつらを救出できるんだろう。
 それに、パイロット達も見当たらないし。参ったな…」

173 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:12:47 ID:???
 途方に暮れる。そして向こう見ずな行動を振り返り、やがて湧いてきた後悔の念。始め
から守備隊やら警察部隊やらに任せた方が良かったのではないか。今ここに立ち竦むのは、
己の力量を顧みずに出しゃばった愚か者に過ぎない。…ギルの決意が大きく揺らいだ、そ
の時。
 乾いた破裂音、二つ。後方だ!
 慌てて振り向こうとした深紅の竜。だがこの優しきゾイドを襲った異変。
 突如、巨体をよじらせる。そして、昏倒。懸命になって、背中を砂に擦り付けている。
コクピット内のギルはいきなり天地が逆転し、この状態で頭を振り回されるのだから溜ま
らない。
「どうしたんだよブレイカー!? 状態、見せて…な、何だこれ!?」
 全方位スクリーン・左方に開かれたウインドウ。蒼炎を吐き出す六本の鶏冠に異物が混
入、完全に塞がれたようだ。
「い、異物って一体…?」
「一種のトリモチだ。速乾性抜群の、な」
 今度は右方にウインドウ、展開。ブレイカーの通信回線に割り込んできたのは、黒頭巾
に黒装束の男。…ギルは直感した。この人のこと、何処かで見掛けた筈だ。
「ジェノブレイカーは『陸を泳ぐ魚』。全身のエラで磁気呼吸し、その余力で地面を泳ぐ
ように駆ける。此奴が備えるマグネッサーシステムの正体だ。
 ならばエラを塞げば良い。マグネッサーシステムは使用不能、窒息死も夢ではない」
 突如向こうで、砂が飛沫となって舞い上がる。深紅の竜目掛けて、接近!
「我は水の軍団・暗殺ゾイド部隊所属、人呼んで『ゲリラ殺しのジンザ』。これなる相棒
は毒蠍機・ガイサックの『ブズゥ』。
 ギルガメス、そして魔装竜ジェノブレイカーよ、惑星Ziの平和のために、その首頂戴
つかまつる」
 砂飛沫に紛れて、襲い掛かる鋼鉄のハサミ。我らがブレイカーが認識するよりも前に、
左足首をガッチリ掴む。
 その勢いで身を晒したゾイドの姿は悪魔の手先か。一対のハサミ・四対の足でこの砂上
を軽快に走ってみせる。振り上げた尻尾の先端に見えるは銃器か毒針か。鈍く土色に輝く
このゾイドの、唯一目立った赤い頭部キャノピーが明滅する不気味。そして何より、体格
は眼前の竜の半分もないのにも拘らず、発せられる威圧感の強大なること!

174 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:14:18 ID:???
 この土色の蠍を中心に、すり鉢状と化していく砂溜まり。巨大なる蟻地獄はまさしく地
獄への入り口。
「このまま砂中に引き摺り込んでくれようぞ。うぬが相棒は全身のエラを砂で塞がれ、も
がき苦しんで死ぬのだ! やれ、ブズゥ!」
 ブズゥと呼ばれたガイサックは巧みなハサミ捌きで竜の左足首を手繰り寄せる。振り解
こうと懸命に足をばたつかせ、或いはブズゥ目掛けてひたすら蹴り込むブレイカー。だが
地上なら簡単に弾かれるであろうこの鋼の蠍、四対の足で自在に砂上を滑る。深紅の竜の
しなやかな蹴りが、悉く、空振り。砂上での運動能力の差は歴然だ。それどころか、この
不気味な蠍に着々とすり鉢の奥底へと引き摺り込まれていく始末。
「ブレイカー、うつ伏せになるんだ!」
 若い主人の指示に無我夢中でその身を横転させると、両の翼を広げ、両腕の爪を砂上に
突き立てる。簡単に埋もれていくが、それでも諦めることなく何度も、何度も。溺れゆく
のを食い止めるがごとき、竜の懸命な足掻き。
「苦しみながら死ぬのはいやか? ならば楽に殺してやる」
 振り上げられた蠍の尻尾。狙うは竜の足首か。横目で睨んだ竜と主人は声を失う。風切
る音を立てて振り降ろされる毒針。だが瞬間、身をよじらせる竜。辛うじて毒針を避けて
凌ぐが、土色の蠍は何らためらうことなく再度、再々度と尻尾を振り上げる。そしていつ
しか生じ始めた悪循環。…尻尾を避ける度にバランスを崩す深紅の竜。民家二軒分程もあ
る巨体が、一軒半、そして一軒程にまで、砂中に埋もれていく。
 竜が胸元にまで引き摺り込まれた時。…胸部ハッチの外で叩き付ける砂の音を耳にした
ギル。力の限りレバーを握り締めていたその肩が、いつしか小刻みに震える。
「ご…め…」
 項垂れる少年。腿に、溢れる涙。
「ブレイ…カー、巻き込んじゃって…」
 胸元に首を傾けた相棒、甘く鳴いて応えようとした、その時。
(ギル! ギル! 聞こえて!?)
(え、エステル先生!?)
 慌てて顔を上げる。…全方位スクリーンに映像はない。スピーカーから音声が聞こえる
わけでもない。だが彼の耳元で、囁くのは確かにあの、美貌の女教師だ。

175 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:18:28 ID:???
 ビークルを駆る彼女。ギル達が進んだ坂道に差し掛かったところ。コントロールパネル
上のモニターは映像が乱れ、通信不可能の様子。代わりに彼女は額の刻印を発動させてい
る。不肖の生徒に向けて念じる、これがテレパシーというものか。左手でハンドルを握り、
右手の人差し指を刻印に押し当てる。
(良かった…。今、どこにいるの?)
(が、崖下の、砂溜まり…です。み、水の軍団が…!)
 カッと両目を見開いたエステル。
(わかったわ。私が行くまで根性見せなさい。…瞳を閉じて)
 言われるがままのギル。するとどうしたことか、瞼の奥には女教師の姿が鮮明に映って
いるではないか。
(『例え、その行く先が』)
(『いばらの道であっても、私は、戦う!』)
 叫んだギルの額にも、輝く刻印。
 不完全な「刻印」を宿したZi人の少年・ギルガメスは、古代ゾイド人・エステルの
「詠唱」によって力を解放される。「刻印の力」を備えたギルは、魔装竜ブレイカーと限
り無くシンクロ(同調)できるようになるのだ!
 途端の咳き込み。シンクロの副作用は、鶏冠を塞がれ又砂中に引き摺り込まれた相棒の
呼吸困難な状態をもギルにトレースする。だが寧ろこれは好都合。主人が少しでもダメー
ジを肩代わりしなければ、この窮地、脱出はできまい。
(せ、先生! 砂の中に、ブレイカーごと埋もれてしまいそうなんです!)
 テレパシー越しに狼狽える生徒。だがエステルは至って冷静だ。
(足場、あるでしょう?)
(えっ、足場!? そんなもの…)
(誰が貴方達を引き摺り込んでるの?)
(…!)
(「虎穴に入らずんば虎児を得ず」。さあ!)
 意を決した主従。
 テレパシーのやり取りはジンザの通信ではわからない。静かになった標的に、勝利を確
信する黒頭巾の刺客。
「ようやく観念したようだな。そろそろ終わりに…」
「勝手に、終わらせるなぁっ!」

176 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:20:03 ID:???
 羽ばたきが地獄の斜面に叩き付けられた瞬間、天を衝く程高く、舞い上がる砂。ゾイド
二匹の周囲を塔のごとく覆う。
「何と、マグネッサーの反発力で砂を吹き飛ばしているのか。この期に及んで余力を蓄え
ておいたとは…!」
「知るかよそんなこと!」
 レバーを叩き込んだギルの形相、鬼のごとし。応じるブレイカー、身軽になった上半身
を折り曲げ、足首にまとわりついた蠍に掴み掛かる。しかし敵も去るもの、毒針付きの尻
尾を伸ばし、狙うは一発逆転のカウンター。
 だが毒針は、すんでのところで凌がれた。…翻された、深紅の竜の翼は巨大なる盾と化
す。そして、返す刀で。
 翼の一振り。弾き飛ばされる、土色の蠍。その間にも立ち上がった深紅の竜。翼の裏側
から双剣、展開。
「今だ! エックス、ブレイカー!」
 両の翼で袈裟掛け、袈裟掛けの二段斬り。…よろめく、蠍。四対の左足に走る亀裂。
 深紅の竜、砂上で体勢を崩しながらも、蠍目掛けて跳躍。そして、敵を踏み台にしての
再度の跳躍は飛翔と形容してもおかしくはなかった。
 砂中の地獄から、脱出。さっき吹き飛ばした砂の塔が、滝つぼのようにすり鉢の中へと
叩き付けられていく。…今度は逆に、砂中に埋もれていく土色の蠍。
 一方深紅の竜は、背後を尻目にする余裕もないまま、塞がれた鶏冠の先端を両の翼で懸
命に払う。…多少、トリモチが剥がれてきたようだ。呼吸が楽になっていくのをギルも肌
で感じる。
 ギルが、竜がどうにか振り向いた時、吹き飛ばした砂はほぼ完全にすり鉢の中へと戻っ
ていた。
 別れた明暗。だが崖上にエステルがビークルを駆って到着した時、不肖の生徒は呆然と
なってすり鉢の奥底を見つめていたのである。まるで自らが敗者にでもなったかのように。

 トリモチが若干剥がれた状態で、辛うじて砂面ギリギリを浮かぶ深紅の竜は、じっと小
首を傾げていた。視線の先が自らの胸元にあるのは言うまでもない。魔装竜ジェノブレイ
カーの名で恐れられたこのゾイドが、気遣い、囁くようにそっと鳴く。

177 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:21:47 ID:???
 若き主人の魂は、大きく揺さぶられたまま収まる気配を見せない。…相棒と共に死の淵
を彷徨った彼らは、僅かなチャンスを捉え、生還を果たした。だがそれは、地獄へと誘う
彼奴らを生け贄に差し出したがために成就できたこと。
「僕は、殺した。…ブレイカーに、『殺し』、させた。
 折角『ジェノ』の称号、捨てさせたのに僕は…」
 腹の底から絞り出すような声を聞くに及んで、相棒は何度も横に首を振る。この竜とて、
意味のない殺戮などまっぴら御免だ。だからこそ主人には、共に折角生き存えたことを大
事にして欲しいのだが、哀しいかな言葉を持たぬ身ではそこまで伝え切れない。それが何
とも、もどかしい。
 崖上で様子を見つめていた美貌の女教師。だが何気ない視線が、不意に厳しくなる瞬間。
目前の地勢が見せる変化。…砂が舞う、すり鉢の奥底!
 主従も我に返り、身構え、レバーを握る。…だが相棒はともかく、主人の方は数秒後、
再び声を失うことになった。
 泡のごとく、砂が隆起して現われたのは土色の蠍。…「ブズゥ」と命名されたガイサッ
クだ。但しさっきまでギル達を翻弄した軽快な動きはない。一対のハサミを使い、もがき
にもがいてようやく砂上に脱出した格好。多少、バランスを崩しでもしたら再び地の底へ
と引き戻されてしまうに違いない。
「おのれ、チーム・ギルガメスよ…」
 パイロット・ジンザの嗄れた声は呪詛にも似た。
 汗ばむ、ギルの掌。真っ白に消し飛んだ脳裏。対処しようにも判断する術を失ったまま
硬直した、その時。
「ギル、行きましょう」
 言い放つ、美貌の女教師。
「え、エステル先生!?」
「ほら、さっさと上がってきなさい」
 不肖の生徒の動揺を、まるで感じ取ってなどいないかのごとき平然たる調子。
 予想だにしなかった女教師の言葉に、引きつるギルの口元。
「な…何、言ってるんですか? 先生、彼奴、見殺しにするんですか?」
「説明してる暇はないわ。早く上がって」
 何故エステルが質問に答えないのか、その真意を理解する余裕は今のギルにはない。

178 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:24:31 ID:???
「…見損なったよ先生!」
「ギル!?」
「人殺し、するためにゾイドに乗ってるわけじゃない。
 ブレイカーも意味のない殺戮は嫌だってこと、理解しろと教えたのは先生じゃないか!」
「ギル、待ちなさい!」
 女教師の制止も聞かず、手綱のごとく引き絞ったレバー。ふわり、砂上を行く深紅の竜。
向かわせたその先は、すり鉢の奥底。
 降り立った、ブズゥと呼ばれたガイサックの目前に。
 深紅の竜は少々ためらっているようだ。…だが今一度小首を傾げると、仕方ないと諦め
気味な表情を見せつつも、右の翼の裏側から双剣を展開、そっとブズゥの前に差し出して
みせる。
「…何の真似だ」
 訝しむ、蠍の主人。
「ジンザ…さん? 掴まって下さい。僕は、殺すためにゾイドに乗ってるわけじゃ…」
「ふざけるな貴様!」
 黒頭巾の、唯一晒す瞳が怒りに満ち満ちたかと思いきや。透かさずレバーを力の限り、
下方へ押し込む。
 土色の蠍、跳躍。渾身の力で両のハサミを砂面に叩き付けたのだ。
 ガッチリと、双剣にまとわりつく。
 ただならぬ雰囲気に、ようやく引いたギルの血の気。ブレイカーも事態の急変に直感し
たのか、コクピット内に警告のブザーを鳴らし始める。だが肝心の主人は…硬直。急変そ
れ自体を理解し切れぬまま目を見開くばかり。
「我は人殺しをするためにゾイドに乗っているのだ!
 うぬ一人を殺めるだけで、この星はずっと平和になる。そのためなら、我は喜んで命を
捨てる!」
 慌てて翼を揺さぶるブレイカー。だが土色の蠍のハサミはガッチリと双剣を掴んで離さ
ない。
 コントロールパネル上の、ガラスで覆われた部分を叩き割ったジンザ。ガラスの中に隠
されたスイッチが押されると共に、パネル上のモニターが激しく明滅を始める。そして!
「惑星Ziの、平和のためにィィィィ!」
 蠍の本体から迸った青白い閃光。…爆発、四散。

179 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:26:51 ID:???
 爆風は砂面にクレーターを作った。…民家二軒分程の。そう形容できるのは格好の比較
対象がダメージを免れたからだ。
 崖上のビークル。…長尺の対ゾイドライフルを伸ばしていた。銃口から流れる硝煙。
 エステルの、荒い息遣い。不意の、そして最悪の事態は、彼女の素早い判断でどうにか
回避されたのである。
 だが彼女の務めはこれで終わりではなかった。息の乱れを直す時間も惜しみ、深紅の竜
が浮かぶ崖下へとビークルを飛ばす。そして、その胸元へ。
「…ハッチを開けなさい」
 形相凄まじい女教師。ブレイカーは項垂れ、懇願するかのようだが、しかし。
「さっさと開ける」
 息が乱れてでも尚凛とした、彼女の声にこの深紅の竜も従わざるを得ない。怖ず怖ずと、
ハッチを開けてみせる。
 コクピット内では顔面蒼白のまま固まった少年が、独り。
 飛び移る、エステル。そしてためらいもせず振り上げた右の掌。
 乾いた音は、辺り一帯を谺した。
 切っ掛けは響きか、痛みか。いずれにしろようやく我に返ったギル。
「…いい加減に、してよね?」
 言いつつゴーグルを外し、睨み付ける女教師。あの鋭い蒼き瞳も去ることながら、唇の
震えの激しいこと。
「何故…何故こんなことに…」
 女教師の視線を外すこともできぬまま、口走るギルの、これが精一杯の悔恨の弁。
「命を大切にする貴方の気持ちは、正しい。…でもね、やり方は最低だった。
 貴方は自分の都合を押し売りしただけ。それでは相手を追い詰めるに決まってる」
「そ、そんな馬鹿なこと!」
「馬鹿よね。理解できないわよね。…馬鹿の顛末」
 クレーターを指差す彼女。
 物証が示す説得力はギルに納得を強いた。しかしながら、その力の甚大なこと! ギル
は依然、戸惑いを隠せぬまま。只、あの時彼女の言葉に黙って従っていれば、避けられた
展開なもしれない。

180 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:29:09 ID:???
「もう少し、私を、この子を信頼して。無益な争い、傷付け合うこと。避けたいしさせた
くない気持ちは同じだから。…あと、ね」
 言いつつ親指で後ろを指差す。…ハッチの外ではギルの相棒が、心配そうに首を傾け、
覗き込んでいた。
「この子に、危険な目に遭わせたことを謝りなさい」
 若き主人と相棒の視線が、一つに重なり合う。
「ごめん、ブレイカー、ごめんなさい、先生…」
 顔をくしゃくしゃにした少年の瞳には涙が溢れていた。きっと、これが涸れない限り彼
が同じ失敗を繰り返すことはあるまい。

 小山目掛けて守備隊のレッドホーンが突き進んでいる。
 その様子を更に高い山の頂上で見つめていたのは緑色のローブに顎鬚を蓄えた男。彼の
位置からは先程の激戦の様子も良く見えていた。
「ジンザよ、安らかに眠りたまえ。貴殿の死は無駄ではありません。
 イブよ、どうかジンザの魂を…」
 ローブの男が祈りを捧げていたその時、彼の懐で高鳴ったブザー音。掌に収まる程の端
末。映し出されたのはあの、異相の男だ。
「…まさかジンザが敗れるとはな」
 彼も又、相当に悔しそうな表情を見せた。
「後一歩のところでございました。刻印の力、確かに備わっているようです」
「リゼリアでトライアウトをした以上、あの少年ならまず間違いなくゾイドウォリアーに
なるだろう」
 両者の、沈黙。重苦しい雰囲気が流れる。だがそれも数秒のことに過ぎない。

181 :魔装竜外伝第三話 ◆.X9.4WzziA :05/03/05 15:31:10 ID:???
「次は私めにお任せあれ。…この影狐・シャドーフォックスのグレゴルに。
 彼奴らを必ずや、初陣にて叩き潰して御覧にいれます」
「うむ、頼んだぞグレゴル。必ずやチーム・ギルガメスを潰せ! 惑星Ziの!」
「平和のために!」
 ヘリック正教の十字架を鷲掴みに構える。…四方の先端から伸びる刃!
 チーム・ギルガメスに安息の日は遠い…。
                                    (つづく)

【次回予告】

「ギルガメスが迎えたデビュー戦は、忘れられないこと尽くめになるのかも知れない。
 気をつけろ、ギル! 狐が放つ、狩りの秘策に酔い痴れるな!
 次回、魔装竜外伝第四話『初陣! チーム・ギルガメス』 ギルガメス、覚悟!」

魔装竜外伝第三話の書き込みレス番号は以下の通りです。
117-126(第一章) 133-141(第二章) 149-158(第三章) 171-181(第四章)
魔装竜外伝まとめサイトはこちら ttp://masouryu.hp.infoseek.co.jp/

182 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/05 18:47:13 ID:???
 その時、唐突に声が聞こえた。背筋が寒くなるような、不快感を伴う声。
「お嬢さ〜〜ん、何をしてらっしゃるのかなァそんな人たちと?」
「――この声は…!」
 コツ、コツと階段を一歩ずつ降りる音。そして、一つ上の踊り場にヴォルフガングが現
れた。長い革製のコートは漆黒に染められ、彼がただのファッションでそれを着ているの
ではないことが一目でわかる。見た感じ、銃弾すら通るかどうか怪しい。
 彼が持つ武器は、70cmほどの長さを持つショットガンだ。口径の大きさから見ても、弾
は間違いなく散弾であろうことが窺える。
 数秒で観察を終えると、リニアはオリバーに耳打ちした。
「…ヤツが、暫定議長の弟か?」
「そうらしい。議長の顔は見たこと無いから、似てるかどうかは解らないが…」
 耳ざとく、レティシアが会話に入ってくる。
「あら、そっくりよ。違いと言えば、いつも口元がニヤニヤしてるか不機嫌そうかという
違いだけでしょうね」
 ヴォルフガングが銃身で手摺を叩いた。甲高い金属音が鳴り響き、彼が苛立っているこ
とは一目瞭然だ。口元が笑っていても、目は全く笑っていない。
「お・じょ・う・さ・ん。僕はねェ、急にできた仕事を片付けなくちゃならないんです。
お分かり? 子供の『大脱走』ごっこに付き合ってる暇はありません」
「あーら、わたしにはあなたの都合なんて ま っ た く 関 係 な く て よ?
私は『彼』に賭けたの。城に幽閉された姫を助け出してくれる、白馬の騎士としてね」
 レティシアの口調はあからさまに相手を煽っている。ヴォルフガングの手がショットガ
ンのポンプを引き、銃口が彼女に向けられた。
「兄さんや僕たちの情報を、そうそう漏らす訳にはいかない。もしあなたが逃げるのなら、
僕はあなたを殺すことになりますヨ……それでもいいんですカ?」
 距離にして約5m。それだけの距離しか離れていない銃口にも、彼女は臆しない。
「あらら〜、いいのかしら、私を撃っちゃっても? 多分この登場の早さから察するに、
あなたは父の許可を取ってないわよねぇ――『私を殺しても良い』という許可を」
 ヴォルフガングの顔から笑みが消えた。ショットガンを握る手が震えだし、汗がたれて
くる。レティシアは更に高圧的な態度で、続ける。

183 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/05 18:51:43 ID:???
「もしこの行動が父の意思にそぐわなかったら、あなたはどんな処分を受けるのかしらね
ぇ……謹慎? 拷問? それとも…“解雇”かしら?」
 いっそう手の震えがひどくなり、もはやヴォルフガングの目は一秒間に5回ほど瞬きを
している。誰の目にも、動揺しているのがありありとわかった。
「すぐにでも、父の所へ飛んでいって許可を取ることね。ついでに父への伝言も伝えてく
れる? ――『あなたの娘は、自由を探しに行きます』ってね」
 ここでとうとうヴォルフガングはキレたらしい。ショットガンの安全装置を入れ、おも
むろに銃身を腰に装着すると、疾風の如き勢いでオリバーたちに襲い掛かってくる。
「殺す許可は受けてないが――『生かしたまま捕まえる』なら、兄さんは怒らないッ!!」
 たったの二歩で詰められる距離。が、ヴォルフガングの手がレティシアを掴もうとした
瞬間、彼の身体は固い階段に叩きつけられていた。
 彼は、飛び掛った自分がリニアの蹴りによって迎撃されたのだということを理解するま
でに数秒を要した。その間オリバーたちも、呆気に取られて彼女の方を見る。
「…何やってる、さっさと行け!」
 エルフリーデがはじかれたようにオリバーとレティシアの腕をつかみ、階下へと引っ張
って行こうとする。彼女の勢いに引きずられながらも、オリバーは振り向いて叫んだ。
「師匠! あとで追いついてきてくれよッ!!」
 ヴォルフガングが立ち上がるまでの、一瞬の時間。その間に彼らは言葉を交わし、そし
て笑いあった。
「ああ、お前は自分とその子たちの心配をしておけ!」
「逃ィぃぃぃがすかあァァァァッ!!!」
 ナイフを抜き放ち、再びオリバーたちを追おうとするヴォルフガング。その前に、リニ
アが立ちはだかる。
 彼女は武器を持っていない。相手は並の軍人では相手にならないほどの訓練を積んだ強
者だ。そんな状況にもかかわらず、リニアの顔には恐怖など一辺もない。
 ――オリバーが無事でいた。その事実が、彼女に力を与えてくれる。
「私はな、2年前に何もできなかった自分を悔やんだ。だから、そう――強くなったのさ」

184 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/05 18:54:44 ID:???

「格納庫はこっちよ」
 脱兎の勢いで階段を駆け降り、オリバーたちは30階ほどまで降りてきた。リニアにあ
の屈強な男を任せていくことに一抹の不安こそあったものの、彼女の表情は「大丈夫」
と言っていた。何の勝算もなしに危険な戦いをするほど、彼女は馬鹿な女ではない。
「ここから、貨物運搬用の格納庫直通エレベータが降りてるの。…さ、乗っちゃって」
 ゾイドも乗って通るエレベータである。いささか人間が乗るには広すぎて、居心地が
良くない。しかし、そんな些末事を気にかけていられる状況でもない。
 エレベータが止まり、その扉が開いた時、オリバーは目を疑った。どうにもおかしい。
――まだ彼らが何もしていないのに、すでに広大な地下格納庫は大パニックに陥ってい
るではないか。
「何か…こうも俺たちに都合のいい騒動が続くと、運命が俺に味方してるような気がす
るんだけどねぇ〜」
「馬鹿いってないで。あなたのゾイドはどれ?」
 数拍の間、動き回るゾイドを見回すオリバー。そして、見つけた。
「…いた、俺のイクス!」
 この大混乱のさなか、駆け出した3人を止める者など居はしない。その「混乱」の原
因が何であるかも知らず、オリバーは愛機のラダーを引き降ろす。
「えぇーっと……コックピットに3人乗りか? ちょっと狭いけど我慢してよね(こん
なオイシイ体験はそうできるモンじゃないな!)」
 2人の少女を身体にしがみつかせ、―本当は予備のラダーを降ろしても良かった―オ
リバーが愛機のコックピットに滑り込む。長らく座っていなかったシートから、相棒の
喜びが伝わってくる。
「そーかそーか、おまえも寂しかったんだな? ――さぁ、ちょっとは連中に、拉致の
仕返しをしていこうか!」
 両手に華、もはや彼のテンションは最高潮である。能力を発動せずとも、愛機の心が
変化する波を感じとれる。

185 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/05 19:00:55 ID:???
 光学迷彩で忍者の如く姿を消し、夜の闇に紛れながら、イクスは地上に躍り出た。
「施設内の東側で、誰かがドンパチやってるみたいだな……師匠の仲間かな?」
 機首を向け、カメラに映る画像を拡大してみれば、敷地内の一角に黒山の人だかり―
―ならぬ、黒山のゾイドだかりができている。どうやらここの防衛部隊らしく、戦って
いるのは単機のようだが、防衛ゾイドが玩具のように吹き飛ばされている所を見ると、
その機体は相当強力なゾイドらしかった。ただ、姿までは見えない。

 そして、密集したゾイドの群れを突然貫く閃光。青白く、目に痛いほど眩いこの光は
間違いなく荷電粒子砲だ。
「ジェノクラス…いや、もっと強力な……?」
 オリバーは何故か、不思議な胸騒ぎを覚えていた。その閃光に惹かれるように、イク
スは一歩ずつ戦場に近付いていく。
 閃光が、途切れた。
 視界に焼きついた光がチカチカと明滅し、瞬きを繰り返すオリバー。やがて、残像が
融けるように消え去った時、彼は信じられないものを見た。
 ――地を踏みしめる8本の肢、一対の巨大な鋏。装甲の奥に隠された凶眼が赤く輝く。
「……まさか」

 それは、そこに居るはずの無い存在。
 そこに在ってはならない存在。
 なぜなら――
「深緑の……デス…スティンガー!?」

 ――なぜなら『彼』はすでに、この世に居ないからだ。

「ま…マキシミンっ!! マキシだろ!?答えてくれ! 俺の声が聞こえるか!?」
 モニター画面に、粗い画像で相手の顔が映る。
 間違えようも無い親友、マキシミン=ブラッドベインがそこにいた。
 そして彼はオリバーの顔とその機体を確認すると、無機質な口調で言った。

「こちら“血塗られた剣(ブラッドベイン)”――目標を確認した。これより、抹殺する」

186 :Full metal president 28:05/03/06 06:16:33 ID:???
10本の光爪が夜空を彩る。
ペルグリエントの矢継早な連続攻撃を大きく間合いを取って躱すベルゼンラーヴェ。
逆襲とばかりにウェイブレイダーを発砲するも…
ペルグリエントのその素早い動きにより放たれる斬撃の前に膾切りにされてしまう。
だが次の瞬間ペルグリエントの姿は海に消え派手な水柱を上げている。
この辺が実戦経験の差と言う物だろうか?始めからそれは囮だったようだ。

「今の内に…万物の根…生きる物の礎となる物!その礎を示せ!
曇り無く揺るぎ無く乱れ無き真の素!万能成る真の骨をここに!ライン・クノッヘン!」
その声に呼ばれて十数本の巨大な骨が現れる。
ライン・クノッヘン(純粋なる骨)と呼ばれるそれ等を素早くある形に組み上げる。
かなりの深さまで蹴り落とされたらしく漸く姿を表すレドリックのペルグリエント。
その眼前に居るベルゼンラーヴェが手に持った物。
「偉大なる水竜の魂をここに!深海の恐怖を穿つ激流の槍斧!
キラーウェイブ(津波)ハルベルト…見参っ!!!」

「月の潮汐力の前に津波だと?おろかなっ!」
ペルグリエントから光の刃が迫る。しかしキラーウェイブハルベルトの一閃がそれを遮る。
光すら押し流す激流に多少の驚きを見せるレドリックだがさほど気に掛ける様子も無い。
当然その潮汐力で障壁を作っているペルグリエントには激流は届かないのだが…
何もキラーウェイブハルベルトその物が届かない訳では無いのである。
押し退けた激流に紛れて投擲された十字封剣八封輪が月のカーテンを切り裂き、
そこに銛のごとく投げ付けられたキラーウェイブハルベルトがペルグリエントを貫く。
「ぐおっ!?一々見せ業と本命を分けおって!何っ!?」
良く見ると…キラーウェイブハルベルトの柄がぐにゃりと曲って異様に伸びている。
その先には柄を両手に確り握ったベルゼンラーヴェの姿。
そしてさも当然の様に回転を始めると釣り針が釣竿に戻るかのように巻き取られる柄。
その動きに巻き込まれてベルゼンラーヴェのp周囲を振り回されるペルグリエント。
月下の夜業は何とも歪な戦闘を生み、悪夢のように当事者を狂わせる…。

187 :Full metal president 29:05/03/06 07:24:03 ID:???
そのテグスを巻くリールのように途中までキラーウェイブハルベルトの柄を巻き上げる。
それを見計らいファインは柄の長さを元に戻す。すると急激な逆回転が発生。
ペルグリエントの装甲を引き裂きながら元の長さに戻るキラーウェイブハルベルト。
「ぐぬう…。許さん…至高の存在となり得た私に恥を掻かせるなど!」
レドリックはもう充分月読の壺の影響を受けてトリップしているらしい…。
完備極まりない絶対的な力の誘い。所詮力の根源と距離を置けない存在には酷な物。
彼も大概の魔導士と同じくその魅力に取り憑かれている。だがしかし…
その依存度が尋常でない事はレドリックの言葉の節々やペルグリエントの異常で解る。

不意に海面に大穴が開く。これは空間に開いた亀裂。
それもエウレカ事件やトライアングルダラス時計塔浮上事件に、
発生した物より規模が大きくその中も深い。
明らかに複数の階層を撃ち抜いた様に裂け目が一直線に存在している。
ヘリックシティの機密レベル最高ランクの祭器書の一つ多層月牢祭典儀の内容と重なる。
博物館に後生大事に展示されていた石版に書いて有る物が実在したというオチ。
しかも最も嬉しくない方向性の状況である。

「全くも〜困ってしまいますねえ。とっくに境界線を超えて逝っちゃってるのなら…
そう言ってくれれば問題無いのですがねっ!!!」
早速穴埋めに周囲を崩すためのニュークリアインフェルノを投げ込む。
使用限界を以てやっと一番外側の裂け目まで穴を埋めたのだが既に遅かったようだ。

「月は満ちた…器は無い…だが!今はこれで充分であろう。」
レドリックの声だが妙なエコーが掛かりしゃべり方が少しおかしい。
「結局魔導機の侵食が第2段階まで達していましたか!しれならお命頂戴っ!」
キラーウェイブハルベルトを今度は確実に…コクピットに合せて突き出す。
しかしそれは別の存在に当たる。ファインやベルウッド等当事者が最も恐れていた者。
三つ首のルナフレアの骸。命を失って久しいその干涸らびた巨体に阻まれる。
それだけでは済まずキラーウェイブハルベルトをそのまま食べられてしまった。

188 :Full metal president 30:05/03/06 09:03:48 ID:???
「あ…してやられた様ですね。」
獲物を食べられてしまう…これは持ち出した力を奪われてしまうことである。
当然そのままの状態ではなくなるが純粋な力に還元される為にこの様になる。
「ミイラが…蘇生していく。」
ルナフレアのミイラは完全ではないが少なくとも動いたら壊れるような状態では無い。
しかしおかしな点も在り、本来最も重要そうな中央の頭部に力が流れていないのだ。
大体の理由は理解できる。
それは本来三つ存在した月の一つが消失してしまったからであろう…。

しかし蘇生が始まると周囲に小さな裂け目が多数発生して月の眷属を呼び寄せる。
月の象徴する物は獣。つまるところ…凶暴な獣の群を呼び出した事になる。
被害を被る事を避けていたファインだがこれで諦めが付いたのだろう…
可能な限りの最大戦力の投入を決意したようだ。

「システム…第一級術式戦闘レベルに移行!シールプロテクト解除。
エクセリオンドライブ起動及びダミーサークルジェネレーター起動!」
ダミーサークル(疑似魔法陣)を複数展開して周囲の敵対存在をロックする。
「空間跳躍砲…ブリンクレイ!」
その術式の完成と同時にロックされた存在の大抵が突然体内より発生した光に消える。
当然ルナフレアやペルグリエントはターゲットにしていない。
エネルギーを喰われるか効かないかなので意味が無いからだ。
雑魚を抹殺してペルグリエントに目標を定めて次の攻撃を仕掛ける。

ベルゼンラーヴェの全身の深緑と真紅の意匠に輝きが宿る。
すると機体の銀色に見える部分がが黒く染め上げられる。
闇に染まらない、闇より暗い黒。その機体に輝く幾つか存在する集光レンズ。
集光パネルの能力を無理矢理引き上げたそれは吸収術式を使用すれば…
理論上周囲十数kmの可視光線すら吸収する圧倒的な力を持つ欠陥品。
使用状況を間違えれば大爆発を起こし集めた力で周囲を汚染する程の物だ。
しかし今回はその限界限々まで光を吸収し始める…。

189 :悪魔の遺伝子 787:05/03/06 10:05:26 ID:???
それから数分後にやっとコントが終わったのだが、その後で両親が互いにマリンの
左右に付き、彼女の頭や肩を持った状態でルナリス等に自己紹介を始めた。
「自分はマリンの父のマイルです。特技は料理だから料理店の方の料理長兼店長
やってます。」
「私は母のサリカと言います。私は元々バイス家に嫁いで来た身なんですけど、
何か経営が上手いと言われてこちらのゾイド修理工場の社長業を担当してます。」
「あ・・・ハイ・・・。どうも・・・よろしくお願いします・・・。」
マリンの両親であるマイルとサリカは一見優しそうな両親であったが、マリンの
両親であるだけあってそれだけでは終わらない不思議な雰囲気や気を漂わせており、
ルナリスも思わず敬語を使っていた。

日が暮れて勤務時間が終了した後、マリン等は一度修理工場の空き格納庫にカンウ等を
停め、さらにその格納庫内で彼女等を迎えるお帰りなさいパーティーが催されていた。
それには他の工員達も参加し、マリンだけで無くルナリス等3人の歓迎も行われた。
「いや〜・・・。もうこのご時世色々大変でしょ〜・・・。」
「まあ色々あったしね・・・。」
皆は用意された料理を食べながら、マリン等の旅の話に聞き入ったりしていた。
そんな中、マイルはカンウの方を哀愁漂う顔で見上げていた。
「これがマオ祖母ちゃんが大戦時代に乗っていたゾイドか・・・。俺がガキの頃に
祖母ちゃんや他の皆から耳にタコが出来るほど聞かされたもんだよ・・・。
しかし行方不明になってたと思っていた物が今マリンと共にいる・・・。祖母ちゃんが
あと5年長く生きていてくれていればどんなに喜んだのだろうか・・・。」

一方、マリンはサリカの方に話しかけていた。
「ねえ母さん!お兄ちゃんはまだ帰って来てないの?」
「そうよ。連絡はちょくちょくくれるんだけどね、まだ帰ってくる様子は無いのよ・・・。
心配だわ〜・・・。」
と、その時ルナリスがマリンの肩をポンと叩いた。
「え!?お前兄がいたのか!?初めて聞いたぞ!!」
「だってそう言う話した事無かったもんね。そう言えば・・・。ちなみにお兄ちゃんは
料理修行旅に出てるのよ。」
するとルナリスはやや下に俯いたのだ。そして少し顔を赤めらせていた。

190 :悪魔の遺伝子 788:05/03/06 10:07:23 ID:???
「マリンのお兄さん・・・。きっとミライロさんの様な素敵な人に違いない・・・。」
「ご期待を裏切るようですまないけどお兄ちゃんは母さん似だから・・・。」
「・・・・・・・。」
まだミライロの事を忘れる事が出来なかったルナリスが見出した希望の光も、
マリンの一言によって空しく打ち砕かれた。

そうして様々な話題で盛り上がっていたパーティーも終わりに差し掛かった時、
突然マイルが立ち上がった。
「そうだ!マリンは今まで色々な所を旅していた様子だが・・・、どれ!この俺が
直接手合わせしてあれからどの位腕を上げたのか見てやろう!」
「えええええええええ!?」
その時マリンの絶叫が格納庫中に響き渡り、マリンは物凄い速度でマイルから身を
遠ざけたのだ。
「どうしたマリン?お前の実力を見たいだけなんだよ。」
「ちょちょちょちょちょっと待ってお父さん!!」
突如として取り乱しだしたマリンに対し、マイルはゆっくりと近寄った。
「だってお前、今までの旅で色々な腕を上げて来たのだろう?それを俺にも
少し見せてくれよ。」
「キャァァァァ嫌ぁぁぁぁぁ!!ルナリスちゃん助けてお願い!!
私殺されるぅぅぅぅ!!」
泣き出したマリンはそのままルナリスに泣きついた。が、しかし、ルナリスの例の
ちゃん付けするなの突っ込みが入る前にマイルがマリンの服の袖を掴み、そのまま
何処かへ引っ張っていったのだ。そして・・・
              「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
まるで天高く届くかの様なマリンの絶叫が周囲に響き渡り、皆は思わずビクッと震えた。
そしてルナリスはブルブル震えたままサリカに尋ねた。
「あの・・・、マリンのお父さんはお強いのですか・・・?」
「え?まあそこそこですよ。」
「・・・・・・・・・・・・。」

191 :悪魔の遺伝子 789:05/03/06 10:09:53 ID:???
ルナリスは絶句した。すると白めを向いて気絶してるマリンを抱えたマイルが
戻って来ていた。
「何だよ〜・・・。てっきり強くなってると思ったらまだまだじゃないか・・・。
明日も仕事が終わったら直々にご教授してやろうかな〜・・・。」
と、マイルはマリンをゆっくりと下に下ろすと、今度はルナリスの方を向いた。
「君もマリンのお友達ならば少しは出来るんだろ?どれ程の物かこの俺にも
見せてくれないか?」
「え!?いや!遠慮します!!遠慮します!!」
「そんな事言わないで!ほら!」
今度はルナリスまでマイルに連れて行かれてしまった。そして・・・
           「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
またも断末魔。そしてビルトとミレイナは明日は我が身と言った顔つきで抱き合い、
ブルブル震えていた。が、何故かこの二人がマイルに連れて行かれる事は無かったりする。

それから、ルナリス等3人もマリンの家に泊まる事になったのだが、マイルと
手合わせしたのが余程怖かったのか、マリンとルナリスは互いに抱き合い、全身を
ガクガクブルブルと振るわけながら泣き崩れていた。
「お前の親父さんすっげぇおっかねぇよぉぉぉぉ・・・。」
「普段はとっても優しいんだけどねぇぇぇ・・・、あれさえ無ければ
ウワアァァァァァン!!」
二人はなおも抱き合って泣き崩れていたが、その姿を見ていたビルトとミレイナも
開いた口がふさがらなかった。
「マリンさんのお父さん・・・、凄く強い人なんだね・・・。」
「だってあの二人があそこまで恐怖するなんてもう信じられない・・・。
いつもクールなルナリスさんまであんなに取り乱して・・・。」
流石にメイク無しの状態の二人は外見も内面も弱いのでマイルに連れて行かれる事は
無かったが、マリンとルナリスの泣き崩れ様に恐怖せざる得なかった。一方マイルはと
言うと、やはりマリンとルナリスをあそこまでさせたのが悪かったのか、その件で
サリカに叱られていた。

192 :悪魔の遺伝子 790:05/03/06 10:12:35 ID:???
「もう!貴方いくら何でもやりすぎじゃないの?マリンだけじゃなくせっかく
連れてきたお友達にまで迷惑させて!」
「いや・・・すまん・・・。本当にすまんよ・・・。だってマリンは旅先で色々やってた
だろうからさぞ強くなってたと思ってたんだが・・・。」
「だってじゃありません!早く二人に謝って来なさい!」
「は〜い・・・。」
サリカはマイルの頭を小突くが、マイルは彼女の言葉に大人しく従っていた。
流石の彼も奥さんには頭が上がらない様子である。

「すまん!本当にすまん!俺が悪かった・・・。なあ・・・だからもう泣きやんでおくれ・・・。」
「うわぁぁぁぁん!!もう嫌だぁぁぁぁぁぁ!!」
「帰ってきて早々これは嫌ぁぁぁぁ!!昔の!!昔の嫌な思い出を
思い出させないでぇぇぇぇ!!」
二人は相当怖い目に遭った様子であり、マイルが何度謝っても泣きやんではくれなかった。
「なあ頼むよ!ほら!ペロペロキャンディーあげるからさー!それでもダメなら
今度好きなオモチャ買ってやるから・・・。」
「私達を子供扱いしないでウワァァァァァァン!!」
「子供扱いしないでって・・・、二人ともまだ子供じゃないか!二十歳になって成人式
済ませるまで子供なんだよ!」
何か今度は険悪ムードになりつつあったが、その空気を変えたのは、たまたまビルトと
ミレイナが気分転換に見ていたテレビ放送の中のコマーシャルであった。
『オラップ島バトルグランプリ!!出場者大募集!!凄腕Ziファイターの挑戦を
待っているぞ!!』
「ええ!!?オラップ島バトルグランプリ!!?」
その瞬間、マリンとルナリスは突如として泣きやみ、互いに声を重ねてそう叫んでいた。
「そうか・・・、もうオラップ島バトルグランプリの季節なんだな〜・・・。」
「おいおい何かいきなり元気になってるぞ・・・。」
マイルは眉を細めていたが、マリンとルナリスの関心は既にその
“オラップ島バトルグランプリ”と言う所に移っていた。

193 :三虎伝説 エピソード12 トゥルース・ファイター:05/03/06 22:09:40 ID:???
大会初日。第一回戦を控えていたロンは、静かにオープニングセレモニーの様子を眺めて
いた。…ギャラリーの声が聞こえる。彼の中の何かを呼び覚ます声だ。そして、その呼び声
に答えるように何かが熱く鼓動する。それは次第にテンポを上げ、次第に彼にとって最も心
地良い響きへと移り変わっていく…。今までの彼には無かった感覚だ。そう、二ヶ月前までの彼には…。

――二ヶ月前。真実の全てを知ったロンの取った行動は、グラントやフランカの行動と同じ
だった。近くにいてカルロを支える。同じチームを組んだものとして、そして友として。それは
彼の嫌がっていたホワイトナイツ入隊を意味するものであったが、最早どうでも良いことだっ
た。では、その望みを打ち明けた後GALESの2人のように社内トーナメント出場の話を持ち出
されたかと言えば、実はそうでは無い。
「それは…無理だ。」
この一言が返事だった。しかも、それは兄弟2人に対する物ではなく、ロンだけに宛てられた
返事だった。当然、彼も彼の弟も反論した。何故ロンだけが駄目なのか?と。それに対する
ZOITEC社長とホワイトナイツ隊長の答えはこうだった。


194 :三虎伝説 エピソード12 トゥルース・ファイター:05/03/06 22:11:37 ID:???
「君は戦いという物の捉えかたを根本から間違えている。戦いとは己だけの物ではない。」
どういう意味かは2人には理解できなかった。今までバトルはDALに二人乗りというスタイル
で戦ってきて、辛い時だって三人が自分の事のように気を掛け、支えあってやってきた。も
う、二年間もチームプレイという物をやって来て、そのコンビネーションから白影とまで呼ば
れた自分のバトルが何故、己だけの物等と言われなければならないのか…。ロンは激怒し
た。そんな事を言われる筋合いは無い。もし、万が一そんな戦い方をしているとしても、自
分には実力がある。カルロをアシストするという役割を果たすには十分だ、と。それを聞いた
二人はロンにチャンスを与える事にした。そのチャンスとは、もしDALに1人乗りという同じ条
件でホワイトナイツのファイターに勝つ事が出来たら、そのままワイツ(カルロ)のチームに
入る事を許可するというものだ。…当然ロンは乗った。絶対に勝てるという自信があったか
らだ。―だが、結果は惨敗。装甲から駆動系から完膚なきまでに破壊し尽くされた。その戦
いが終わり、見るも無残な姿となった愛機に彼は気付かされた。己だけの戦いとは自身が
求める無の…戦いの世界に浸るために勝敗さえも忘れて自分のビジョンだけで操縦桿を握
り、相棒に無理な動きを要求してしまうこと…。そんな無茶苦茶な戦い方をしていれば、当然
勝てるはず等無い。おそらく今まで様々な戦いに勝つ事が出来、尚且つ白影と呼ばれるほど
の見事な動きができたのは弟、ファイの制御とロンの無茶な操縦が上手く兼ね合っていた事、
戦いの場がゾイドバトルという競技の中で目標らしき目標が常に定まっていた事、この二点が
揃っていたからであろう。

195 :三虎伝説 エピソード12 トゥルース・ファイター:05/03/06 22:13:05 ID:???
しかし、予想外のことが常に起きるであろうこれからの戦いにそれは
通用しない。競技と違ってゲームオーバーは一度限りだ。何か問題が起きれば全体の致命傷
になりかねない。だから、ロンはそのチームに入れる事は出来ない。二人が言いたかったのは
そういう事だった。そして、もしこのチャンスバトルでそれに気付く事が出来なかったらロンをZO
ITECのチームその物に入る事を禁じようと考えていたのだ。しかし、ロンは済んでの所で気付く
事が出来た。それはその時彼が相棒に対して流した涙が、何よりの証拠だった。彼はその後、
ホワイトナイツの特殊訓練の一環としてレイナーという女教官による被指導専門チームに入れ
られた。そのチームに所属していたのは教官と自分だけで殆んどタイマンで指導を受けること
になり、その訓練は彼自身の限界を越えるほどハードなものとなった。しかし、彼は耐えた。新
しい、いや、生まれ変わった相棒、レオストライカーがいつも側に居てくれたからだ。そして、数
週間前のホワイトナイツ内で行われた社内トーナメント参加資格を掛けた選別大会でみごと優
勝し、その資格を手にした。他の三人のように推薦という形では無く、己を再確認し、鍛え、その
結果…ようするに自らの手で仲間を支えるための道を切り開いたのだ。

第一回戦出場選手入場のアナウンスが流れた。ついに自分の真価を試す時が来たのだ。己だ
けのために激しく燃え上がっていた火柱の姿は捨てた。仲間のため、相棒のため、そして自分の
ための戦い方を知り、冷静な真の戦士の姿となったロン・ラインは今、新たな戦場へと出発する。


196 :悪魔の遺伝子 791:05/03/07 13:48:46 ID:???
“オラップ島バトルグランプリ”
数年に一度開催されるゾイドバトルの祭典であり、オラップ島なる島そのものを
バトルフィールドとして行われる事からその名が付いた。この大会はもはや80年以上の
歴史を誇り、数々の伝説を産んだ。この大会が通常のバトルと異なる点はスタジアムで
行われるワケでは無く、オラップ島そのものが巨大なバトルフィールドとして行われる点
と、そこを舞台にしたバトルロイヤル+障害物競走と言う点である。もちろん島中には
様々な仕掛けや障害が用意されており、出場者にはバトル以外にも様々な要素の実力を
試されるのである。もはやここまで来るとゾイドバトル版オリンピックと呼んでも
過言では無いだろう。もちろんこの大会は単に強いだけでは優勝にはおぼつかない。
それ故にこの大会に優勝した者には最大の名誉が与えられ、莫大な償金と同時に
国民栄誉賞と殿堂入りも約束されるのである。

出場最低条件
使用ゾイドは最大10機まで。ユニゾン可能なゾイドの場合は分離状態の数で数える。
ただし直接戦闘に参加しないゾイドは数には含めない。
後は通常のバトルルールに準ずる。

                   ゾイドバトル協会発行書「各大会概論」より

最初は二人の変わり様に眉を細めていたマイルであったが、次第に彼もその話題に
引き込まれ、昔を思い出す様な顔をしていた。
「オラップ島バトルグランプリか〜・・・。俺も若い時は出場したもんだ・・・。」
「え?お父さんそれ本当?」
「ああ!だが俺だけじゃない。俺の親父とお袋も出場経験あるんだぜ!」
「マインお祖父ちゃんやミンお祖母ちゃんも?」
マイルの言葉にマリンはあんぐりと口を開けた。そして彼女はさらに言った。
「あ!そう言えばマインお祖父ちゃんとミンお祖母ちゃんは今どうしてるんだろう・・・。」
「ああ!親父とお袋なら宝くじが当たったとか言って、旅行に出かけちまったよ。」
「あ・・・そう・・・。」
マイルの即答にその話題は直ぐに終了させられたが、マリンとルナリスは共に
立ち上がり叫んだのだ。

197 :悪魔の遺伝子 792:05/03/07 13:50:59 ID:???
「ようし!オラップ島バトルグランプリに出場だー!!」
二人は本当に意気込んでいた。実を言うと二人はまだその大会に出場した事が
無かったのだ。が、しかしやる気になっていた二人の肩をマイルがポンと叩いた。
「出場するのは良いが、大会開催までまだ1ヶ月近くあるぞ。それまでの1ヶ月間は
どうするつもりだね?」
「そ・・・それは・・・。」
二人は黙り込んだが、マイルは己の胸をボンと叩いた。
「こんな時こそ俺の出番だ!大会が開催するまでの約1ヶ月!俺がお前達を
鍛えてやろうじゃないか!」
「えええ!?」
マイルの爆弾発言にマリンとルナリスは思わず泣き出しそうな顔になった。
が、マイルは笑っていた。
「大丈夫だって!俺だってちゃんとお前達二人の実力に合わせて手加減するから!
それにな、ハッキリ言ってお前達の実力ではあの大会を勝ち上がるのは辛いぞ!
だからこそ俺がお前達を鍛えてやろうと言うんだ!と言ってもまあ俺も料理店の仕事が
あるからな〜・・・。」
マイルは腕を組んで悩み始めた。が、マリンとルナリスはその姿を見てほっと胸を
なで下ろしていた。何故ならマイルの仕事によって修行の件が無しになれば二人は
あの恐怖を再び見なくて済むのである。が・・・、
「よしそうだ!夜だ!夜にお前達への修行をつけてやろう!お前達も朝昼は
ゾイドバトルとかこなして、夜に修行!これで良いだろ!?」
「え・・・え・・・そ・・・その・・・。」
「良いだろ!!!!?」
「は・・・はい・・・。」
その時二人に問い詰めるマイルの気迫に押され、二人は否応なくOKされてしまった。

それから数時間後に皆は寝る事になったのだが、すっかり寝てしまったビルトと
ミレイナと違ってマリンとルナリスはなかなか寝付けなかった。
オラップ島バトルグランプリ開催までの約1ヶ月のスケジュールに耐えられる自信が
とても無かったのだ。その為、二人はその恐怖を少しでも紛らわす為、パジャマ姿で
ベランダに出て、月を眺めながら雑談をしていた。

198 :悪魔の遺伝子 793:05/03/07 13:52:57 ID:???
「それにしてもお前も何だかんだ言ってちょっとした社長令嬢なんだな〜・・・。」
「ルナリスちゃん程じゃないよ・・・。だってウチのそれは中小企業だもん。」
「だからちゃん付けするなよ。」
例によってルナリスがマリンの頭を小突いた。が、その時の小突き方は何処か優しさが
感じられた。
「それにしても・・・お前の親父さんある意味凄いな・・・。よくあんな人と生活出来た
もんだお前は・・・。」
「そんな事無いよ。確かにあの通り格闘技とか料理とかになると厳しくなるけど・・・、
普段はとっても優しい人なんだよお父さんは・・・。」
「それ・・・本気で言っているのか?」
ルナリスはマリンを半信半疑のまなざし睨み付けていたが、マリンの目は
真剣そのものであり、その後でルナリスは睨むのをやめた。
「まあ良いよ・・・。ならばお前の顔に免じて私もお前の親父さんを信じて見るよ・・・。
それにあの大会の経験者なら良いアドバイスも聞けるかもしれないしな!」
「でもやっぱりお父さんに修行つけてもらうのは正直怖い・・・。和尚さんより随分と
厳しいから・・・。」
「う・・・。」
二人の脳裏にマイルと手合わせした時のあの悪夢が蘇り、思わず青ざめながら
絶句していた。

199 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/10 18:37:08 ID:???
 リニアは襲い来るナイフから、身をかわし続けていた。
 反撃に転ずる必要はない。彼女にはヴォルフガングに致命傷を与え得る武器などないし、
一見して不利に見える形勢も全て彼女の計算どおりに進んでいる。
 レティシアの言葉でよほど精神をかき乱されたのか、ヴォルフガングは冷静さを失い、
直線的な軌道でナイフを突き出す。リニアにとって、その動きを予測する事はたやすい。
「どうした、どうしたよッ! 『強い』んだろうが――反撃してみろよ!!」
 狭い踊り場で立ち回る二人。リニアが袖につけたマイクに、何事か呟く。
「…x座標2446、y座標4817」
 ヴォルフガングの使うナイフは、刃渡りが30センチほどある長めのものだ。その刃は黒
く塗られ、闇の中でも光を反射しないような加工が施されている。暗殺に特化した武器だ。
 身をそらせたリニアの顔スレスレを黒い刃が薙ぎ、後ろでまとめた髪が二筋ほど飛ぶ。
「座標修正、x+1」
「何をさっきからブツブツと! 今更になって神にでも祈ってるのかァ!?」
 リニアはその言葉に答えず、ただ冷たい笑みを見せた。
 その時、ヴォルフガングの鍛えられた戦士としての感覚が危機を告げた。怒りに曇った
頭の中にあっても、とりあえず何をすべきかは解る。
「…撃て!」
 リニアが叫ぶのと、ヴォルフガングが後ろに飛び退くのはほぼ同時だった。

 ――次の瞬間、踊り場の壁が爆発し、一筋の細い閃光が一瞬前までヴォルフガングの居
た空間を貫く。光はそのまま向かいの壁に突き刺さり、そちらの壁面をも吹き飛ばす。
 ヴォルフガングは呆然とした。出力を抑え、ギリギリまで集束率を上げたビームだ。
だが、崩れ去った壁の穴から狙撃者の姿は見えない。おそらくはアウトレンジからの狙撃
――だが、この夜闇の中で? それも、下手をすれば味方を貫きかねないというのにか?
 瓦礫に足を取られる彼は、壁の大穴から風が吹き込んでくるのを感じて目を細めた。直
後、夜の市街が見えるはずの空間を黒い機体が覆う。――バーサークフューラー・シャド
ーエッジ。
「…今回の目的は、バカ弟子の救出だ。目的は果たした……そしてお前の、負けだ」

200 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/10 18:40:29 ID:???
 何もかもが理解の範疇を超えていた。この機体は、リニアが何をするともなく現れた。
丁度壁の吹き飛んだ『この位置』に。テレパシーでもなければ、説明が付かない。遠隔コ
ントロールによる操作では、これほど正確な位置を迅速に命令する事はできないからだ。
 機体のコックピットに飛び移り、リニアはヴォルフガングにとどめのビームを放とうと
する。が、地上で行われている戦闘のようすが目に入り、彼女は小さく舌打ちして機体を
地上へ向けた。
 もちろん、ここでヴォルフガングを殺していっても大した時間のロスにはならない。し
かし、戦場では『一瞬の』タイムロスが命取りとなる事もありうる。
 自己の目的と目の前の男の危険性を秤にかけ、彼女は機体を地上へと急降下させた。―
―もしこの時リニアが彼を撃っていたら、歴史は変わっただろう。
 しかし彼女の頭にあったのは、地上で強大な敵と対峙する『弟子』のことだけだった。

 強烈な鋏の一撃。攻撃を予期していなかったオリバーはその一撃をまともに受け、吹っ
飛ばされる。背後で二人の少女が悲鳴を上げる。
「な…どうして、なぜ! 何故、お前が俺を攻撃し――」
 そこまで言った時、彼は気付いた。マキシミンの機体の後ろに立つ、禍々しい姿に。そ
の機体は、紅く煌く刀身を持つ剣を握っている。
「…円卓の騎士……!! マキシに何をしやがったッ!?」
 答える声はなく、目の前で友の機体がレールガンの砲口を開く。
「――危ないっ!」
 エルフリーデがそう叫ばなければ、高速の弾丸はオリバーの機体を彼もろともスクラッ
プに変えていただろう。呆然とする意識の中、オリバーの腕は無意識に回避行動を取った。
 が、次の瞬間には4連装のバルカンが機体に浴びせられ、高速ゾイドの薄い装甲はいと
も簡単に風穴を開けられる。オリバーは飛び退ってその連射を回避する。
 ――どうして…?
 オレーグは確かに、マキシミンが死んだと言った。それが見間違いだったことは目の前
の光景から明らかだが、見る限り彼はオリバーを判別できていない。
「マインドコントロール……操られてる、ってのか…?」

201 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/10 18:44:58 ID:???
 デススティンガーの圧倒的な火力のまえには、いかにイクスといえど回避にも限界があ
る。かといって、イクスの武装でデススティンガーにダメージを与えうるものはスタンブ
レードのみ――しかし、格闘戦に持ち込めばそれもまた不利だ。
 そもそも、彼の頭からは、本気で親友を殺す可能性など始めから排除されている。
「俺が解らないのか! 目を覚ませよ、マキシミン!!」
 モニター越しに見る友の顔は以前と変わらないように見えて、その表情は見たことのな
いものだった。完全な『無表情』である。
 眉一つ動かすことなく、パートナーだった相手に苛烈な砲撃を浴びせるマキシミン。そ
の脳裏には、戦っている相手が自分にとってどんな存在であったかも、自分がどんな人間
であったかも浮かばない。
 ただそこにある意思は、『目標』を命令どおりに破壊する事だけだ。
「…“血塗られし剣”LEVEL:2発動、ウェポンリジェネレイター展開開始」
 緑色のデススティンガー。その機体が紅い閃光を放ち、積み上げられたゾイドの残骸が
引き寄せられるようにその巨躯を覆っていく。
「あの光、まさか…!?」
 残骸の塊は次第に形を整え、無駄なパーツが振り落とされる。その中から現れたのは、
先程までとはまるで違う新しい機体。装甲の隙間からはあらゆる方向に機銃が突き出し、
尾の先には荷電粒子砲を取り巻いて多重砲塔が装備されている。頭部装甲は刺々しい突起
と丸みを帯びた曲面体装甲の組み合わせで、まさにそれは未知の機体へと変貌していた。
<ハッ、ハァー! まさか『二段目』に目覚めてるとはなぁ――アーサーはどこまでこの
ガキに肩入れするつもりなんだかな>
 若い声だ。誠実さとは無縁の口調と、アーサーの名がオリバーを刺激する。
「てめぇ! マキシミンを味方に引き入れるために、オールスターで地下まで押しかけた
ってのか!?」
<Exactry(そのとおり). …ま、そいつよか俺の方が強いけどな>
 紅い剣を持ったデスザウラーは、Ziの夜空を彩る双月を見上げる。そのパイロットは円
卓の騎士が一翼、ラインハルトである。
<血塗られし剣、なんてなァ。色とか、俺の“レーヴァテイン”とかぶるんだが>

202 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/10 18:47:37 ID:???
 その剣の名を、オリバーは心の隅にメモした。しっかりと刻み付けている余裕はない。
先ほどの変形からマキシミンの砲撃はますます激烈なものとなり、回避に専念してすらじ
りじりと被弾するような乱射だったからだ。
 弾切れ、エネルギー切れを待っている暇もない。オリバーは後ろに、生かすべき人を乗
せている。――だが、どうする? 2対1でまともに戦っては勝ち目もないし、能力を使っ
たところで相手がコレでは助けになるかわからない。
 と、策も尽きかけたその時――。
「ほぉー、剣なのに“傷つける杖”とは…笑わせるネーミングセンスだ」
 夜空の闇を貫き、荷電粒子の奔流が真上からマキシミンの機体を直撃する。強靭なシー
ルドにそのダメージは阻まれるが、圧倒的なエネルギー量に機体がきしむ。
 9枚の光刃を翼のように煌かせ、バーサークフューラー・シャドーエッジが戦場に舞い
降りた。
<はぁーん…こりゃまた驚きだな、“ルシファー”君の妹か>
「兄はもう死んだ。それに、私が誰の妹であろうと貴様には関係ないことだ! ……オリ
バー、お前は彼女達を逃がすことを最優先に考えろ。こいつらの相手は私がする」
「でも、師匠!」
 オリバーは嫌だった。二度までも、強敵をリニア一人に任せて逃げ出すなど――だが、
彼女は厳しい口調で言い放つ。
「解らないか、足手まといはいらないと言ってるんだ!」
 コックピットの二人を気にしながら戦うオリバーなど、確かに足手まといでしかない。
しかし、いくらリニアでもあの二人を相手にして勝てるものだろうか。
 彼はもう一度だけ、と心に誓い、彼女にその場を任せた。去り際に一言叫ぶ。
「師匠! そのデススティンガーは――そのパイロットは殺さないでくれ! 操られてる
けど、俺の親友なんだ!」
 リニアは苦い顔をした。滅茶苦茶な注文だ。ルガールから戦時中の話を聞いていた彼女
にとって、友の裏切りが特別な事とは思えない。それも、彼女には『親友』などいなかっ
たのだから当然といえば当然だが。
 それでも彼女は、ふと「オリバーが私を裏切ったらどんな心境か」と想像し、考えを改
めた。

203 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/10 18:50:32 ID:???
「…わかった。さっさと行け」
 イクスの姿がかき消すように消え、同時に背後からマキシミンが打ちかかってくる。彼
女はめまぐるしく機体を捌き、ビームブレードが十字型の光跡を残して空を斬る。
 その動きで敵の鋏が一つと頭部装甲の一部、左側の肢が2本吹き飛んだ。
<ふわぁー…やるじゃねえの、何者?>
 今の彼女はジークフリートの時とは違う。オリバーともう一度、ゾイドを降りて話し合
いたいという『目的』、あるいは『目標』が、その意思を強固な物としているのだ。
 迷いを捨てた彼女にとっては、『LEVEL2』に到達したマキシミンでさえ敵となりえない。
 荷電粒子砲を撃とうと展開した尾はチャージを始める前に斬り飛ばされ、ビームブレー
ドが輝くたびに肢や装甲が宙を舞う。マキシミンの機体が戦闘不能となるまでに、2分は
かからなかった。
「その甘さが、オリバーの命取りにならなければいいが……さあ、次はお前の番だ!」
 リニアが睨みつけると、ラインハルトはわざとらしく怯える仕草をする。
<おーおー怖いねぇ。でも、俺はさっきのヤツと闘りたいんだ。あんたに興味はないし―
―そもそも、もう『時間』だ。“ヤツら”が来る>
 紅い刃が一閃し、地面が白く輝く。次の瞬間には爆炎が壁となり、彼女と敵の間を隔て
ている。
 嫌々ながらも肢をもがれて動けないマキシミンの機体を拾い上げると、ラインハルトは
白いイクスの姿を思い描いて、密やかに笑った。
 ――俺に良く似たヤツだった。
 『二段階目』の能力を使う、自分とよく似た性格の少年。この時彼は、戦うべき相手を
見つけたのである。

「退き方が…焦っているようだった…?」
 敵の引き際に疑問が浮かぶ。それに、“ヤツら”とは何なのか?
 守備隊の増援が出てくる。リニアが逃げ道を探した時、『答え』はやってきた。
「――あれは……!?」
 低いビルの隙間を縫うようにして、低空を『何か』が飛んでくる。その身体は黄色がか
って見える半透明で、細長い異形の体躯はゆうに全長40m以上ある。
 頭部には角とも牙ともつかぬ突起が三角形に並び、中心には不気味な光を湛えた単眼が
火の手が上がる政府本部を睨みすえていた。

204 :Full metal president 31:05/03/11 07:11:35 ID:???
「さて…今回は独り身なので最大出力は半分が限度。
しかし他の方に迷惑は掛からないので…”祖先の仮面”を使わせて貰いましょう!」
ファインは徐ろに鼻より上から頭部の半分ぐらいまでを覆うマスクを取り出す。
そしてそれを被ると…何かの術式が発動する。
「鳥獣人鬼!ナイト・フリューゲル!闇夜に誘われ今参上!」
元から演技地味た行為が好きなので乗りと思われがちだが、被った”祖先の仮面”
これは仮面内にそれ以前の使用者の知識と記憶が受け継がれている存在。
被れば性格等の変異を及ぼし使い込んでいると仮面と本人の性格が調整される。
仮面は使用者に、使用者は仮面にと言う具合だ。と言う事で全く変化は無い。
見た目が気違いに見えるだけだという…。

「おの〜れい!出たかナイト・フリューゲル!!!」
レドリックの方もノリノリだ…相当ハイになっているらしく紳士的な口調等は影も無い。
しかしルナフレアやレドリック側にはベルゼンラーヴェの姿は闇に掻き消えて見えない。
集光レンズ12機の吸光能力を尋常では無い。姿どころか気配まで喪失している。
周囲には闇と圧縮されつつある術行使の為の力の流れの収束。
居場所が解っても距離が性格に掴めないと言う状況。
ペルグリエントのレーダーはレーダー波が帰って来ない為何も映らず、
視認もできない為距離感を掴めない上に大体の方向しか掴めない。
それならばと広範囲にエネルギー弾を散蒔くが…当然当たる筈が無い。

閉じかけの空間の裂け目の頂点に降り立つベルゼンラーヴェ。
その手に集めた光を更に収束させた光弾をペルグリエントに向けて放つ。
それをルナフレアが受け止め喰らう。そしてルナフレアはベルゼンラーヴェを見付ける。
猛然と突撃するルナフレア。だがそれをベルゼンラーヴェが避けると…
そこは別の空間。そしてその巨大な尻を力一杯蹴りとばし素早く裂け目を閉じてしまう。
「…これで直ぐにはルナフレアを帰って来ない。ケリを着けようか?レドリック。」
ベルゼンラーヴェが右手のマニュピレーターの人差し指を動かして挑発する。
見える様になってやっと見た光景がそれでは挑発に乗る以外手は無い。
今は距離をおいていたら光弾で一方的に攻められるだけなのだから。

205 :悪魔の遺伝子 794:05/03/11 22:02:08 ID:???
第19章:オラップ島バトルグランプリ修行編

大会開催まで後約1ヶ月。それまでの間、マリン等はフィスリルタウンにあるマリンの
実家を拠点とし、朝昼はその周辺でゾイドバトルや償金稼ぎ業をこなしつつ、
夜は彼女の父親であるマイルから大会に備えた特訓を受ける事になった。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「どうしたどうしたぁ!!お前達の力はこんなもんかぁ!?」
「まだまだぁぁぁぁ!!」
バイス家の敷地の内の一つに、マリンの曾祖母であるマオが料理店を経営する片手間に
作ったマオ流格闘術の為の道場があるのだが、そこでマリンとルナリスはマイルから
直接の手ほどきを受けていた。ちなみにゾイドに乗らず何故生身での特訓を行っている
のかと言うと、元々二人は己の技をゾイド戦に応用すると言うバトルスタイルを
取っている為、生身で強くなる=ゾイド戦にも強くなる事にも繋がると言った事を
意味していたのだ。しかし、流石の二人もさらに格上の実力を持つマイルの厳しい
特訓にたじたじだった。

そんな厳しい修行の毎日が続くある日の事、久しぶりに休みが取れたルナリスは
ハーデスと共に近くの浜辺まで散歩に出ていた。
「は〜・・・それにしても・・・、マリンの親父さんの特訓は本当に厳しいな〜・・・。
おかげで体中が痛いよ・・・。」
ルナリスのため息は絶えず、その体中にバンソーコーや包帯が巻かれており、
その痛いたしい姿は特訓の厳しさを容易に想像させ、それにはハーデスも思わず
心配して声をかけていたりしていた。
「ありがとうハーデス・・・、だが私はこれを途中でやめるワケには行かないんだ・・・。」
例え特訓が厳しかろうと、ルナリスは大会が始まるまでの間、絶対に全うする決意を
固めていた。が、やはりハーデスはそんな彼女を心配せずにはいられなかった。
と、そんな時だった。

206 :悪魔の遺伝子 795:05/03/11 22:04:28 ID:???
「ん?」
ルナリスがある事に気付いた。浜辺に目をやるとカメ型のブロックスゾイドが
3機のブレードライガーに虐められているでは無いか。3機のブレードライガーは
前足の爪でそのカメ型のブロックスゾイドを何度も何度もじわじわ叩いていたのだ。
それには見ていられなくなったルナリスは彼等へ近寄った。
「こらこらそこのブレードライガー達!カメを虐めるのはやめなさい!」
「何だようるせえよ!!俺達の遊びの邪魔すんなよ!!」
「俺達を泣く子も黙るブレードガイズと知っての狼藉かウォラ!!」
「そんなの知らん!!」
「何だとこの野郎!!てめえもコイツみたいにされてぇかぁ!!」
ブレードガイズと名乗る3機のブレードライガーは有無を言わせずハーデスへ
飛び掛かってきた。その突撃は常識的な人間から見ればとてつもない速度で、
さらに彼等の三位一体のチームワークも相まって到底かわす事など不可能にも思える程の
強力なものだったが、マイルの特訓の成果がこんな形で現れたのか、ルナリスの目には
とてつもなくスローモーションに見えていた。それだけでは無い。何とスローモーション
に見えるブレードガイズに対し、彼女とハーデス自信はとてつもなく素早く動く事が
出来たのだ。それ故にハーデスはブレードガイズの突撃を難なくかわしていた。
「な!!何!?そんなバカな!!」
「ならばもう一度だ!!」
「嫌、もうお前等帰れよ!第一カメを虐めて得意がってる奴が泣く子も黙るとか
言うなよ。」
彼等はまたも突撃を行っていたが、今度のハーデスはその場から微動だにせず、
片腕一本でハエを叩く様に易々と叩き落としていた。
「ヒィ!!何だコイツはぁ!!」
「バケモンだぁぁぁぁ!!」
「怖いよママー!!」
「もうカメを虐めるなよぉ!!」
ブレードガイズの三人はさっきまでの強気とは打って変わって泣きながら逃げ出していた。
その後姿を見送りながらハーデスは手を振っていた。

207 :悪魔の遺伝子 796:05/03/11 22:10:09 ID:???
「さてもう大丈夫だな・・・。もうあんな奴らに虐められんなよ。じゃあもう行くぞ・・・。」
と、そう言ってルナリスがハーデスと共にその場から立ち去ろうとしていた時だった。
先程ブレードガイズに虐められていたカメ型のゾイドがゆっくりとハーデスに
近寄ってきたのだ。
『お待ちくださいそこのデスザウラーの人・・・。』
「ああ?何だよ私はもうさっさと行きたいのだが・・・ってうぉわ!!カメが
しゃべったぁ!!」
それには思わずルナリスの目は跳び出さんばかりの物になっており、ハーデスは
その場から飛び退いていた。なんと目の前にいたカメ型ゾイド自信がしゃべっていたのだ。
かと言って目の前のカメ型ゾイドに人が乗っている雰囲気は感じられず、やはりその
カメ自身がしゃべった事に変わりなかった。
「お・・・おい・・・お前まさか・・・しゃべれるのか・・・。」
『ハイ一応は・・・。』
「そ・・・そんなバカな・・・。確かにブロックスが変に知能を持って野生化すると言う
実例は腐る程あるが、人間の言葉をしゃべるなんて奴は初めてだ・・・。(まあしゃべる
ゾイドそのものは今日初めて見たワケでは無いのだが・・・。)」
確かに彼女は以前もしゃべるゾイドと言う物を見た事があった。が、しかしそれは
いわゆる人知を超えた存在であり、目の前にいる単なるブロックスなカメ型と一緒に
考えるのは間違いであると考えていたのだ。
「お・・・お前は何故しゃべれるのか?」
『まあこの生活長いですからね。自然と人間の言葉も覚えてしまったのですよ。』
「そ・・・そうか・・・、じゃあ私に用って何だ?」
『ハイ・・・まずその前に私の名前はストームタートルともうします。』
「ほう・・・、そんな強そうな名前のくせにあんな良い様に虐められたのは何でだよ・・・。
結構重武装っぽくて強いと思うのだが・・・。」
確かにその通りだった。ストームタートルと名乗るカメ型のブロックスゾイドは、
カノンダイバーを基本ベースとし、頭部がシェルカーンの物に交換され、背中の甲良の
上にはディアントラーのプラズマアンテナ、腹部にはレーザーストーム&
シザーストームのストームガトリングが2つずつ装備されており、
尾にはチェーンシザーとクレセントレーザー砲が装備され、見かけだけなら
結構強そうだったりする。

208 :悪魔の遺伝子 797:05/03/11 22:12:25 ID:???
『まあそれに関しては細かい事は考えないでください。』
「じゃあ用とやらを言って見ろよ。」
『ハイ・・・、先程は助けていただいてありがとうございます・・・。私としては是非とも
貴女にお礼をして差し上げたいのですが・・・。』
と、ハーデスは手を左右に振った。
「いらんいらんって!別にそんなのもらう為にやったワケじゃねーから!」
『いえ!そんな事ではこちらの気が済みません!何かさせてください!
しかし・・・、私には何が出来るのでしょうか・・・、地球のおとぎ話では若者に助けられた
カメが礼にとその若者を海底都市に連れていくと言うお話がありますが・・・、現実に
そんな物はありませんしね・・・。』
「いや、もう良いから!無理にしなくて良いから!んじゃ私は行くぞ!」
と、ハーデスがその場から立ち去ろうとした時、ストームタートルは彼女等を呼び止めた。
『お待ちください!!そうです!!今度貴女がピンチに陥った時!今度は
私が貴女を助けます!』
「ハア!?何だそりゃ・・・。」
ルナリスは呆れて眉を細めずにはいられなかった。が、ストームタートルは真面目に
やる気になっていたのだ。
『では私は一度海に帰らせてもらいますが・・・、貴女がピンチになった時私を
お呼びください!必ず貴女の力になって差し上げます!』
「ああもう勝手にしろ・・・。」

209 :Full metal president 32:05/03/12 03:21:25 ID:???
光源がベルゼンラーヴェの集光レンズのみと言う暗黒空間にペルグリエントが飛ぶ。
海の波がせせらぐ音すら大きく聞える大海原。闇の効果は恐るべき物だ。
ペルグリエントの光の刃が闇に新たな光源を作り出すも吸収術式と集光レンズが阻む。
産み出された光は直ぐさま集光レンズに吸収される。
「おのれ!光源が発生する物は全て吸収か!味な真似をっ!」
とは言え光源を吸収するだけでそれが根幹になければ関係無い。
当たり前の様にバルカンやら留弾がベルゼンラーヴェに向かって降り注ぐ。

海面を滑るようにそれを躱すベルゼンラーヴェ。どうやら演技云々はともかく、
行動パターンには本人が持っていない行動が紛れている為不規則極まりない動き。
何処でどう受け継がれたかは知らないが祖先の仮面に統合された一つの存在。
ナイト・フリューゲルの力という事だ。突発的な行動に対しての幅が広がっている。
「ダブルファイア!」
遂に本領発揮と言った所か2挺の邪神を使い攻撃を始める。
光の矢が劫火の火球を貫きその火球は翼竜の姿を取り闇を舞う。
それだけでなくその光や炎の煌めきまでもが吸収されるため黒炎の翼竜と化したそれ。
「シャドウワイバーン!焼き払え!」
3体のシャドウワイバーンを発砲すると今度は吸収した光に細工を始める、
ファイン改めナイト・フュリューゲル。まるでB級ヒーロー物のダークヒーローだ。

必至にシャドウワイバーンの接触を避けベルゼンラーヴェに攻撃を加えるレドリック。
しかし操縦系の問題からか動作に誤差が出る他フィードバックに掛かるタイムラグも有る。
「…そろそろ頃合か。器の方は出来上がった。後は…
我がこの殻を棄て器の力となるだけだ。ならば邪魔はさせんっ!」
今度は闇の範囲外の上空より空間が裂けルナフレアがこの世界に戻ってくる。
しかし闇の結界はその中にルナフレアが侵入する事を拒み阻む。
彼は急がないと成らない。復活してしまった今第3の頭部である知恵の首が腐っている。
この現状を放って置くと知能が無くなってしまい暴れるだけの害獣になり下がる。
嘗て神とまで呼ばれた身である彼はそれを良しとしないのだ。
たとえそれが自身の消滅に繋がっていようとも…。

210 :Full metal president 33:05/03/12 04:32:23 ID:???
「っ!?予想以上にルナフレアの帰還が速い。そろそろ止めといきたい。
頑張ったようだがタイムアップだ。月読の壺毎消し飛べ!
グラビトンコフィン(重力の棺)!」
ナイト・フリューゲルの宣言と共にペルグリエント周辺に重力異常が発生する。
瞬間的に発生したそれにレドリックは対処を講じれなかったようだ。
「これで…止めだ!ギガフォトンクラスター発射!」
無駄と言うレベルを通り越し圧縮された閃光が発生したグラビトンコフィンに向かう。
疾走する光はベルゼンラーヴェ自身が生み出した闇を切り裂き迸る。

「おのれ…これで!これで私の野望は潰えるというのかっ!?否!
そんな事はあってはならないぃぃぃ!!!宇宙皇帝として君臨するまでぇぇぇ!
この様な目に遇っていられるかぁああっ〜〜!!!」
何かとんでもない事を口走りながら何とレドリックはグラビトンコフィンを打ち破る。
信じる力はエネルギー等と言うが…とんでもない所で科学的にそれを確認する。
まだまだ解明されていない事は多いらしくこれには流石にナイト・フリューゲルも焦る。
だがその時点ではまだ止めを刺すギガフォトンクラスターは到達していない。
しかしそれも直に到達するので止めは刺したように思われた。

しかし次の瞬間に彼等2人の目に映ったのはギガフォトンクラスターを受け、
爆散するルナフレアの巨体だった…。
「しまった!これでは…失敗だ!まだ知能がルナフレアに残っていたかっ!?」
1人で勝手に状況を口に出して確認している。だがしかし問題はそこではない。
「ぬうううううおおおおおおおおおおっ!?力が!力が!力が!
は〜〜っはっはっは!漲る!漲る!漲るぞおおおおお〜!」
結局彼等2人はルナフレアの予定通りに躍らされただけだったらしい…。
さらに困った事にレドリックの方は月の力を直接体内に摂取できる様になっている。
「うるわああああああああああ!!!記念すべき日だ!
遂に!遂に!遂に!遂に遂に遂にぃいいいい!!!私が一番になったのだあああ!」
全身を使って喜びを表現するレドリック。暑苦しい事この上無い。
しかし喜びに打震えて戦況を忘れている彼は的でしかない。

211 :Full metal president 34:05/03/12 06:45:40 ID:???
「ハイになったまま逝って貰うしかないようだな…ナイト・フリューゲルが秘呪が一つ!
空を穿つ閃光と深淵の闇が双撃…双天冥府ツインディザスター。」
周囲に展開していた光届かぬ闇が圧縮され星空がこの場に顔を出す。
赤き二つの月も一緒に…。
ベルゼンラーヴェからは周囲から奪うだけ奪った光が、
またサブマニュピレーターに集まり始める。しかし今回は圧縮や収束の方法が違う。
右手に光が不規則な軌道の光の流れで球体を編み左手には…
先程圧縮した闇が同じく不規則な軌道で球体を編み上げている。

「双天融合!ツインディザスター!シュートッ!!!」
その声と共に両手を胸部前に突き出し光球と闇球を一つに混ぜ合わせる。
眩しい程の閃光と目を疑う程の闇が一つに成り中途半端な光源の球体と成る。
それを素早く投げる。
その動きは必要最小限の動きで調子に乗って居るレドリックには見えていない。

それでも自動的にそう言った物に反応する能力を得たのだろうか?
複数の防御結界による阻止行動が行われるがツインディザスターの速度に及ばない。
結界群を擦り抜けてペルグリエントに直撃するツインディザスター。
その瞬間に球体はその結束を失い闇と光がお互いを喰い潰す対消失反応を起す。
巨大な竜巻状に2つになって分かれた光と闇の打つかり合いの最中にペルグリエント。
やがて対消失反応に引き摺られていく様にペルグリエントが崩壊を始める。
ツインディザスターは消滅しその場には…何も存在しない筈だった。

「ふぅうははははは!見よ!この力を!今こそ暁月に蘇るぞ!
知りもしなかった事が僥倖だったのだ!ルナフレアの存在を知らなかった事が!!!
私の無知が私自身をぉおおおお!ルナフレアと変えたのだ!うははははは!」
胴体上半身と頭部コクピット周りは完全に無事でそれ以外は消滅している。
確かにツインディザスターの効果は有ったのだ。
無知と欲望は超えてはならない一線を悠々と踏み越し人の道を踏み外す。
その先に残るのは知能を持った欲望の塊。存在の証明のみを求める獣と人の融合体…。

212 :悪魔の遺伝子 798:05/03/12 14:09:34 ID:???
それからストームタートルは海に帰って行ったが、そのどこかおとぎ話チックな先程の
事にルナリスも眉を細めつつその場方立ち去って行った。
「さてと・・・。もう何か変な物見ちまったせいで気疲れしちまったな・・・。もう帰るか・・・。」
ハーデスはフィスリルタウンへ向けて歩き始めた。が、その時突然彼女は背後に
殺気を感じたのだ。
「!!」
背後の殺気に反応したルナリスがハーデスを左に跳ばした時、先程までハーデスがいた
地点を極太の超高出力粒子線が貫いて行った。
「な!!何だいきなりこれは!!」
ルナリスが粒子線の射線上に目を向けた時、そこには背中に大型のブースターを
積んだホワイトカラーのデスザウラーの姿があったのだ。
「ほう・・・、この不意打ちの一撃すらかわすか・・・。報告データ以上の実力を
持っているようだな・・・。」
「な!!何だお前は!!って・・・それは!!」
ホワイトカラーデスザウラーの姿を良く見たルナリスは絶句した。その機体の各部に
描かれたエンブレムマークは紛れも無くズィーアームズ社の社印なのだ。
「お前まさかズィーアームズ社の新たな刺客か!!?」
ホワイトカラーデスザウラーは頭を左右に振った。
「半分当たってはいるが半分は外れだな。確かに私の所属するチーム“MEGA”は
ズィーアームズ社がスポンサーとなっているチームだが、我々MEGAはれっきとした
独立したチームなのだよ。」
「ならばそれが何故私を狙う・・・。」
「いやなに・・・、ズィーアームズ社からの頼みでね、以前三体の古代虎と協力して
ズィーアームズ社を翻弄した“ふたりはゾイキュア”つまりお前達が今度開催される
オラップ島バトルグランプリに出場する様だから事前に潰しといたら良いのでは?
とか言われたワケなのだよ・・・。つまりそれだけズィーアームズはお前達を脅威に感じて
いると言う事だ。まあ私としてはあんまり不本意では無かったのだがね・・・。」
「なら帰れよ。私はもう精神的に疲れてるんだ・・・。」
と、ハーデスが再び帰ろうとした時だった。ホワイトデスザウラーは一歩前に
踏み出したのだ。

213 :悪魔の遺伝子 799:05/03/12 14:12:24 ID:???
「いや!私は帰らん!何故なら荷電粒子砲をかわせるだけの力を持つお前と手合わせ
したくなった。こんなに戦うのが楽しみになるのは久しぶりだ!」
「ならば大会開催まで我慢しろよ!大会の時なら・・・。」
「それまで我慢できる物か!!ましてや大会でもお前と当たれるかすらも
疑問である故・・・。」
ホワイトデスザウラーは有無を言わせずにハーデスに大口径荷電粒子砲を吐き掛けた。
「こらこら無茶すんな!!」
ルナリスとハーデスは内心戸惑っていたが、何だかんだ言ってその荷電粒子砲を
回避出来ていたりする。まあこれもマイルから付けてもらった特訓の成果の一つなので
あろう。
「凄いぞお前は・・・。荷電粒子砲をかわすなどと・・・。」
「ったくうざってぇんだよ!!」
ハーデスはホワイトデスザウラーへ向けて駆け出した。やはりその突撃もマイルの
特訓の成果なのか以前よりスピードに磨きがかかっていた。
「(奴が荷電粒子砲の再発射の為にチャージを開始した時がチャンスだ。その隙を突いて
首元に手刀を叩き込めば・・・。)」
「流石だ・・・。ただ荷電粒子砲を回避するだけでは無く、スピードまでデスザウラーの
常識を遥かに凌駕している・・・。だが・・・このメガデスザウラーには勝てないよ・・・。」
ホワイトデスザウラー=メガデスザウラーのパイロットは不気味な笑みを浮かべ、
そして再び荷電粒子砲を発射したのだ。
「うお!!!」
ハーデスはとっさの横っ飛びで回避し、再度素早く突撃を開始した。
が、その直後にまたも荷電粒子砲が来たのだ。
「な!!!何だと!?そんな馬鹿な!!もうエネルギーチャージが
完了しただと!?発射されて一秒も経っていなかったというのに・・・。」
ルナリスは驚愕した。メガデスザウラーは荷電粒子砲を高速連射していたのだ。
単に荷電粒子砲を高速連射するならばハーデスも可能であるが、それはあくまで
出力を落として初めて可能になる事であり、目の前のメガデスザウラーは
大口径荷電粒子砲としての出力を維持したまま高速で連射していた。

214 :悪魔の遺伝子 800:05/03/12 14:17:08 ID:???
「連射式荷電粒子砲の代名詞と言われるジェノブレイカーですら次の発射までの時間に
数秒を要す・・・、だがコイツは発射直後にまた発射している・・・。これはどういう事だ?」
「フッフッフッフッ!!これこそメガデスザウラーの力なのだよ!!
このメガデスザウラーは荷電粒子ジェネレーターが二つ装備されている。つまり発射
しながらエネルギーチャージを交互に繰り返す事が可能なのだよ!!さあこの私の
メガデスザウラーを破って見せろ!!」
「ったく厄介な物作ってくれたもんだよ!!」
メガデスザウラーはまたも荷電粒子砲を絶え間無く撃ち続けるが、ハーデスは高速の
バク転で回避していた。が、それすらもメガデスザウラーは荷電粒子砲の横薙ぎ放射で
追撃してきたのだ。
「ホラホラどうしたんだ!?逃げるだけでは勝てないぞ!!」
「(確かにいつまでも避けきれる物では無いぞこれは・・・。しかしこちらも荷電粒子砲を
放とうとすれば確実にその前に奴の粒子砲を受ける・・・。)」
今でこそハーデスはメガデスザウラーの荷電粒子砲を回避出来ていたが、何時までも
回避出来るワケも無く、かと言って荷電粒子砲で反撃を行おうとしても結局奴の標的に
なると言うジレンマが生じ、反撃の糸口が掴めずにいた。が、その時だった。突然高速で
回転した円盤状の物体がメガデスザウラーに体当たりをかけていたのだ。
「何だこれは!?」
「ああ!!お前は!!」
その円盤状の物体はメガデスザウラーを一瞬怯ませた後、回転速度を緩めた。そして
そこに現れたのは何とストームタートルだったのだ。
『助けに来ましたよ!!後は私に任せて下さい!!』
「お・・・おいこら無茶すんな!!お前がアイツに勝てるワケ無いだろ!?」
ルナリスが慌てて呼び止めようとするも、ストームタートルはメガデスザウラーへ向けて
ストームガトリングを撃ちまくっていた。が、その攻撃が通用する事は無かった。
「何だお前は!!お前も死にたいか!!」
メガデスザウラーが荷電粒子砲を発射し、ストームタートルは四散した。
が、それは荷電粒子砲による物では無く、自ら全身をバラバラに分離させた様に見えた。
そしてバラバラになったストームタートルがハーデスへ目掛けて突っ込んできたのだ。

215 :Full metal president 35:05/03/13 05:29:11 ID:???
爆散して海面に墜落するルナフレア。しかしその頭部全てが満足そうな顔をして居る。
我が人生一片の悔い無しな表情だ。
そんなに満足いくのなら余計に困るナイト・フリューゲルとベルゼンラーヴェ。
「…あちゃ〜。こいつはヘビーな展開に成りそうだ。」
そう言ってペルグリエントに目を移すと再生というよりは再構成を始めている。
「またこれを見る羽目になるとは…だがこいつは少々グロテスク。
彼等に見せるべきものではない。今戦意を削がれたならば、
対抗意欲を奪われかねないからな。どうやらホバーカーゴには戻れそうもない。」
ベルゼンラーヴェはもう一度集光レンズを起動させ光を空間から吸い上げ始める…。

「こっこれは…。」
その頃偶々習慣としての早起きをして、
軽く汗を流したマクレガーは置き手紙を発見すしその内容にそれを握り潰す。
急いでパープルオーガに乗り込もうとするが、ジェスター等SPに取り押さえられる。
「放せ!急がないと!」
「駄目です!大統領。これは師匠より指示された命令です!
そして命令でなくとも我々SPは貴方を通しません!師匠が1人で出られたのは…
私達が足手まといだからです!勝手が違う相手に無謀に挑んでも結果は変わりません。
或る線を超えてしまった魔術師同士の戦闘は国すら容易に傾かせます。
徒党を組まれたら国は滅びるでしょう…その線を超えた者同士の間に割って入れる、
その様な存在は人ならざる者だけです。」
ジェスターは珍しく言葉を多く強く主張する。
「その通りです。大統領。幾らカタログスペックでベルゼンラーヴェを遙に上回ろうと…
パープルオーガに搭載できるAM装備程度では魔術師の乗る呪装ゾイドには敵いません。
その上相手はマスターと同じか最悪それ以上の相手。
と成れば万に一つも可能性は有りません!今は目的を優先してください。
第一足場が無い海原で機動力の大半を奪われたゴジュラスギガに何ができると?」
ミリアンに冷静にその行為を一刀両断され流石にマクレガーも反論できない。
マクレガーの目に映るのは突然海原のある一点がどす黒く染まる光景だけだった…。

216 :Full metal president 36:05/03/13 08:33:00 ID:???
元が似たような物がどうして此処まで変わるものだろうか?
ペルグリエントの姿は既にベルゼンラーヴェとは似ているが方向性は違う姿に変異し、
その背にはルナフレアの残る二つの頭部がにょきにょき生えて来て居る。
それだけでは無くその頭部の後方には常軌を逸した数の姿勢制御用アポジモーター。
それとメインスラスターらしきイオンブースターが羽毛を思わす形に連なる。
如何見てもコクピットには強力な重力制御が必要とされているタイプだ。
大きさに換算した推力を合計すれば最近宇宙開発を目的にしたロケット2〜3機分。
初速8km/sce(秒速8km)は下らないだろう。

「余り褒められたものではないな。周囲に及ぼす影響を度外視した姿だ!
だが…独り身最強秘術が一つ二つ有る事には有る。始末できるか?」
1人乗りでベルゼンラーヴェを動かす際は自分以外に気を掛ける必用が無い為、
かなり無茶な高速機動を行う事が多い。それでも自ずと限界がある。
今は祖先の仮面の駆力で無理矢理体の状態を全盛期の頃に引き戻している状態。
それでも精々15km/sceまでが限度である。

ベルゼンラーヴェは展開中のダミーサークルの状態を最大レベルに変更する。
エネルギー循環が活発になり非物質状態だったそれが一時的に実体を結ぶ。
更にそれを軸として小型戦闘機の様な姿を取る。その数7機。
やがて完全に身を結んだルナフレアの新たな体。それ目掛けて7つのそれは飛翔する。
「ミスティックスレイブ。調律コードC。スパイラルネメシス!」
ミスティックスレイブと呼ばれたそれは不規則な軌道と無人ならではの機動性で、
ルナフレアに攻撃を開始する。周囲から闇を吸収しての暗黒粒子砲。
帝国が嘗て改造したデスザウラーに搭載されていた兵器。
理論が不明なまま実戦に投入したと言う恐るべき記録が残る曰く付きの兵器である。
術式媒体としての暗黒粒子は既に解明済みであるがそれを科学のみで過去は使用した。
失われてしまった技術に関しては調べる術は無いに等しく今は使える事のみが重要だ。
ベルゼンラーヴェを突撃させミスティックスレイブの影に隠れながら最大の一撃…
それを叩き込むタイミングを計って加速に耐えている。

217 :荒野の少年9:05/03/13 09:55:35 ID:???
その日、アトルはジェノブレイカーを前にして無残に散ったライガーゼロを見ていた・・・・・・
「すまない・・・・・ライガーゼロ・・・・・俺の力が無いばかりに・・・・・」
そうぼやいた次の瞬間!
「パシュウ!」
なんとライガーゼロが粉のような物になり空中でそれは一まとまりになり、クリスタルとなった。
アトルはそのクリスタルを持ちゆっくり歩いていった・・・・・
ライガーゼロがいなくなったその日から元気は無くなり、ただ心の中に絶望が渦巻いてるだけだ   
あの時の悪夢が蘇ってくる・・・・
悪夢がこの身を苦しめていた・・・
だが、このクリスタルから不思議な力を時じる・・
その力が悪夢と絶望から解放していた
だがその安心もつかの間だった・・・
その時あの悪夢が脳裏をよぎった
そう・・・ジェノブレイカーであった・・・・
再び絶望が渦巻いた・・・・
だがクリスタルが光輝き、その中から白き虎が現れた・・・・・
アトルが目にした物は!?そしてジェノブレイカーを打ち破れるか!?

218 :悪魔の遺伝子 801:05/03/13 10:22:45 ID:???
「お・・・おい!!」
ルナリスは唖然とした。何と分離したストームタートルの各パーツがハーデスに
装備されていくでは無いか。二つストームガトリング砲が両腕へ、チェーンシザー+
クレセントレーザー砲は尾へ、そして残ったパーツが背中に装着されていたのだ。
『ストームハーデス!!!Ziユニゾン!!』
「ってこらぁぁぁぁぁ!!何変な事やっとるかぁぁぁぁ!!
ってユニゾンだとぉぉぉぉ!?」
ルナリスは唖然とした。が、確かにストームタートルのパーツがハーデスに
装着された現象はユニゾン以外に説明出来なかった。
「何ワケのわからん事やっているかお前らはぁ!!」
メガデスザウラーは再度荷電粒子砲を発射した。が、その時ルナリスは異様な
感覚を覚えていた。
何とその荷電粒子砲の突き進む速度がとてつもなくスローモーションに見えたのだ。
「こ・・・これはどうした事だ?今まで以上に簡単に回避出来る・・・。」
そして何と無く彼女が出力計に目を向けた時だった。何とその出力が先程までの
数倍にも膨れ上がっていたのだ。
「こ・・・これは一体どうした事だ?」
『だから言いましたでしょ?貴女の力になりますと。』
「ち・・・力になるって・・・これは凄すぎだぞ!!」
と、ルナリスがストームタートルと言い合っていた時、またも荷電粒子砲が
発射されていた。
が、しかしその粒子線に対しストームハーデスが掌を掲げると、その掌から
Eシールドの様な物が現れ、荷電粒子砲を消滅させていた。
「な!!何だと!?」
「な!!?何故Eシールドが!?ハーデスにそんな物付いているわけが・・・。」
『これはユニゾンによって手に入れた新しい力です。さしずめフィンガーシールドとでも
呼んだ方がよろしいでしょうね!』
「何だそりゃ・・・。だが!!荷電粒子砲を防げる事は良い事だ!!」
ハーデスは両掌を正面に掲げながらメガデスザウラーに向けて駆け出した。
一方メガデスザウラーも荷電粒子砲を撃ちまくっていた。
「ふざけるなよぉ!!いきなりユニゾンとかしやがってこのアマ!!
ならばそのシールドの限界以上の攻撃を叩き込んでやるぜ!!」

219 :悪魔の遺伝子 802:05/03/13 10:24:48 ID:???
メガデスザウラーは荷電粒子砲の発射と同時にエネルギーチャージを交互に繰り返し、
荷電粒子砲の連続照射は続けた。が、ストームハーデスのフィンガーシールドは
それをことごとく撫でる様に弾いていたのだ。そしてあっと言う間に両者は接近戦の
距離まで肉薄されていた。
「なあ!!!」
「次はこっちから行くぞ!!」
メガデスザウラーの眼前でストームハーデスは素早く一回転した。尾の加重力衝撃
テイルを叩き付けるのだ。が、それに対しメガデスザウラーは両手を構え、
ガッチリ掴む形で受け止めようとしていた。
「そのままお前の尾を掴んで逆に投げ飛ばしてやるってうぉぉぉぉ!!」
メガデスザウラーがストームハーデスの尾を掴もうとした時、その尾の先端部分に
装備されたチェーンシザーがメガデスザウラーの手を引き裂いていたのだ。
確かにチェーンシザーは中型ゾイドのボディーも地面ごと抉り取る事が出来る程強力な
武器であるはずも無い。が、今のそれはハーデスとユニゾンした影響によって想像を
絶する程にパワーアップされていたのだ。
「う・・・うわぁぁぁそんなバカなぁぁぁぁ!!」
「次はこれだぁぁぁぁぁ!!」
今度はストームハーデスの両腕に装備されたストームガトリングが火を吹いた。
やはりストームガトリングも通常は超重装甲に通用するべくも無い。が、これもまた
ユニゾンの影響によるパワーアップでメガデスザウラーの超重装甲を次々に
撃ち抜いていたのだ。
「くそぉ!!何て奴だ!!これがユニゾンの力か!!」
メガデスザウラーは慌てて荷電粒子砲を再度発射した。が、その至近距離の発射すら
フィンガーシールドは防ぐのだ。しかしメガデスザウラーの目的は別の所にあった。
「勝負は預けたぞ!!私の名は“ギャラン=ドゥ”。オラップ島バトルグランプリでの
再戦の時まで覚えておいてほしい!!」
メガデスザウラーは荷電粒子砲を目くらましにしつつブースターを全開させて飛び上がり、
前述の捨て台詞を残して虚空へと消えて言った。そしてルナリスはストームハーデスと
共に空を眺めていた。

220 :悪魔の遺伝子 803:05/03/13 10:26:21 ID:???
「ギャラン=ドゥ・・・変な名前だな・・・。」
無理やり仕掛けられた戦いも終結してすぐ、ストームタートルが自動的にハーデスと
分離していた。
『では戦いが終わったので私は一度海に帰ります。また何かあったら呼んでくださいね。』
「ああ・・・。期待しないで待ってるよ・・・。」
ストームタートルはそのまま海へ帰って行き、ルナリスも帰ろうと考え、ハーデスを
フィスリルタウンへ向けて歩かせていた。しかし彼女はなおも大空を眺めていた。
「ユニゾンって奴もあんまりバカにしたものでも無いのだな・・・。」

それからまた何日かした頃、マリンとルナリスは共にマイルの特訓を受けていた。
「はああ!!!」
「やあああ!!」
現在二人受けていたのは実戦形式の組み手である。要はマイルを床に倒せば良いのだが、
やはり彼の実力は桁が外れており、二人同時にかかっても歯が立ってはいなかった。
「この!!く!!」
「ただ素早く突けば良いもんじゃなかろう?」
ルナリスは常人にとっては到底目で追う事もままならぬ程の速度である手刀をマイルへ
向けて何度も連続で突き込もうとしていたが、マイルは軽く体を傾けつつ、後方に下がる
だけの動作でかわしており、今度は逆にルナリスの手を掴んでポイと軽々と投げていた。
「まだまだぁ!!」
「お!今度はマリンか?得意の関節技を見せてくれるのかな?」
マリンがマイルの背後に回りこんでスリーパーホールドでマイルを閉め落とそうとした。
が、それもマイルが素早く前に体を倒し、その勢いでマリンを振り飛ばす事で防いでいた。
「くっそぉぉぉ!!」
「まだまだよぉぉぉ!!」
二人は再度起き上がってマイルへ向かおうとしていたが、マイルはパンパンと手を叩いた。
「ハイハイとりあえず組み手は一旦ここで終わり。まあとりあえず二人とも座りなさい!」
「え・・・う・・・うん・・・。」
不本意そうな顔をしながらも二人が座った後、マイルもゆっくりとあぐらをかく形で
座り込み、口を開いた。

221 :悪魔の遺伝子 804:05/03/13 10:32:24 ID:???
「まあ何と言うかな?お前達二人はまだ動きに無駄がありすぎるな!」
「え・・・、無駄って・・・。」
「まあ二人とも話を聞きなさい。戦いって奴は強引な力だけで勝てる物では無い事は
分かるよな?」
二人は無言で頷く。
「確かに力だけで勝つ事が出来る程戦いと言う奴は甘くない。頭も大切だ。」
「まあそれは色々作戦を考えたりとかも大切ですしね。」
「それもそうだが、今俺が言いたい事はそれでは無い。まあ取り合えず簡単な
表現で教えてやろう。」
するとマイルは立ち上がり、道場の隅にあるサンドバッグへ歩み寄った。もちろんその
サンドバッグは砂鉄を超合金繊維製の袋に詰めた特別製だったりするのである。
「とりあえず二人の内のどちらか、これを殴って見ろ。」
「なら私が・・・。」
ルナリスがサンドバッグの前に立ち、その反対側でマイルがサンドバッグを
押さえる形で持った。そしてルナリスは構えを取って・・・
「はぁ!!」
彼女の突きがサンドバッグにめり込み、後ろにいたマイルごと後ろにやや下がった。
「うむ・・・。やはり中々良い突きが出来る様だな?ならば次は俺の突きを見せよう。
マリン、彼女と一緒にサンドバッグを押さえてくれんかね?」
「う・・・うん・・・。別に良いけど・・・。」
そうして今度はマイルがサンドバッグを突いた。するとサンドバッグは大きく後ろに
飛び上がり、それを押さえていた二人はそのまま壁まで吹っ飛んだのだ。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「あああ!!スマンスマン!!ちょっとやりすぎたぁぁぁぁ!!」
マイルは壁に叩きつけられて呻いていた二人に慌てて駆け寄って起き上がらせていたが、
その後で彼は真剣な顔になって言った。
「とりあえずだ・・・。俺の言いたい事が分かるかね?」
「全・・・然・・・わ・・・かりませ・・・ん・・・。」
「・・・・・・・。」

222 :荒野の少年10:05/03/13 16:07:02 ID:???
光輝いたそのクリスタルから一匹のゾイドが現れた!
それは伝説と言われているゾイド・・・ワイツタイガーだった!
アトルはそのゾイドの話を聞いたことがあった
単なる偶然なのか・・・それとも運命なのか分からない・・・・
「パイロットさえも拒絶するゾイド」
とさえも言われていたがアトルには従うようだった
彼はコックピットに入りこみジェノブレイカーに飛び掛った!
ワイツタイガーの攻撃を交わそうとするキール・ブラッドレイだが交わすことができない!
超スピードでジェノブレイカーの攻撃を交わし、そしてブレードがジェノブレイカーを切った!
負けたキール・ブラッドレイは笑いながらその場を去った
そして今、新獣王が新たに駆け巡る!



223 :三虎伝説 エピソード13 ザ・トリック・ショー前編:05/03/13 23:27:03 ID:???
あと、五分足らずで試合が始まろうとしている。ゴングの音が鳴るのをいよいよ待ち切れ
なくなったのか、観客席は異様な騒ぎになり始める。しかし、そんな騒々しい空気の中で、
リング内に並んだ二人の戦士は静かに相手をにらみ合っていた。今回、ロンの対戦相手
となるファイターの名はダム。バスターイーグルを装備した愛機、バスターゴルドスを駆り、
奇想天外なバトルを展開することからZOITEC内ではミスタートリッキーの名で親しまれる
人物だ。勿論、そんな有名なファイターが相手という事で、ロンも事前に調べる事には調べ
たのだが、普段そんな事をする習慣が無かったロンの力では、ミスタートリッキーのその名
の通り、ある時は重量級の部類に含まれるゴルドスでオーバーなジャンプをして相手を踏
み潰したり、またある時は試合開始のゴングと共に相手の機体を撃ち抜く早撃ちをやって
みたり等、とにかくバリエーションの多い変則的な戦い方を好む事。そして、その行動を読
む事ができるのは今のところパイロットであるダム自身のみという事等…まあ、ようするに噂
程度の事しか分からなかったのだ。だから、ロンは戦いの中で相手を倒す手段を探す事に
したのだ。だが、それは仕方がないからというわけではない。頭でじっくり考える事は合わな
い、直感的な判断を最大限に発揮しろ。これが教官に言われた中でも最も重要な事だ。そし
て、それを可能にするための精神的な冷静さを取得する訓練に身を投じてきたのだ。ならば
ちょうどその特訓の成果を試す良い機会だ、そのように思ったのだ。そして入場を終えた今、
相手を目の前にして操縦桿を握る手はいつもに増してしっかりとした反応を返してくれている。
これは、勝てるという予兆かもしれない。その時ロンにはそう思えた。

224 :三虎伝説 エピソード13 ザ・トリック・ショー前編:05/03/13 23:30:27 ID:???
甲高い音を立ててゴングが鳴った。ついに戦いが始まったのだ。そのゴングと同時にレオ
ストは真横に跳んだ。そして直後に爆発。床の金属パネルが紙切れのように吹き飛んだ。
レオストがさっき居た所だ。
「俺の攻撃を読んだ?ハッ、折角エキシビション開催の祝砲にしてやろうと思ったのによ!」
そんなダムのぼやきをまるで聞いていなかったかのようにレオは踏み込んで反転し、ゴル
ドスへと真っ直ぐ向かう。それを迎えるミサイルの束。キャノニアー仕様の奴に加えてバス
ターイーグルのも共に跳んでくる。凄まじい数だ。ゴルドスの高性能レーダーと相まって命
中率も半端じゃないはずだ。どう避けるか、きっと普通のパイロットなら必死にそう考えて直
ぐに無駄な事だと思い直すであろう。だが、ロンは今、良い意味で何も考えていない。一心
不乱に愛機が望むままに流れが望むままに戦うことに集中している。そして、それは不可能
を可能にする力となる!
「な、なんだと?」
ダムは目の前の光景の奇妙さに思わず声を漏らした。レオストライカーの体がバラバラにな
ってミサイルの誘導を撹乱させ、避けきったのだ。BLOXゾイドをバラバラにする戦法。この事
は画的な奇妙さもさることながら、パイロットへの負担が尋常な物では無く、合体システム等
を起動させるゾイドは大体が無人の遠隔操作、少数ではあるが有人の場合でも完全に停止
した状態で行うことが常識となっていたのだ。しかし、相手は加速状態にありながら咄嗟にそ
れをやってのけてしまったのだ。おそらくパイロットは失神…悪ければ心臓停止という危険な
状態に陥るはずだ。


225 :三虎伝説 エピソード13 ザ・トリック・ショー前編:05/03/13 23:46:06 ID:???
「おい、大丈夫か!」
ダムも対戦中とは分かっていたが余りにも無茶な事をするため、つい通信を入れてしまっ
た。予想通り反応が無い…だが、1つ予想とは違う事があった。それはレオストライカーが
さらに加速してこちらに向かって来るという事だ。暴走したにしては動きが滑らか過ぎる。
これは明らかにパイロットが無事である事の証だ。ゾイドバトルでは殆んど見ることの出
来ない危険な曲芸を見せたかと思えば何事も無かったかのように平然と戦いを続けようと
している。その姿はまさに…
「ミスタートリッキー…ってか。だが、そんな曲芸師が相手と分かれば俺も出し惜しみなんて…。」
突然ゴルドスが両翼を大きく広げた。それと同時に前身に積んでいたあらゆる火器を強制
的に排除して地面に放り投げ、向かい来るレオにゆっくりと体を向けた。
「ふふ、良いだろう。今まで誰一人としてみた事の無い究極のトリックバトルを見せるには十
分な条件が揃った…。さあ、盛り上げるぞレオストライカーのパイロット!俺とお前のミスター
トリッキーW出演、世界最高のトリック・ショーの幕開けだ!!」


226 :Full metal president 37:05/03/14 03:19:05 ID:???
「っ!?これはっ!?封鎖術式!しかも時間に干渉をっ!?」
突然動きが止まるベルゼンラーヴェ。
トラップとして目の前の空間に設置されていたのだろう…。
発動したら一定時間対象の周辺の時間を固定してしまう封鎖と捕縛両方を兼ねた物だ。
「やはり独り身はきついか?きついよなあ!ナイト・フリューゲル!
元々2人乗りそれも特定の組み合わせのみでしか本来の性能を発揮できんのではな!」
レドリックが彼の事をその名で呼ぶのには訳がある。
前述で本人以外の存在と融合しているからと言う事も有るが、
そうでなくてもレドリックにとって彼はファインやツヴァイトでは無くナイト・フリューゲル。
過去に赤っ恥をかかされた憎き仇敵なのである。

「くくくく…このルナガイストの前にはオリジナルであろうと有象無象!
時の流れを離れて独り永劫に感じる程の苦痛と共に逝け!ナイト・フリューゲル!」
何段階かに分けて空間の流れる時間を調整しているらしく、
そこにやっと使用制限が解除されたことで使用可能になった月の光を十数ダース。
そしてガンランチャーやミサイルポッドでワンセット。とてもゆっくりと迫ってくる。
彼の言う苦痛とは何時襲ってくるか解らない攻撃にじりじりと精神を削る様な方法。
憔悴しきった後に襲う攻撃で体と機体と言うネチネチした意地の悪い攻撃である。
用意周到に十本の光剣クレセントムーンも指に発生させて逃げ道を塞ぐ。

「まあ…何と言えば良いのか?この程度で止めを刺せると本気で思っているなら、
ここに居るのは間違いだ。レドリック…。」
余裕をかまして挑発を忘れていないナイト・フリューゲル。
こう言う時は強気で行かないと相手に心理的愉悦感を与えてしまう。
そんな事は絶対に避けなければならない事である。更に…彼は重要な事を忘れている。
「ぬがあ!?」
本体ばかりに気を取られてミスティックスレイブの事を完全に忘れているのだ。
自動攻撃コードで随時動き回る機動砲台の放つ暗黒粒子砲の一斉砲撃を受ける。
現実を生きる事は幻術を行使するぐらいに必至にならないといけない。洒落ではあるが。
生きる事は慣れているから解りづらいが、少し考えると物凄く必死な筈である…。

227 :Full metal president 38:05/03/14 04:11:07 ID:???
洒落でだした幻術だが実際にはミスティックスレイブに視覚迷彩を掛けている。
視覚迷彩は目の見えない者には全く通用しないがこれに掛かると…
レーダーに映っていても存在を確認できないのである。
視覚を掌握されている為レーダーなどに映った表示すら対象には見えない。
幻術で映っていないと思い込まされているのである。なので対象は…
「馬鹿な!?警戒アラームのみがけたたましく…っ!?視覚迷彩か!」
漸く気付いた様だが精神の集中が削がれた為封鎖術式の効果が切れる。
「だあっ!」
最大加速で一斉に飛んで来る光弾とガンランチャーの攻撃を避け、
その後追尾してくるミサイルを頭部ビームバルカンで撃ち落とすベルゼンラーヴェ。
ふりだしに戻る戦局。だがナイト・フリューゲル側は非常に不利な立場に有る。

相手は月の光を浴び無尽蔵に再生などを行ってくる体力馬鹿。
頭も多少馬鹿だが決して知能指数が低いと言う事は無い。
何方かと言えば秀才や天才などが持っている知能指数を彼は持っているだろう。
物事の考え方に穴が有ると言った所だろう…。
「これ以上は持ちそうに無い…なら!この先の事を考えて行こうか。」
もう一度ミスティックスレイブを従えてルナガイストに突撃するベルゼンラーヴェ。
しかしそれをまたしても封鎖術式で動きを止めるレドリック。

しかし…
「何!?そんな馬鹿な事が有ってたまるかぁ!!!うぎゃああああああああああ!!!」
次の瞬間封鎖術式と攻撃の目の前にいるのは…ルナガイスト。
逃げようにも術式を解いたら当然自らが仕掛けた弾幕に晒されるのである。
「これも一流のトリックと言った事だ!」
瞬間的な位置置換。掛かる前にそれを行えば相手を自らの攻撃の前に放り出す、
こんな芸当もできるのだ。しかし位置感覚の把握が重要で言う程簡単なことでは無い。
そしてその攻撃に吹き飛ばされているルナガイストを追うミスティックスレイブ。
その攻撃を躱してクレセントムーンで攻撃を仕掛けるルナガイスト。
それを火花を散らしながら2挺の銃で受け流して逆襲の一撃を撃つベルゼンラーヴェ。

228 :Full metal president 39:05/03/14 06:39:55 ID:???
海面に一際大きな水柱が上る。
カラミティシャドウの火球の着弾で水蒸気爆発が発生したのだ。
空の端が白み始めた夜空を背景に二つの影が交叉を続ける。その場には光。
甲高い金属音が遅れて鳴り響きそれが幾度も繰り返し聞えて来る。
更に夜空より暗い筋が幾重にも無軌道に流れて消える。
戦闘を目で追うのは不可能に近い。実際に戦闘を行っている方もかなりきつい状況。
ナイト・フリューゲル側は体力の問題。レドリック側は慣れていないためだ。
その様な状況でこんな事をしているのだからきついのは当り前であろう…。

攻勢はベルゼンラーヴェ側。ミスティックスレイブの頭数も効いている状況。
それを何とか避け受け止め耐えるルナガイスト。しかし回復が追い付かない。
矢継早に傷口が増えて居る為、
どれが緊急に修復の必要が有るかをレドリックが理解していない。それが原因だ。
本来の回復力の方も月の光が少しづつ届かなくなっているので再生速度も低下している。
「おのれ…ならば!月の間隙二つの撃輪を以て砕け!スパイラルムーンダブルクロス!」
突然空中に二つの暁月が現れ、それは突然その間に重力を発生させる。
ミスティックスレイブが直にその影響を受けて超小型の月の中間に吸い寄せられる。
すると直に内側から吸い込まれるように潰れて消える。
中間点に巨大な重力の渦が発生しているらしくそこに月の光が渦を巻く様に流れている。
ミスティックスレイブは7機全部潰されベルゼンラーヴェの動きも制限が掛かる。
「そこだ!ダブルムーンレールガン!」
月の中間点に圧縮された高収束月光弾が動きの取れないベルゼンラーヴェを貫く。

しかしその刹那空間が突然割れ貫通した筈の高収束月光弾も、
ガラスをわったかの様に砕け散った。術式破壊(スペルブレイク)の発動の瞬間である。
どうやら第2射までには時間が掛かるらしい。
「やはりアレを出すしかないか!個人的には絶対に使いたくない物だが…。」
ベルゼンラーヴェの右手に宿る凶光。それはやがて嘗て彼の別存在が、
特に愛用していた存在に姿を変える。賢者の石に異様な長さの金色の柄。
それから生える2枚の刃。槍魔斧剣ガラドーラと呼ばれた破壊の魔錠に…。

229 :悪魔の遺伝子 805:05/03/15 13:41:50 ID:???
マイルは黙り込んだ、が、その後すぐに気を取り直して言ったのだ。
「まあそのなんだ!つまり簡単に説明するとな!同じ威力のパンチでも相手に
打ち込む場所によって相手に与えるダメージは大きく変わると言う事だ!例えば人体には
無数のツボと言う奴がある。そのツボは古来から医療等に利用されているが、その一方で
急所となるツボも存在するのだ。故にその急所となるツボは古来から攻撃時の
重要ポイントとしても考えられてきた。つまり分厚い筋肉の上にパンチを打ち込むよりも、
急所となるツボに打ち込んだ方が効果があると言う事だ!まあツボ以外にも医療と
格闘技両方に応用された技術は数多いがな。医者は怪我の治し方を知っていると言う事は
殺し方も知っていると言う話もあるし。」
「じゃあさっきのサンドバッグの件ももしかして・・・。」
マイルは頷いた。
「そうだ。先程のそれもパンチを打ち込む時はその力の持つ効果を最大限に引き出せる
場所に打ち込めと言う事が込められているのだ。そしてさらに説明するならばパンチを
打ち込む時は対象の面と垂直に打ち込むのが良い。何故なら垂直に打ち込んだ方が力の
分散を最小限に抑え、力を最大限に与える事が出来る事だ。」
「確かにそれは聞いた事があります。剣術においても対象の面に垂直に太刀を振り下ろす
のが最も効果のある斬り方だと・・・。」
ルナリスの言葉にマイルは目を閉じた状態で頷いた。
「うむ!君の言う通りだ。つまり俺がここで言いたい事は、ただ闇雲に攻撃するだけでは
勝てないぞと言う事なのだ。どんなに力があろうと、そしてどんなにスピードがあろうと、
攻撃する場所を考えて攻撃しなければ意味は無い。これはゾイド戦にも同じ事が言える。
例え分厚い装甲を持つゾイドも関節部分や排気口・廃熱口と言った場所は明確に弱点と
呼ぶ事が出来る程弱い。同じ威力を持つ攻撃でも装甲に打ち込むのと弱点に打ち込むのと
では相手に与えるダメージに雲泥の差があるのだ。また、装甲にも実は微妙なツボと
言う奴が存在していたりもする。」
「ゾイドの装甲にもツボが・・・?」

230 :悪魔の遺伝子 806:05/03/15 13:43:16 ID:???
「そうだ。これは強いていうなれば“物体を形成する分子結合間に出来た亀裂”
と言う奴でな、その亀裂部分に打ち込む事が出来ればそのまま連鎖反応によって
物体全体を粉砕する事が可能だ。その方法によってダイヤモンドをノミの一発で砕いた
と言う話もあるくらいだ。もっとも、分子結合間の亀裂を見付けるのは激しく困難だ。
ましてや戦闘中にそれをやるのは不可能に近いだろう。と言う事でこの話はこういう
お話もあるのだぞと言う事として考えておいてよろしい。」
「確かに肉眼でそれを見分けるのは無理ですしね・・・。」
ルナリスは唖然としながらも納得している様子であったが、マイルの話はまだ続いていた。
「あとパンチを打ち込む場所を考える事だけじゃ無く、“テコの原理”を利用して戦う事も
大切だ。知っているだろう?“テコの原理”。力を加える場所によって効果が異なると言う
奴。これも戦いにおいて重要な点だ。」
そしてマイルはマリンを指差した。
「特にマリン。お前は関節技とか好きだから良く分かるだろう?テコの原理を利用する
事がどれ程大切なのか・・・。」
「え・・・?ま・・・まあ・・・。」
「そもそも関節技と言う奴は、前述したツボの話のような、医療を格闘技に応用したと
言う点もあるが、少ない力で相手に大きなダメージを与えられる点については
そのテコの原理を利用しているからだ。テコの原理を上手く利用する事によって
少ない力で大きな効果を導き出す事が出来るし、逆に大きな力も小さい効果しか出す事が
出来ない事もあるのだ。あと、テコの原理についてこの様な話がある。
かつて“不死鳥男”と言う様々な学問に精通した天才学者がいてな。そいつは
ある日、とある格闘技大会に参加して、格闘技を全くと言って良い程やった事無いにも
関わらず、体格の大きな対戦相手を次々に負かして行ったんだよ。何故その男がそれを
実践できたかわかるか?」
「え・・・・。」
マイルの質問にマリンはワケが分からないと言った顔をし、口をあんぐり空けたまま
黙り込んだ。が、ルナリスは気まずい顔をしながら恐る恐る手を上げていた。
「ハイ・・・あまり自信は無いのですが・・・、今の話題に挙がっているテコの原理が
関係しているのだと思います。」

231 :悪魔の遺伝子 807:05/03/15 13:45:08 ID:???
「まあ完璧では無いが、そこそこ当たってはいるな。不死鳥男と言う男は確かに
格闘技などやった事の無い男だが、学問の面はまさに人間コンピューターと言わん
ばかりに優れた男でな、その一方で決して教科書人間と言うワケでも無く、その場での
応用力や対応力判断力にも秀でた男だった。勿論彼はスポーツ力学等もしっかりと
頭に入れており、それを上手く利用した科学的戦法で、自分より遥かに大きく力のある
相手を次々に倒して行ったと言う話だ。そしてお前達、考えても見ろ?もしもこの男が
格闘技の技術もしっかりと持ち合わせた男だったらどうなっていたと思う?
俺が思うにコイツの様な男こそ最強のファイターであると考えるな。」
「・・・・・・・・。」
マイルの話はマリンでも何とか理解出来るレベルでありながら、とても説得力があり、
二人は黙り込んでいた。そしてマイルはさらに言ったのだ。
「つまりこうだ。俺の言いたい事はな?“力”と“理論を伴った技術”の両方が
両立出来て初めて戦いに勝利出来ると言う事だ。気合?根性?確かにそう言う精神論も
勿論大切だ。ましてやゾイド戦では“ゾイドは心で動かす”と言う言葉通り、ゾイドとの
精神リンクがあって始めて性能を引き出す事が出来る。しかし、それだけではダメなのだ。
本当に大切な事は、精神論によってゾイドの力を引き出した後、科学的理論を伴った技術
を持ってその“力”を相手にぶつけて初めて人は勝利する事になるのだ。分かったか?
強引な力も華麗な技も考え無しにやっていては全く意味が無いのだ。」
「わ・・・わかりました・・・。とにかく考える事も必要だと言う事ですね?」
そのルナリスの返答に、マイルはいつの間にか用意していた茶を飲み、一度深呼吸をした。
「そうだ。分かれば良いのだ。お前達二人はまだまだ未熟だが筋は良い。
俺が言った通りの事を頭に入れ、実践できるようになればさらに強くなるだろう。
が、まだ問題が無いワケでは無いぞ。」
「そ・・・その問題とは?」
するとマイルは二人の前に右手のVサインを掲げた。それには二人はあんぐりと口を
開けた。
「そ・・・そのVサインは?」
「Vサインでは無い。問題が二つ残っていると言う事を意味しているのだ。
まず一つ目は・・・。」

232 :悪魔の遺伝子 808:05/03/15 13:52:43 ID:???
マイルは左手でルナリスを指差した。
「お前達は“受身”が甘い。特にルナリス。マリンはまだそこそこ出来ている様だが
まだまだ甘い。言っておくが受身も大切なのだぞ。しっかり受身さえ取れば倒された、
もしくは叩き付けられた時のダメージを最小限に抑える事が出来る。それにだ。確かに
お前達の乗るゾイドなら並大抵の相手に投げられるだの飛ばされるだのされる事は無いと
思うが、そう言う場合は変に抵抗せずに自分から思い切り投げられろ。そして受身を
取るのだ。その方がよっぽどダメージを抑える事が出来る。」
「え・・・それって本当ですか?やっぱりそういうの投げられないに越した方が良いと
思うのですが・・・。」
ルナリスは戸惑いながらそう言ったが、マイルに睨み付けられて黙り込んだ。
「良いか?何故俺があえて投げられる時は投げられろと言っているのかと言うとな?
変に抵抗すると余計にダメージを受ける事もあるんだ。だがあえて自分から投げられたり
飛ばされたりすれば、自分が飛ぶ事によって相手の飛ばす力が分散して自分に掛かる
ダメージは軽減される。と、こう言う事を言いたいのだ。確かに相手の攻撃を
受けない事は大切だが、あえて受ける事も大切だ。そうする事によって相手の
攻撃を受けた時のダメージをいかにすれば最小限に留める事が出来るのか?
と言う事を学ぶ事も出来るし、格闘技界の歴史にはあえて自分から技を受けた事が
その相手の技を破るヒントになったと言う例も存在するのだ。わかるか?」
「は・・・はあ・・・。分かる様な分らない様な・・・。」
二人は唖然としていたが、マイルはさらに言葉を続けた。

233 :Full metal president 40:05/03/16 04:31:01 ID:???
嘗て別世界の自分である男…エントヴァイエンと名乗った存在。
それがこれを使いありとあらゆる物を切断して見せていた…。
術者次第で全てを切り裂く最凶の斬撃兵器。そして更にその最凶である由縁…
それはもう一つの力。エントヴァイエンは使用しなかったもう一つの現実を無視した物。
握る者の意思で接触した物を切断せず何事も無かった様に通過する力。
最終的な切断力はナイト・フリューゲルが愛用している全ての物に劣るが、
その選別能力は究極の攻撃兵器足り得る物だ。しかしただ切り付ける武器としての事。
他に強力な武器は幾らでも有る…。
だがこの力は無闇矢鱈に振り回す事ができると言う呆れ返るような利便性があるのだ。

その例に漏れずナイト・フリューゲルは気合いを込めた一撃を放つ。
本来なら空間の壁すら切り裂きかね無い閃きがルナガイストのみを襲う。
一閃目で左肩が切り飛ばされ、ニ閃目で腰から下が海中に落下。
三閃目でルナガイストの首を跳ね飛ばした。
しかしそれすらもまだ時間稼ぎ程度にしか成らない。ルナガイストを倒す為には、
月の光の効果が無い状態での破壊以外に手が無いのだ。
それも完全に対象となった機体のコア。この場合はコアブロックの全ての破壊。
銀の本体のみでなく他の色も含めて全て破壊する必要が有る。

朝日は近い。レドリックは何としても夜の内にベルゼンラーヴェを破壊する必要が有る。
本人の力は3ランク階位が離れているために月読の壺とルナフレアの力無しでは、
到底相手に敵う筈が無いのだ。最高位近くになると一つ階位が違うだけで…
絶望的な戦力の差が発生する。
月読の壺がどれだけ彼の助けになっているかは本人が良く知っている事だ。
術者の力の差だけで神の力を手にした自身が背伸びしてやっと届く程度。
これが普通でこう言った知識が無い人間であったなら発狂していることだろう。
厳密に言えば違うのだが目の前の男は神すら足蹴にしかねない存在。
もう何方が正義で悪か等と言う振り分けは到底できない。
どっちもどっちのあべこべでこんがらがった存在同士。
ここで…レドリックはある手を講じる事にした。

234 :Full metal president 41:05/03/16 05:16:09 ID:???
「あの馬鹿!槍魔斧剣ガラドーラまで持ち出したかっ!?」
術者のみが知り得る固有術反応をヘリックシティのある一角でベルウッドは感知する。
折角落ち着いて朝日を見ながら茶でも飲もうとしている時に感知したので…
不機嫌極まりない表情をしている。
「まあまあ落ち着いてくださいよ…折角お詫びに高級茶菓子を持って来たのですから。
それにしてもファインは変わりませんな!落ち着きが無い。
そろそろ年相応に僕みたいにゆっくりしていればいいのに…。」
何故かベルウッドの隣りには首都脱出時に敵対していたゲンジクが居る。
「そう言うお主は…前会った時以上に丸っこく成って居るな(嘲笑)
お主ほどの男が何故奴等に媚びる必要が有る?さては…そう言う事か!
ゲンジク!お主も悪よのうっ!」
「まあまあ御代官様!貴女程ではございませんよ!ははははぎゃあああああ!」
一言多かったらしくゲンジクはベルウッドの衝撃波を顔面に喰らった。
苦しそうに転げ回っているゲンジクを後目に…
「夜明けまで持つか?そうで無ければ妾の出番だな…
と何っ!?空間転移だと!?妾を転送す…。」
言葉は最後までその場では続かなかった。

「ふははは!見よ!ナイト・フリューゲル!貴様の…へぶぅううう!?」
「私の?へぶぅ?何のことだ!?」
解るのはレドリックがルナガイストのコクピットに何かを持ち込んだ事だけだ。
覗き見防止の結界に塞がれて透過術式が効果が無い為何が起こったのかは不明だ。
ナイト・フリューゲルはベルゼンラーヴェに本来ゴジュラスギガ用の特殊兵器を、
ちょっと基部を弄くって装備させようとそれを招喚している最中だった…。
程なくしてベルゼンラーヴェ両腕の肘より下に巨大な錨が二つ左右に装着される。
物々しいそれには巨大な英語でマグネイズアンカーグレイト!とリペイントされてある。
「ブッ!?奴か!?あんな珍妙なペイントをしたのはっ!?」
ルナガイストのコクピットの内情を無視してナイト・フリューゲルは起動準備を終える。
「ぐはあああ!?うおっ!?このおお!!!やっと捕まえたぎゃああああ!!!」
聞くに耐えない悲鳴の通信を聞いてナイト・フリューゲルは恥ずかしそうに頭を掻く。

235 :Full metal president 42:05/03/16 06:17:35 ID:???
その通信で解った事は二つだ。
一つは、レドリックは人質を転送して人質を盾に攻撃しようとしていた事。
もう一つは…レドリックは人質に取る存在を派手に間違えてしまったらしい事。
よりによって一番人質に成り得ない人物がそこに居るようだ。

「ふはははは!!!お主!妾の楽しみを邪魔しおって!唯で済むとは思わん事だ!」
この声は聞き覚えが有り過ぎる声。ベルウッドだ。
それを聞いてナイト・フリューゲルは両手を合せてご愁傷様と心の底から哀れんだ。
この後朝日が昇るまでベルウッドのレドリックに対する虐待が続いたという…。
「何?このベタなオチは?」
ナイト・フリューゲルはその間祖先の仮面を外してサブシートでくつろいでいた。

くるつろぎ半分でマグネイズアンカーのチェックをするファイン。
祖先の仮面を着けている時と違い何か楽しそうにレドリックの悲鳴をバックに、
チェックを確実に行っていく。先ずはアンカー自体の可動範囲。
二つの錨が交叉している様な外見だが実は…巨大な2機の捕獲アームになっている。
勿論挟んだ後に圧力を掛けて対象を挟み潰す事も可能だ。
錬金でしか精製できないハイパーグラナイトで作られているので、
術式以外の攻撃ならこれで防御する事もできる。更に外部はエッジが鋭い。
荷電粒子砲の直撃でも塩基配列に隙が無く取っ掛かりが無いので表面を流れるのみ。
だが実際にそれをやると…本末転倒な事が起こるのだが今は全く関係無い。
磨き上げられた古代チタニウム合金でもこれができるそうで…
一部のギガにはゼネバス砲の直撃を受け流した猛者が居たらしいとの噂が或る。
原理として荷電粒子砲の粒子は接触時に強い反発を受けないと科学反応しない…
と言う原理を利用した効果だそうだ。
次にシャフトマグネーザーのチェックを行う。元々はマグネイズバスターと言う武装、
それを元に開発されているので当然と言う形で済し崩し的にそんな形になっている。
最後に…鎖のチェック。機械的な構造体以外はハイパーグラナイト製。
なので巻き上げウインチのシャフトやモーターの動作確認をとる。
その間ベルゼンラーヴェの両腕からはアンカーが垂れ下がったり元に戻ったりしている。

236 :悪魔の遺伝子 809:05/03/16 13:29:20 ID:???
「そして次はもう一つの問題であるが、お前達は共に動きに無駄が多い。
確かにお前達の動きは素早く、身のこなしも悪くない。が、動きに無駄が多いが為に
その素早い動きも身のこなしも意味が半減している。これは最近のゾイドの傾向にも
大いに当てはまるな。最近の連中はライガー系とかを中心にただスピードに物言わせて
高速で走り回れば敵の攻撃も受けずに済むと思っている様だが、俺としては体力の無駄
使いとしか思えない。例えばカメレオンとか見てみろ。カメレオンの動きはゆっくりと
してるだろ?しかしいざ獲物を獲る時になると目にも留まらぬ速度でバッと舌を伸ばして
一瞬にして獲物を獲っている。これこそが無駄の無い動きという物なのだ。お前達にも
分かるだろう?」
「まあ・・・分かる様な分からない様なだけど・・・、経験はあるよお父さん。敵の攻撃を
回避するのも体を傾けるだけの動作でって感じで・・・。」
マイルはマリンを指差した。
「うむ。確かにその通りだ。まあ中には思いっきり跳ばんと避ける事の出来ん攻撃も
あるだろうが、大体の攻撃は体を反らす傾けるの動作で回避するのがもっとも無駄の
無い回避法だ。ちなみに無駄の無い動きと言う奴は攻撃においても同様だ。攻撃も
下手に大振りに行わず、素早く的確に行えばそれだけスピードアップにも繋がる。」
「しかし・・・、それでは技の威力が低下するのでは?」
ルナリスがそう答えた時マイルはまたもルナリスを指差した。
「確かにその通りだ。だからこそ無駄の無い動きが必要になるのだ。
大振りになりすぎるは無駄だが、小振りになりすぎるのも無駄だ。だからこそその
バランスを考えて攻撃を打ち込まなくてはならない。それが出来ないならば小振りでも
威力を出せる程の力を出せるようになれば良い。と言う事で・・・。」
マイルは道場の隅まで移動すると、何やら大きな箱を取り出して来て、さらにその中から
プロテクターの様な物を多く出した。

237 :悪魔の遺伝子 810:05/03/16 13:32:35 ID:???
「それは・・・。」
「マリンは和尚の爺さんの所でやった事あるよな?これはタダのプロテクターでは無い。
一個10キロ以上はある重りも兼ねたプロテクターだ。」
「まさかそれをつけると?」
「そりゃそうだろうが!この重りをつけた状態で素早く動く事が出来れば、
これを外した時はもっと素早く動ける様になるし、力も強くなるのだぞ。」
と言う事で、二人はその重り付きプロテクターを体の至る場所に装備させられたのだが、
その予想以上の重みにピシッと直立する事のままならなかった。
「うっわ〜・・・、私動きにくいからこれ嫌いなんだけどね〜・・・。」
「お・・・重・・・、つーかマリン・・・、お前は以前もこれをつけた事あるのかよ・・・。」
マイルの台詞から察する通り、マリンはかつても経験があったが故に口で言っている
程重そうにはしていない様子ではあったが、今日初めて装備したルナリスは本当に
重そうな顔をしていた。何しろ彼女等が装備しているプロテクターは一つ10キロ以上。
全身の各部に装備している物全てを含めた合計はもはや百キロは有に超えるのである。
「お前達!これから大会が始まるまでのしばらくの間、風呂以外の時はこれを常時装備
した状態で過ごせよ。普段からこの重みにならしていく事も重要な事だ。」
「しかしマイルさん・・・。これ凄く重いんですが・・・。」
「その位何だよ!言っておくがな、ウチの祖母ちゃんはそれの数倍の重りを常時装備して
いたと言うぞ!」
「えええ〜・・・。」
二人はマイルの言葉に思い切り唖然とし、そのままへたり込んでしまった。
「う・・・嘘だろ・・・。マリンの曾祖母ちゃんが凄いのは知ってたがそこまでとは・・・。」
「あ〜・・・、何だか気が遠くなりそう・・・。」
二人は思いきりやる気を失った顔になっていたが、そんな顔の二人を見てマイルは
笑みを浮かべていた。

238 :悪魔の遺伝子 811:05/03/16 13:34:52 ID:???
「ふ・・・。」
「お父さん何が可笑しいの?」
「いや何・・・。ちょっと昔を思い出してな。」
「昔?」
「俺もガキの頃はお前達と同じ心境だったんだよこれが!親父や祖母ちゃんに
大分しごかれたりしてさ〜・・・。今じゃあそれも良い思い出だがな!
ハッハッハッハッハッ!」
「・・・・・。」
マイルは豪快に笑っていたが、やはり二人は唖然としていたりする。

と、マリンとルナリスはマイルから直々の特訓を受けていたのだが、時を同じくして、
カンウとハーデスもこっそり格納庫を抜け出し、街の外にある荒野へ向けて歩を
進め始めていた。が・・・
「あらあら二人とも何処に行くの?」
何故か外にいたサリカに呼び止られた二機はその場で硬直した。そして二機は
戸惑いながらサリカへ向けて両手を振り始めたのだ。
「それは・・・、もしかして手話なのかしら?」
サリカの返答に二機は共に頷いた。そして再度二機は手話で言いたい事をサリカに
伝え始めたのだ。
「何々?“自分達は自分達なりの特訓がしたいからちょっと出かけてくる”ですって?
別に良いんじゃない?マリンもルナリスちゃんもがんばってる見たいだしね。
行ってらっしゃい。」
サリカの許しを得た二機は彼女に手を振って見送る中、街の外の荒野へ
歩き始めるのだった。

これまた同時刻。さりげ無く余り話に上がっていなかったビルトとミレイナは
一体何をやっていたのかと言うと、二人は二人でゾイドに乗り、街の外で自分達なりの
特訓を始めていた。
「よし!行くよ!Ziユニゾン!!」
「ってきゃぁぁぁぁ!!」

239 :悪魔の遺伝子 812:05/03/16 13:38:18 ID:???
二人の乗るジャクシンガル&キルベリアンはユニゾンしようとするが、その途中で
2機は体勢を崩して倒れ込んだ。
「まだまだ・・・。もう一度行くよ!」
「うん!」
実はこの二人。素顔の状態で操縦を行っていた。そもそも二人はバリバリな
チーマー風メイクをしてテンションを高ぶられる事で初めて高い実力を出す事が出来る
のだが、そうしていない素顔の状態の二人は精神的にも肉体的にも弱々しく、
ゾイドの操縦に関しても歩かせる事もままならぬ程のヘタレ君になると言ういわゆる
多重人格者なのである。が、それ故に二人はあえて素顔の状態でゾイドの操縦が出来る
ようになろうと頑張っていた。素顔の状態で強くなれば、メイクをすれば
もっと強くなる。と、二人はそう考えていたのだ。
「まだまだ・・・。次行くよ!」
「うん!Ziユニゾン!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!」

こうして、大会に備えてのマリン等の特訓は続いていたが、それは他のチームも
同様であり、迫るオラップ島バトルグランプリに備え、それぞれのチームはチームなりに
十人十色な様々な特訓が行われていたのである。

それからさらに一週間も経った頃、超重量装備を余儀なくされていたマリンとルナリスで
あったが、この頃になるとその重さにもすっかり慣れた様子で、それなりに素早い動きが
出来るようになっており、その上でマイルの教えた“理論を伴った戦い方”や“無駄の
ない動き”等もそこそここなせる様になっていた。そしてマリンとルナリスはマイルの
見守る中、実戦形式の組み手を行っていたのだが、組み手も佳境に差し掛かった所で
マイルがパンパンと手を叩いていた。

240 :荒野の少年11:05/03/17 17:50:12 ID:???
ワイツタイガーを手に入れたアトルは久ぶりに町に戻った。
どうやらアルティメットリーグとか言うチラシを見つけ、
その名の通り究極の大会である。その大会のエントリーを済ませ、後は当日までの特訓をし続けた。

してアルティメットリーグ当日・・・・・・

一回戦はグレゴリー・トレテスタ&ゴジュラスギガである。相手ゾイドがどこかで見たことがあった。
そいつは俺を見るなり
「久ぶりだな・・・小僧」
と言った時に思い出した。旅先で会った奴だと・・・・・
「手加減無しだ!いいな!」
「あの時の俺とは違うぜ!そっちこそ覚悟はいいな!」
お互いの意見を交わしついに試合は始まった!
ギガは猛攻撃で隙を与えない。ワイツタイガーでさえ苦戦した
何とか交わしてこちらも反撃する。だがギガの装甲は恐ろしく硬く、びくともしない
苦戦しながらも耐えている。
だがアトルにはパイロットさえも危険にさらす必殺技があった
もはやこの事態にはこれしかなかった。
覚悟を決めてついに必殺技、アーマー・アタック・ストームを使った!
陸上ゾイドの限界を超えた時速800kmと言うスピードでギガに突っ込む!
果たしてアトルの運命は!?そして勝ったのだろうか!?

241 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/17 19:29:11 ID:???
 リニアはそれが何なのか知らなかった。だが、すぐに逃げなくてはヤバイことだけが直
感的にわかる。騎士を前にしても怖じけることのない彼女が、2年前以来初めての「鳥肌
が立つほどの」恐怖を感じている。
 リニアの目のまえで『それ』は、恐怖で身動きもできない防衛隊に襲い掛かった。
 怪物の明滅する身体に、四方から砲撃が加えられる。だが、ビームもミサイルもその身
体にかすりさえしない。
 逆に、その生物が襲い掛かったゾイドは簡単に屠られていく。まさしく攻撃は一方的な
ものであった。
「…攻撃が、効いていない?」
 それも、重装甲で防御するとかそういった次元の物ではない。実弾も光学兵器も、その
半透明の巨躯をすり抜けていくのだ。
 その時、リニアは上空から強力な殺気を感じた。上を向けば、骨格だけの翼を広げて例
のデッドボーダーがちょうど飛来する。
 ――クソッ、さっき殺しておくべきだったか!
 しかしその機体はリニアを攻撃せず…というよりは無視して、部下達の指揮に入る。
「アーティファクト・クリーチャーズは“こちらの世界に現れた”時しか攻撃を受け付け
ない! 無駄弾をおさえて、回避重視の戦形をとれ!」
 彼女には何を言っているのかまったく解らなかった。アーティファクト・クリーチャー
ズとは何だ? 『こちらの世界に』とは一体?
 計らずも、答えをもたらす者はすぐそこに居た。その声が混乱した回線から飛び込んで
くる。
「な…アーティファクト・クリーチャーズだと!? 嬢ちゃん、さっさと逃げるんじゃ!」
 ワンのサイクスが隔壁を飛び越え、敷地内に入ってきた。その声にリニアは振り向き、
ブースターを開きながら疑問を口にする。
「…ワンさん。あの生物は一体……」
「説明なら時間のある時にしよう! 今は、あのバケモノの視界から離れることが最優先
事項じゃッ!!」
 ワンがもう一度壁を跳び越し、リニアを先導して外に出る。彼女はそのあとに続きなが
ら、また増えてしまった考え事を整理していた。

242 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/17 19:32:29 ID:???
 ――騎士の一人はオリバーの知り合い。これは、厄介な事になった…。
 サイクスとシャドーエッジは陸と空、明け方の闇に溶け込み、市街から脱出した。

「――なんだって!? アーティファクト・クリーチャーズと遭遇した!!?」
「それで、よく生きて帰ってこられましたね!」
 郊外のパーツショップ「TASHIRO」に辿りついて状況を説明するなり、オリバーとエメ
ットが同時に叫んだ。
「おおげさな…だいたい、あの化物は何だったんだ? もう説明してくれていいだろう」
 オリバーとエメット、『それ』の存在を良く知る二人は互いに顔を見合わせる。
 彼らに代わって、ワンが説明する事となった。アーティファクト・クリーチャーズの生
み出された経緯――それは、人類が繰り返す力への追求が生み出した悪夢だった。

 『世界喪失』戦争のさなか、ある科学者が古代の地層から新種の生命体を発見した。生
命体というよりは、地下で凍結保存された細胞の破片である。
 その細胞を解析すると、数々の驚くべきデータが得られた。その生物はこれまでのどん
な生物とも異なり、ゾイドすら凌駕する戦闘力を発揮する可能性があったのだ。
 その理由が、生命体の持つ特性――“多重世界転移細胞”だった。
 発見された細胞から培養されて生み出された、アーティファクト・クリーチャー第一号。
オリジナルの遺伝子から生まれた実験体は、謎が多いことから『エニグマ』と名づけられ、
戦闘実験にてその悪魔のような能力を発揮する。
 『多重世界転移細胞を持つ生物は、呼吸する時以外はこの世界に存在しない』――これ
が最初の報告書である。身体が半透明で居るあいだは実弾、ビーム、その他如何なる兵器
もその身体にダメージを与える事はなく、逆にエニグマからの攻撃だけが実験用ゾイドを破
壊していく。実験場は数分のうちに、凄惨な殺戮の場と化した。
 簡単に言えば報告書の通り、アーティファクト・クリーチャーズは呼吸する時以外は姿
が見えるだけでこの世界には『存在していない』。絶対的な防御手段と一方通行の攻撃力、
何より視界に入る生物全てに襲い掛かる凶暴性を買われ、エニグマの細胞から次々と異形の
生命が作り出されていった。

243 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/17 19:34:35 ID:???
 確かに『彼ら』は、コントロールさえできればゾイドを凌ぐ究極の生物兵器になっていた
かもしれない。
 しかし、10体ほど生み出されたアーティファクト・クリーチャーズは、『ロールアウト』
寸前で謎の失踪を遂げた。
 遺伝子研究所は跡形もなく破壊され、研究員や職員は全て彼らの餌となった。その行方が
追われるも、見つからぬうちに『Ignorance Catastroph』が発生し、その存在は戦後の混乱
の中、徐々に忘れ去られていった。

 その内容の全てをワンが語り終えた時、そこに満ちたのはただ沈黙だった。
 新たな脅威の出現に気が滅入りつつも、リニアは浮かんだ疑問をワンにぶつける。
「その…『存在していない』時間は、そいつらはどこにいるんだ?」
 ワンもそこまでは知らない。顔をしかめる老人のあとを引き受けたのは、当初は来る予定の
なかった少女・レティシア。
「資料なら読んだわよ? …幾つかの説があったみたいだけどね。四次元から十次元までを自
由に往来できるとか、無数にある平行世界を行き来しているとか。でも、重要な事はどうやっ
て消えるかじゃなくて、それにどう対処するかじゃないのかしらね」
 初めて気付いたように、ワンが訊いた。
「…おや、また随分と若いお嬢さんじゃな。どなたかな?」
「私は、現政府最高議長の娘よ。…レティシアって呼んでちょうだいね」
 彼女が名乗ると、エルフリーデが首を傾げる。
「…議長の、娘さん? 味方なの?」
 彼女の表情を見て取ったレティシアは、わざとらしくオーバーアクションでオリバーの
腕にしがみつき、挑発するように笑ってみせる。
「ふふん、大丈夫よ。私は彼についていくって決めたもの――ねぇ、オリバー?」
「は!?」
 とても10歳の少女とは思えぬ行動、言動に、エルフリーデは頬を膨らませてオリバーを
にらみつける。
「ムッ……オリバー、年下が好きなの?」

244 :Innocent World2 円卓の騎士:05/03/17 19:38:05 ID:???
「 ち ょ っ と 待 て  大人ならまだしも、10歳の子に手ェ出したらとんでも
ないロリコンじゃねーか」
 ふと懐かしい響きにリニアの心が揺れる。しかし、その感情はすぐに押し流される。
「いいのよ? 自分の心に正直になるのは悪い事じゃないもの」
「 君 、 1 0 歳 じ ゃ な い だ ろ 」
 このイタいやりとりを横から見ていたリニア、エメット、ワンは思うのだった。

 ――本当に、この男を助ける為にあんな危険を冒す必要があったのだろうか? と…。

 彼らの緊張感などかけらも無い談笑から、さかのぼる事数分。
 暫定政府本部防衛隊は、半数近くが謎の生物の餌食となっていた。ヴォルフガングの機
体がワープを繰り返して敵を追う。が、一分に一度するかどうかの呼吸のタイミングは一
瞬で、重力砲も熱線砲もその身体にダメージを与えてはいない。
<何をしている、さっさと片付けろ>
「解ってるけどね兄さん! いくらロークラスのヤツとはいっても、ゾイドを相手にする
のとはわけが違うんだ!」
 アルフレッドの苛立ちを感じ取り、彼は焦りを覚える。――早くコイツを消さなければ。
また兄さんに、怒られてしまう――。
 巨大な単眼をぎらつかせ、半透明の巨躯がデッドボーダーに迫る。ヴォルフガングは槍
を一回転させて空間を捻じ曲げ、目の前に『ゲート』を造りだした。
 敵は次元のトンネルを抜け、ヴォルフガングの後ろに飛ばされる。一瞬なにが起きたの
か理解できなかった『それ』は、その姿が透明さを失った瞬間、槍の穂先に貫かれていた。
 ――たった一体で、一個大隊がほぼ壊滅?
 部下に何が起きたのかを確認する。そして、被害の半分は円卓の騎士によるものだと聞
いた彼は、引きつった笑みを浮かべる。
「…そうか、紅い剣の騎士に……デススティンガー。僕自身が合いまみえる時は、いささ
かの手加減もせずに抹殺すると誓おう…!」
 この夜だけで、守備隊が受けた被害は甚大だ。だが、同時にこの惨状は、警備を強化す
る必要を示している。
 死んでいった部下の命を惜しむそぶりなど見せず、ヴォルフガングは身を翻した。

245 :悪魔の遺伝子 813:05/03/17 21:35:16 ID:???
「よーしとりあえず今日はここまでだ!それにしてもお前達二人ともこの短期間で
ここまでやるとは中々の上達ぶりだぞ。」
「そ・・・そう?」
「まあ俺に比べりゃまだまだだがね〜!」
二人を誉めると見せかけて鼻で笑うと言う煽てているのかバカにしているのか
分からないマイルの
行動に流石の二人も殺意を覚えたが、彼に勝てる自信が無かったのか、その気持ちは
胸の内に閉まっておいた。とはいえ、3人はその場に座り込み、茶を飲んだりして
ゆっくり休んでいたが、その時マイルがルナリスに言った。
「そう言えばよ。お前の戦い方って何処かで見た事があるんだが・・・、もちろん何処かの
流派か何かやってたんだろ?」
「え・・・?あ・・・ハイ・・・。死竜流って流派ですが・・・。」
するとマイルは納得した顔でポンと手を叩いた。
「ああそうか!やはり死竜流か!そうかそうか!どうりで・・・昔見た事ある動きだと
思ったんだ!」
そうしてマイルは道場の壁に掛けられてあった時計を見るともう12時を過ぎていた。
「うわ!もうこんな時間じゃねーか!!お前等 早く寝ろ!!明日も早いぞぉ!!」
「ハーイ!!」
マイルに言われた二人は大急ぎで道場を後にしたが、マイルは道場の出口を
見つめながら笑みを浮かべていた。
「確かルナリスの苗字もバッハードだったよな・・・。ああそうか・・・、アイツの娘か・・・。
なるほどな〜・・・。」

そうしてマリン等が特訓を続けている間も世間ではオラップ島バトルグランプリの
話題で持ちきりとなり、それに関連したテレビ特番等が数多く放送されていた。
そんな時に起こったある出来事をこれから話そうと思う。
あるテレビ局が、たまにクジ引きで選ばれたZiファイターを何人か集めて
バトルロイアルを行うという番組をちょくちょく制作していたのであるが、現在も
丁度オラップ島大会開催前で大盛り上がりを見せていると言う事もあり、またその番組を
収録しようという話が挙がった為、局にてZiファイターの選定が行われ、出場選手5人
の内4人が決定した様子であった。

246 :悪魔の遺伝子 814:05/03/17 21:39:40 ID:???
「よしこれで4人が決定したな。」
「にしても凄いメンバーが揃いましたね〜。狂戦士デススティンガーを駆りながら、
それとは対照的に冷静沈着なスデルガ選手に、重戦車のごときエレファンダーを駆る
ニノクス選手、空の王者サラマンダーを駆るマントゥレイ選手に剣獣王ライガーゼロ
シュナイダーを駆るソーダル選手。もう皆各大会の優勝常連者ばかりじゃないですか。
これで後一人が何かショボイ選手が出たらもう大変ですよ!」
「ああ・・・分かってる・・・。」
皆の期待を背負い、テレビ局のお偉いさんみたいな感じの人がクジの入った箱に
手を入れた。そして一枚の紙札を抜き取り、それを開いたのだ。
「さあ何が出るかな?何が出るかな?」
「出たぁぁぁぁぁぁぁ!!」
テレビ局中に妙な叫び声が響き渡った。

それから一時間くらいした時、バイス家にある一本の電話が掛かってきたのだった。
「は〜いこちら料理の猫屋!ってあれ?出前じゃないの?」
電話の受話器を取ったのがマイルだった為にそんなセリフが飛び出てきていたが、
彼は電話を掛けてきた相手と何やら話し込み始めた。
「え?ウチの娘に用があるんですか?」
と、そうのんきな顔で言ったマイルはたまたま店の手伝いをしていたマリンの方を
指差した。
「おーいマリン!お前にテレビ局主催の試合の依頼が来てるぞー!」
「え?それって・・・。」
突然の爆弾発言にマリンは口をあんぐりと空けた。

かいつまんで言うと、テレビ局主催のバトルロイアルに選ばれた5人目がなんと
マリンだったのが、その日の夜、早速局から送られてきた書類や資料にマリンはマイルや
ルナリス等と共に目を通していた。
「ああ!ここの局のバトルロイアルに選ばれたって事か。確かにここは毎回クジ引きで
色んな奴が選ばれて出てくるからな〜。クジ引きだけに何度も出る奴もいればいつに
なっても出られない奴もいる。そして出場選手の中で一人だけ飛び抜けてたと言う事も
あれば選手全員ショボかった例もある。」
「でも大会前にあんまりこんな事したくないな〜・・・。」

247 :悪魔の遺伝子 815:05/03/17 21:42:31 ID:???
マリンは心底困った顔をしていたが、マイルはそんな彼女の頭をポンと叩いた。
「まあ良いじゃねーか!ちょっとした特訓の成果を見る兼調整と思えばいいんだよ!」
「でも〜・・・。」
と、マリンはなおも困った顔で書類の中の丁度他の出場選手の写真やプロフィール等が
書かれた部分に目が行った時だった。突如として彼女の顔が豹変したのだ。
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「わ!!!何だ!!?いきなりどうしたんだマリン!!」
「マリンさん!!」
突然取り乱し出したマリンにルナリスとビルト&ミレイナは駆け寄った。そしてマイルは
マリンが取り乱した原因となったその書類を手に取った。
「マリン・・・お前まさか・・・。まだあのトラウマを克服できていなかったのか?」
「トラウマ?」
「ああ・・・。それは数年前。まだマリンがZiファイターの資格を取得して間もない
頃の事だ。当時のアイツはエヴォフライヤーに乗っていたんだが、
それでもそこそこ勝っていてな〜。その為当時は結構有頂天になっていたワケだよ。」
「今でもそんな感じの様にも思えるのですが・・・。」
ルナリスは眉を細めつつそう呟いていたが、マイルは顔を左右に振りながらさらに言った。
「まあそんな事はどうでも良いんだよ。問題はその後だ。そもそもマリンが取り乱し
出した原因はこのバトルロイアルに選ばれた他の出場選手にあるんだよ。」
「出場選手?まさかとは思いますが、コイツ等に負けたからとかトラウマ〜とか
言わないですよね〜。」
「いや・・・そのまさかだったりする。」
「ってマジディスカァァァァァ!!」
その時ルナリスの叫び声が家中に響き渡った。
「そ・・・それマジなんですか・・・?マリンさんがその位でショックを受ける様な人には
とても・・・。」
「うむ・・・確かに今の奴なら多少負けた所でショックは大きく無かろう?
しかし、まだZiファイターとしての経験も浅い上に、負け知らずで有頂天になっていた
当時のマリンにはそのショックは大きかったはずだ。」
そして皆は心配そうな顔でマリンの方を向くが、彼女はいつの間にか出した布団に
潜り込んでいた。

248 :悪魔の遺伝子 816:05/03/17 21:46:20 ID:???
「うわぁぁぁぁぁ!!嫌ぁぁぁぁぁ!!私行きたくないぃぃぃ!!」
「オイオイ・・・お前そんなに怖いのか奴らが・・・。」
「嫌嫌嫌ぁぁぁぁぁ!!」
ルナリスは布団に包まって嘆くマリンを揺さ振るが、彼女の反応は変わらなかった。
「は〜・・・。でもさ〜・・・。そんなに強いワケですか?こいつ等は・・・。」
「いや・・・。確かにこの4人は色々な大会で優勝してる程の実力者だが今の
マリンなら勝てない相手じゃないと思うのだがな〜・・・。」
「マリンさん!しっかりして下さいよ〜!」
皆はマリンをどうにかしようと色々な手段を講じるが、トラウマとなる程の恐怖心を
植えつけた4人の存在に対する恐怖は変わる事無く、マリンは泣き叫び続けていた。

時は同じく、バトルロイアルに出場する他の4人。ステルガ、ニノクス、マントゥレイ、
ソーダルの四人は謎の黒服サングラスの男から、とある高級レストランに招待されていた。
「俺達に一体何の用だ?」
「これから明日互いに戦おうと言う間柄で集まる等とは狂気の沙汰だぞ・・・まったく。」
4人は愚痴りながら高級ステーキに口を運んでいたが、彼等を招待した黒服の男は
表情ひとつ変えず、そして抑揚の無い声で言ったのだ。
「皆様、お食事を楽しみながらでもよろしいので聞いてください。実は折り入って
頼み事があるのです。」
「頼みとは一体何だ?俺達4人を呼んだのは相当な理由があるのだろう?」
「その通りでございます。実は明日のバトルロイアルに関してですが、貴方方4人と
共に戦う事になるマリン=バイスを潰して欲しいので御座います。4人で協力してね・・・。」
「は?」
四人は一斉に鼻で笑った。

249 :Full metal president 43:05/03/18 04:42:18 ID:???
「殴殺は終わりましたか?」
ファインはベルウッドに通信機で聞いてみる。
「一昨日の借りが有るからな!ルナフレアのミーディアムグロウブを取り込んでいるらしい、
再生能力も上がっておるからサンドバックには上適だ!血が直ぐ引くぞ!
もう少しエクササイズを楽しむとしよう…しばし待てっ!!!」
相当月読の壺を奪われた事にベルウッドはお冠らしい…
余波が自身に降り掛かる事を恐れてファインはそれ以上言葉を発しなかった。

シャフトマグネーザーのチェック。射出用のロケットブースターの空吹かし。
マグネイズアンカーのチェックを全て終了した頃…月の気配が去る。
ショーの閉幕の時が来た…。

「マグネイズアンカー!ショオオオオタアアアアアアアイムッ!!!」
ベルゼンラーヴェの目が怪しく輝き機体の隅々ににエネルギーが行き渡る。
アーバレストを起動し加速後更に倍近い推力で撃ち出される右腕のマグネイズアンカー。
鎖を順調に伸ばしながらルナガイストの腰部にぶつかる。
反動でルナガイストとマグネイズアンカーの距離が離れるが…
それをさせじとアンカーが展開し素早く追撃ルナガイストの左肩を掴み締め上げる。
機構の関係上締め上げを行うと同時にシャフトマグネーザーが突き刺さる。
「うおおお!?奴目!日が昇るのと同時に仕掛けたかっ!?名残惜しいが…。」
そう捨て台詞を残してベルウッドはレドリックを放し空間の歪みに消え失せる。
次に現れたのはベルゼンラーヴェの彼女の特等席。
「んん?彼奴の秘書を乗せたか。状況としてはしょうがないが…
余り妾のシートに他人を乗せ続けるような事が有れば…解っておろうな?」
妙に低い声でそう言っていると言う事は…年甲斐も無く嫉妬している節が或る様だ。
そんな状況は関係無しに左腕のマグネイズアンカーも射出し今度は右胸を掴む。
アンカーのアームがギリギリと掴んだ部位を締め上げ、
シャフトマグネーザーが更に傷口を広げる為そこに突き刺さる。
だがこれで終わりではない…。
最後の仕上げとして鎖を素早くウインチで巻き上げさせる事でフィナーレに入るのだ。

250 :Full metal president 44:05/03/18 05:12:40 ID:???
そのウインチの巻き上げスピードは強烈でマグネイズアンカー自体が加速中。
そう言う事で驚異的な突撃という状況になる。
本来はゴジュラスギガ用のこの武器。締めはギガクラッシャーファングになる予定だ。
今回はベルゼンラーヴェと言う事で…キラリと輝く無駄に大きい額の角。
伊達というのにも無理が有りすぎるNブリュンヒルドのブレードホーンだ。
攻撃準備完了時に祖先の仮面を付け直しており突撃の荷重に何とか耐える。
「伊達でこんな物を付けてはいるが…切れ味は保証付きだ!
幾多の敵を切り裂いた必殺の一撃!電光影裡!ハイパーホーンクラッシュ!」
鎖の巻き上げの終了と同時に左袈裟にブレードホーンが駆け抜けた…。

数秒の後にそのブレードホーンの軌道に沿ってルナガイストは切断、爆発する。
当然至近距離に居る為ベルゼンラーヴェの方も被害は避けられない。
時間を置けば再生できるだろうが略行動不能のダメージを受け戦闘システムがダウン。
ゆっくりと海面に降りて行く。
そんな中ルナガイストの胸部の一つが爆音を上げ空中に射出される。
脱出装置が作動したらしい。
「追え!」
その一言と共にナイト・フリューゲル状態のファインをベルウッドは空中に放り出す。
「えっ!?」

ベルウッドは素早く起動バイパスを最接続させAZICBMを射出させる。
当然というタイミングでナイト・フリューゲルはそのミサイルの上にちょこんと乗って居る。
「ええっ!?この展開は…アレ?」
「その通りだ!アレだ!奴のコクピットを落とせ!奴の生死は問わんから…
頑張って逝ってこい!!!」
爽やかな顔で親指を立てグッドラックな顔で見送るベルウッド。
顔とは裏腹に…絶対に嫌がらせだとナイト・フリューゲルは思った。
動き出したら止まらないので一応何故かセットされているコクピットを引っ張り出す。
それに乗り込み何処かの国が昔制作した海中特攻兵器のごとく操作を始める。
目標は…既に数千mの距離に接近していた。

251 :Full metal president 45:05/03/18 05:58:05 ID:???
ミサイルはナイト・フリューゲルの操作で誤差を修正し確実に目標に向かう。
「私の故郷ユミール湖畔の村落には或る風習があってな…
それを成功させると年男として尊敬されると共に村長になる資格を手に入れる。
その方法。度胸試しの演目。それは…”神風特攻”!!!今から私が見せるのは、
ガイロスの漢の魂!当たって砕けるを良しとする無理無茶無謀の漢意気だ!!!」
彼の住んでいたなんともデンジャラスで無茶な村の風習。
実際はチキンレースなのだがこの際脅かすためなので何一つ問題は無い。

「ぬおおおお!?ミサイルが!ミサイルが…ばっ馬鹿な!?ミサイルに奴が乗って居る!
おのれナイト・フリューゲル!この宇宙皇帝に神風特攻をかます気か!?
頼む!宇宙の半分をやるから見逃せ!今直ぐにぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
レドリックは相変らず宇宙皇帝を名乗っている。だが言葉は恐ろしく保身に徹し、
相手に命乞いをしている。何処にこんな後向きな皇帝が居るのだろうか?
その上まだ手にしていない宇宙の半分と言ってきている。
信用できたものではない。色々な意味で駄目な発言だ。
それを無視して迫るAZICBM。何方の言葉も一方通行で相手は聞いていないらしい。

AZICBMの前方がパージされ中味の小型ミサイルが発射されていく。
その影響で一番炸薬が多い本体の重量が軽減され更なる速度の上昇。
小型ミサイルを追い抜いてコクピットに迫るAZICBMの本体。
「スプリットタイム!…そして時は緩やかに流れ逝く…。
まあ…なんだ…とにかくお前と心中は御免だ!逝くか逝かないかは知らないが、
取り敢えず独りで喰らって居ろ…この薄汚い美術品泥棒めがっ!!!」
脱出装置のスイッチを押すナイト・フリューゲル。
普通の時間の流れならぎりぎりアウトな瞬間だがスプリットタイムの効果で、
1回だけ1フレームを30秒に体感させる事ができるため悠々安全圏で脱出する。
「そして…時は本来の流れに収束する。お疲れさまだ…レドリック。」
「おのれ!封鎖術式で爆発のタイミングをずらし…
カレン!ジョシュア!マディエェェェェェェェェェェェェエエエエエエエエ!!!」
誰?と言う様な名前を叫びながらレドリックは飛んで行く。多分無事だろう…。

252 :悪魔の遺伝子 817:05/03/18 13:05:57 ID:???
「なぜ態々そんな事をせねばならん?ましてやあんな小娘相手に・・・。」
「ああ・・・。第一何処かの大会で優勝したなんて話も聞いた事無いしな〜・・・。」
「と言うか、何年か前に試合した事あるけど別に全然強くなかったですよ。」
「確かにその通りだな。あの程度の雑魚Ziファイター等、態々我々4人で協力する
必要など無いだろう。」
4人は口々にそう言っていたが、そこで黒服が始めて笑みを浮かべた。
「はたしてそうでしょうか皆様?確かに貴方方はそれぞれ数年前にマリン=バイスを
完膚無きまで叩き潰していたと言う事は良くご存知です。しかし、それはあくまで
過去の出来事でしかありません。」
「今の奴は違うと言うのか?」
黒服はゆっくりと頷いた。
「その通りで御座います。私に言わせれば奴は貴方方4人の何方よりも強いでしょう。」
「ハッ!何言っているんだお前!」
「寝言は寝て言えよ!」
「たかが数年でそこまで変わったら苦労はしねーよ!」
四人はそれぞれ笑っていたが、黒服は不敵な笑みを浮かべつつ指をパチンと鳴らした。
すると彼の背後からまた数人の黒服が現れたのだ。
「!!」
それには4人はビクッと一瞬硬直した。そして数人の黒服はそれぞれスーツの中に手を
突っ込み何かを出そうとしていたのだ。
「(まさか銃で脅すと言うのか!?)」
4人は青ざめた。が、その黒服達が取り出したのは銃では無く、莫大な金額の書かれた
小切手だった。そして黒服達はその小切手を4人の前にちらつかせるのだ。
「もちろんタダでとは言いませんよ。これくらいの用意はしています。それとも・・・、
4人揃って恥をかきますか?はは〜・・・明後日の朝刊が楽しみですね〜・・・。
“優勝の常連4人がまとめて無名のZiファイターに瞬殺”と書かれた記事が三面の
トップを飾るのでしょうね〜・・・。」
「う・・・・・。」
4人はうろたえた。ここまでする黒服の行動に、彼等も信じざる得なくされていたのだ。
「わ・・・わかったぜ・・・。だが・・・そこまで奴を潰したいのは何故なのか教えてくれ・・・。」
「まあ色々あったのですよ。詳しくは言えませんが、奴は我々ズィーアームズ社に
とって目障りな存在であるとだけ言っておきましょう・・・。」

253 :悪魔の遺伝子 818:05/03/18 13:08:51 ID:???
そうして翌日、バトルロイアルの収録が開始された。そしてテレビ局に貸し切られた
闘技場に総勢5機の出場ゾイドと5人の出場選手が集まるワケだが、その中にマリンの
姿はしっかりとあった。
「う・・・うう・・・。だからホント私嫌なんだって・・・。」
マリンはカンウに乗り込んだ今の状態でもまだ恐怖に打ち震えていた。
「は〜・・・。もうここまで連れてくるの本当に苦労したよ・・・。」
「あとはしっかりやってくれると良いのですが・・・。」
「心配だな〜・・・。」
闘技場には5人の出場選手とは別に、それぞれのチームメイト用にアドバイス等を
送る為に用意された部屋が存在し、その部屋でルナリス等3人は溜め息を付いていた。
どうやら嫌がるマリンをここまで連れてくるのに相当苦労した様子である。
ちなみに、今現在もマリンとルナリスはあの重量装備をしていたりする。

そうして、出場ゾイドが闘技場のそれぞれの配置に付くワケだが、今なお震えている
マリンに他の4人は不敵な笑みを浮かべていた。
「ほぉ・・・。ゴジュラスギガに乗り換えていたか・・・。」
「だがそれで俺達が驚くと思ったら大間違いだぞ・・・。」
「見ろよアイツ震えてやがるぜ!」
「性能の良いゾイドに乗っていてもパイロットがダメな典型だな!」
4人はマリンとカンウを嘲笑っていた。が、彼女はなおも数年前に目の前の4人に
それぞれやられた敗北の記憶に襲われ、震えていたのだ。
「ハア・・・ハア・・・、嫌・・・やめて・・・、私・・・、帰りたい・・・。」
コックピット内で涙を流しながら震えるマリンにカンウも心配そうに声を掛けるが、
彼女の恐怖心が晴れる事は無かった。
『さあさあ始まりました!!オラップ島バトルグランプリ目前企画のバトルロイアル
です!!なお実況は毎度おなじみイチロウ=フルタチ!解説は新Ziプロレスの
シテツ=ヤマモトさんです!!』
『よろしくお願いします。』
「またあいつ等だよ・・・。」
何とまあ今度の試合もまたフルタチ&ヤマモトの最強実況解説コンビの登場となっており、
ルナリスは思わず眉を細めずにはいられなかったが、そんな彼女の事を尻目に試合は
派手なゴング音と共に開始されたのだった。

254 :悪魔の遺伝子 819:05/03/18 13:12:09 ID:???
「よし・・・手はず通りにやるぞ・・・。」
なおも怯え、その場から動かぬカンウに向けて飛び掛かったのはソーダルの
ゼロシュナイダーだった。
「これを食らって斬れなかった奴はいない!!」
シュナイダーは高出力レーザーブレードを展開し、猛烈な速度でカンウに迫る。
『ソーダル選手のゼロシュナイダーがカンウへ迫ったぁぁぁぁ!!
カンウ動けないぃぃぃ!!』
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!」
その時マリンは過去の記憶に襲われていた。かつて目の前のシュナイダーに速攻で
エヴォフライヤーを切り刻まれた憎い思い出を・・・。そして今もまた数年前の様に
シュナイダーがカンウへ襲いかかっているのだ。
「き・・・きゃぁぁぁ!!また・・・またあの時の様に・・・斬られるの・・・?」
マリンは目から涙を流しながら恐怖に打ち震えた。が、その時彼女はある違和感を
感じたのだ。
「あれ・・・、あのシュナイダーの動きってあんなにゆっくりだったっけ・・・?」
彼女は不思議に思った。何故なら目の前のゼロシュナイダーの動きは彼女の記憶に残る
それと比較して格段に鈍く見えたのだ。そして次の瞬間、カンウの腹部を薙ぐと
思われたレーザーブレードの一撃が見事に外されていた。
『おおお!!!カンウがレーザーブレード攻撃を楽々かわしたぞぉぉぉ!!』
「な!!外れただと!!?」
「気にするな!!どうせまぐれだろうが!!」
己の攻撃に自信を持っていたソーダルは驚愕したが、間髪入れずに今度はニノクスの
エレファンダーがカンウへ向けて突撃を開始していた。そしてエレファンダーは背中に
装備したアサルトガトリングユニットのミサイルポッドを撃ちまくりながら
ツインクラッシャータスクを輝かせながらカンウへ迫った。
『今度はエレファンダーがカンウに攻撃を仕掛けるぞぉぉぉ!!』
「まぐれは二度と通用せんぞ!!」
「う・・・うわぁぁぁぁ!!」
マリンはまたも過去の記憶に襲われた。今度はかつて目の前のエレファンダーの
アサルトガトリングでエヴォフライヤーを撃ち落とされた後何度もなぶるように踏みつけ
られたと言う記憶である。が、しかしその一方でまたも彼女は違和感を感じていた。
「あれ・・・?あのエレファンダーってあんなに小さかったっけ?」

255 :悪魔の遺伝子 820:05/03/18 13:14:33 ID:???
今の彼女の目には目の前のエレファンダーが小さく見えた。が、その小さく見えたとは
視覚的に大きい小さいと言う意味では無く、その内面と言うか、器量と言うか、
そう言う点が小さく見えたのである。
「食らえ!!新兵器クラッシャーレーザーツインタスク!!」
アサルトガトリングのミサイルで相手の動きを鈍らせ、長い鼻の先にあるアイアン
クローで捕まえた後にレーザータスクで貫くと言うのがニノクスの得意戦法であった。
が、カンウは最初のミサイル攻撃すら全て回避していたのだ。
「何!!?」
『おおおっとぉ!!カンウはまたもかわしたぁぁぁ!!しかし今度はサラマンダーが
空から迫るぅぅぅ!!』
「地を這うデカブツが私に勝てると思うな!!」
「あああああ・・・・。」
ここまで来るともはやしつこい様だが、マリンはまたも過去の恐怖に襲われていた。
今度のそれはかつて空中戦で目の前のサラマンダーに良い様に遊ばれた記憶である。
が、これまたやはり違和感を感じたのだ。」
「あれ?サラマンダーの動きってこんなにゆっくりだったっけ・・・?」
彼女の感じる違和感を尻目にサラマンダーはカンウへ向けて絨毯爆撃を行った。
が、カンウはバスターロケット噴射による大ジャンプで全てかわしたのだ。
『おお!!凄いぞカンウ!!またも攻撃を回避したぁぁぁ!!』
『今日のカンウはいつにもまして動きが良くなっていますね〜!』
「そ・・・そんな馬鹿な・・・。」
皆が唖然とする中、カンウはゆっくりと着地するが、その場にステルガの
デススティンガーの姿が無かった。
『なんと!!ステルガ選手のデススティンガーが忽然と姿を消したぁ!!これは
どうした事だぁ!!?』
「あ・・・あああああ!!」
もういい加減しつこくなって来たが、マリンはまたも過去の恐怖に襲われていた。
数年前も彼女は今と同じ経験を味わった事があるのだ。あの時も試合中にステルガの
デススティンガーが忽然と姿を消していたのだ。が、それは地中に潜っていたのであり、
その後でマリンの乗るエヴォフライヤーの真下から襲いかかり、叩きつぶされたのだ。
しかし彼女はこれまたやはり違和感を感じていた。

256 :名無し:05/03/18 17:49:18 ID:???
超スピードでギガの体を貫いたのだ!その時はもはやアトルは気を失っていた・・・・・
しばらくしてから気が付いた。トレテスタがいた。
「また戦おう・・・」
とだけ言い残してその場を去っていった。
次の対戦相手はなんとエナジーライガーであった!
だが肝心のパイロットがいなかったのである。そこに一人の青年が立っていた。そいつは
俺を見るなりこういった。
「君が勝つことはできないよ・・・なぜなら人工知能「AI」があるのだから・・・・・・」
と言った。
訳も分からなく頭がこんがらがっている時に試合が始まった!
こちらが攻撃を叩き込むと、その攻撃を分かっていたかのようにかわした。その後も全ての攻撃が
はずれ、一方的な展開となった。
その時だった。一瞬AIユニットが見えた。AIユニットに攻撃を叩き込もうとする
だがはずれる。そこで射撃攻撃をしてみた。そうしたらAIユニットに当たったらしく
前半よりも攻撃が当りやすくなりこちらが有利になった。
そして最後の一撃を食らわせ倒した。
だがアトルはこの大会に違和感を感じていた。この大会は普通に行われたはずが無いということを・・・・・・

257 :三虎伝説 エピソード14 ザ・トリック・ショー後編:05/03/19 12:54:52 ID:???
ゴルドスが吼えた。それに呼応するように翼が激しく青い光を放つ。切り離した火器を踏
み潰しながら一歩、また一歩と近づき始める巨体に蒼い影が飛び掛った。レオストライ
カーだ。やはり、その動きには無駄が無く、荒技のよるダメージはまるで感じられない。
これで決める!ロンが決意を持ってスマッシャーを閃かせる。次の瞬間、会場に悲鳴が
響き渡った。その声は驚きに包まれ壁の崩れる音に消えた。一体、何が起こったんだ?
観客席はどよめきに沸いた。
「攻撃を仕掛けたはずのこっちが逆に吹っ飛ばされた?」
レオストの前足が触れたと思ったら、体ごと引き込まれて気付いたら壁に衝突していた…?
全く何が起こったのかロンには理解できなかった。そして、その困惑を笑うようにゆっくりと
ゴルドスが近づいてきた。マズイ!直感的に体制を立て直してレオストは大きく間を取った。
「おいおい、逃げる気か?終幕には早すぎるぜ?それとも、今のでもう、ビビっちまった
ってか?とんだ御笑い種だな!!ハハハハ!!!」
挑発。以前のロンならあっさり乗っていただろうが今は違った。訓練に訓練を重ねてきた
自分の目から見れば、何かカラクリがあるとすれば今の状況からして接近する事が発動
条件の1つのはず。それならば間を取って様子を見る。これが正しい判断だ。…だが、様
子を見るも何も今までと明らかに違う点は背中で大きく広がっているマグネッサーウィング、
これしかなかった。ならば、やることは決まっている…!ロックの解除音を響かせて肩の
ミサイルポッドが開いた。狙いを定めてトリガーを引く。目標はマグネッサーウィングだ。誘
導機能付きのミサイル。ゴルドスの鈍い動きじゃ避けられ無い攻撃。さっきのレオストと違っ
てバラバラになる事も出来まい。


258 :三虎伝説 エピソード14 ザ・トリック・ショー後編:05/03/19 12:56:57 ID:???
「やっぱり目立つよなぁ、この羽は…。」
操縦桿から手を離して目を瞑るダム。まるで勝負を捨てたかのような振る舞いだ。やはり
この攻撃は避けられないのか?いや、そんな事は無い…。ミサイルがマグネッサーウィン
グに近づいた瞬間、突然それまで描いていた綺麗なラインを屈折させた。誘導ミサイル自
ら羽を避けたのだ。そして羽の形に沿うようにして見当違いの方向に墜落。それと同時に
虚しくゴルドスの背後で鳴り響く爆音。その一連の動きにロンは下唇を軽く噛んだ。
「誘導磁場…だって?そんな機能まで生み出せるとは…そのゴルドスの羽、従来のマグ
ネッサーウィングの機能ではないな!!」
その言葉にダムはこめかみを掻きながら軽く笑った。
「ご名答だぁ。ふん、だとしたら次はどんな手で来る?普通の手は勿論通じないぜ?」
「ちっ、なら…!」
間を空けていたレオストが一気に距離を詰めた。足元に滑り込みながらザンブレイカーを
閃かせる。狙う先は重い体重を支える間接部。一撃必殺の急所撃ち、だがその切っ先は
間接ではなく、虚しく空を切った。滑りぬけるレオスト。目の前にあった巨体が消えている?
急いで周囲を探索するレオ。
「上だ!」
地面が吹き飛んだ。ゴルドスのメガトンプレス攻撃だ。何とか避けられた。観客の声に咄嗟
に反応しなかったら危うくレオストも金属の塊と化すところであった。
「運が良い奴だ。まあ、そうでなくては面白くないが…。」
ゴルドスが急回転した。不可解な攻撃の繰り返して神経を消耗していたロンはその攻撃を避
けきれなかった。またも吹き飛ぶレオスト。受身を取ってダメージを軽減するが、精神的ダメ
ージは拡大する一方だ。
「跳び上がったかと思えばテイルアタックだって?T−REXタイプとは訳が違うんだぞ…。あの
マグネッサーウィング、まさかあのサイズでゴルドスの体重を支えきれるのか…?」
「普通の手は気かないって言ったろうが…。次はもうちょい考えな!」
「くっ!」
劣勢に立たされたロンに追い討ちをかけるようにビーッ!ビーッ!とアラーム音がなった。被害
が大きすぎてシステムブロックの1つがダウンしたのだ。
「ちぃっ!」
舌打ちをしてシステムブロックを1つ切り離すロン。全体的な性能低下は否めないが、ダウンした
ブロック等錘にしかならないのは分かっていた。


259 :三虎伝説 エピソード14 ザ・トリック・ショー後編:05/03/19 13:00:36 ID:???
「万事休すだな、坊主!」 
「く、正しくその通りだ。一体、どうすれば…。」  
その時、ロンはふとZOITECでのDAL戦を思い出した。今の様子はあの時と似てい
る…そうだあの敗北の後誓った事、それを忘れそうになっていた。その後の訓練
や戦いの日々で俺は見つけたじゃないか…どんな時でも変らない自分自身を!
「…そう、俺はどうする必要も無いんだ。」
そのロンの一言にダムは眉をしかめた。
「はぁ?どうする必要も無いだと?自分の状況がわかららいわけじゃないだろ?
それとも、勝負を諦めたってのか?ならさっさとリタイヤしな!戦意を喪失した奴を
痛めつけたって面白くも何とも無い!しかし、この程度で…俺の目も霞んじまってたって事か…。」 
そのダムの口調からは先程のような挑発的な雰囲気は消えていた。
「戦意を喪失?何を勘違いしてるんだ…?」
「あぁ?」
「どうする必要も無い。そう、俺が掴むのは勝利だ。戦いの中での勝利だ。そして、
そのためには戦うだけだ。小細工はいらない。その中でどうする事も無い。ただ戦うだけってことだ!!」
レオストはボコボコになった装甲を全て脱ぎ去った。最早機能していないと判断し
たのか?それとも体重を少しでも減らしてブロック一個分の負担を考えたのか?
…答えはどちらでもない。全ては無意識の行動。試合開始直後と同じ、無の心を
取り戻したのだ。もう、常識だのなんだのを考えて驚きやしない。そう、勝てば良い。
ただ、勝てば良い。今、彼にあるのはそれだけだ。
「何を訳のわからんことを言い始めたと思ったら…うおぉ!?」
レオストがゴルドスの足に風のように飛び掛った。ゴルドスはその余りにも早い身のこ
なしに反応しきれず、遂に足に絡みつくのを許してしまった。
「ちっ、変な作戦に乗っちまったぜ…だけどな、俺達を舐めるなよぉ!!」
レオストに足を喰らいつかれたままゴルドスは飛翔し、空中で回転を始めた。凄まじい
振動にレオストの体は次第にきしめき始める。だが、レオストは離れようとはしない。
「しぶとい奴め!」

260 :三虎伝説 エピソード14 ザ・トリック・ショー後編:05/03/19 13:02:55 ID:???
…ズドン!急にゴルドスは回転を止め、地面に落下した。物凄い勢いで砕け散るリングの
底に叩きつけられるレオスト…だが、未だその姿は健在だ。
「ふ、ふん。化け物みてぇな根性じゃねえか。だ、だが、これならどうだぁ!?」
今度は宙返り。前足のみを投げ出して地面に激突させる。体はひっくり返ったまま宙に浮
いている。もはやゴルドスでなくても十分おかしい動き…完璧に一般の重力の法則を無視
していると言って良いだろう。これでは流石にロンも…。
「ど、どうだ!お驚いただろ!強化型マグネッサーシステム+最新技術のグラビティーホイ
ールシステムのあわせ技は!?」
「へぇ。こりゃ凄い。」
「何ぃ!(ま、まさか無事なのかぁ!?しかも、反応それだけ!!??)」
レオストはぶら下がった足の先からバラバラになったボディを終結させ、さっと逆さになって
露になった最大の弱点である腹部に駆け上った。
「ま、ある意味驚きだよ。自分からベラベラと種明かしするんだからな。手品やってるわけじゃ
ないけどな。まあ、これで終わりだよ…。」
「な…馬鹿にしやがってぇ!ま、まだだ!!まだ勝負はついちゃいない!!」
急いで体制を戻し始めるゴルドス。だが自慢の背びれが地面に引っ掛かって上手くいかない。
「ち、畜生!こうなったら蹴りで…」
次にゴルドスは四つの足をばたつかせ始めるが、その短い足が腹の裏まで届くはずが無かった。
「もう無理だって。この体制に入ったのが運の尽きだったってことだ…あばよ!ミスター。」
レオストは爪を光らせて腹部を軽く抉り、マルチプルキャノンを放った。爆発音と共に青い光を失い、
背びれから羽から背中に集まった全ての飾りを砕きながらゴルドスは逆さまのままの無様な姿で
地面に沈んだ。


261 :三虎伝説 エピソード14 ザ・トリック・ショー後編:05/03/19 13:04:22 ID:???
直後にバトルオーバーの鐘が鳴り響いた。バトルの終わりを示す鐘の音だ。
その音を聞くとロンは静かに拳を上げて操縦席で気絶した。もう、ヒーローアピールをする余力は
残っていなかったようだ。愛機、レオストライカーも同じく、その音を聞くとゆっくりと眠りについた。

…その一方で、この戦いの後、逆さになって気絶する姿が
「ミスタートリッキーと言うよりはピエロだった。」
との救護班の証言がきっかけでミスターピエロなどという、まるで敗者のために用意した罰のような
愛称が生まれるという事をこの時、ダムはまだ知るよしも無かった。

262 :荒野の少年13:05/03/19 20:42:51 ID:???
エナジーライガーをさっさと倒して準決勝に行った。だがやはり気になる・・・・この大会が・・・・・・・・
まるで自分の実力を見られているような気がする・・・・
そんなことは置いといてトーナメント表を見た。すると・・・・・・
なんと相手がウルトラザウルス(!!!)であった。
「なんだそらァ!?」
驚きのあまり、また失神してしまった。そしてそのパイロットは共和国軍大佐、アルベルトだった(これも驚いた)
そしてついに試合が始まった!
動きの遅いウルトラをどんどん攻撃していく。だが全く傷もついていない。
その時、
「ドコオオオオオオン!!!!!!」
耳をつんざく爆音がなった。荷電粒子砲の比では無い、リニアキャノンだ・・・・足元を見ると直径300Kmの穴が!
恐ろしいパワーと硬い装甲をあわせ持つ怪物ウルトラザウルス厄介だ。
弱点としたらただひとつだけ、それは動きの遅さである!
だが仮に連続攻撃を仕掛けたとしても防御力が高すぎ、モタモタしている間にやられてしまう!
だとしたら最後に残された手段は必殺技である・・・・
完全に操りきれていない物のそれしかなかった
果たしてアトルは怪物ウルトラザウルスを打ち破れるか!?

263 :悪魔の遺伝子 821:05/03/20 11:07:16 ID:???
「あれ・・・、あのデススティンガーって・・・、こんなバレバレな隠れ方してたっけ・・・?」
今の彼女には地中に潜ったデススティンガーの位置が手を取るように分かっていた。
対地中レーダーとかそう言う問題では無い。彼女自身がステルガとデススティンガーから
発せられる殺気と気配を探知する事が出来ていたのだ。そしてそんな事も知らない
ステルガはデススティンガーの両前足のレーザーシザースでカンウに襲いかかったのだが、
これもまたカンウにやすやすかわされてしまった。
『おおっとぉ!!ステルガ選手のデススティンガーは地中からの奇襲をかけた
ワケですが!!これまたカンウに回避されてしまいましたねー!!』
『やはりカンウは凄いです!』
「な・・・何故だ・・・。何故・・・。」
「あの黒服の言っていた事は本当だったと言うのか?」
攻撃をことごとく回避したカンウに皆は唖然としていたが、唖然としているのは
マリンも同様だった。
「あ・・・れ・・・?あの人達って・・・、あんなに弱かったっけ・・・?」
「それはお前が強くなったからじゃないのか?」
「え・・・?」
ルナリスからの通信に彼女は口をあんぐりと開けた。
「考えても見ろ。例え奴らがお前にトラウマを与える程絶望的な戦力差でお前を
叩きつぶしていたとしても、あくまで過去の出来事にしか過ぎないじゃないか。
今までお前や私が戦って来た相手の事を思い出して見ろ。マーライガー、デカルト
ドラゴン、メガセイスモサウルス、サタンザウラー・・・、連中と比べたら目の前の奴等など
本当に可愛いもんだろうが!」
「そ・・・そう言えば・・・。」
マリンは自分が恥ずかしかった。過去の恐怖にとらわれ、現実が見えていなかった
自分がバカだと思ったのだ。
「そ・・・そうだよね・・・。本当に恥ずかしいよ自分が・・・。だからいつまでもお父さんや
ハガネさんにバカにされるんだ・・・。」
「ならばよ・・・。叩きつぶしちまえば良いじゃねーか・・・。」
「そうだね・・・。」
マリンとルナリスは互いに見つめ合い、そして笑みを浮かべた。

264 :悪魔の遺伝子 822:05/03/20 11:08:45 ID:???
「おっしゃ!ならば行って見ようじゃないの!!」
恐怖とトラウマを克服したマリンは笑みを浮かべて操縦桿を前に傾けた。そしてそれに
呼応する様に巻き起こるカンウの咆哮は何処か歓喜の叫びにも感じられた。
『おおおっとぉ!!カンウが一歩前に出たぞぉぉ!!これからカンウが攻撃に
入るのかぁぁぁ!?』
『それだけではありませんよ。ついさっきまでまるで何かを怖がっていた様に
ビクビクしていたマリン選手もまるで何か吹っ切れた様に平静を取り戻していますよ!』
「ぬああああ!!それがどうしたぁぁ!!」
「ぶっつぶしてやる!!」
他の4機はカンウへ向けて一斉に砲撃を開始した。夥しい数の各種ビームが、
砲弾が、ミサイルが、轟音と共に連射され、カンウへ襲いかかり、カンウは
たちまち爆煙に包まれた。
「それにしてもルナリスさん。何かおかしいと思いませんか?」
「ん?」
ミレイナの言葉にルナリスは目を彼女の方へ向けた。
「どうした?何か変な事でもあるのか・・・?」
「嫌、変じゃありませんか。だって他の4機がみんなよってたかってマリンさんに
集中攻撃かけてるじゃありませんか。」
「それは僕も思いました。これは絶対何かありますよ。」
ミレイナに続き、ビルトも心配そうにそう言っていたが、ルナリスは別に戸惑った
表情はしていなかった。
「他の全機が一気を集中攻撃するのはバトルロイアルでは良くある事だ・・・。
だが試合開始早々にあった連携等を見る限り、確かにお前達の言う通り何かあるのかも
知れない。と言うより事前に打ち合わせていたとしか思えない。が・・・、だとしても
マリンがあんな奴らに負ける事は無いだろう?現にカンウはこれっぽっちもダメージを
受けてはいないだろう?」
「え?」
「あああ!!」
ルナリスの言った通りだった。確かにカンウは4機の砲撃を真っ向から受け止めていた。
が、所詮はそれだけの話であり、その爆煙を割ってほとんど無傷のカンウが
飛び出してきたのだ。

265 :悪魔の遺伝子 823:05/03/20 11:10:35 ID:???
『凄いです!!あれ程の砲撃を受けながらカンウはビクともしていません!!!』
「な!!何だとぉ!?」
「そ・・・そんなバカなぁ!!」
「何故だ!!何故あんなザコがこんなに強くなる!!」
「俺達は長年ゾイドバトルを経験してきたベテランだぞ!!何故あんな小娘に・・・。」
4人は驚愕していた。が、マリンは笑みを浮かべながら言ったのだ。
「雑魚?誰に物を言ってるの?言っておくけどね・・・。貴方達とは潜ってきた修羅場が
違うのよ私は!!!この顔に輝く二つの傷がその証よ!!」
「そう言えば本当に傷が付いてるぅぅぅぅ!!」
確かにその通りかも知れない。確かにゾイドバトルの経験と言う意味ではマリンは他の
4人に遠く及ばないのかも知れない。しかし戦い、勝利してきた敵の強さや潜ってきた
修羅場と言う意味で考えれば、生きるか死ぬかの戦いを経験し、物凄い大部隊や
恐ろしい怪物ゾイドと戦って来たマリンのそれは4人を遙かに凌駕していた。
ちなみに彼女の顔の二つの傷は旅に出た後の賞金稼ぎ業の際に出来た物であり、
それ以前の出来事である4人との戦いの際には傷は付いていなかったりする。
「今度は私が貴方達に恐怖とトラウマを与える番よぉぉぉぉ!!」
カンウはバスターロケットで飛び上がった。そして上空のサラマンダーを追撃した。
「バカが!!空中戦で私に勝てると思ったかぁ!!って速!!」
マントゥレイは驚愕した。カンウの飛行速度は彼女の想像を遙かに凌駕していたのだ。
「ふざけるなぁ!!その位でぇ!!」
サラマンダーの火炎放射がカンウを襲った。が、その火炎がカンウに届く前にカンウが
超火炎放射砲ギガファイヤーで返して来たのだ。
「え!?えええええええええ!?」
灼熱の火炎に包まれたサラマンダーはたちまち墜落して行った。
『マントゥレイ選手のサラマンダーが脱落です!!しかし空中のカンウを
エレファンダーのミサイルが襲うぅ!!』
フルタチの叫ぶ通り、カンウをロックオンしたエレファンダーのミサイルが綺麗な
放物線を描いてカンウへ突き進んでいた。が、カンウは回避行動を取らず、あろう事か
空中で両手を振り回し始めたのだ。

266 :悪魔の遺伝子 824:05/03/20 11:12:53 ID:???
「ハッハッハッハッハッ!!お前何やってるんだ!?子供のだだっ子の
つもりかよ!!ってえええええ!?」
その時誰もが唖然とした。カンウへ突き進んでいたはずのミサイルが途中で何か
見えない刃に斬られたかのように真っ二つとなり、爆発四散したのだ。
『おおっとぉ!!これはどうした事かぁ!?ミサイルが空中分解を
起こしたぁぁ!!』
『これは竜王真空横一文字の応用ですよフルタチさん。』
『竜王真空横一文字とは一体何ですかヤマモトさん!』
『マリン選手が中央大陸拳法総本山である竜王流の技も使える事は良くご存じですが、
その中の技の一つです。簡単に言うなれば、カマイタチ現象を起こす事によって
離れた対象を切り裂く技なのです。』
古武術にも精通したヤマモトは冷静に解説をしていたが、マリン等を除く皆は全く
ワケが分からなかった。
「ふざけるなぁ!!まるで漫画みてぇなワケわからん事しやがって!!俺ぁ!!
そう言うネット用語で言う所の“厨”っぽいのは大っ嫌いなんじゃぁ!!」
エレファンダーはミサイルに加え、今度はノーズ部分に装備したAZ60ミリハイパー
レーザーガンをも撃ちまくった。が、やはりマリンとカンウは全く動じている様子は
無かった。
「ワケが分からないなら普通に格闘で潰してあげようか!!?」
カンウはバスターロケット全開で急降下を開始した。己そのものをミサイルと化し、
エレファンダー目がけて突っ込んだのだ。しかし、エレファンダーは慌ててその場から
逃げ出した為、その体当たりは不発に終わり、それどころかカンウは思い切り地面に
頭から突っ込み、大穴を開けていたのだ。
『ななななんとぉぉぉ!!カンウが自滅したぁぁぁ!!死なないでくれ
死なないでくれマリン選手と叫びたぁぁぁい!!』
「は・・・はは・・・。バカだコイツ・・・。勝手に自滅しやがった・・・。」
と、胸を撫で下ろしながらニノクスが笑い出そうとした時だった。
突如として闘技場に原因不明の地震が発生し、エレファンダーが体勢を崩したのだ。

267 :Full metal president 46:05/03/21 00:22:21 ID:???
「…と言う事で取り敢えずは終わったが。どうしようもない状況だ…。」
視界よりレドリックが消えミサイルの爆風でシートから投げ出されてはいるが、
彼にとってはどうでも良い事だ。アホ魔族が勝手に弄り回しできた翼。
これに磁力反発性質を術式で付加すればマグネッサーウイングの出来上がり。
これなら幾ら海面まで数千mの距離が有ってもグライダーの滑降の様に降りる事が可能。
彼自身の保身なら万全だ。

遠くで小さな点が突然現れる。多分レドリックのパラシュートだろう。
彼の過去の仕事の関係上あれぐらいの装備なら確実に保有しているだろうし、
その犯罪履歴を何処かで消して元老院の筆頭にまでなった男なら準備は怠る筈が無い。
だが少なくとも今の内はレドリックを戦線から排除できた事が重要で、
残る残存の元老院筆頭は2人。
銃士カサンドラ=エロール議員と無効術士サーレント=エロール議員。
先天的な素養を持った姉弟の魔術師。本質的には議員として必要でない力。
それを持て余したまま元老院の半分を一つの血縁で支配した彼女たち…
若くしてそれを上り詰めた事が今回のクーデターの直接の原因だった。
こんな事が誰に理解できるのであろうか?だからこその今の状況なのであろう。

「こんな素性に深い者しか解らない事が原因ではPG7でも察知は無理ですね…。
調べてくれたゲンジクさんにはフライドチキンの詰め合わせでも持っていきましょう。」
RG7(Republik Guardian 7)の情報網にも掛からない事は家族間の問題…
その様な個人のプライベートを根幹にする近況の情報ぐらいしかない。
そこにクーデターの計画があれば調べようも無い話である。
それも日々の暮らしや社会的な地位に問題無い人間からの発言はスルーされがち。
見事に裏を掻かれた結果と言えるだろう。
「正に誰も本気で言っているとは思わなかった…と言った所でしょうね。」
滑降に疲れたのかファインはパラシュートを展開させそれに身を任せる事にした。
雲を抜け眼下に朝焼けに煌めく海原が美しい情景を見せる。
そこに有る黒い点はベルゼンラーヴェ。既にマグネイズアンカーユニットは転送され、
機体本体のみが波間に揺れて浮き沈みしている…。

268 :Full metal president 47:05/03/21 00:57:09 ID:???
突如海面に現れる巨大な艦影。
どうやら事の起こったのを見て引き返してきたらしいトライアングルマンタレイ…
今回は目的は達成したが作戦自体は失敗と言うのが結果だろう。
ベルゼンラーヴェに降り立ったファインは巨大なエイの様子を伺う。
「お待たせしました。ゲンジク議員の命によりお迎えに上りました。
昨日は敵同士でしたが今回はゆっくりしていてください。」
メリーの声が聞える。それと同時にトライアングルマンタレイの上部ハッチが開き、
中から牽引用のクレーン等が顔を出してくる。

「まあ…お疲れでしょうから御茶でも如何ですか?」
メリーに勧められて士官用の個室で4人で茶を啜る。
その4人は艦長のメリー、副官のクリウス、客その1ベルウッド、客その2ファイン。
不思議な取り合わせだ。メリーやベルウッド達はごく自然に茶を啜っているが、
クリウスだけは緊張でガチガチに固まっている状況。
「かっ…かっ…かか艦長?何故そんなにまったりとしていられるので?」
その言葉に、
「そう?軍人なんて職業よ。こう言うふうな事は良くある事、
特に海軍なら捕虜の収容やら難民の救助は当り前の仕事よ?
何度でも有り得ることなのだから…今の内に慣れて置くと良いわ。」
「こ…答えになっていないですよ!艦長!」
どうやら聞きたい事が違ったらしい…。

「はあ…そう言う事でしたか。」
クリウスはほっとして胸をなで下ろす。彼女の話では元々面識が有ったらしい…。
しかも縁は深いようだ。後でこっそりクリウスはファインに聞いたらしいが、
家出をして彼等の家に転がり込んだ事も在ったらしい。
しかしならばそれでメリーがどれだけ軍属として優秀であるかも伺い知れる事にもなる。
知人や家族相手に平気な顔をして作戦行動を執れる指揮官。
それで海軍最高の作戦立案能力と実行能力…数年以上も艦長席を譲らない、
それはもう当たり前の事。メリー以外にはその席は預けられないという事だ。

269 :三虎伝説 エピソード15 ストロンガー:2005/03/22(火) 00:44:47 ID:???
目を開けるとそこは場内に設置された医務室のベッドの上であった。そして傍らには大柄
の女性の姿。その女性はロンが目を覚ました事に気付くと顔をしかめて見下ろすように目線を向けた。
「ようやく、起きたみたいね。」
「教官?…そうか、俺あの戦いで気絶したんだっけ。」
「そうよ。一回戦目から気絶したのよ、アンタ。全く未熟にも程って物があるでしょ。次の試
合までは一日しか間が無いのにゾイドもパイロットもボロボロじゃない。…修理は急がせ
てるけど間に合う保証は無いって話だよ。」
「仕方ないだろ?相手が強敵中の強敵だったんだから。」
「アレが強敵中の強敵?そんな事言っていたら次の相手には絶対に勝てそうに無いわね。」
「次の相手?」
ロンは時計に慌てて目をやった。
「11時43分…二回戦開始時刻からまだ13分しか経ってないみたいだが、もう勝負がつい
たのか?よっぽど実力に差があったんだな…。で、どういう対戦カードだったんだ?」
「カードくらい普通チェックしておくモンなんだけど…まあ、そう言っても仕方ないわね。組み
合わせはゴジュラスとゴジュラスギガ。同系列の新旧対決だったわ。」
「ゴジュとギガ?どうりで瞬殺なわけだ。」
「あら、どうしてゾイドの名前を聞いただけで瞬殺に繋がるのかしら?」
「そりゃあ、ゴジュラスギガとゴジュラスの性能差はゴジュラスとゴドスのそれに匹敵するほ
ど大きく開いたもんだからな。狭いリングで一対一じゃゴジュラスに勝ち目は無いだろ。」


270 :三虎伝説 エピソード15 ストロンガー:2005/03/22(火) 00:45:21 ID:???
「それじゃ、まるでギガが勝ったみたいな言い方ね。」
「はぁ?だからギガがゴジュを瞬殺したんじゃないの?」
「ふぅ、それなら次の対戦相手を絶対に勝てないなんて持ち上げたりしないわよ。ギガ対策
に高機動の小型ゾイドってのは有効だしね。」
「じゃあ、本当にゴジュラスが勝ったのか?しかも瞬殺で?」
「そうよ。その通りよ。だから私も不機嫌なのよ。そんな化け物を次に控えて居るにも関わら
ず、アンタ等はこんなだらしない状態だし。」
「…弱ったなぁ。で、どうやって勝ったんだよそのゴジュラス。戦術が見えれば何とかなるかもしれない。」
「首を吹っ飛ばしたのよ。」
「へ?どうやって?」
「ギガの攻撃を全て受け流して喉笛に腕を突っ込んで内部から首を引き千切ったの。」
「受け流しただって?デスザウラーの装甲をも裂く爪を?不可能だ。」
「そう、そこが彼の凄い所なの。攻撃は確かに致命傷に成りえるクラスの破壊力を持っていた
…急所に当たればね。だけど彼は相手にその急所を狙わせなった。いわゆる急所外しって奴
をやったわけね。しかも、ただ急所からずらすわけじゃなく爪の食い込みやすい場所…つまり
一度攻撃したら中々抜け難い所に攻撃を誘導して相手の身動きを封じたのよ。」
「ふ〜ん。要するにその手の荒っぽい戦術には慣れてるって事か。だけど、そこまで接近したん
なら当然アレを避けては通れないはずだが、どうやってクリアしたんだ?」


271 :三虎伝説 エピソード15 ストロンガー:2005/03/22(火) 00:45:56 ID:???
「アレ…牙の事ね。確かに接近してアレを喰らったら急所も何も関係無く一発でアウトになるわね。
だけど、ここでも彼は機転を効かせて…とは言え無いかもしれないけど、とにかく凄い方法で顎を封じたのよ。」
「凄い方法って?」
「…んーと、先に言っておくけど凄いには凄いけど真似は絶対にしちゃ駄目よ。さっきの続きから話
すわね、当然ギガのパイロットも腕を封じられたんで大顎を開いてゴジュラスの首を狙ったの。そこ
から噛み付けば上半身を丸ごと噛み砕く事も可能だからね。それに対してなんとゴジュラスのパイ
ロットは、頭をギガの口の中に突っ込んで対抗したのよ。」
「頭を突っ込んだ?確かゴジュラスのコクピットは頭…しかもキャノピー式だよな。」
「そう、だから絶対に真似しちゃいけないって言ったの。彼の場合はその迷いの無い強い意思のおか
げで頭を奥まで捻じ込めたから良かったものの、少しでも躊躇すれば牙の餌食になってしまうからね。
で、後は最初の通り。おそらく彼はギガに勝つためには一発で機能を停止させられるこの方法が1番
だと思ったのね。私ならもうちょっとスマートに行くんだけど。」
「技術・精神・閃き、全てにおいて完璧…相当の熟練者ってことか。で、そのゴジュラスのパイロットの
名前は?そんなスゲェZiファイターの名だ。覚えておきたいんだ!」
「あら、そういえばまだ名前言ってなかったっけ?彼の名はグラント…そう、グラント・アベールよ。」


272 :悪魔の遺伝子 825:2005/03/22(火) 10:01:48 ID:???
『おおおっとぉぉぉ!!いきなり地震が発生だぁぁぁぁ!!
これは一体どうなっているのかぁぁぁぁ!!』
「うわぁぁぁ!!何故いきなり地震がぁぁぁ!?」
と、その時だった。体勢を崩したエレファンダーの足下の地面から何かの腕の
様な物が現れ、エレファンダーの足を掴んでいたのだ。
「うわぁぁぁ!!何だぁ!!地震の次はゾンビかぁぁぁ!!」
いきなり地中から現れた腕に皆は戸惑っていたが、その腕はゾンビの物では無く、
カンウの物だった。そもそもカンウが地面に突っ込んだのは初めから計算に
入れていた事なのである。そして今カンウは地中にいる。そしてそれこそが
ハーデスから学んだ地中戦特訓の成果だったのだ。
「うああ!!気味が悪いぃぃぃ!!放せ放せぇ!!」
ニノクスは操縦桿をやたら滅多等に動かし、その場から逃げようとするが
エレファンダーの足を掴んだカンウの手は全く放れず、逆にその腕をエレファンダーの
足に引っかけてきたのだ。
「テコの原理を上手く利用すれば小さい力で大きな威力を・・・。」
                 バキン!!
その瞬間エレファンダーの足がたやすく折れた。ちなみに言わせてもらうと、
カンウが力任せ折ったのでは無い。父マイルから学んだテコの原理に基づいて磨きを
かけた関節技によって、ほとんど力を掛ける事無くその足を折ったのだ。
「うああああ!!何だこりゃぁぁぁ!!」
金属の折れる音が闘技場中に響き渡り、4つの足全てを折られたエレファンダーは
その場に倒れ込み、リタイヤとなった。
『おおおお!!どうやら地中に潜ったらしいカンウがエレファンダーを
いともたやすく倒した様子ですよぉぉぉ!!!そして残るステルガ選手と
ソーダル選手の渋い顔ぉぉぉぉぉ!!』
「くそぉ!!だが地中戦ならこっちの方が上手である事を教えてやる!!」
デススティンガーが物凄い速度で地面に飛び込み、そのまま土煙を周囲に
撒き散らしながら地中へ潜って行った。もちろん目指すはカンウである。
「この地中を貴様の墓標にしてやる!!」
そしてその直後だった。地中から重金属のぶつかり合う様な鈍い音が何度も響き渡った。

273 :悪魔の遺伝子 826:2005/03/22(火) 10:04:52 ID:???
『おおっとぉぉぉ!!地中から凄い音が響き渡っております!!
激戦を予想させます!!』
『一体どちらが勝つのでしょうかね〜・・・。』
地上にまで強く鳴り響く轟音に、皆が緊張していたその直後だった。
突如として地面を吹き飛ばしながら地中から何かが飛び出してきたのだ。
『おおおっとぉぉ!!突然地中から何かが飛び出してきましたよぉ!!
これはカンウか!?デススティンガーかぁ!?』
「い・・・一体どうなっている?」
激しい地中戦を見守る事しか出来なかったソーダルは唖然としていたが、土煙が晴れた後、
皆の目に飛び込んできたのは全身の装甲がメタメタにひしゃげられた
デススティンガーの姿だった。
『おおおっとぉぉぉ!!負けたのはデススティンガーだぁ!!凄いぞカンウ!!』
「そ・・・そんなバカな・・・。」
ステルガとソーダルは愕然としていたが、その後で先程デススティンガーが
飛び出してきた穴からカンウがゆっくり這い出て来たのだった。
「一応手加減してあげたから感謝してね!」
「何が手加減だぁ!!」
穴から這い出ようとしていたカンウに出来たスキを突き、ライガーゼロシュナイダーが
飛び出した。そして各部レーザーブレードをきらめかせたのだ。
『今度はゼロシュナイダーが突撃だぁぁぁ!!しかし今のカンウはまだ穴から
出られないぃぃぃ!!』
「その状態でこの一撃をかわせるかぁ!?」
「かわす必要は無いよ。」
「え?」
ゼロシュナイダーのブレードがカンウの首を切り落とすと思われたその時だった。
カンウの右腕がブレードの平らな面を下から上へすくい上げるように叩き上げ、
ブレードの軌道を変えたのだ。

274 :悪魔の遺伝子 827:2005/03/22(火) 10:08:51 ID:???
「それだけ一方向に力が集中していれば別方向からの影響をモロに
受けやすいでしょう?」
「何ぃぃぃぃ!!」
『おおおお!!カンウがまたも凄い事をやったぁぁ!!』
『ブレードを寸前で払うとはやりますな。』
ブレード攻撃を払われたシュナイダーはそのままカンウの背後へ素通りして行く形となり、
慌てて反転するもその時にはカンウは地中から完全に這い出ていた。
「くそ!!ならばもう一度だ!!」
ゼロシュナイダーはまたも突撃を加えた。しかも今度のそれは頭部のブレードを
一点に集中して敵を切り裂き貫く最強の武器“ファイブレードストーム”である。
しかし、並みの者にとっては猛烈な速度に見えるそれも、マリンにはスローモーションに
見えていた。そして案の定ファイブレードストームを体を反らすだけの動作でかわすと、
ステルガとソーダルへ向けて言ったのだ。
「そうだ!貴方達に面白い物を見せてあげましょう。」
「面白い物だとぉ!?」
するとカンウは背中から円盤状の物体が二つくっ付いた様な物を取り出した。
『おおおっとぉぉぉ!!!カンウが背中から何かを取り出しましたよぉぉぉ!!』
『あれは一体何なのでしょうかね・・・。私にも検討が付きませんよ。』

「ほぉ・・・。マリンの奴もうあれを使うのか・・・?」
「しかし、あれを実戦で何処まで使えるのか気になりますね。」
カンウが取り出した正体不明の物体に皆は困惑していたが、ルナリス等関係者は別であり、
3人は笑みを浮かべていた。

275 :荒野の少年14:2005/03/22(火) 20:59:51 ID:???
必殺技を出すことを決めたアトル。ブレードを展開して空中でなんと超スピードで縦回転し、
そのまま地面を歯車のように突っ走り、更にはリニアキャノンの砲弾までも切り裂き、
ウルトラザウルスを切り裂いたのだ!一撃でウルトラザウルスは崩れ落ち、勝った。
決勝戦までついにきた。だがそのチームの内容はなんと!デスザウラー(!!!!!!)&キメラドラゴン
だったのだ!
その時、アルベルト大佐が、
「またしてもおまえか!ベルクテッド!」
ベルクテッドはゼネバス帝国の摂政である。
試合が始まったその時、
「合体!デスザウラーキメラフォルム!!!」
なんとデスザウラーとキメラドラゴンが合体した!
合体しただけではない!速度が90Kmから300kmになった
交わしたいが交わせない!苦戦し、さらには全くこちらの攻撃に動じない。
そして、
「死ねえええええ!小僧おおぉぉぉ」
なんと目の前に荷電粒子砲が来た!
だがその時、一つの青きゾイドが荷電粒子砲を貫いたのだ
それはマトリクスドラゴンだった。
そのパイロットはライバルのキールだった!


276 :荒野の少年15 :2005/03/23(水) 14:34:22 ID:???
デスザウラーCF(キメラフォルム)を前にして苦戦するも、キールのマトリクスドラゴンが現れ、命拾いした。
「なぜ俺を助けた!?」
そう聞くとキールはこう返した
「お前はおれのライバルであり、また、お前は俺の最大の仲間だ・・・・」
どうゆう意味か分からなかったが、とにかく二人で戦うこととなった。
連続で攻撃を繰り出すものの、全く効かない。絶望の淵に立たされついには
荷電粒子砲の雨と化した。ゾイドコアのダメージが非常に大きく、
もうすでに崩壊寸前だった。その状態で荷電粒子砲を撃たれたら・・・・
最悪の事態は免れない。とにかく逃げ切るしかなかった。
だがついに恐れた事態が来た!デスザウラーの口が輝き周辺を襲った。
ワイツタイガーとマトリクスはもはや反撃する力も無くなっていた。
「貴様らは所詮デスザウラーの前ではウジムシ同然なのだよ」
そうベルクテッドが言った。だが
「ウジムシはお前のほうだ!」
と二人は返した。
「負け惜し・・・・・」
その言葉を言い終わるまでも無くなんとワイツタイガーとマトリクスが輝き出した。
その光に包まれた。そしてベルクテッドは目を疑った。
なんとワイツタイガーとマトリクスが合体したのだ!
「zIユニゾン!ワイツタイガーマトリクス!」
そしてアトルは言った。
「さあ!勝負だ!死竜デスザウラー!」
と言い放った・・・・・


277 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/03/24(木) 20:06:30 ID:???
「楽しそうだな、ラインハルト」
 キャットウォークの上で、珍しく機体の整備などしていたラインハルトは、背後から掛
けられた声に振り向いた。
 すぐ後ろにアーサーが立ち、暗い空間に並んだ13機のゾイドを眺めている。
「ジークフリートの敵討ちか、それとも――私的な理由か?」
 やはり、この男は何を考えているのかわからない。ラインハルトは鼻を鳴らし、自機の
整備に戻る。
「…負け犬の敵討ちなんざ、興味ねーな。俺はやっと、戦うに値する敵を見つけた…それ
だけだ」
 話はこれで終わり、と彼はコックピットに飛び込み、『基地』のハッチを開ける。市街
では見られない星空が、彼の頭上に瞬いている。
「じゃ、久々に『仕事』してくるぜ」
 足のブースターを全開、ラインハルトの機体は夜の闇へ飛び出していく。アーサーはそ
の姿を見上げながら、自らも愛機へと向かった。
 ――時間は、そう多く残されていない。能力者がいる限り、『危機』は去らないのだ。
 さすがに13人の騎士だけで、全世界の能力者を滅ぼすことは難しい。だが彼には策があ
った。そのために必要な工作を、これから行う。
「マキシミン=ブラッドベイン。機体の再生が終わったら、すぐに出撃だ」
 昨日の政府本部襲撃事件は、政府の方でもみ消すだろう。たった2機のゾイドと一体の
アーティファクト・クリーチャーに守備隊を壊滅させられたとなれば、物笑いの種だ。
 そしてこのことは彼にとって都合が良かった。つまりは、マキシミンはまだ死んだこと
になっており、彼が生きていることも、騎士の一員となったことも、知っているものは数
えるほどに過ぎない。そして、その『数えるほど』の厄介な連中の言うことを信じる者は
皆無に近いだろう。大衆の流れの中では、小さな真実の叫びなど無力だ。
 アーサーはもう一度自分の考えた戦略を練り直し、やがて満足したのか笑みを浮かべる。
 ――来たるべき“大選抜”のとき、人々は本性を表すだろう。そのためのお膳立てこそ
が、我ら騎士の仕事…。

 街の外なので実質土地代も不要なパーツショップ『TASHIRO』。しばらく前までは、リ
ニアが一人で店番をする寂しい店だった。しかし今は、かつてないほど人が多い。

278 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/03/24(木) 20:10:31 ID:???
 客で賑わっている訳ではない。同じ目的のために集まった仲間たちにとって、この店が
拠点となっているためだ。
「で…何で全員がこの店に居座っている!?」
 少しばかりキレ気味のリニアが誰にともなく突っ込む。返ってくるのは、それぞれの勝
手な言い分ばかり。
「僕は…しばらくバトルもありませんし、ねぇ?」
「そうじゃな。ワシらは格納庫で寝泊りしとるから、別に構わんじゃろう?」
「わ、私は……昨日はお母さんの所に帰ったけど、今日は…」
「素直に言いなさいよねー、『オリバーと一緒に居たいんですぅ』って! ま、私は追わ
れる身だから、こんなに潜伏場所として適したところは見逃せないわね」
 とどめを刺すのはやはり、空気を読まないオリバー=ハートネット。
「…ま、賑やかな方が楽しいっしょ? 師匠もさ」
  ゴッ
 鈍い音がする。次の瞬間、椅子に座って朝食の炒り卵を口に運んでいたはずのオリバー
が部屋の向こう側まで吹っ飛び、頭からソファーに突っ込んでいた(横の本棚に突っ込ま
なかったのは、恐らくリニアなりの配慮なのだろう)。
「あ…ありのままを話します! 僕の理解を全く超えていたのですが……『オリバーさん
が卵を食べたと思ったら、いつの間にか部屋の向こうまで吹っ飛んでいた』」
「こ…光学迷彩とか マグネッサーなんて、チャチなモンじゃあ断じてない! もっと恐
ろしいものの片鱗を、ワシも見たぞ…」
 こらえ切れずにエルフリーデが吹き出し、続いてレティシアとオリバーも笑い出す。リ
ニア以外の全員を巻き込んだ爆笑の渦の中、とうとうリニア自身もニヤリと笑った。
 ――きっと、親とか兄弟とか……ふつうの家族がいれば、こんな感じなんだろうな。

 リニアはひとときの間、幼い頃の兄と共有した『家族』の温かさを楽しんだ。

 市街の一角にある、豪華な邸宅。その一室でノートパソコンを開き、ディスプレイに流
れる情報を目で追っている男が一人。
「う〜ん……つかめませんねぇ、彼らの足取り」

279 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/03/24(木) 20:16:07 ID:???
 眼鏡をかけた顔は若く、『何歳か?』と指差されれば思わず首を捻りたくなるような微
妙さだ。――彼の名はアレックス・ハル=スミス。世界で最初に生まれた能力者である。
 2年にして成功を収めた彼の『会社』とは、表向きは郊外の荒野に関する開拓事業の会
社だ。しかし、そんな地味な仕事でこれほどの豪邸が建つには、2年ではすまないだろう。
 彼のもう一つの仕事。それは、大企業の重役や政府の要人を護衛するボディーガードの
派遣だった。
「答えがわかってるのに、その答えに導く『式』が出てこない…こんなにもどかしい事は
そうないですね」
 彼が追っている『彼ら』とは、アレックスの依頼主を彼の目の前で殺害した謎の集団の
ことだ。殺された依頼主の立場から、それを差し向けたのが誰であるかは容易に想像がつ
くのだが…。
「…アルフレッド=フォイアーシュタイン。政敵の粛清は結構ですが、私の仕事を妨害す
るというのは実にいただけない」
 やっと20歳になったばかりだというのに、彼の瞳には老練な戦術家のごとき眼光が宿っ
ている。
「やることもありませんし…調べさせてもらいますよ、“死者の槌鉾”についてね」

 昼間、市街が最も活気づく時間。夜でも眠る事を知らないこの街だが、やはり人通りは
昼間の方が多い。
 人々が行き交う大通りの下、地中に『彼』は潜んでいた。ただ一声の命令を待ちながら。
 ――やがて、待ち望んだ指令が下る。通信機越しに聞こえたアーサーの声は、笑みを押
し隠した響きを含んでいる。
<時間になった。できるだけ大きな被害を出せ――ただし、死人は減らして…だ>
 アーサーは何も、慈悲の心から最後の言葉を付け加えたのではない。被害をこうむった
当事者が多ければ多いほど、憎しみの伝染も速まる。ただそれだけのことだ。
 様子見のため地上に設置したカメラの映像が、モニターに映っている。その中で、群衆
の歩く大地を割って現れるデススティンガーの姿が映しだされた。
 一瞬でパニックに陥る群衆。バルカン砲が通りに並んだ店舗を破壊し、流れ弾に粉砕さ
れた人体が飛沫となって飛ぶ。
 適度な数の犠牲者を出し、なおかつ怒りの燃え上がる余地を残しておく。難しい任務で
はあったが、今のマキシミンにできない事ではなかった。

280 :三虎伝説 エピソード16 デビル:2005/03/25(金) 22:50:34 ID:???
一足先に二回戦進出を決めたグラントはゴジュラスの最終調整を行っているフランカ、ル
ドブの居るゾイド控え室へと向かった。長年共に戦ってきた最強のパートナーだ。何も心
配は要らない…だが、今度のバトルは今までよりも面倒なことに関わってる。それも自分
達の弟分、カルロを深くに巻き込みつつ。念には念を押そう…そう思っていた。グラントが
控え室へと到着するとゴジュラスの最終調整を終了した2人は相手のデータを元に作戦会議を行っていた。
「調子はどうだ?」
グラントが声を掛けると二人は眉に皺を寄せて彼のほうへ振り向いた。
「調子?調子は完璧に狂っちゃってるわよ。」
「こっちもだ。こんな奴で出てくるからには何か策が有るんだろうがさっぱり分からん。」
「…え?こんな奴ってどんな奴だよ。」
「驚かないで聞いてね。…グスタフよ、グ・ス・タ・フ!輸送用の団子蟲。それが私の相手よ。」
「ぐ、グスタフ〜?戦闘用ゾイドじゃねぇぞ、それ。」
「ええ、今言った通り物資輸送用ゾイドね。」
「足も遅せぇ〜し、大体どうやって戦うんだ?」
「…そう、そこなのよ。相手は技術力では世界一のZOITEC所属ファイター。どうせ普通じゃ
ないグスタフだからこうやってバトルにも出てこれるとは思うんだけど、見た目的には目立
った武装は何も無いの。内臓式の武器を積んでるって可能性も否めないし、色々と読めないのよね〜。」
「こっちでデータを調べたけど、一般のバトルには出場して無い。いわば、ZOITEC専属の
運び屋というところだ。とにかく謎が多くて、作戦も見た目からしか立てられない状況ってわけだ。」
「ふ〜ん。まあでも、いつも通りで行きゃあ勝てるだろ。情報が無くたって、たくさん勝って
来れたわけだし。ようは気持ち次第!何も怖がる事は無いだろ!」
「う〜、結果的にそうなっちゃうのがどうもねぇ。シングルは初めてだし。」
「大丈夫、大丈夫!俺だって初めてでも楽勝だったんだから。しかも、相手はギガだぜ?
それに対してお前はグスタフ、しっかり行けば大丈夫だって!」


281 :三虎伝説 エピソード16 デビル:2005/03/25(金) 22:54:43 ID:???
「う、う〜。まあ、やるだけやってみるわ。あのコの事は他人事じゃないしね。」
「おうよ!」
「ふふ、ようやく気持ちがまとまったようだな…あと十分で入場時刻だ、急ごう。」
「…そうね!」
…この時、フランカは今までに無い何か、嫌な予感を感じていた。戦士の血が反応してい
たのだ。だが、それは長年の戦いの日々を通してきても、まだ未熟であった。そう、この後
に控える戦い、その相手の恐ろしさを完璧に伝えきる事が出来なかったのだから…。

ワァァァァっと歓声が響いた。ゴジュラスの入場だ。瞬殺劇をやってのけた先程のゴジュラ
スと同じで火器を全く積んでいない格闘能力に特化されたカスタマイズ。見た目で違う所は
青いラインが赤に変わっているところぐらいだ。対して反対側の門から入場してきたのはグ
スタフ。青と白の装甲を重ねた爽やかなイメージの機体。とてもバトルに参加するような気の
しない静かな印象だ。そのコクピットに収まるパイロットも好戦的…そんな言葉がとても似合
わない幼い青年だ。
バトル開始の鐘、観客は再度歓声をあげる。第一回戦目はレオストライカー、二回戦目はゴ
ジュラス。共に先に攻撃を仕掛けた方が勝利を掴んでいる。今度はどっちが先に出る…?観
客の注目はまず、そこだった。だが、観客の期待など気にせず両者は一斉に動いた。距離を
詰めて直ぐに格闘戦に発展した。ゴジュラスの強靭な爪がグスタフのアンテナを掴み、それを
押し出すようにグスタフが体を捻じ込む。グスタフのアンテナに力をこめつつフランカは今まで
に無い感覚に襲われていた。まさか…グスタフとはこんなにも…。アンテナを圧し折るとゴジュ
ラスは斜め横に跳んだ。勢いに流れて前進するグスタフ。横をとったゴジュラスは滑り込んで
グスタフの側面に思いっきり蹴りを入れる。力の法則に従い、当然のごとく吹っ飛ぶグスタフ。
…何だ?フランカは先程感じた違和感と同じ物を感じた。自分が攻撃しているにも関わらず押
されつつあるような感覚。しかもコチラの余裕を喰らい尽くすほど大きいもの…だが、漠然としている。
ガクン。さっき蹴りを入れた左足の膝が急に大きく曲がった。力を入れたわけでもないのに体制
が崩れ、体重が掛かった瞬間左足首が砕けた。バランスを取るに取れない状況。しかも仕掛けたのはこちらだ。


282 :三虎伝説 エピソード16 デビル:2005/03/25(金) 22:55:43 ID:???
「い、一体何なのよ!」
金属の欠片を零して崩壊するゴジュラスの足元に砲弾が迫った。直撃。完全にゴジュラスが横
倒しになった。くぅ!衝撃がフランカの全身を貫く。…調整は完璧だったのに何故こんな事が?
左腕をついてなんとか体を起こそうとするゴジュラスにグスタフが近寄ってきた。
「やあ?ご機嫌はどうだい。」
キーンは笑顔だった。そう、恐ろしいくらいのあどけない笑顔だった。
「最悪よ。貴方のせいでね。」
それを鋭い眼で見返すフランカ。余裕は無い。
「僕のせい?ああ、さっきの砲撃か。それは悪かったよ…でも、もともとは君が悪いんだ。僕のグ
スタフに格闘攻撃を仕掛けたりしちゃったんだからね。」
「何言ってるの?ゴジュラスが格闘攻撃を仕掛けることの何が可笑しいっての?」
「別にゴジュラスがって事じゃない。僕のグスタフに対してって事がいけなかったんだ。」
「やっぱり特別なシステムを積んでたって事ね…。」
「特別なシステム?誤解してもらっちゃいけないなぁ…。僕のグスタフはマグネッサーもグラビティ
ーホイールも積んでない、いたって普通のグスタフさ。まあローラー型の可変キャタピラで機動力
は多少良くなっているけどね。」
「じゃあ何が特別なのよ。まさか、パイロットの貴方自身が特別とでも?」
「まあ、それも無きにしも非ずだけど1番大きいのはこのグスタフの性格だね。」
「性格?」


283 :三虎伝説 エピソード16 デビル:2005/03/25(金) 22:56:43 ID:???
「そう、性格さ。一般のグスタフは非常におとなしい性格ゆえ過剰な攻撃には拒絶反応を起こし、
まともな射撃すら出来なくなるという欠点がある。まあ、その分輸送用としてはコレ以上無い分厚く、
硬い皮膚を授かったんだけどね。…だけど僕のグスタフは違った。気性はゴジュラス並に荒く、戦
闘を好むという極めて稀な個体だったんだ。つまり、拒絶が無い分連続攻撃を可能としその上、格闘
攻撃については自ら本能的にカウンター攻撃を繰り出す。そして、その攻撃を受けた物はさっきの
君のようになる…。さて、そのポーズも見飽きてきたな。そろそろトドメを刺すよ?」
「まだよ!この距離なら…。」
ゴジュラスは身体を引きずりつつ右腕をグスタフに振り上げた。グシャ。金属の拉げる音が鳴った。
その音と共に金属の棒が宙を舞う。悲鳴。悲鳴。悲鳴。ゴジュラスの肉体を構成していた細かいパーツ
の数々が、止まない悲鳴を纏い、金属の塊と化した。押しつぶし、砕き、吹き飛ばす。ゲシャリ、グシャリ、
ギリギリと。グスタフの攻撃は止まらなかった。まさに本能のまま、ゴジュラスの身を削り尽くしたのだ。
数分後、闘技場に残ったのは不気味な咆哮を発する青い生き物の姿だけだった。ゴジュラスの銀色の
身体にアクセントのようにあった赤色のラインは、バラバラになった黒い機械の破片の上に血のように
覆い被さり、その惨劇を強調した。コアを覆う最構殻にはヒビが入り、神経系統が火花を散らし、一部で
はその銀色の球体が顔を覗かせていた。今、ゴジュラスは生死の境をさ迷いこれまでに無い苦しみを
味わっている事だろう。そして、その傍らにはそれを低い声で笑うように見つめる残虐な悪魔の姿が1つ
…人々はこの青いグスタフにその姿を見た。そして、その魔獣の中から出てきたのは幼い青年。青く透き
通った目の奥に悪魔を飼う青年だ。人々はその戦いの後、数時間の間キーンが片腕を振り上げて放った
笑顔を忘れる事が出来なかった。そう、悪魔のようにとても明るく、とても酷い笑顔を。

「だから言ったのに…格闘は駄目だって。話はちゃんと聞かなくちゃ…フフフ。」


284 :Full metal president 48:2005/03/26(土) 02:59:17 ID:???
「あんな事を言ったわりには…。」
クリウスはメリーと談笑しながら茶を啜っているベルウッドを見てそう思う。
とは言え自身も情報欲しさにファインと居るので余り彼女達の事を言える立場に居ない。
「まあまあ…人生は長いですから。その内多少の矛盾なら容認できるようになります。
所で…?かなり前から覗いていましたね?アレをどう思いますか?」
ファインは唐突にクリウスにレドリックの行動について質問をしてみる。

「バーデン議員の行動は…焦りが見える気がします。良くは知りませんが…
確かお話頂いた月読の壺の限定期間を気にしているのではないでしょうか?」
間違いは無い。今年中が最大の力を発現する数年に一度の年。
「しかし、少々手違いが有ったみたいですね。正確な情報を持っていなかった事が。」
クリウスは言葉を止める。
「そのとおりです…ルナフレアの存在まではある程度知っていたようです。
でも、問題はまさかルナフレア側からの干渉が数十年前から彼に行われていた…
この事でしょうね。降神融合とまあとんでもない事をやってのけましたし。問題です。」
ファインはぼやく。本質的には戦力ダウンなのだがそれでも神憑きの人間は厳しい。
「まあ…それでも最低一ヶ月程は彼も無理な行動は起こせないでしょうね。」

そんな話がトライアングルマンタレイの艦内で話されていた頃…
日も高く上り始めた大海原ではレドリックが独り波間を漂っている。
「この…宇宙皇帝と成るべき私がこの様な所で波と戯れているとは。
おのれ!ナイト・フリューゲル!許すまじ!!!ん?お主等は?」
波間を必死に泳ぐ不思議な獣。それは…2本の首を持つ者で大小多数寄ってくる。
「くくく…そう言う事か!ルナフレアは砕けただけと言う事か!何だ?」
中の1体は途中で放棄されたゾイドに寄生し蘇生と変異をさせている…。
「これからが本当のお楽しみと言う事か…ふあ〜っはっはっはっは…。」
どうやら宇宙皇帝(自称及び予定)はご満悦の様である。

ー 暁月の狂獣 黒の魔導士 終 ー 首都脱出編 完 ー

285 :荒野の少年16 最終回 :2005/03/26(土) 11:08:50 ID:???
ユニゾンしたワイツタイガーがついに牙をむく!
「面白い・・・屑どもおぉぉぉ!!!!」
なんと目の前に荷電粒子砲が!
「ドオオオオ!!!」
命中した!だがワイツタイガーマトリクスは傷一つ付かない!
逆にワイツタイガーのほうが有利であった
これまで効かなかった攻撃も効くようになっていた。
いくら一対一、ユニゾンゾイド同士でもありえないことだった
「なぜだ!?デスザウラーキメラフォームは全能力が全てのゾイドを上回っているはずだ!」
だがそれはゾイドのちがいではない。パイロットの違いだった
ベルクテッドに無く、アトルにあるものこそゾイドに対する心だったのだ。
その心がゾイド自身の心と共鳴し、無限の力を生み出すものとなったのだ!
猛攻撃にデスザウラーは耐え切れなくなり、ついには崩れ落ちた!
そして二度とデスザウラーを復活させない為、最後の攻撃で
デスザウラーを切り裂き、復活不可能なほどにダメージを与え、デスザウラーのゾイドコアもろとも
破壊した!
横からアルベルトが
「これで全てが終わったんだ。」
といっただけどまだ全てが終わった訳ではない、そう思ったから
「ちげ―よ!これから始まるんだよ!俺達の旅がよ!」
そう言った
そして上を見上げれば青い空が輝いていた・・・・・・

ー荒野の少年第一部完ー


286 :悪魔の遺伝子 828:2005/03/28(月) 10:02:40 ID:???
時は一週間くらい前にさかのぼる。そんなある日の朝の事である。ルナリスが何気無く
起きると、マリンの姿が見えなかったので庭に出て見ると、庭でヨーヨーで遊んでいる
マリンの姿があったのだ。
「おい!お前何朝っぱらからヨーヨーで遊んでるんだ?」
「違うよルナリスちゃん!これ遊んでるんじゃないよ!」
「これの何処が遊びじゃないんだよ。つーかちゃん付けするな!」
ルナリスは例によってマリンの頭を小突くワケだが、その後でマイルが出て来て言った。
「マリンにヨーヨーをやらせたのは俺だ。」
「マイルさん・・・。しかし何故ヨーヨーを?」
「私もわからないよ。お父さん何でいきなりヨーヨーなんて・・・。しかもこんな重たい
ヨーヨーを?」
どうやらマリンもマイルの意向が分からない様子である。ちなみにやはりマイルが
マリンにやらせたヨーヨーはただのヨーヨーでは無いらしく、これまたかなりの重量の
ある特別製のようである。
「ようし!知りたいならばこっちに来い!」
と、マイルが二人を連れて移動した先にあったのは修理工場の裏にある物置であった。
「物置?この物置に何かあるの?」
「ああ・・・あるぜ・・・。凄い物がなぁ・・・。」
マイルが笑みを浮かべ出ながら物置の戸を開いた時だった。そこにはなんと巨大な
ヨーヨーが置かれていたのだ。
「きょ・・・巨大ヨーヨー!?」
「確かにその通りだ。だがただデカイだけのヨーヨーじゃねぇぞ。ヨーヨー本体、
そしてワイヤー共に古代チタニウム合金が使用された戦闘用のヨーヨーだ。」
「せ・・・戦闘用の・・・ヨーヨー?」
「ああ!名付けてギガクラッシャーヨーヨーとはこの事だ!」
「え!?ギガクラッシャーって・・・。まさか・・・。」
マリンとルナリスは唖然と口を空け、マイルはさらに笑った。

287 :悪魔の遺伝子 829:2005/03/28(月) 10:05:26 ID:???
「おう!そのまさかだ!コイツはな!祖母ちゃんがカンウを使っていた時に
使われていた武器の一つなんだよ!まあ当時は二つあったらしいが、今はこの通り
一つしか残ってはいないがな・・・。」
「なんと・・・。ヨーヨーまで武器にするとは・・・。マリンの曾祖母さんはやはりある
意味凄い人だったのか・・・。」
「何かその言われ方引っかかるな〜・・・。」
ルナリスの言葉にマイルは眉を細めていたが、その後でゆっくりと物置の戸を閉めた。
「お父さんが私にヨーヨーをやらせたのはもしかしてこれをカンウに装備させる為・・・?」
「もちろんだろう!?今のアイツにゃあ小銃すら付いてないからなぁ!まあ気功飛砕拳や、
竜王真空横一文字みたいに技として遠くの敵を攻撃する手段が無いワケじゃないが、あれ
を多用するのは流石に体にきついだろう・・・。ならばこれ位あっても良いと思ってな!」
マイルは自身ありげに胸を張っていたが、マリンは半信半疑な顔をしていた。
「しかし・・・。いくら何でもこんなヨーヨーが実戦で使えるのかな〜・・・。」
「何だとぉ!?ならば見せてやる!!証拠映像を見せてやるぞ!!」
その後、マリンとルナリスはマイルの自室に連れてこられ、テレビの前に
座らせられていた。
「見てろよお前達!!これが証拠映像だ!!」
マイルは部屋の奥から一枚のディスクを取り出すと、それをテレビに繋がれた
ビデオ機材に差し込み、ある映像を映したのだ。
「やけに古臭い映像ね・・・。お父さん・・・。」
「そりゃそうだ!コイツは死んだ祖父ちゃんと祖母ちゃんが残していた大戦時代の
記録映像だからな!」
「ええ!!曾お祖父ちゃんと曾お祖母ちゃんの!?」
その時マリンの目の色が変わった。先程までとは打って変わって食い入る様にテレビを
見始めたのだ。現在流されていた映像は戦闘が行なわれてない時の兵士達の一時の
休息を映した物だった。
「やけにのどかね・・・。とても大戦時代の映像とは思えない・・・。」
「そりゃそうだろう。いくら戦争と言っても24時間常に戦ってたワケじゃねーんだから
よ!と言ってもオレもお前達同様戦争を知らない世代だから本当の事言うと
良く分からないんだがな・・・。」

288 :悪魔の遺伝子 830:2005/03/28(月) 10:10:04 ID:???
マイルが頭を掻きながら笑っていたそんな時だった。目の前の映像では戦闘が
行われていない時の兵士達がサッカーや野球をやったり、チェスや将棋、碁をやったり
など、色々と遊んでいる所を映した映像が続いていたのだが、その中にマリンに
良く似た若い女性がヨーヨーをしている場面が映されたのだ。そしてその映像が出た
直後にマイルが一時停止ボタンを押した。
「これだ!これを見ろ!これが当時の祖母ちゃんだ!」
「ヨーヨーやってる・・・。」
「って言うかマジでマリンにそっくりだな・・・。顔の傷は無いけど・・・。」
「とりあえず曾お祖母ちゃんもヨーヨーをやっていたと言う事は分かったけど・・・。」
「まあまあ黙って見ていろ。」
マイルは一度機材からディスクを取り出すと、別のディスクを差込み、
映像を再生したのだ。
『大戦好プレー珍プレー大集合!!』
「・・・・。」
映像を再生した早々、何処かのバラエティー特番みたいな番組が始まった為にマリンと
ルナリスは唖然と黙り込んでしまった。
「お父さん・・・。これは・・・?」
「まあ何というかな!戦後に大戦を振り返る番組がいくつか放送されたワケなんだが、
その中の一つとして、殺伐とした戦争の中にあった好プレー、珍プレーを編集した
番組なんだ。」
「でも何か凄い不謹慎な番組じゃありません?」
「まあ今考えればそうなるだろうな。しかし、長い大戦にすっかり慣れていて、
むしろそれが普通になっていた当時の人間にとっては特に問題が無かったのだろう・・・。」
「・・・・・・。」
マイルの説明に、突っ込みたい所はあった物の、その気持ちを胸の内に閉まった二人は
番組を見始めるワケなのだが、好珍プレー番組なだけに、番組中にながれる
面白ナレーションも相まって、とても戦争しているとは思えない大爆笑なシーンの
連続に二人は思いの他笑っていたりする。
「アッハッハッハッハッ!!なんだこりゃ・・・。」
「お腹が痛いお腹が・・・。」

289 :荒野の少年16 最終回 :2005/03/28(月) 13:02:17 ID:???
デスザウラーを倒し、3年後・・・・・・

「次!ゴジュラスギガ10体!」
共和国練習場で地獄のような特訓をしているアトルの姿があった。
それには訳がある、それはネオゼネバス帝国が再び襲って来るんだとか。
だがそれ以上に恐れていたのがネオゼネバス帝国が惑星zI全土を支配下におくことであった。
とのことで軍によばれた訳だ。
「次!ブレードライガー23体!」
こんなことは簡単にできるほど実力がついたのだ!
「最後だ!対戦相手は凱龍輝だ!」
最後の練習が来た。凱龍輝のパイロットはかつてのライバル、キール・ブラッドレイだ。
彼もこの事に備えて軍に呼ばれたのだ!
「さあ!キール!最後の勝負だ!」
「ふ・・・・・こっちも楽しみにしていたぞ!アトル!」
ワイツタイガーと凱龍輝、ほぼ同等の実力で戦っている。
それほどお互いこんなににも成長したのだ。
まるでお互い絆と言うものができてきている。
それは何回もライバル同士で戦っていたからだろう。
そして、再びアトルは戦うことになる・・・。




290 :Full metal president 49:ZAC暦2105/04/01(金) 01:53:50 ID:???
全ての根は何処から伸びているのだろうか?
今では誰にも知る術は無い。ただ言えるのは…
人は自身の生きた時間にしか根が無いと思い込んでいることである。
やがてそこに根が無いことを知る時が来て初めてどうして生きているのか?
何のために生きるのか?と言う疑問が胸に刻まれる。

ー 根の在処 進むべき道 ー

「…っとこれでいいですか?」
男は原稿用紙を広報担当の軍人に手渡す。
「申し訳ない!私が駄目広報だから…。」
涙目でヤマザキをみる顔中傷だらけの男。人は見かけに寄らないとはこの事だ。
「大丈夫ですよ!今回は私も出演予定ですから…
しかしよく彼等が私の出演を拒否しませんでしたね?」
「ああ…今回は新共和国の公正性を示そうと必死なのでしょう…
しかしこれが予定通り進めば少なくとも何方に転がっても軍が追及される事が減る。
それが軍の狙いでしょう。そろそろ本番ですよ!頑張りましょう!」
「そうですね!初めてのパネラーの仕事確り勤めさせてもらいますよ!」

今回行われるのはこれまで共和国と帝国がデルポイ内で起きた秘匿事項の公開。
言わば闇の歴史へ光を当てることである。
これにより非公開事項を非公開にしていた罪を一気に前政権に擦り付ける寸法だ。
「先ずは…Bone’z(ボーンズ)関する問題です。これをどうぞ…。」
進行を務める顔中傷だらけの広報担当ガレリス=アイアンサイドがモニターをさす。
巨大なモニターには異形のゾイドが多数映し出される。
全てのゾイドは共通点として恐竜型である事と戦闘ゾイドらしきフレームに…
奇怪な流体金属の表皮を持ち何故かフレームから剥き出しの赤いコア。
その映像は恐るべきスピードでゴジュラスギガに襲い掛かる様が映し出されている。
一回り小柄なヴェロキラプトル型のそれは終始ギガを圧倒し止めを刺す瞬間…
別の方角からの精密射撃の前にコアを砕かれ絶命していた。

291 :Full metal president 50:ZAC2105/04/01(金) 02:51:23 ID:???
「これがBone’zと呼ばれる正体不明の戦闘ゾイドです。」
周囲の観客からどよめきが沸き起こる。確り用意されたエキストラ。
公正な部分を強調している光景。捏造された公正…
しかしこれを見た視聴者の反応はそうでも無い。
隠されていた事実。それを受け止めるのに脳をフル回転させている。
ショッキングな内容の前には偽りの公正でも充分目隠しできるものである。

その後の映像は更に恐ろしい事になっていた…。
その赤いコアの破片。その後廃材置き場に破棄されたそれは驚異の変化を遂げる。
周囲の物を取り込み更なる異形のヴェロキラプトル型構造体へ姿を変えた。
天を突くほどの姿と錯覚させる巨体。
その後の映像は市街地に踏み入ろうとしたそれの目の前の頭上より突然落ちる異形。
ベルゼンラーヴェの術式攻撃の応酬10分の後に完全に消滅するそれの姿だった。
「…ゼネバスの破壊神の力を以てしても10分。恐ろしい存在です!」
ヤマザキも一度だけ子供の頃これを見た事が有るが…
その時周囲に居た者しかそれを知らなかった事もこれで理解できる。
「これをヘテロリジェネレート現象と名付け最重要秘匿事項とされてきました。」
ガレリスは3ヶ月の月日で確りと広報としての基礎を手に入れていたようだ。
初めてのときの冷や汗垂れ流しのたどたどしい姿はそこには無い。

次に映し出された物は…18もの地域の写真。
「これが通称エウレカ施設の有った場所です。
悪名高きエウレカ事件が発生したエウレカ施設もこの中に有ります。
他にもまだ調べられていない箇所がまだ10箇所も有るのです!」
おおっとまたどよめきが一段と大きくなる。実際建造中に破棄された施設ばかり。
それでもはしりだけとは言え建設しようとした跡が有るのが問題なのだ。
この後長らく続いたゼネバス自治領問題へと話題がシフトしていく…
今回のクーデターの目的の隠れ蓑として扱われた問題。
その内容は恐ろしくシンプルな経済的な不公平。それと税収の問題。
それを是正できなかった理由を共和国側のみの視点から見た一方的な見解だった。

292 :Full metal president 51:ZAC2105/04/02(土) 04:57:28 ID:???
まず上げられたのが戦闘ゾイドの払い下げの問題。
帝国は占領下の都市等の自警用等として大量のゾイド払い下げを行っている。
殆ど捨て値で荷電粒子砲が使用できないデスザウラー等が大量に出回る状況。
実際にこれにより共和国軍残党やそれを語る野盗の被害が激減。
その為に税収が一時的にでは有るが飛躍的に上昇した。
ここまでは良いのであるが…問題はその後である。

共和国軍が凱龍輝などを従え再上陸した際に恐るべき悲劇が起きているのだ。
情報収集がずさんな共和国軍は都市や集落に払い下げされたゾイドを殲滅。
結果として国民を限定的にではあるが虐殺してしまっているのである。
その為反攻作戦が自領地の焦土化を促し結局の所ゼネバスと言う存在…
帝国の屋台骨が残ったままヘリック共和国と言う形に収まってしまった事だ。

これを気に長きに渡る経済の不公平が今までまかり通ってしまう結果となった。
帝国の屋台骨が残ったところは自治領と名前を変え税金は6割を政府に納入。
残り4割を自治領が手にする形に行われていた。
しかし自治領では経済活動に対する規制が共和国純正の領土より緩い。
その為その6割が何と共和国政府の年間歳入の5割を占める物と為っていたのである。
残りの4割と言う額面は共和国からすれば甚大な損害なのだ。
その上物価が安い帝国自治領。名目上は同じ国の中であるので行き来は自由。
実質は共和国本土が自治領を中心に回るおかしな状況に陥ってしまう始末。
確かにこれは非難されて当然の事だ。

ここで更にスパイスを効かせたネタを持ってくる。
それは失敗した以前のクーデターの首謀者議員…スケープゴートにされた者達。
彼等の政治活動資金がそっちから流れている為証拠隠滅を計ったと糾弾したのだ。
これで不公平が見逃されてきた原因が前政府に有ると擦り付けたのである。
これで…一応の彼等の正義が完成する。

そして…次からが遂に本番ということになる。

293 :荒野の少年第二部 2話:ZAC2105/04/02(土) 06:36:01 ID:???
「まず最初の任務だ!赤いゾイドを倒せ!」
アルベルトが言う。赤いゾイド?セイバータイガーとか?アトルが聞き返す。
「違う!名前はよく知らないがその手がかりはライオン型、角が付いてて、何よりも
目にも止まらないスピードだった!」
その証言を聞いてあるゾイドを思い出した。それこそエナジーライガ−だった。
さっさと任務に取り掛かった。すると何かが超スピードで目の前を通ったのだ!
そして共和国軍基地を破壊したのだ!そのゾイドは赤く、角が付いていた!
共和国軍基地を破壊しているゾイドがあのエナジーライガ−だった!
エナジーライガーに襲い掛かろうとするとそれにきずいたらしく反撃した!
キールが乗る凱龍輝が支援に来る。
だがその時、なんと周りが訳のわからない水色の壁に覆われたのだ!
「フッフッフ・・・・・これこそ帝国の最新技術・・・・・プリズムフィールドだ!」
何者かが言った。だがその人物はもう立ち去っていた。
「へ!いくぜ!エレクトロンキャノン!」
射撃武器を使った瞬間なんと水色の壁にぶつかり跳ね返ってきた!
だがそれをみていいことを思いついたのだ!
ワイツを走り出した!それにつられてエナジーライガ−が追ってくる!
射撃武器を水色の壁に目掛けて打ったその跳ね返った弾がエナジーライガ−を襲った。
だがその時はとっくにプリズムフィールドは解除されエナジーライガ−は去っていた・・・・・・・


294 :悪魔の遺伝子 831:ZAC2105/04/02(土) 09:53:46 ID:???
何しろその映像は高速走行中の高速ゾイドが地面のデコボコに躓いて転んで岩山に
激突したり、大活躍していたエナジーライガーが戦場のど真ん中でガス欠を起こして
袋叩きにされたりなど、マリンとルナリスも思わず腹を抱えて笑い出す程の数多くの
面白映像が目白意思だったのだが、その一方で体一つで戦場を駆け回り、兵達に弁当を
売り続けた弁当屋や、ラーメンやおでんの屋台の親父を特集した映像など、心温まる
部分もあったりして、二人は感動の渦に巻き込まれていた。
「うう・・・。」
「いい話よね・・・。」
「そうだろそうだろ。」
マリンとルナリスが手に持つハンカチはすっかり涙でびしょぬれになっていたが、
その直後、ハット何かを思い出した顔になったマリンがマイルの方を向いた。
「そうだ!!お父さん!!これとヨーヨーとどう関係あるの!?」
「あ!!すっかり忘れてた!!とにかくそう言うのはあるのですかマイルさん!?」
二人は一斉にマイルを問い詰めたが、マイルは笑っていた。
「分かってる分かってる。とりあえず落ち着いて映像を見てろよ。いずれ出てくる。」
「そうですか・・・?」
半信半疑のまま、二人が映像を再度見ていた時だった、映像内の番組テロップに
デカデカとある文字が表示されたのだ。
『怪奇!!ヨーヨーを使うゴジュラスギガ!!』
                 ずげげげげ!!
二人は思わずすっ転んだ。
「そ・・・そのまんますぎでしょこれ!!」
二人は思い切り取り乱していたが映像は進み、ある戦場での映像に切り替わっていた。
「お前達よく見ろ!これが祖母ちゃんが使ってた頃のカンウだ。」
「え・・・?」

295 :悪魔の遺伝子 832:ZAC2105/04/02(土) 09:55:54 ID:???
マイルの言った通り、そこに映されていたのはカンウの映像だった。映像の中の
カンウは360度、あらゆる角度から降り注ぐゼネバス砲を巧みにかわしたりと、
マリンはますます関心せざる得ない程の衝撃映像が続くワケなのだが、ついにその問題の
シーンはやって来た。ゼネバス砲やエナジーの突撃をかわしつつ、敵部隊本陣に接近した
カンウがあのヨーヨーユニット“ギガクラッシャーヨーヨー”を取り出し、敵本陣へ
向けて投げつけたのだ。そしてそれは一瞬の出来事だった。超高速で回転しながら
空を切るギガクラッシャーヨーヨーはなんと、装甲を強化していると思しき改造デス
ザウラーを、後方にいたセイスモサウルスごと真っ二つに両断していたのだ。
「うそぉ・・・。」
その時二人は衝撃の余りムンクの叫びとなっていた。
「ねえ・・・、お父さん?って事は・・・、あのヨーヨーは凄い威力って事なの?」
「いや、確かに強力な事には変わりないと思うが、理論上の威力はあんなに凄くは
無いはずだぞ。」
「じゃあその理論上の威力を超えた力を出せるのは・・・。」
「それこそ祖母ちゃんの力による物に決まっているだろう!あの祖母ちゃんの事だ。
大方ヨーヨーにも“気”を注入したりとかが出来たと思うしな!」
二人はまたも唖然としたが、カンウがヨーヨーを使った戦闘の映像は他にも存在し、
高速でヨーヨーを振り回す事で敵高速ゾイドを薙ぎ飛ばしたり、俗に言う“犬の散歩”で
小型機の群れを弾き飛ばしたり等を行っていた。その一方でカンウとは別のギガが
ギガクラッシャーヨーヨーに興味を持ち、少し借りて使って見たが、全くと言って良い
程使えなかったと言う映像もあり、やはりあれはマリンの曾祖母の技による物であると
考えざる得なかった。

296 :悪魔の遺伝子 833:ZAC2105/04/02(土) 09:58:07 ID:???
「分かったか?」
「う・・・うん・・・。なんと・・・なく・・・。」
映像を切ったマイルはマリンの肩をポンと叩いた。
「と言うことで、お前には通常の特訓とは別にヨーヨー特訓を言い渡したワケだ。
分かるよな?」
「・・・。」

それから、マリンはマイルに言われる通り、全身に重量装備をした上から、これまた
かなりの重量のある特別製ヨーヨーをそれぞれ両手に持ってヨーヨーの様々な技を
使いなす特訓が始まった。ちなみに、現存するギガクラッシャーヨーヨーは一つなのに
マリンは両手にヨーヨーを持っているのは片方の手に力が偏るのを防ぐのと、どちらの
手でも仕えるようにする為である。さらにその後で、動く標的を打ち落とす練習等、
ヨーヨーを戦闘に使う為の特訓など、様々な事が行われ、現在に至るのである。

297 :Full metal president 52:ZAC2105年,2005/04/05(火) 04:12:19 ID:???
ZAC2180年3月28日
クーデター発生し同日夜間戦闘にてマクレガー大統領ヘリックシティ脱出
ZAC2180年4月1日
シード海で追撃戦が行われるも空軍の突出で敗北
空軍はネオタートルシップとホエールキング数隻を強奪される
ZAC2180年4月2日
夜半から早朝にかけてバーデン議員と初代RG7所属マスターファインが戦闘
激戦を繰り広げるも自力で勝るマスターファインが辛勝
その後バーデン議員は1ヶ月もの間洋上を遭難
同日
海軍がマスターファインの身柄を拘束
しかし当人は傭兵の仕事を受けただけなので即釈放
実際には無理に拘束しようとして旗艦を失うのを恐れたためと思われる

結構客観的に経過が書かれているが…RG7と言う単語に詰まるパネラーが居る。
ここでそれの説明を行う事になる。

元々は軍事に直接係わらない民間人が揉事の仲裁等を有る人物を中心に仲裁に入る…
それを助ける7人の人間が居た事が始まりらしい。
人種は一切関係無くとにかく相手を口と力で黙らせる事が出来る者が彼等だった。
全員が共和国よりの民族融和主義共同体(要するにマフィア)を母体とする組織に所属。
そこから揉事が?武装するようになり彼等も武装するようになったという…。
最終的には略便利屋と化し共和国領内の凡ゆる裏事を秘密裏に処理する存在となった。
それが公式に政府下の組織に編入されてその名が与えられたそうだ。
これで共和国政府は混乱期の事態の収拾に貢献したことになり、
ついでにそれ以降の表沙汰にできない事を効率よく始末できる力を得た事になる。
表に名前が出ているのはファインとゲンジクの2人のみ。
しかもその組織名が与えられる頃にはとっくにその7人全員がドロップアウトしている。
まあ…手柄の横取りする代わりにある種の免罪符を交付されたことになるそうだ。
物は言い様とは良く言うもので結局前政府に不利な内容の晒し上げだった…。

298 :Full metal president 53:ZAC2105年,2005/04/05(火) 05:44:31 ID:???
ZAC2180年4月5日
公式に新共和国政府が樹立
同時に周囲の国家に戦線を布告し東方大陸のZOITECに協力を正式に依頼
ZAC2180年4月6日
ZOITECは公式発言で協力を拒否
それと同時にマクレガー前大統領に協力すると正式に表明
新政府はそれに対する講義として空軍と海軍4師団を東方大陸に派遣
ZAC2180年4月10日
ZOITECは軍の派遣を非難
東方大陸北端の海岸線にて自警団と共和国軍が激突
共和国軍は自警団を一蹴し橋頭堡を確保
ZAC2180年5月2日
ZOITECは新型ゾイドのゴジュラスmk−V凱鬼を4機を旗艦とする奪還部隊を派遣
2日に渡る戦闘の後ZOITECが勝利
勝因は4機のゴジュラスmk−V凱鬼の汎用性に共和国軍の対応が遅れたのが原因との事

このゴジュラスmk−V凱鬼はゴジュラスに凱鬼と言うブロックスを装着しただけの機体。
そして凱鬼はこれまで開発された全てのブロックスとの連携を考慮された接続機体。
ボルドガルド系列発展型の大型機体で集光パネルを持った汎用アダプター的な役割を持つ。
ゴジュラスの方はBーCASに対応する処置と微調整をしただけで…
皮肉にもゴジュラスの高性能を改めて再確認すると言う結果になった。

ZAC2180年5月14日
ZOITECはゴジュラスmk−V凱鬼2機を含む部隊をシード海の或る島に派遣
マクレガー前大統領にそれ等の機体と部隊を譲渡
その見返りに新政府の打倒を依頼しその為には戦力の供給を惜しまないと発言
更に複数のブロックスや通常ゾイドを同時に供給

これは…またデルポイで戦争が始まると言う事を意味している。
規模こそ嘗ての戦争に比べれば限定的ではあるがその場は恐ろしい惨状になるだろう。

299 :Full metal president 54:2005/04/07(木) 06:23:57 ID:???
「ここまでやるか…う〜む…。」
偶々テレビを見ようとマクレガーがスイッチを入れたところにこんな番組。
因みに今は…ZAC2180年5月17日。
まだその増援は到着していないしZOITECからの表明も見も聞きもした事は無い。
そんな時…
「大統領!ZOITECからの使者が来ました!」
ジェスターの声が聞こえて来る。
「何だってええええええ!? 」
本当の事だったようだ。

その他にも一応クーデターを起こした新政府には一応目を止める事が幾つか有る。
先ずは情報制限の方法。混乱した際に情報源を一元化を行うと共に…
他の情報源を制限。唯制限するだけでは無くテレビでは他の情報源に、
情報を一切報道させずその代わりに別の番組を放送させる。
ネタが無いなら再放送と言う形で徹底的にニュース番組の枠を埋めるという形だ。
これは以外にも視聴者に好評だったようで不満は報道関係者以外には無い。
概ね子供に人気だったらしい…アニメやらお笑いやらバラエティ三昧。
大人に対しても情報源の制限は有るものの生活に直結するタイプの物は制限が無い。
天気予報や株式情報等は普通に放送された事が抜け目無さを物語る。
彼等の唯一の不満は最近人気が出て来たゾイドバトルが無くなった事ぐらいだろう。

「ははははははは…。やっぱり彼のジョークは一味違う!」
作戦会議も程々にマクレガー等の陣営は他のチャンネルでお笑いを見ていたという…。
一番の被害に遭った者がこれなのだから効果は抜群と言った所だろう。
しかし笑いながらもマクレガーは考える。
何故政府の失態の責任を自分に押し付けなかったのだろうかと?
本来なら彼をこき下ろすべき筈の番組が過去の清算を過去の者に言及する。
これの成す意味を知るのは後になってから身を以て知る事となるのだ。
全ての罪は全て根となる咎人と共に裁かれるべし…それが新政府の方針。
一般の者には略全く関係無い恐ろしい鋼の掟。手始めに根の処分が開始される。

300 :荒野の少年第二部 3話:2005/04/07(木) 17:41:38 ID:???
エナジーライガ−は去った日から3日たった・・・・・
「今日は凱龍輝Σ(ガイリュウキシグマ)の出撃を行う!」
アルベルトが言った。
「凱龍輝Σって何!?」
とアトルが聞き返す。
「凱龍輝と「Σラプトル」と言う新型ブロックスのユニゾンのテストバトル、凱龍輝Σのパイロットはキール・ブラッドレイだ。
「!!!」
とアトルはあ然とした・・・
そうしてるうちに出撃してしまった。
と、次の瞬間!
「フッハハハハハ!ボーイ!一人だなんて無防備だっヒャッヒャッヒャ!!!」
と一人のおちゃらけたお祭り野郎がジェノブレイカーに乗って馬鹿なことを言っている」
「貴様・・・・・ゼネバス帝国の刺客だな・・・・・」
「さぁ?勝ったら教えてあげるわっヒャッヒャッヒャ!!!!」
とまた馬鹿なことを言ってバトルが始まった!
ジェノブレイカーは素早い動きで惑わす!
そして激しい肉弾戦がはじまった。
だが肉弾戦ではジェノブレイカーは凱龍輝の格闘能力を遥かに超えていた。
「いくら君でも虫の息だねぇぇぇぇ!!!」
とおちゃらけたお祭り野郎が調子に乗っている。
「そいつはどうかな?zIユニゾン!凱龍輝Σ!」
なんとΣラプトルの尾の砲塔が凱龍輝の手に付いたのだ
「ヒャッヒャッヒャ!!!!キザな真似を!いいわ!くらええぇぇぇ!!収束荷電粒子砲!」
「うおお!!!大口径プラズマ粒子砲!」
凱龍輝の手の砲塔が火を噴き、収束荷電粒子砲を押し切り、ジェノブレイカーを破壊したのだ!
「さあ!答えろ!」
「ヒャッヒャッヒャ!!!!負けたからには仕方ないわ!私の名はファンキー・アリカッハ!
ゼネバス帝国の三大幹部だッはっはっは!では坊や!またどこかで会いましょうッヒッヒッヒ!!!」
と笑いながらその男は去った・・・・




301 :Full metal president 55:2005/04/08(金) 05:39:07 ID:???
ZAC2180年6月2日…。
その放送より16日後。裁かれるべき者達の亡骸がデルポイを覆う事となる。
それ以前の尋常では無い高速処理の裁判。
横領者は最低限の財を残し資産を没収に始まり…思想犯の拘束。
人権及びゾイド養護法案の元に民間のZiファイター御用達のショップの業務停止。
完全に一般市民と高性能ゾイドを接触させない様に隔離。
養護法案に逆らう者の逮捕。抵抗するZiファイター勢力の摘発。
かなり酷く見える行為だがこれはまだ序章でしかなかった…。

ZAC2180年6月10日。
これまでデルポイで最大の規模を誇っていた極右組織の”風の朋友”。
これのこれまでの行為は民族浄化思想流布。風族以外への極端な迫害行為。
地球人の血を持つ物の排除行為等々多数。
これに対する新政府の方針は…無期限活動停止と実働構成員の拘束。
これを良しとしない風の朋友は隠し持っていた実働戦力を投入と言う暴挙に出る。
結果は…史上類を見ないデルポイ全土での戦闘勃発。
多大な被害を出しながらも新政府軍はこれを制圧。
強大な組織同士の戦闘ははデルポイ全土を血の海に沈める程の消耗戦となった。
しかし…これまで戦争の全ての裏に係わっていたと言う組織の消滅。
これは喩え自国民であっても極端な反意を持てばそう成るという強烈なアピール。
ZAC2180年6月17日を持ち新政府は略全ての実権を掌握することとなった。

「さあ…根っこの処理は済ませた。大統領?貴方はどうでるのかな?」
サーレントはワイングラスを傾けながら元通りとは程遠い町並みを眺め呟く。
これで獅子身中の虫は排除された…未来永劫に。
「まあこれからね。彼は直に動くわ。私達を潰す格好の事象を手に入れたから…。」
カサンドラは愛銃の手入れをしながら窓の外の空を見る。
血で染め上がられた大地とは打って変わって雲一つ無い美しい蒼一面の空。
そして…目を大地に戻すと大地に立て膝を付いて居る2機の巨影。
オイルと血に塗れた彼等の愛機は不気味なシルエットを見せつける…。

302 :Full metal president 56:2005/04/08(金) 07:36:09 ID:???
何方の機体も一般的なゾイドの姿をしていない。
異常に細長い足。それを守る様に着膨れした装甲代りの頭が6つ存在する
膝にはマッドサンダーの首が両足に存在する。
それは時折息をするようにマグネーザーを回転させる…獲物を求めるがごとく。
足首はデスザウラーの頭部を足首のカバーにしその下に巨大な鍵爪が見え隠れする。
太股の最上部にはセイスモサウルスの頭部がその狂気の口を開いている。
そのどれもが息をしており不気味でならない下半身。

上半身に到っては更に混迷を極める姿。
腕は無く本来肩のあるべき位置にゴジュラスギガの顔。
謎の生命体の石像を模した騎乗槍(ランス)状の頭部側面に更に鹿面が二つ。
その首からは巨大な角とも翼とも取れる構造物が一度天に向かい直に地へ垂れ下がる。
背中より生えた謎の金管楽器を思わせるパイプが機体前面に伸びている。
弟サーレントの操るアームレスプロヴィデンス(腕無き神帝)の姿である。

対して姉のカサンドラの機体は…確かに立て膝を突いてはいるがその場所が問題だ。
それは自身の無駄に巨大で長大な尾の上だったりする。
その尾の先端には鈍く輝く尾のサイズに見合うガトリングガンの砲身が5つ。
更におの付け根近くにはマグネッサーの飛行ユニットが複数背鰭の様に存在する。
上半身は胴体が二つに裂け胸部装甲で一つに繋げられている。
同じく騎乗槍状の頭部のその内部に如何にもな巨大砲身。
右肘より下には撃つ事すら困難そうな4門のロングレンジバスターキャノン。
左腕には見るからに危なそうなミサイルポッドやロケットランチャーの数々。
背には巨大質量を撃ち出すためのレールガンが有る。
カノンプロヴィデンス(巨砲の神帝)は物足りなそうに横たわるゾイドをつつく。
殺戮の果て血みどろの双子の神帝。
それを見る者にはそれが激しい闘争の幕開けを象徴するように見えたことだろう…。

ー 根の在処 進むべき道 終 ー

303 :コンビネイション・1:2005/04/12(火) 15:53:40 ID:???
距離と挙動に索敵範囲。
風向き・気温に、湿度と幸運。
狙撃屋ってモンのデリケートを知らないマヌケと組んだ僕を泣いてくれよ、ママ!

「マァーカス!
 マーカス!お前!手前!撃て!バカ!バカ撃てええええ!」
「だから無理ですって!外してつんのめってそれで終わりだ!」

いい加減限界らしく、スナイパーズシートの天蓋が吹き飛ぶ。
空が青い。サイクスは、黒い。



俺は、中尉だ。
どんな辺境で、ゴタゴタの受任だったって中尉だ。
正(まさ)しくの叩き上げで、勘当してやった親父より2ツも若く中尉になった。

「追撃にブチ込んだSMの話なんざゴマンとあるだろう!
 撃たねぇんならパージしてでも逃げるぞ俺ぁ!」
「なッ!何言うんですかアンタッ!
 並みのSMならともかくP2の反動じゃ無理なんだよ!」

・・・こんな小僧と組んだ所為でこんな所で死ぬなんてゴメンだ。


-つづく-
ジェネシスのOPがあんまり素晴らしいのでムラムラして書いた。反省はしていない。
今は続きを考えている。

304 :名無し獣@リアルに歩行:2005/04/15(金) 00:40:52 ID:???
>コンビネイション作者氏

運営スレの方も、是非目を通しておいて下さい。今現在、
感想はあちらで受け付けてます。貴方の作品への感想も来てますので。

http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1108181848/l50

305 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/04/16(土) 21:04:42 ID:???
「――なんだって!? そんなバカな、何のために!」
 大戦前から失われなかった技術として、エネルギースクリーンに映像を映し出すシステ
ムがある。これは新聞やテレビなどの内容も投影でき、現在の市街では電子新聞が主流と
なっている(レトロな新聞紙を好む者も、少なからず存在した)。
 リニアが持っているEスクリーン投影機は、亡き店主マサシ・T=ホワイトが遺したもの
の一つだ。そして毎朝、一日のニュースが放送局から送られてくる。
 オリバーはその日の記事を見て驚愕の声を上げたのだった。
 ――深緑のデススティンガー、市場で大量虐殺――
 それがニュースの内容であり、映し出された写真には見慣れた友の機体が――マキシミ
ンのデススティンガーが、はっきりと映し出されている。
 衝撃に動くことすらできないオリバーに代わって、エメットが続きを読む。
「『…この機体は、“星光の鎖”に登録されている能力者のモノと一致し、その機体とパ
イロットは、ここ数週間にわたって行方不明となっていた…』 あれ、捜索届とか出して
ないんですか? 『…この件について、能力者否定派の一部が政府本部でデモを開始……
“能力者は人類の敵である”と書かれた旗を掲げ…』 うわ、なんて短絡的な思考……」
 一文ずつ抜き出しては小言をはさむエメットだが、その表情にはありありと嫌悪が見て
取れる。
「クソ、あの野郎! マキシを使って、何か企んでるな!」
「おそらく、世間の感情をコントロールしようというのだろう。…同じ戦法を使ってくる
かもしれない。それも、複数で」
 リニアは既に事件の先を見ていた。明らかにコレは、騎士が仕組んだ罠だ。
「ヤツはまた事件を繰り返すぞ。今回の殺人のあと、地中に消えている」
「なぜ……何が狙いだ?」
「あら〜? 意外と先の事は読めないのねぇ、オリバー。ま、そんなとこも可愛いけど」
 レティシアの声には何というか、10歳とはとても思えない『色』がある。口調とあいま
って、それは彼女の毒舌を見事に中和しているのだ。
「彼らはただ能力者を殺しまわるだけじゃなく、洗脳した能力者を使って民衆をコントロ
ールするつもりよ。彼が騎士の仲間であることは、私達しか知らないものね」

306 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/04/16(土) 21:06:53 ID:???
 ただ衝撃を受けるのみのオリバー。当然といえば当然の戦略だが、利用されているのが
自分の親友では無理もない。
 重苦しい沈黙が、しばしのあいだ部屋を押し包んだ。
 やがて、エルフリーデが口を開こうとする。が、その時――。

  ガンッ

 部屋の一角、柱に矢が突き刺さって揺れている。それが部屋の外から撃ち込まれたもの
であると理解するのに、リニアですら数泊の時間を要した。
「何だ…!?」
「待て。これは――矢文?」
 矢には手紙が括りつけられている。ワンがそれを開く。
「…『次の襲撃は市街Fブロック、犯罪者収容所を標的に行われる』と、書いておる…」
「次の襲撃? まさか、マキシミンが襲う場所か? …差出人は?」
「書いておらん。が……怪しいといえば、怪しい」
 まず疑ってかかるのが普通だ。政府の者がこんな情報でオリバーたちを釣ろうと画策し
ているのかもしれない。オリバーとマキシミンの関係も、調べればすぐに解ることだろう。
 しかし同時に、現時点で唯一の行動を起こすきっかけともなりうる。
「いつ、とは書いていないか……ならば、適当な距離から待ち伏せして様子をみる」
 リニアが街の地図を広げた。
「ここの収容所は巨大で、街の一ブロックがまるごと収容施設になっている。別のブロッ
クからでもここは見えるし、デススティンガーが荷電粒子砲のひとつでも撃とうものなら
すぐに見えるはずだ。……私がシャドーエッジで偵察に出る」
「んな、師匠! 決定速すぎ!」
「早すぎ、ということはないぞ。日時、時刻の指定がない以上、今すぐにでも襲撃が行わ
れる可能性はある」
 あるいは、罠か――リニアは心の中で付け加えた。
「エメットはいつもの高台から見張っていてくれ。もし私がヤバイようなら、援護を頼む」
 リニアが愛機のコックピットに飛び込むと、オリバーが続いてイクスに乗り込もうとし
た。だが、彼女はそれを制する。
「オリバー! お前の機体はまだ修理が終わっていない!」

307 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/04/16(土) 21:09:00 ID:???
 自分のゾイドの状態も忘れているとは、これでは修行の意味がない。
 しぶしぶといった様子で引き下がるオリバーの前で、シャドーエッジがブースターを開
き、曇り空へと飛び出していった。
 エルフリーデはオリバーの横に並び、空を見上げる。
 ――雨が、降る。
 何故かそんな気がした。それも、強い雨が。

「何だ、あの白いヤツは来ねえのか」
 まだ雨は降っていないが、雲の中を雷が走っている。ときおり光る暗い空の下、どうや
って昇ったものかラインハルトのデスザウラーは居た。
「お前も、あいつと闘りたいよな? …スリンガー」
 その機体の名は“スリンガー”――パイロットである彼にアーサーから与えられた称号、
“銃撃手(ガンスリンガー)”から取った名だ。
 騎士の間では別に、ゾイドに名前を付けるなどといった決まりごとはない。ただなんと
なく、彼は愛機とより一体になれるような気がしていた。
 リニアたちのいる部屋に、矢文をぶち込んだのはラインハルトである。危険を冒してで
も相手は来る、そう思っての行動だ。
 しかし、やって来たのは彼が待ち望んだ敵ではなかった。
「…ま、アイツも結構な強敵だけどな」
 覗きこむスコープには、飛来する黒いバーサークフューラーの姿が映っている。新入り
を瞬殺するほどの腕前だったが、どうもヤツの戦い方には『面白み』がない。
 ――まあ、いい。相手にとって不足はない。
 剣を握る為に改造されたマニピュレータが、禍々しい深紅の刀身を鞘から抜き放つ。
「…コイツを追い込めば、案外白いヤツが出てくるかも知れねーしよ!」
 真っ直ぐ、敵に向けられた切先。その先端から眩いエネルギーの奔流が放たれ、戦いを
始めるきっかけとなった。

 ――雨が、降り出した。
 マキシミン=ブラッドベインは頭の中で任務を復唱する。『収容所を攻撃し、囚人を脱
走させよ』というモノだ。

308 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/04/16(土) 21:20:20 ID:???
 それに何の意味があるのか、彼は深く考えはしなかった。――そもそも、今の彼の状態
では“深く考える”ことを思いつきもしないだろう。
「予定通り、降雨です。作戦開始準備、OK」
 収容所には数々のセンサーがあるが、あまりアーティファクト資材には余裕がなかった
ため、半数ほどは前時代的な熱源センサーだ。そしてそれらのセンサーは、ひとたび雨が
降ればその間は無用の長物と化す。
 収容所の警備がこれほどお粗末なのも、以前の“ギルド”本部や暫定政府の施設にばか
りアーティファクト資材が使われているせいである。マキシミンはぼんやりとそのことを
思い出したが、教えてくれた少年は何といったか? クールな態度と、電撃銃を構えた姿
は浮かぶのだが、顔と名前が思い出せない。
<――頃合だ。作戦を開始せよ>
 命令は下った。それきり自己の記憶への追求は打ち切り、彼は操縦桿を傾けた。
 破壊が始まる。地中から飛び出したデススティンガーは、混乱する収容所の警備システ
ムをいとも易々と突破していく。
「ここが収容区画か……」
 バルカンが外壁を破壊し、怯える囚人達の前に逃げ道が開かれる。雨の中、紅い目を不
気味に光らせて収容所を破壊するデススティンガーは、彼らにとっては救済だ。
 その時、遠くで鳴り響く音が聞こえてきた。
「……!?」
 かなりの遠方より聞こえてきた音なのだろう。だが、降りしきる雨の音にもかき消され
ることはなく、低い地響きは曇り空に不気味な音を与えた。

 太い光条が雨のカーテンを貫く。リニアは直前でそれを回避し、ビーム砲を射出した。
 ――騎士……か!?
 廃ビルの上に立つ機体は見間違えようもない、改造されたデスザウラーである。その手
に握られた剣は血に染まるような深紅――政府で会ったヤツだ。
「あのビームは!? 荷電粒子砲では……ない!」

309 :三虎伝説 エピソード17 オブスタクル:2005/04/21(木) 21:02:29 ID:???
入場の時のような力強い足音は無く、何かが地面を転がる音だけが会場に響く。音は段々
遠くなり、数分の間、会場は冷たく静かな空気に覆われた。だが、その寒々しい雰囲気を物
ともせず、熱く燃え上がる1つの魂が観客席で鼓動していた。…まさか、アイツをやれるなんて。
グラントの眼は強い驚きと喜びに満たされ、独特の輝きを放っていた。モニターに映されたま
まになっていた青いゾイドの使い手の顔をじっと睨んだかと思えば隣に座っていた作業服の
男の方をガッと掴んだ。
「おい、今の見たか?フランカが負けた。あの坊主がフランカとゴジュラスの最強コンビを簡単
に破ったんだ。在り得ない!と思っていたことが実際に起こったんだ。…俺は今回まで最強の
一端を極めたつもりで居た。正直、シティーのチャンピオンにだって楽勝できるとさえ感じていた!
だが、違った。まだ強い奴は居た。少なくとも俺と同等以上の実力を持つフランカを破るような奴が
こんな所に隠れていやがった!なんて事だ!」
ルドブを大きく揺さぶり、大声でグラントは吼えた。
「よ〜し、そうとなったら行くぞ!」
グラントは頭をカクカクさせて、すっかり気分を悪くしていた男の襟を掴んで豪腕で軽く持ち上げる
ひょいっと肩に掛けた。
「…ど、どこへだ?」
抵抗する力も無くし、弱弱しい声でルドブが問うと大男は即答した。
「フランカのトコへに決まってんだろ?あの坊主の話をたっぷり聞かせてもらわねぇとな!」
身の心配をしないのか、仮にも女性…とルドブは思ったが、直ぐにこの男にとってそんなことは些細
な事以上の何者でもなかったのだという事を思い出した。そして、作業服の男は思考を止め、静かに
瞼を閉じて身をその広い背中に任せた。首元が少し窮屈だが少しの辛抱だ―。



310 :三虎伝説 エピソード17 オブスタクル:2005/04/21(木) 21:03:38 ID:???
フランカが病院に運ばれた事を知ったグラントとルドブが闘技場を後にした頃、リングには新しい戦士
達が姿を現していた。注目の第四回戦が始まったのだ。…客席から、TVモニターの前から視線が集
中した戦いは激しく展開した。後に戦いを控えている三人のファイターもその様子にモチベーションを
刺激され、ステージに上がりたいという気持ちを逸らせた。そう、全四人中から一人を除いた、
三人の選手…は、だ。
――彼の名はファイ・ライン。兄と共に駆るダブルアームリザードは一部の地域では白影の名で恐れら
れ、それなりの地位を築いていた。…だが、彼の今の愛機はリザードでは無くエヴォフライヤーだった。
操縦席も1人分のスペースしかない。…このエヴォは諸事情でZOITEC社で元の乗機であるリザードを
二体に分割した内の一体。単体での戦闘力よりもその適応地の豊富さを重視した機体で、今までリザー
ドの脳を担ってきたファイならその機能をフルに有効活用できる…はずだと思われた。…確かに彼の頭
から生みだされた戦術は決まれば絶大な効果を期待できる代物であった。そう、決まれば、だ。それはZ
OITECによる実戦トレーニングをした時に明らかとなった…。兄、ロンが戦術的な事が出来ず苦しんだよう
に、今まで激しくゾイドを動かした経験が少なかったファイの操縦技術は格段にレベルの低い物だったのだ。
飛行形態はもちろんの事、地上形態でも四足型よりも安定性の点で劣る二足型の操縦は彼には困難で、
厳しいバトルに耐えることは出来ないと見なされた。兄はあえて戦術を全く考えず、ゾイドと完全に一体化
することによって自分の戦闘スタイルを見出したが、ファイの場合は持ち味である戦術を実現する事が出来
ないのだから元々戦術力が無いのと同じ、…つまりバトルにおいては昇華性が全く無かったのだ。


311 :三虎伝説 エピソード17 オブスタクル:2005/04/21(木) 21:04:14 ID:???
トーナメントにエントリーしないと言う選択肢もあった。戦闘に出るだけが全てではない。長所を生かすことは
他の道でも出来る…社長とホワイトナイツ隊長の二人は後方指揮の道を彼に勧めた。だが、ファイはその勧め
に従おうという気は無かった。毎日毎日、狭苦しいコックピットの中で操縦桿を握り続けて寝る間も惜しんでトレ
ーニングに打ち込んだ。カルロも兄も戦っているのに自分だけがゾイドを降りるのは、逃げているようで、たまら
なく嫌だったのだ。…その結果、彼は倒れた。メインスイッチを付けたままモニターに顔を凭れて気絶していた
所を、休憩中の整備員に発見され、助け出されたのだ。目が覚めた後も直ぐには動く事は出来ず、暫くベッド
の上で生活する事になった。…ようやく動けるようになった時、大会は10日後までに迫っていた。エントリーは
既に済んでいる、逃げ道は無い。復活したファイは大量の水と栄養ドリンクを片手に、コックピットに篭った。
10日間、操縦桿を握りっぱなしで生活を送った。そして、ようやく満足な地上戦を可能にした所で、今日という日
を迎えた。当然、エヴォの特性を生かしきるためには航空戦のスキルが必要なのだがそれは間に合わなかった。
だが、なんとか戦うことは出来る。相手の機体も分かっているのだから、後は自分が戦える範囲内で考えられる
対抗策を編み出すしかない。ファイの考えはそこに落ち着いた。そして、彼は今、闘技場付近のゾイド用のトレー
ニング施設で実際にゾイドを動かしながら策を練り上げていた。耳にはドームから響く歓声も、ゾイドの放つ轟音
も届いていなかった。ただ、試合開始までのタイムカウントの音と、全身に響く振動だけが彼の頭を動かした。
焦りも有ったが、表情は晴れやかだった。ゾイドを自分の思い通りに動かせているという、ただそれだけの事に
軽い感動を覚えていた。ビームが的の真ん中を打ち抜いた時、アラーム音が鳴り響いた。同時に聞こえる第五
戦の終わりを告げる鐘。良いタイミングだ。闘技場直通のゾイドロードへエヴォを駆る。空はオレンジ色に輝き、
心地良い風を帯びていた。10日前に詰め込んだ水や栄養ドリンクは空き容器へと姿を変えていた。…やるべき
事はやった。絶対にこの努力を無駄にしはしない!誓いを胸に、ファイとエヴォは勢い良く入場門を潜った。
「さあ、バトルの開始だ!」


312 :三虎伝説 エピソード18 タクティクス:2005/04/24(日) 15:58:31 ID:???
門を潜るとそこには青く雄雄しい翼を持った翼竜型ゾイドの姿があった。ディメトロフェ
ニックス。ディメトロプテラのレーダーウィングをゼロクラスの身体を持ち上げるほどの
強力なマグネッサー効果を発生させるフェニックスの羽に換装し、強力なレーザー砲を
多数装備した強化タイプ。変形機構を犠牲にしてまで力を得たこの機体の単純な戦闘
力はエヴォの倍に相当し、それに加えてパイロットの腕という点においても明らかな差が
あった。この状況を不利と呼ばずしてなんと呼ぶのか…そう思いながらもファイは自分の
考案した作戦を信じる事を腹に決めた。…観客を覚醒させるゴング音が響いた。初日の
ラストバトルが遂に始まった。畳んでいた羽を大きく広げてディメフェニは夕日が照らす
橙の空へと飛翔すると、エヴォはリングの壁に向かってブースター全開で移動を開始した。
その様子を見た観客達は首をかしげた。てっきり航空形態になり空中戦を展開すると
思っていたからだ。だが、今まで個性的な戦い方でしっかりと楽しませてくれたファイター達
に深い疑いは沸かなかった。きっと、なんか面白い事をやってくれるはず…皆自然にそう思
い始めていた。そんな勝手な考えが巡っている中、ファイは必死だった。空中で機動を整え
たディメがすぐさま狙ってくるはず。それまでに壁にどうしても到達しなくてはならなかったか
らだ。予想通り、足場の直ぐ側をレーザーが舐めた。足場が削れ、バランスを崩しそうになる
エヴォ。ファイは力ずくで操縦桿を捻り、安定した道に足を運んだ。突如、機動音が頭上を
通り過ぎ、猛風に進行方向へと大きく投げ飛ばされる。頭から着地し、鶏冠が砕け散る。


313 :三虎伝説 エピソード18 タクティクス:2005/04/24(日) 15:59:58 ID:???
地を転がり、大きな衝撃が背を撃った。壁だ。全身に響く痺れを堪えながらファイは、分厚
くそそり立った金属を確認すると、その場にエヴォを前傾姿勢でしゃがみこませ、空を睨んだ。
…何のつもり?ディメのコックピットでイズナはその不可解な行動に眉を潜めた。だが、
相手が動かない事を確認すると降下し、レーザーを放った。鶏冠が砕け、へこみだらけに
なった頭部に容赦なく注がれる閃光。必殺効果は十分だ。…だが、それはエヴォの少し手前
で急速に減速し、挙句Vの字に屈折して散った。大会第一回戦でダムの見せた物と同じ、自機
を浮かせるほどの出力持つ、マグネッサー効果を利用した誘導磁場だ。ふーん、考えたわね。
確かに攻撃の範囲を限定すれば、その羽を前に展開するだけで十分な結界がはれる…しかも
後ろが壁なら通り抜けも出来ないから格闘戦はさらに無理と。だけど甘いわよ〜!再度ディメ
がレーザー砲を構えた。そして降り注ぐ光の雨。沸き立つ煙とともに壁が崩れた。貫通はせず
とも崩れ落ちた金属の瓦礫はその下に構えていたファイに牙をむいた。直ぐに脚力を増強させ
て横に逃げるエヴォ。だが、ディメはそれを許さず、横一線にレーザーを飛ばす。瓦礫が粉々
になり、灰色の装甲を捕える。だが、エヴォは慌てる事無く前方に転がり出て、背中に備え付け
られたキャノンを空中の標的目掛けて放つ。しかし、それを無駄だといわんばかりに上昇し、さら
りと交わすディメ。急降下し、中央部におびき出したエヴォ目掛けてアタックをかける。それに合
わせたかのように壁際に後退するエヴォ。ちっ!ちょこまかと〜。地面を正面に確認するとイズナ
は機体を捻り上げた。当然背後ではビームライフルが火を噴く。レバーを傾け、加速装置を一瞬
で調整してそれを何とか避ける。そして再度降下する――。このように何度かそのやり取りが続いた。
ファイの額には疲労の汗が浮かぶ。…効率的ではないが、空を飛べない以上、これを繰り返して
チャンスを狙うしかない。気力と体力は出来る限り鍛えてきた。大丈夫、勝利の瞬間は必ずやって
くるはずだ…。搭乗者同士が身を削りあう長期戦。あらかじめこの事態を想定していたファイとは
対照的に、一撃決着の空中戦を想定していたイズナの理性は限界にきていた。


314 :三虎伝説 エピソード18 タクティクス:2005/04/24(日) 16:02:04 ID:???
「…もう、アイツ一体何考えてんのよ!空中戦の出来ない機体ならともかくエヴォで飛ばないなん
て反則もいいとこじゃない!しかも男らしくも無くちょこまか、ちょこまか動きやがって〜!きぃ!こ
うなったら、もうヤケよ!ヤケ!どうにでもなっちゃえ〜!!」
今までと同じようにディメが降下してきたかと思うと、翼に備え付けられた大量のレーザー砲を一斉
に乱射した。先ほどまでのやり取りで深い傷を負っていたリングは悲鳴をあげた。無差別も良い所で、
砲塔が焼き切れる心配等、全く感じられないような攻撃。勿論壁際もその射程内でファイは壁から急
いで離れる。だが、瓦礫の山は波のように押し寄せ、足場も砕けたため、片足を完全にすくわれて、
その場に倒れこんだ。くっ…なんて無茶を。エヴォの身動きを奪ったにも関わらずレーザーは継続し
て降り注ぎ、止まなかった。もはや本来の目的がイズナには見えていないらしい。…暫く閃光がリング
を飛び交い続けると、ディメの羽から次々と爆発と煙が上がった。同時にレーザーの雨が止む。
…いけない!それに伴い我に返るイズナ。慌てて周囲を見回すと瓦礫に片足を抑えつけられつつも、
六枚の羽でレーザーの雨を凌ぎきっていたエヴォの姿があった。ふん、ようやく大人しくなったじゃない!


315 :三虎伝説 エピソード18 タクティクス:2005/04/24(日) 16:03:14 ID:???
ゆっくりと低空を飛び、ディメは倒れたエヴォの直ぐ側に着地した。くっ…。ファイはビームを撃とうと
トリガーを引くが砲塔が先ほどのレーザー熱で捻じ曲がり、反応が無い。その様子を笑っているのか、ディ
メはかすかに震えながらとショックキャノンをエヴォの頭部に乗せた。実弾でもレーザーでもないが、この距離
ならメインコンピューターを停止させるには十分…とは言っても、実際は先ほどの暴走でレーザーは
全て機能していなかったため、満足な武装はコレしか残っていなかった。バイバイ〜♪イズナがトリガ
ーに手を掛けた。しかし、それよりも早くファイは手元のレバーを倒した。次の瞬間…!空砲は砲身を
失い、内部破裂を起こした。キャノンが起こした爆発に、飛行を前提とされた薄い装甲は耐え切れず強
い衝撃となってコアシステムにダメージを与えた。ショック作用で機能が停止するディメ。コックピットの
明かりが次々と消える中でイズナは一瞬の出来事を理解できずに呆然とした。…停止した双翼の背後
では出来損ないの飛行形態で地にうずくまるエヴォフライヤーの姿があった。そう、先ほどファイが倒し
たレバーは飛行形態への変形システムを作動させるスイッチだったのだ。片足を封じられていたため
片方のウィングシステムと飛行用のジェットブースターだけが作動し、渦巻きのように回転してショック
キャノンを破壊したのだ。決着のゴングが鳴ると、ファイはコックピットから脱出して傷ついたエヴォの
姿に軽い笑みを見せた。
「…どうやら君は俺の意思に応えてくれたようだ、感謝するよ。」
――初めての個人戦での本当の意味での初めての勝利。そして、それに付き合ってくれた初めての
自分だけの愛機。先は長いが、取り合えずファームに戻ったら、急いで修理を頼もう。当然訓練も続け
なくてはならない。
「修理が終わったら今度は空を飛べるように訓練を積もう!エヴォフライヤー。」
…ふと見上げた空には薄っすらと大小二つの月が顔を覗かせていた。そう、まるで二人が空を飛ぶ
その日が近いことを祈っているかのように…。


316 :悪魔の遺伝子 834 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/01(日) 23:43:52 ID:???
「ギガクラッシャァァヨーヨー!!」
「何ぃ!?」
カンウの右手から投げ出されたギガクラッシャーヨーヨーが高速回転しながら真っ直ぐに
ゼロシュナイダーを襲い、その5本のレーザーブレードをいとも容易く叩き折っていった。
『おおおっとぉ!カンウが取り出した円盤状の物体はなんとヨーヨーだったぁぁ!!』
『ヨーヨーまでも武器にするとは流石はマオ流格闘術!見る者を飽きさせません!!』
ヨーヨー攻撃によってブレードを折られた衝撃でシュナイダーのスピードは落ち、
ソーダルも意表を突かれた攻撃に思い切り浮き足立った。が、その時には既に遅く、
カンウのクラッシャーテイルによってホームランにされていたのだった。
『ついにゼロシュナイダーもリタイヤ!残るデススティンガーと一騎打ちです!!』
「くそぉ!こうなったら高出力荷電粒子砲だ!俺に手加減した事を後悔させてやる!!」
既に本来の冷静沈着なキャラは失われ、すっかり熱くなったステルガは荷電粒子砲の
引き金を引いた。彼のデススティンガーの全身の装甲はボコボコにひしゃげていたが、
マリンとカンウが手加減していた事もあり、まだある程度活動出来た。
そしてデススティンガーから放たれた高出力荷電粒子砲がカンウの側面に命中したのだ。
「やった!!」
ステルガは歓喜の表情となったが、それは一瞬の出来事でしか無かった。なんとその
粒子線はカンウの左腕に装備されている集光パネルによって吸収されていたのだ。
『おおおっとぉぉ!荷電粒子砲が全て吸収されているぞぉぉぉぉ!!』
「その位の出力ならばかわしたり、Eシールドを張ったりするまでも無いよ。」
「そ・・・そんなバカなぁ!だ・・・だがいつまでも吸収できると思うなよ!
こうなったら貴様の吸収限界が来るまで発射し続けてやるわぁぁぁ!!」
ステルガは荷電粒子砲発射ボタンを押し続け、デススティンガーは荷電粒子砲を
撃ち続けた。それから発生する余りの熱にデススティンガーの尾の荷電粒子砲発射砲口が
赤く発熱する程だった。が、それすらもカンウの集光パネルは全て吸収していたのだ。

317 :悪魔の遺伝子 835 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/01(日) 23:53:07 ID:???
「さて、そろそろ頃合いね。」
マリンがそう呟くと、カンウは右腕を振り上げた。するとその右腕が強い光を発した。
『おおおっとぉぉぉ!カンウの右腕が輝きだしたぞぉぉぉ!!これは何かの
気功技のプレリュードかぁぁぁ!?』
「ななな何をする気だお前はぁぁぁぁ!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!気功飛砕拳!!」
マリンの気合いと共にカンウの右腕から放たれたそれは集光パネルから吸収した
荷電粒子エネルギーを加える事で威力を高め、かつマリンとカンウにかかる負担を
軽減させた“気”の固まりだった。カンウの爪を模したエネルギーの固まりは猛烈な
速度でデススティンガーの発射する荷電粒子砲を吹き飛ばしながら突き進み、
慌てて展開したデススティンガーのEシールドすら意にも介させずにその尾をまるごと
吹き飛ばして行き、試合場を覆う分厚い壁に巨大な傷跡を残していた。
「そ・・・そんなバカな・・・。」
『ついにデススティンガーもリタイヤーです!!このバトルロイアルは
マリン=バイス選手とゴジュラスギガ“カンウ”が制しましたぁぁぁぁ!!』
「ふう・・・。それにしても重かった〜。」
ようやく勝利を収めたマリンはほっと一息付き、カンウをその場に座らせていた。
そうして長年のトラウマを克服した彼女は精神的にも成長出来た様な気がする。

こうして撮影終了後、放送局関係者からギャラの振り込み等の手続き等が行われていた
ワケだが、ステルガ等4人はなおもマリンの強さに唖然と口を開いたままだった。
「あ・・・アイツ、いつの間にあんなに強くなったんだ。」
「ゾイドの性能のおかげじゃね?」
「いや、とてもそうは思えないな。例え高性能ゾイドに乗っていたとしても、お前の
ゼロシュナイダーの突撃をあれ程見事にかわすのは相当な腕が無いと無理な話だろう?」
「そ・・・そう言えば。」
「あと他にも色々ワケの分からない事をしていたしな。」
「は〜。こりゃあの黒服さんの小切手は無しか。」
4人は溜息を付いた後で、帰ろうとしていたマリンの方へ慌てて駆け寄った。
「ちょ・・・ちょっと待ってくれ!」
「何?私早く帰りたいんだけど。」
「お・・・お前は一体いつの間にあんなに強くなったんだ?」

318 :悪魔の遺伝子 836 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/01(日) 23:56:39 ID:???
4人はいても立ってもいられなくなった顔でそう言ったが、マリンは拍子抜けしていた。
「え・・・?ま、まあ今まで色々あったしね。死ぬような戦いもあったし。でも・・・。」
と、その時マリンは突然4人に頭を下げたのだ。
「今日の試合は本当にありがとうございます。今日の試合が無かったら多分ずっと
貴方達を怖がっていたと思うし。ではそれじゃあまた何処かの試合で・・・。」
マリンは後ろにいたルナリス等と共に出口へ向かって歩き始めていたが、
4人は何も言い出せなかった。彼女に完敗した事は衝撃的ですらあり、反抗する気
も起きなかったのだ。と、帰る途中だったマリンが体の各部に装備していた
プロテクターの一つがポロリと床に落ちたのが見えたのだ。
「お・・・おい。お前何か落としたぞ!」
ステルガが駆け寄り、マリンが落としたプロテクターの一つを拾い上げようとしたが・・・
「うああ!」
「ど・・・どうした!?」
突然驚きの声をあげたステルガに、他の3人も慌てて駆け寄った。そしてステルガは
マリンの落としたプロテクターをいかにも重そうにゆっくりと持ち上げていたのだ。
「お・・・おい、どうしたんだ?そんな余りにも重そうに持って・・・。」
「重そうなんじゃなくて、重いんだよ!」
「何?ちょっと貸して見ろ!」
ソーダルがステルガからプロテクターを受け取った直後だった。ソーダルの手に
物凄い重みが加わり、思わず床に落としてしまったのだ。
「な!なんじゃこりゃぁ!もう10キロ以上は有にあるんじゃないのかこれ!!」
「ああ!ごめんなさ〜い!拾ってくれたんですね〜!」
4人が唖然とする中、笑いながら戻ってきたマリンがそのプロテクターを軽々と
持ち上げて再装備した。それを見た4人はさらに唖然としてしまった。
「ま・・・まさかお前、ずっとそれを付けたまま?」
「うん!オラップ島の大会に備えて特訓中だから!」
「・・・。」
マリンはその後すぐに帰ってしまったが、4人は黙り込んだままずっとその場に立ち
つくすしか無かった。

319 :悪魔の遺伝子 837 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/02(月) 00:00:57 ID:???
ちなみに先程のバトルロイアルの結果はその日のニュース番組や翌日の新聞などでも
大きく取り上げられ、ネット上でも様々な物議を醸しだしていた。そしてステルガ等
四人には数多くの固定ファンが付いていた為、かなりの数のインターネット掲示板で
マリンを叩く文章が書き込まれたりしていたが、元々人にバカにされる事は割と
慣れている方であるマリン本人にとってはそんな事など何処吹く風であったりする。
ただ、掲示板に書かれた文章の全てがマリンをバッシングした物と言うワケでも無く、
純粋のマリンを勝利者として称える人等も少なからずいたのであった。

320 :三虎伝説 エピソード19 バケイション:2005/05/05(木) 10:34:58 ID:???
月の輝きだけが支配する青い夜。灼熱の光と共に繰り広げられた熱き戦いの舞台は、冷気
のみを宿し、静寂の中にあった。戦いの激しさを物語る深い傷跡を抱えたドーム状の建造物。
そこから程遠くない銀色の建物、その中に今日の勝利者達は居た。第二回戦進出者六人。
各々の相棒と共に激戦を勝ち抜いた彼らを待っていたのは、つかの間の休息だった。
猶予は三日。大会本部の告知によれば個人の自由に使ってよい時間、とされているが第二回戦
のレギュレーションの発表を待つ彼らに出来ることは、ゾイドの修理と体を休める事ぐらいだった。
そのため多くの選手は早々と安らかな時に身を投じ、夜空の深い闇を目にする事はなかった。

かすかに日が昇った。その淡く微弱な光に気付いた青年は深い呼吸を味わうと、ぐっと全身に
力をこめて起き上がった。周囲を見回すと、見慣れない時計が視界に入った。今までの人生に
は無かったほどの早い朝だ。何気なく額に手をやると、ぼやけた感覚ながらも明らかに肌とは
違う物に触れたことに気付いた。…包帯?しばらく沈黙の時が流れ、ロンはハッとした。
「そうか、ついさっきまで…いや、もう昨日の話か。」
ぽつりと呟くと脳裏にバトルの情景が蘇った。体に激痛のような物が走るが、それは直ぐに姿を
消し、下腹部を満たす熱に変わった。
「勝った。俺とレオだけの力で…」
医務室ではその事実を理解していながらも沸かなかった実感が、時間差でロンの身を包んだ。
強く握った拳には血が滲んだ。だが彼の目には当然届かず、暫くその感覚に身を震わせていた。



321 :三虎伝説 エピソード19 バケイション:2005/05/05(木) 10:35:31 ID:???
一方、それから数時間後に目を覚ましたグラントはさっさと身支度を済ませるとカーゴに突撃した。
大会規約上、この施設を利用しなくてはならなかったが相棒と長時間離れる事は彼にとって
この世のどんな罰よりも辛い事だった。身分証明を終え、入り口を軽々突破するとゴジュラスが
格納されているメインコンテナへと駆けた。階段を一踏みで飛び降り、巨体の足元へ近づくと死人
のように横たわるメカニック達の姿が目に入った。そのうちの1人、チーム一の技術屋ルドブを
無理矢理起こし、1つ尋ねた。
「修理は終わってるか?」
疲労によりおぼつかない口で一言
「…完璧だ。」
と、ルドブが答えるとグラントは満面の笑みを浮かべ、よれた作業服を支える背中を強靭な手の
ひらで叩き飛ばし、ゴジュラスに乗り込んだ。
「いくぜ!」
メインシステムを立ち上げると、ゴジュラスは何時も以上の轟音を立て、展開したカタパルトから
勢い良く飛び出した。一声唸り寝坊達を飛び起こさせ、巨獣は軽快な足取りで日課通り朝の散歩へ出発した。

日が完全に昇ると、辺りは急に騒がしくなった。スタジアムの修復作業が始まったのだ。時を同じく、
その騒音に負けないほどの声が各所から上がった。大会第二回戦のルールが発表されたらしい。
発表内容は以下の通り。

・出場資格を持つのは第一回戦の勝利者とそのゾイド(登録済み)
・武装はゾイドバトル公式委員会の定めた規定内
・三人一組のチーム戦として行い、勝利したチームの所属者が三回戦進出の権利を得る
…etc
ここまで見てもらえれば分かると思うが、彼らが上げた驚きの声は第三項のチーム戦という事に
対する物だった。ほとんど面識の無いゾイドパイロットと共に三日の間にチームワークと作戦を完成
させなければならないという難題。それを解く為、彼らは指示された通りそれぞれのチームのために
用意されたファームに急いだ。



322 :三虎伝説 エピソード19 バケイション:2005/05/05(木) 10:36:04 ID:???
リリーがファームAの入り口を潜るとそこには意気投合する若者と大男の姿があった。もしかして二人は
既に知り合い?まさか自分だけ仲間ハズレ?などと少々不安な気持ちになりながらも、彼女は二人の
下へ駆け寄った。
近づくと遠くで見ていたよりも二人は逞しい体つきをし、その表情やオーラ等から細かい戦術タイプと
いうよりも力押しで戦うタイプである事が一目でわかった。
「…ロンさんとグラントさんですね?」
リリーは勇気を振り絞って口を開いた。大男がゆっくり振り向く。
「…おう!いかにも俺はグラントだ。こっちもロンで間違いない。」
見た目以上の豪快な口調で返事が返ってきた。話し振りから、やはり二人は友人のようだ。
「ん?そういうアンタはリリーか?」
「え、…そうよ。」
こっちが「さん付け」しているにも関わらず、いきなり呼び捨てとは。リリーはこの若者に礼儀知らずの
無礼者という認識を持った。
リリーを確認するとグラントはソファーから勢い良く立ち上がった。
「全員揃ったみたいだから取り合えず自己紹介からだな!俺の名前はグラント。チームGALESのリー
ダーを務めていた人間だ。相棒のゴジュラスとのタッグで負けた事がほとんど無いのが自慢だ。よろしく!」
パチパチと拍手を青年が送るのを見て、リリーは慌てて手を叩く。大男が座ると、今度は
青年が立ち上がった、グラントが目をやると彼女も視線を追った。
「次は俺だな。名はロン、姓はライン。トライクロウズってチームに所属して地方リーグを極めた事がある。
最近ちょっとした事情でDALからレオストに乗り換えたばかりなもんで完璧な戦力を発揮できるか分から
ないがまあ、よろしくな!…っとちなみに向こうのチームに居るファイ・ラインとは兄弟って関係だ。
苗字を見れば分かると思うがな。」
威勢良く二人の自己紹介が終わると視線が自分の方へと集まるのが分かった。今度は彼女の出番だ。


323 :三虎伝説 エピソード19 バケイション:2005/05/05(木) 10:36:46 ID:???
「えっと、私の名前はリリー・ベルネット。こ、今回の大会にはZOITECブルーの特別昇進試験という枠で
参加しました。向こうのチームにも知り合いが一人居ます。よ、よろしくお願いします!」
(よし…なんとか潜りぬけた。) 
と、自己紹介を済ませて、ほっと胸を撫で下ろした彼女だったが…
「乗ってるゾイドは?」
重要な事を1つ言い忘れていたようだ。ビクッと驚いた表情になった彼女を二人は不思議そうに覗き込む。
なんて威圧感だ。早く返事を…
「ゾ、ゾイドですか?私のゾイドはディ…!」
舌を噛んだ。慌てすぎだ。口を抑えて痛みを堪える様子を見て、二人は軽く表情を緩ませた。
「ディ…なんだ?」
再度問われて、慌てながら答える。
「ディ、ディバイソン…」
「「ディバイソン!?」」
いきなり大声をだされたのでリリーは縮み上がった。
「はい、ちゃんと登録表にもありますが…」
直ぐに二人は登録表を呼び出してモニターに顔を近づけた。
「本当だな!」「どうやら、そうらしい。」
リリーが頭にはてなを三つくらい浮かべながら、二人のやり取りを見ていると急に彼らは振り向いて
ジロジロとこちらを見た。


324 :三虎伝説 エピソード19 バケイション:2005/05/05(木) 10:37:20 ID:???
「一体なんなんですか!」
失礼な態度に彼女の怒りが破裂した。
「いや…まさか嬢ちゃんみたいな娘があんな厳ついゾイドを操縦してるなんて、意外だったもんで。
てっきり、すらっとした飛行ゾイドかなんかかと…。」
「別に良いじゃない。趣味なんて人それぞれなんだから!」
「まあ、そりゃそうだけど。アンタ、結構美人だしさ…。」
「…美人?」
その一言がリリーの頭に止まる。普段聞きなれない、心地良い響き。さっきまでの無礼な行為や
アンタ呼ばわりされている事等無かったかのように気分が良くなった。
「まぁ〜確かに。女性が乗るには無骨すぎる気がしないわけでもないわね。」
「…え(さっきは否定してなかったか?)」
グラントがこの娘の急変振りに混乱した表情を浮かべる脇でロンは言葉の魔力に驚いていた。

…何だかんだで互いに打ち解けた三人の前に1人、男が現れた。
「こっちの三人はすっかり仲良くなったみたいだね!」
長身で、白い服に身を包んだその男はZOITEC最強部隊ホワイトナイツを束ねるライト・ブランクで
あった。ライトは人指しを立ててビッと三人に向けた。
「今回チームAを担当するライトだ。グラント君は初対面だけど、よ〜ろしくぅ!」



325 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/05/07(土) 19:23:12 ID:???
 個別に動き回るビーム砲が、敵機を囲んで集中砲火を浴びせる。が、あまり高出力の物
ではないだけに、雨の中では減衰が激しく、デスザウラークラスの装甲にはダメージを与
えることができない。
 そうしているうちに、次弾がリニアを襲った。今度は強力な実体弾。
「く……重装タイプか!?」
 天候による暗さと、徐々に激しくなる雨。それらが視界を狭め、敵機がどんな武装を持
っているのかよく見えない。
 ならば、と彼女はブースターに急点火した。降雨のせいか加速は悪いが、それでも雨の
中にはっきりと機体の通った軌跡が残るほどの速度で敵に急迫する。
 ――格闘戦でなら、そうそう負けはしない。
 重装備の機体は、どうしても機動力や反応速度を犠牲にする。格闘戦などでの取り回し
においても、通常機に劣るのだ。
 やがて距離が詰まるにつれ、敵の姿が見えてきた。
「!? 火器を装備して……いない!?」
 彼女の予想に反して、敵は見たところ火器を装備していなかった。装甲内蔵型の武装か
とも考えたが、割けるスペースの小さい内蔵火器では先程のような射撃はできまい。
 荷電粒子砲に匹敵する強力なビームと、バスターキャノン並の実弾。どこから撃ったの
だろうか?
「……まずは、正体を見極める!」
 独立ビーム砲“セラフィックフェザー”が敵の背後に回りこみ、荷電粒子吸入ファンに
攻撃を集中させる。いくら減衰が激しくとも、中型ゾイドの攻撃で破れるほど脆いファン
ならば充分に突破は可能だ。
 しかし、一点に集中したそのビームの束は、背中で盛大に弾かれた。
「!? 馬鹿なっ!?」
 そして、敵の握った紅い剣がこちらに向けられる。本能的にリニアは、操縦桿を思い切
り左に傾けた。
 直後、たった今リニアが移動してきた空間を荷電粒子砲の青い光条が貫く。それが放た
れているのはデスザウラーの口ではなく、銃口のように向けられた紅い剣の切先。
 ――やっと解ってきた。あの騎士の……あの“剣”の力は……

326 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/05/07(土) 19:26:48 ID:???
 荷電粒子砲の閃光が止み、リニアが接近しようとした時、またも深紅の刀身が輝いた。
その光の中から無数のミサイルが飛び出し、シャドーエッジに向かう。
「……っ!」
 間一髪、“セラフィックフェザー”が嵐のようにビームを放ち、ミサイルを叩き落す。
だが彼女はこわばった表情のまま、恐るべき敵の力に戦慄していた。
 ――あの“剣”の力は……『剣を砲身として、あらゆる射撃攻撃を放てる』力だ。
「よう、俺の“レーヴァテイン”はどうだ? なかなか良い武器だろ」
 挑発のつもりか――突然回線を開いた相手に対し、彼女は冷や汗をかきつつも、鼻で笑
ってみせる。
「ふん、一撃ごとに武器を変えねばならないのであれば……結局は、一つずつ武器を使う
のと同じことッ! ましてや無限に撃てる訳でもあるまい!?」
 彼女の見たところ、複数の射撃による同時攻撃ができないのがレーヴァテインの弱点だ。
単発だけであるのなら、避ける自信はある。
 と、それを受けて敵の騎士――ラインハルトは薄笑いを浮かべた。
「おぉ、流石はアーサーが恐れるだけのことはある。その判断は妥当だろうよ……ただし、
俺以外のヤツを相手にしてればの話だがな」
 再びレーヴァテインが輝き、多数のミサイルが放たれた。だが、撃ち出されるミサイル
の嵐は全く途絶えず、空を目指す。
「な……」
 数秒にして無数のミサイルが空を埋め尽くし、急降下してリニアに向かってきた。
 ――無限に放てるというのか!?
 彼女はめまぐるしくビームの網を張り、ミサイルを爆破していく。しかし、あまりにも
数が多すぎる。ビームの網をすり抜けたミサイルがシャドーエッジに迫り、リニアはブレ
ードでそれらを切り裂いた。
「俺たち円卓の騎士と戦うつもりなら、物理法則なんかアテにしちゃあいけねぇぜ! こ
の剣の力は『無限に実弾、光学兵器を撃てる』ってヤツだからよォ!」
「ぐ……なめるなッ!」
 落としきれなかったミサイルを引きつけ、リニアは後退する。相対速度が合わさり、目
の前のミサイル群が止まって見えるくらいの位置に来た所で、それらを荷電粒子砲で薙ぎ
払った。全てのミサイルを飲み込んだ奔流は雨を蒸発させ、そのままラインハルトの機体
へと伸びる。

327 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/05/07(土) 19:32:23 ID:???
「んなッ!? そんな距離から荷電粒子砲を!」
 レーヴァテインを盾代わりにし、粒子砲を防ぐスリンガー。その中で彼は、敵に対する
認識を改めた。
 ――コイツは、能力者でもないのに俺と互角以上に渡り合ってやがる! 下手をすれば
……負ける!
 荷電粒子砲の閃光で視界が塞がれている間に、敵は格闘レンジまで飛び込んできていた。
 レーヴァテインでビームブレードを弾く。彼は同時に強力なビームを放ち、足場となっ
ていたビルが轟音と共に崩れ落ちる。
 ――クソ、白いヤツと闘う前に死んじまうじゃねぇか! シャレになんねぇ!

 リニアの見るところ敵の機体は、剣から荷電粒子砲を放てるゆえに背中のファンをオミ
ットしている。同時に内部の粒子加速器も排除し、その分機体を補強することにより、内
部が弱いというデスザウラーの致命的な弱点を克服しているのだ。
「弱点は、ない……強いて言うならば、間接か」
 高威力のビームが連続して、正確な狙いで飛んでくる。リニアはそれを全てかわすと9枚
のビームブレードを全て展開して錐揉み回転し、真上から急降下攻撃を仕掛けた。
「――なにッ!?」
 光の刃が竜巻のように回転しながら迫ってくるのを見て、敵はデスザウラーをベースに
したとは思えぬ機動性で回避運動を取る。地面に激突するという所で、リニアは操縦桿を
上げた。その先には、飛び退いて逃げた敵機がいる。
「甘い! もらったッ!」
「な……レシプロケイティングミサイルだと!?」
 本来はエナジーライガーの飛行能力を利用して使用するイレギュラーな必殺技だが、同
様の格闘武装と飛行能力、強力なスラスターを持つシャドーエッジの性能でできないこと
ではない。
 腕も必要となるが、言うまでもなく彼女には実力が備わっている。
「クソッ! ……だが、回転技は軸となる中心がガラ空きに――」
 ビームブレードの効果が及ばない、回転軸となる本体を叩いて攻撃を中断させる。ライ
ンハルトの読みは、回避が不可能なこの状況において最も正しい。
 しかしその時、高速回転する円の中心が光った。

328 :Innocent World2 円卓の騎士:2005/05/07(土) 19:41:38 ID:???
「……! やばいぜ……コイツには驚かされっぱなしだ」
 次の瞬間、ラインハルトの機体は荷電粒子砲の直撃を受け、遥か後方まで吹っ飛ばされ
ていた。
 側面はビームブレード、そして死角となる中心――正面は荷電粒子砲。敵が前に居る限
り完璧な攻撃である。もちろん、これだけの攻撃を行うエネルギーが無くては不可能だ。
 シャドーエッジには、それを可能にするだけの性能がある。
「やれやれ……私も、機体性能に頼りすぎだな……」
 元は、彼女の兄――“世界最強の能力者”セディール=レインフォードのために特別な
チューンがなされた機体だ。古代文明の技術・オーガノイドシステムを使用したとの噂も
あるが、開発に関する記録や資料は全て“ギルド”本部と共に塵となった。
 長く地面を抉り取って滑り、やっと止まった敵機に、リニアはとどめを刺そうと迫る。
 ラインハルトはレーヴァテインを構え、迫りくる黒い機体に切先を向けた。
 だが――

「何をしている、ラインハルト」

 リニアは全身の温度が急激に冷めていくような気がした。戦いを繰り広げていた両者は
レーダーを見やり、反応が現れた方向に目を向ける。
 優美な装飾を施した、細身の長剣。それを持つ機体は黒く、やはりところどころに金の
模様が入っている。
「……アーサー」
「何だと?」
 漏れ聞こえたラインハルトの声。それでは、あの機体が……?
「“ソードマスター”アーサー……円卓の騎士を束ねる男!」
 リニアの身体はまるで、神経と筋肉のつながりを遮断されたように動かない。それはア
ーサーの圧倒的なプレッシャーのせいもあるのだろうが、それだけではない。
 彼女はその声を知っている。しかし、誰の声であったかは思い出せない。というよりも、
彼女の深層意識が本能的に“思い出すこと”を拒んでいるかのようだった。
「お前は下がれ。“彼女”の相手は、お前でも荷が重い。――もうすぐ“彼”も来る」
 ビームブレードを交差させ、構えるシャドーエッジ。黒雲による暗闇の中、アーサーの
剣“エックス・キャリヴァー”がほのかに光り始めた。

329 :荒野の少年:2005/05/08(日) 11:40:28 ID:2JLW2Kon
「最後の任務だ!行くぞ!」
とでかい声がアトルの耳に入る。
それもそのはず。帝国を倒す最後の任務だからだ。
最後の出撃なだけにライガー0フェニックス、ゴジュラスギガなどがいる。
そしてこれが惑星zI最後の壮絶な戦いになることを覚悟して出撃した。
空からはライガー0フェニックス、ディメトロプテラが、
海からはレオゲーターが、
陸からはゴジュラスギガ、そしてアトル駆るワイツタイガーがいる。
そんな中ついに帝国にたどり着いたのだ。
そこにはシザーストーム、レーザーストーム、キメラドラゴン、スティルアーマー、
そのキメラ部隊を束ねるデスザウラーの姿があった。
「全軍突撃!キメラ部隊を破れ!」
というアルベルトの命令とともに、
180機もの共和国ゾイドが突撃した!
ゴジュラスギガがデスザウラーの首をかみちぎり、
ライガー0フェニックスの爪がキメラドラゴンを切り裂き、
アトルのワイツタイガーがシザーストーム、レーザーストームを一掃した。
全てのキメラ部隊を倒した瞬間、
「ドオオオオオォォン!」
何者かが撃った荷電粒子砲がワイツタイガー以外のゾイドを撃ち抜いた。
目の前を見るとなんと破壊神「セイスモサウルス」がいた。
そしてセイスモサウルスとワイツタイガーが目をあわせた時、
ついに惑星zI最大の戦い始まった!




330 :コンビネイション・2:2005/05/09(月) 15:47:03 ID:???
荒涼とはここのような所を指すのだろう。
ぼこぼこと巨大な、中型ゾイドならそれこそ丸ごと入ってしまうような穴だらけの半分砂漠みたいな風景。
夜は冷える。具体的には、
シュラフ被って、シートカバー、メインシートのソレまで貰ってグルグル巻きにしてたって歯の根のガチガチが止まらない。加齢臭がする。

サイクスを視認。
黒いボディーは夜に溶け、実際見えたのは月明かりの一瞬の反射だけだが
僕らを追ってきたサイクスと考えて問題ない。別のまで来てるならその時点で、もう、オシマイ。ハハ。
傲慢殿に報告。

「ちゅっ 中尉っ パール中尉サイクスを八時に」
「こっちにゃレーダーが有るんだよ。通信中だ」

追われるハメになる前に使ってください。

「聞こえてるな、こちらスナイプマスター・ピアスピアス搭乗パール中尉だ
 マーカス一等共に無事だがサイクスに追われ潜伏中。
 場所は恐らくヤック高原外れ辺りと思われる、応援頼む、オーバー。」

331 :コンビネイション・2:2005/05/09(月) 15:50:04 ID:???
とはいえ幸運だ。
歪んだ地形は、ここがレアメタルの採掘場であったことに由来する。
いまは掘りつくされてこの通りだが、その残滓と放置された採掘機器やらは酷い通信の妨害になっているのに。
基地からの距離はない。奇跡的にもヤックから通信ができたなら、応援もすぐだろう。
安心してガチガチを続ける。

続けすぎている事に気づく。
通信から5時間、いくらなんでも遅すぎる。応援の隊との通信も無い。
「なあマーカス」
「はぁ」
「夜が明けるな」
「迷ってるんでしょうか。」
「この機体にゃ、メクラマシはアレ切りか」
「はぁ。1ッ発だけです。応援隊からの通信ありませんか?」
「だったら暗い内に動いたほうがいいなぁ」
「いや、応援隊を待ちましょうよ」

「お前、ここはヤックだぞ」
「はい」
「ああやらなきゃ、お前、不安がるだろ」
「。」

332 :コンビネイション・3:2005/05/10(火) 10:48:38 ID:???
死の風景の明け方近く、土地が一番に冷える頃、鉄のトカゲは行動を始めた。

「・・付かれてます。中尉」
「ああ。」

追跡者・ライトニングサイクスとの距離は広がらない。
しかし速度で大幅に下回る筈の獲物を、彼の獣は依然捉えられずに居るのだ。

機動中安定度の低い二足機械竜・スナイプマスターではあるが、乗り手の練度が精妙なる隠密機動を可能にしていた。
ZIODSには心がある、最早こう記すことさえ躊躇われる定説ではあるが、真に実感出来る者は多くない。
元々腕のいいゾイド乗りであったこの男、エヅェルデル・パール中尉の神経は
この切羽詰った状況と、未熟な相棒の命を双肩にして今、なによりも鋭くなっていた。

瓦礫の陰、歪な岩塊の頂、抉られた地表の窪み、
巧妙迅速に姿を翻し、サイクスの爪を迷わせる。
「ど、どこまで着いて来る気なんでしょうか」
「・・何に出くわしたって、捕まりゃしないと思ってやがるんだろう」

竜と獣の機動音は止まず、しかし交わることなく着実に共和国基地へと近づいてゆく。
時折苛立たしげに放たれるパルスレーザーも、SMの駆けた後ろを崩すばかりだ。

333 :コンビネイション・3:2005/05/10(火) 10:50:02 ID:???
一瞬視界が開けた。パールの判断と、踵を返したのはそれと同時。穴だらけの景色へ疾駆。
「中尉ぃ?!基地はッ」
「間に合う位置に友軍が無い!平地にゃ出られん!腹括れぇ!」
方向転換はサイクスに都合よく働いた。
四ツ脚にしては驚くほど機敏に向き直り、獲物を捕捉。もう、逃がさない。

軽い炸裂音を纏いSMを掠める桃色の光。
天蓋を失った狙撃手には直に熱。シュラフの毛羽立ちが一瞬赤く燃え立つ。
「お前!見せてみろマーカス!」
怒号と共に踏み出した最後の一歩は、宙。

「こぉッ!こんなのはぁ・・ッ!」
下士官の悲鳴と共に鉄トカゲは、頭から縦穴へ突っ込んだ。黒い捕食者は機を逃さず間抜けた獲物へその牙を光らせ、
しかして狙撃手は吐き捨てる。

「・・外し様無いターゲットなんてのは」
竜は双頭
「スナイパーの仕事じゃないです」
火吹きの頭は彼の仕業。

カーン

まだ低い太陽よりは幾分高く。ヤックの空に殺しのブレスが打ち上がった。

334 :名無し獣@リアルに歩行:2005/05/17(火) 22:23:39 ID:???
        ミ _           ミ _ ズドンッ
         ┌─┴┴―――――――─┴┴―┐
    ∧∧ |このスレは      __       |
    (   ,,)|      幺夂       /      .|
   /   つ.      ノト二     亅        .|
 〜′ /´ └─┬┬――─――───┬┬―┘
  ∪ ∪      ││                ││ _ε3
           ゛゛'゛'゛            ゛゛'゛'゛
運営スレの総意を形にすると、こうしろって事だろ

335 :短編・虹を見つけたら教えて:2005/05/19(木) 21:39:44 ID:???
 ――ZAC2099年に始まり、予想外の長引きを見せて戦場を拡大する戦争。
 その中では無数の兵士が、ゾイドが戦い、そして……死んでいった。

 これは、共和国が首都奪還の準備を進めている頃の話。彼は、特別優秀でもないが経験
はあるゾイド乗り。愛機は、ガイサック。
 その日、彼は砂漠で敵の補給部隊を待ち構えていた。

「……あーあー、作戦司令部聞こえるか? こちら、ポイントx210.y354。敵部隊の機影を
確認した。繰り返す……」
 ティモシー・グリーン准尉は少し早めに打電を始めた。まだレーダーの隅に赤い点が現
れただけだが、規則正しい並びからして目的の部隊であることは明らかである。
 愛機のガイサックとは、開戦当初からの付き合いで、もはや最初期のゾイドとしてロー

トル扱いされることも多い。そんな時、彼は決まってこう言う。
 ――ガイサックをバカにしちゃいけねぇな。コイツでセイバータイガーを落とした猛者
がいるって聞いたぜ。
 別に彼がやった訳でもないので、仲間たちは軽く笑うだけである。そう、彼がこれまで
に上げた戦果といえば、モルガやコマンドゾイドをいくらかと、砲台や通信施設。
 大型ゾイドを倒すなど、夢でしかない。
 今日の敵部隊には、ダークスパイナーが配備されている。味方に大型のゾイドは無いの
で、ジャミングウェーブはさしたる恐怖でもないが……予定では、奇襲と同時に予め仕掛
けておいたミサイルで撃破することになっている。
 後はせいぜい居てもハンマーロック。こちらの部隊にはスナイプマスターもいる。負け
はしないだろう。
 敵部隊が予定した位置に来たら、ティモシーが合図を出すこととなっている。その合図
と同時に、スナイプマスター3個中隊で構成された狙撃隊が敵の隊列を崩すのだ。
 攻撃の合図は――『虹を見つけた』である。

 この行軍速度なら、敵が予定地点に到着するまではまだ余裕がある。それまでに彼がや
ることといえば、機体に被せた迷彩シートが落ちないようにすることぐらい。

336 :短編・虹を見つけたら教えて:2005/05/19(木) 21:41:18 ID:???
 近付かれなければ、まず気付かれはしない。
 ――しかし、運命とは皮肉な物だった。敵の斥候らしきレブラプターが、偶然彼の機体
を気付かず踏んでしまったのだ。
 ガイサックが暴れると、さすがに気付いて相手は動揺する。ティモシーは考えた。
 『虚を付いて仕留めるか? 煙幕張って逃げるか?』
 ほぼ距離はゼロ。尾のビームライフルでも、充分に致命傷だ。だが、レブラプターの敏
捷性ならばこの距離で避けられてもおかしくない。そうなれば、こちらの負けだ。
 しかし、もしここで逃げるために煙幕を使ったなら、敵の本隊に居場所がばれる。
 こんな思考が一瞬で、彼の脳内に浮かんだ。
 ……残された道は――。
「オラッ! セイバー殺れんならなんとかなるッ!」
 ガイサックは今まで自分の被っていた迷彩シートを引っつかみ、それをレブラプターに
被せる。もがく敵機。
 迷彩シートは電波や熱を遮断する。先程までのガイサックのように、アンテナを外に出
していなければ、本隊との通信はできない。
 残り時間、推定3分。盲目のレブラプター対ガイサック。
 まず、ティモシーが先手を取る。なりは小さくともレーザークロー、ガイサックの鋏は
意外な切れ味でレブラプターの右腕を叩き切った。
 が、怒りに任せたレブラプターの反撃が飛んできた。振り回した尾が右の鋏を強打し、

装甲の薄いガイサックはそれだけで深刻なダメージを受けている。
 ――と、いうよりは……コックピットキャノピーの右半分が砕け、その破片がパイロッ
トに突き刺さっていたことの方が問題だ。
 ティモシーは吐血した。神経が麻痺したのか痛みは一瞬で消え、右手はもう使えそうに
ない。左の操縦桿とフットペダルだけでは、満足に動かないだろう。
 彼はとりあえず、『ゾイドとの精神リンク』を信じてみることにした。

337 :短編・虹を見つけたら教えて:2005/05/19(木) 21:42:48 ID:???
「……なあ、相棒よ。こんな時だけ虫のいい話かも知れねえが……俺の考えてること、わ
かるか? 予定の時間までにこいつを倒すのはムリだ。だから、時間稼ぎができればいい。
終わったら直してやるよ。なに、ゾイドは再生も早いから、腕の一本くらい……」
 ガイサックが静かに、素早く動いた。鋏と8本の足で敵を掴み、一切の身動きを封じる。
吼えられても困るので、口腔内には尾を突っ込んだ。(ここでビームライフルを使うと、
さすがに気付かれてしまうので使えなかった)

 沈黙。ピクリとも動かない両者。――否、動けない。
 その二機の後方では、帝国の補給部隊が仲間に気付かず行軍を続けている。
 やがて、本隊が『目的地に到着』する。
 ティモシーは動く方の手で無線を引き寄せ、落ち着いた風を装って告げた。

「――『虹を見つけた』。雨を降らせてやれ」

 遠くで、弾丸が装甲にはじける音が聞こえる。ゾイドの爆発する音が、聞こえる。
 彼は厳かにトリガーを引いた。レブラプターの口腔内でビームライフルが放たれ、コッ
クピットを貫いて空へ伸びる。

 彼は生き延びた。愛機と共に、今日も。
「……今更だが、痛ぇ!」
 生を実感したとたんに、痛みが戻ってくる。そんな戦争中のある日の、ある男の戦い。

 彼は終戦まで生き延びただろうか。

 答えは、誰も知らない。

            <完>

338 :荒野の少年:2005/05/20(金) 14:07:40 ID:8GalyYRd
ついに最後の死闘が始まった!
ワイツタイガーが、セイスモが、
お互いの体をたたきつけ、時には激しい銃撃戦も、
「ドオオオオオォォン!」
荷電粒子砲がワイツタイガーに命中した。
破壊された・・・・かのように見えた。
だがそこにはただ一つだけ姿が見えた。
装甲が崩れ落ちてもまだ戦い、最後の最後まで戦おうとするワイツタイガーだ。
アトルはもはや精神崩壊状態。
何度も体をたたきつけ、もはや両者ともに立っていられるのも限界、
ついに最後の攻撃に出た。
セイスモは荷電粒子砲を撃ち、ワイツタイガーは、捨て身で突撃した。
荷電粒子砲と捨て身の突撃がぶつかった。
その瞬間、帝国要塞、セイスモサウルス、
そしてワイツタイガー、全てが吹き飛んだ。
数日後・・・・・・
へリック共和国、ゼネバス帝国の戦争はついに幕を閉じた。
町は落ち着きを取り戻し、
最終的に、へリック共和国、ゼネバス帝国が和解という形で戦争は終わった。
それ以来、アトルは行方をくらまし、どこかで放浪している。
こうして、
ZAC(ザク)2140年10月、勇気を頼りに、数々の戦場をくぐりぬけた男の旅は
ついに終わった。
     荒野の少年<完>

339 :悪魔か女神か ◆h/gi4ACT2A :2005/05/21(土) 00:54:18 ID:???
マリン=バイスの曾祖母であるマオ=バイス(旧姓スタンティレル)は“緑の悪魔”の
ネームバリューで曾孫の代にまで迷惑をかける程の遺恨を残しやがった程の活躍をし、
今なお帝国系の人間の多くから悪魔と蔑みの対象にされていたりするのだが、意外にも
料理の世界では対照的に“神”と崇められていたりする。
「素材の持つ力を200%以上に引き出す力を持っている。」
「料理の神様の化身だ。」
とか色々な事を言われていたワケだが、彼女の料理に関してこの様な伝説が残っている。

帝国と共和国の大戦が続いていた時代、とある基地では肉が不足していた。魚や野菜と
言った他の食料は十分間に合っているのだが、何故か肉だけが無い。そう言う日が数週間
続き、流石の兵達も“肉禁断症状”に陥り、それに伴う士気の低下が起こっていた。
「あ〜肉食いて〜。」
と、兵達は訓練中も、教官はおろか基地指令すら愚痴る程、皆肉に飢えていた。
しかし、そんな彼等を遠くから監視する帝国の斥候は笑っていた。
「ハッハッハッ!やはり我々の作戦は大成功だった様だな。連中の食料の肉だけ奪って
しまうだけでこれほどまでの効果があるとはな〜。今攻撃すれば楽勝だな。」
「しかし軍曹殿。肉だけ等言わず、全部奪ってしまえば良かったのではありませんか?」
「・・・。」
部下に突っ込まれた斥候その一は黙り込んだが、気を取りなおして部下に肩を叩いた。
「まあそれはともかくだ。本隊に戻って報告だ。今ならの奴らなら勝てる。」
「いや、だからその・・・。」

と、帝国軍の陰謀も露知らずな共和国軍基地ではなおも兵達の肉禁断症状は続いていた。
もうパイロットからメカニック、司令官まで多くの人間がそれに陥り、この士気の
下がった状態で攻撃を受ければ一たまりも無いはずである。しかし、そんな基地内で唯一
正気かつ冷静でいられる者がいた。マオ=スタンティレル中尉(当時18歳)である。
「これはもう何とかしないとね。」
仕官学校入学前は寺で修行していた事もあった彼女にとって肉抜きの生活はさほど苦では
無かったが、そうでは無い他の兵士達の惨状を見兼ねた彼女は厨房へ足を運んだ。
「よーし!今夜は私が何か作るよ!」

340 :悪魔か女神か 2 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/21(土) 00:55:38 ID:???
「スタンティレル中尉!まあ中尉が作ると言うのなら皆喜ぶと思いますが、現状は・・・。」
既に厨房にいた調理兵達にとってもマオの料理は評判があったが、彼女の腕を持って
しても肉禁断症状に陥った者達を救う事は不可能と彼等は考えていた。しかし、
「肉禁断症状を治すには肉を食べさせるしかないでしょ?」
「しかし中尉!その肉が無いから問題なんですよ!」
マオの発した言葉に調理兵達は一斉に反論するが、彼女は表情を崩さずこう言った。
「分かってる分かってる。所で大豆はあるかな?」
「大豆ですか?そんなの倉庫に腐る程ありますよ。」
「そう、ならば問題はナッシングよ。」
マオはニヤリと笑みを浮かべた。

それから一時後、食事の時間となった為、兵達は食堂へ足を運んでいたのだったが、
やはり今の彼等に覇気と言う物は無かった。肉を食べたいと言う欲求不満により、
食欲はあっても満たされない不満があり、彼等の溜息は尽きなかった。
「あ〜あ〜、ほんの一切れで良いから肉食いてーなー。」
と、誰もがそう愚痴っていた時だった。突然食堂の方から肉の匂いが漂ってきたのだ。
「こ!この匂いは!」
肉の匂いに釣られる様に兵達が一斉に食堂へ走ると、何とテーブルの上には山の様に
盛られた大量の肉があったのだ。
「肉だぁ!」
「うおおおおお!」
先程まで死にそうな顔をしていた彼等は一気に水を得た魚の様に元気になり、おのおの
様々な肉料理に群がって我先にと競う様にがっついていた。
「いや〜“アレ”作るの久しぶりだから美味く行くかな〜と思ったけど何とかなる物ね。」
食堂の隅の方にはエプロン姿のマオが肉の山にがっつく漢達の姿を見詰めていた。
と、その時に彼女直属の部下であるライン=バイス曹長(当時20歳)が皿一杯に
盛られた肉を持った状態で現われた。
「アレ作ったの中尉なんっすか?」
「まあ他のコックの皆様にも手伝ってもらったけどね。」
「しっかしアレ程の肉よく調達できましたね〜。」
と、ラインが感心した顔をしていると、マオはやや笑みを浮かべて言った。

341 :悪魔か女神か 3 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/21(土) 00:57:40 ID:???
「実はアレ、肉じゃないのよ。」
「え?肉じゃないって・・・、どう見ても肉っすよ。ほら味もこの通りに。」
ラインはその肉を何度も食べて確認するがやはり肉の味しかしなかった。
「確かに見かけも味も食感も肉そっくりだけど、材料は実は大豆だったりするのよ。
ほら、豆腐ハンバーグとか食べた事あるでしょ?アレのパワーアップ版よ。そもそも
“素菜料理”っつってね。寺の僧とか見たいに宗教上の理由で肉食が禁じられてるけど、
肉の欲求をどうしても消せなかった人が、植物性の材料から肉そっくりの味や食感を
作り出そうとしたのが始まりなのよ。」
「そ、そんな料理が存在するとは・・・。」
ラインは唖然とするばかりだったがマオはさらに続けた。
「私が素菜料理と出会ったのは神聖寺での修行中に、そこに素菜料理の技術を持った
修行僧がいた事にあるのよ。神聖寺は何故か長髪はOKだけど肉食は禁止だった。
そんな時に出て来た肉そっくりの料理にビックリした物よ。勿論私はその人から素菜
料理の技術を教えてもらおうとしたけど、この技術は十年以上の修行と研究の結果だから
お前の様な小娘には教えられんって門前払いされちゃった。」
「で、どうしたんっすか?」
続きが気になるラインはマオに顔を近付けて言うが、彼女はやや後ろに下がって
「何度お願いしても教えてくれなかったから、盗んじゃった。ハハ。そん時のあの人の
悔しがる顔ったら無かったな〜・・・。フフ。」
と、マオはくすみ笑いをしていたが、自分ももどき肉料理を食べ始めていた。
「とにかく、この肉は大豆が原料だからコレステロールとかの心配も無いし、成人病に
なってる人とかお歳よりでも安心して食べられるのよね。これ。本国じゃあマイナーな
部類だと思うけど、広めれば受けるわよきっと。タダでさえ健康ブームなご時世だし。」
「そ・・・そうっすか。」

342 :悪魔か女神か 4 ◆h/gi4ACT2A :2005/05/21(土) 00:58:45 ID:???
その後、マオのもどき肉料理で基地にいた者全員が元気と士気を取り戻し、はつらつと
していた事も知らない帝国軍部隊は、斥候からの情報から肉禁断症状で精神的に死にかけ
になっている事を信じて疑わないまま、舐めきった戦力で攻撃を仕掛けて手痛い反撃を
受け、あっさり敗走した事は言うまでも無い。
「うわー!」
「くそぉ!共和国軍の奴等は肉禁断症状で死にかけとか大ボラ吹いた奴は誰だー!」

その他にもマオの緑の悪魔としての彼女とはまた違う料理人としての武勇伝は多岐に
及んでいるのだが、それはまた別のお話。
                    おしまい

343 :三虎伝説 エピソード20 チームバトル:2005/05/21(土) 23:03:54 ID:???
予想外のZOITEC最強部隊トップの登場。その目的は三人の二回戦進出者をこの三日でチ
ームとして機能させる事にあった。元々個人戦の大会とすっかり思い込んでいた彼らに要
求されるのはエキシビションという肩書きに満足出来るチームバトル。短期間でそれを完
成させることは難題であるため、社の有能な指揮官をサポート役としてそれぞれのチーム
に配置したのだ。事情を聞いた彼らは早速ライトの指示の元、実戦を中心とした練習を開
始した。

…その頃、もう一組のチームの元にはブルーの隊長が向かっていた。落ち着いた物腰に威
厳が感じられるその男は、まず相手チームへ対抗するための戦略の提示を彼らに要求した。
それに答えたのはファイだった。
「相手チームはゴジュラス、ディバイソン、レオストライカーと比較的パワーに偏った編成。
しかも個々のレベルが半端じゃない。青いラインが特徴的なグラントのゴジュラスは同系
列の上位機ゴジュラスギガを下し、改造型ディバイソンは全33門ものキャノンを1門単
位で細かく操り、対戦相手がブレードライガーという超高速型ゾイドであったにも関わら
ず、距離を詰める事を許さず仕留めている。そして、レオストのパイロット…俺の兄、ロ
ンはブロック単位に胴体を崩す衝撃に耐える。対してこちらの機体はグスタフ、ライトニ
ングサイクスにエヴォフライヤー。一見多分野に分かれているように見えるが狭いリング
の中で最大限に効果が発揮できるのは行動範囲の狭いグスタフだけだ。火力も相手のディ
バイソン一機分に満たない物で、全体的に劣勢。以上が現状。」


344 :三虎伝説 エピソード20 チームバトル:2005/05/21(土) 23:04:39 ID:???
「なるほど。で、どうするの?」
ミーティングルームのイスに沈みながらキーンが言った。ファイが答える。
「こちら側が勝つためにはまず、ディバイソンを仕留める事が先決だ。その火力もさること
ながら、そのパイロットは火器を操る達人だ。発射のタイミングをずらせばエネルギーが
切れるまで連続的にビームを打ち続けることが出来、一転に集中すればいくら分厚い装甲
を持とうとも容易にシステムダウンを奪うことが可能だと考えられる。実際当たらなけれ
ば良いのだが、グスタフにそれを要求するのは酷だし、初戦でブレードの動きを封じてい
るという例もあるため他の二機に付いても安全とは言えない。」
「ちょっと待ってくれ。」
壁に寄りかかり、黙っていた男が話に割ってはいった。
「エヴォフライヤーには航空モードがあったはずだ。相手が標準を定めるよりも速く行動す
ることなど造作も無い事ではないのか?」
ファイはその質問に暫く口を閉じた後に、事実を――
「何?飛べないだって?」
「そう、ちょっとした事情でね。だけど、それを補う作戦は既に…」
「呆れた物だな。」
ラッツは呟いた。そして、再び黙ったかと思うとブルー隊長が止めるのも聞かずに部屋を
出て行った。ファイは何を言われても仕方が無いと思っていたが、自分が足手まといにな
っているという事実を突きつけられたことは、やはりショックだった。沈黙の時が流れる。


345 :三虎伝説 エピソード20 チームバトル:2005/05/21(土) 23:05:02 ID:???
「お〜い」
その沈黙を破ったのはキーンだった。
「さっきの続きはどうなったんだい?」
「えっ…」
キーンは溜息をついてヤレヤレといったポーズをとった。
「エヴォが飛べようが飛べまいがどうでも良いよ。どうせ今ある能力からしか作戦は作れな
いんだし。奴が作戦を聞く気が無いのならそれで別に良いじゃん。状況が少し変わるだけ、
サイクスを省いた新しい作戦を君が考えれば良いだけでしょ。戦術家としての株を上げる
には、ちょうど良いチャンスじゃない。」
ファイは簡単に言ってくれる…と思ったが同時に、多少救われたような気がした。自分が
大きなマイナスであり、そのためにいくら優秀な作戦を立てようとも戦闘に参加する一員
としては失格であることには変わりがない…だが――
「悪い…今日1日だけ時間が欲しい。…大丈夫、サイクスが作戦内容を知らなくとも絶対に
負けない戦術を作ってくる。それまでコーヒーでも飲みながらゆっくり寛いでいてくれ。」

346 :三虎伝説 エピソード21 セカンドバトル・前編:2005/05/24(火) 00:55:37 ID:???
「――以上が今回の作戦内容だ。この2日できっちり頭に入っているとは思うけど、
念を押す意味で再度説明させてもらった。実戦ではそれぞれの役割を見失わないように頼む。」
控え室に集まったブルーチームは試合直前に最後の打ち合わせを行っていた。
今、ちょうど作戦の全容を確認し終えたところらしい。
「…今のを聞く限り、俺には特にこれといって役割が無いように思えるが?
…当然、自由に行動して良いと言う意味で受け取って良いのだな。」
ラッツがファイに問い掛けた。それにファイは軽く答える。
「ああ、構わない。言うなればそれが君に与えられた役割だから。」
その回答にラッツは肩眉をくいっと吊り上げ、軽く鼻息を1つ飛ばした。
「自由にするのが役割?まあ良い。どちらにせよお前のカバーを
中心とした作戦の指示など、鼻から聞くつもりなど無かったからな。」
…それが今朝ギリギリに会場に戻ってきた人間の態度かよ…とキーンは思ったが、
空気を乱しかねないと感じたのか、言葉を無理矢理飲み込んだ。

「――準備は完了したようだな。…そろそろ試合開始時刻だ。行って来い。」
今まで座り込んで話を聞いていたブルー隊長が目を瞑ったまま短く声を掛けた。
それに三人は適当な返事をすると、それぞれ愛機の待つ格納庫へと向かった。

リングに出ると眩い光が目に射しこんで来た。晴天。湿度も低く、カラッとした空気が心
地良い。視点を前方向に切り替える。ずんぐりした蟲型を中心に三体の機獣が待ち構えて
いた。戦いの時。この三日で何をやったか。それを示す一瞬の時が目の前にある。…だが、
恐れる事は無い。自分は与えられた期間でやるべき事をなした。二人の頼もしい仲間と、
相棒がその証人だ。彼女はそうやって心を落ち着かせると静かに目を見開き、操縦桿を強
く握った。

347 :三虎伝説 エピソード21 セカンドバトル・前編:2005/05/24(火) 00:56:59 ID:???

鐘が鳴る。三日ぶりに聞く試合開始の合図。
…だが、彼らにその音を懐かしむ余裕は無かった。
音と共にサイクスが飛び出した。直ぐに風のような速さとなり、敵陣に突き進む。△陣形
の先頭に位置するレオストが迎え出た。その行動に一切減速する素振りを見せず、鋭い爪
をサイクスはちらつかせた。このスピードで…まさか、突っ込む気か?ロンは急停止して
ザッと身構えた。目の間からサイクスの姿が消えた――直後にズシン、と床を震わせる音
が響く。一瞬攻撃に移るかと思われたサイクスが、レオストを飛び越えたのだ。
「しまった!」
と慌てるロン。その一瞬の隙をついてグスタフが割り込み、レオに小砲を構えた。
「危ない!」
気付いたリリーが叫んだ。その声に反射的にその場から離れるレオ。
だがキーンは標準を変えずに、そのまま床目掛けて発砲した。
…ボシュっと空気の抜けるような音と共に猛烈な煙が発生した。
そして、ロンは回避体制のまま…それに飲まれた。
「煙幕弾?」
リリーは直ぐに煙に姿を消したレオの居場所を特定するためレーダーに目をやる。
「…え?」
彼女は目を疑った。なんとレーダーにはレオストの反応が無かったのだ。正確に言えば…
煙に覆われた全域でレーダーの機能が奪われてしまっていたのだ。おそらく、探知妨害効
果を持つ何らかの物質が含まれていたのが原因だろう。
「くっ、これじゃ二対一…二対…?ハッ、そういえば、サイクス…!」
リリーは直ぐにレーダー表示の視線を下に移した…二点が重なっている。
「グラント!!」
カメラを切り替えるとゴジュラスとサイクスが縺れ合う姿が視野に入った。
全体重を乗せ、巨獣の装甲に爪を立てるサイクス。それに対して力では負けんとばかりに
胴体を掴み、引き剥がそうとするゴジュラス。両者一歩も引かない猛攻が続く。サイクス
の爪が鼻元をかすった時、ついにゴジュラスが怒りを爆発させた。闘争本能を極限まで力
に還元しサイクスを地・目掛けて投げつける。その攻撃にサイクスは機体全体を捻り、衝
撃を最小限に押さえ込んで着地した。


348 :三虎伝説 エピソード21 セカンドバトル・前編:2005/05/24(火) 00:58:20 ID:???
強大なパワーの渦中にありながら、ラッツはまだ冷静さを失っていなかったのだ。
だが、ゴジュラスはその見事な受身に驚く様子1つさえ見せず、大顎を開き押し寄せる。
サイクスは後方に大きくジャンプした。そして、格闘戦は流石に分が悪過ぎると思ったのか、
ある程度間を取ると背中の砲塔を構え、身を固めた。
…その光景が見えているはずなのに、ゴジュラスは歩みを止めずに前進した。
サイクス一撃必殺の間合いに、巨獣が遂に踏み込んだ。
「この距離なら避けきれまい!」
ラッツが意気込んでトリガーに力を加えた。
…だが次の瞬間、目の前が激しく発光し、ラッツは衝撃の波に飲まれた。
「な、何だ今のは!?んんっ!?ごぶばはぁっ!!!」
混乱の操縦席。スクリーンに太く、鞭のように撓った黒い金属の塊が一瞬映ると、
その全ての機能が吹き飛び、ラッツの視界は暗闇に閉ざされた。
ゴジュラスのテイルアタックだ。加速し、威力を増したその一撃は胴体の左側面を粉々に
粉砕し、軽々サイクスを遥か先の煙中まで吹き飛ばした。余った勢いで旋回したゴジュラ
スは、片足を軸に一周すると、もう一方の足を地面に叩きつけて一声吼えた。
「ナイス、アシスト!」
グラントはリリーの方を振り返って感謝の意を叫んだ。
言うまでも無く、さっきサイクスを襲った光弾は
ディバイソンの後方支援攻撃だったのだ。
一機撃破…だが、喜びに浸っている暇は無い。
「ロンの奴…まだ、出てきてねぇのか。おい、一体どうなってやがる?」
グラントの問いにリリーは先ほど判明した事を絡めて説明した。
「何?じゃあ、全然こっからじゃ状況がわかんねぇってのか!!」
「ええ…煙もちょっとは薄くなってきたけど…まだまだって感じだし…。」
「ちっ。待てよ?薄くなってきた…か。じゃあ――」
グラントは煙の立ち込めるバトルフィールド中心部を睨んだ。
「――俺がちょっくら中に入って様子を確かめてきてやるよ。こん位ならいけるだろ。」
「…え?本気?駄目よ。薄くなってきたって言っても、さっきから相手側はどんどん新しい
煙幕弾を撃ちこんで効果時間を引き延ばしてるんだから。」
リリーは慌てて返した。今一人になって何かあったら大変だ…というのが本心だった。


349 :三虎伝説 エピソード21 セカンドバトル・前編:2005/05/24(火) 00:58:58 ID:???
「でも、このまま黙って相手の時間稼ぎに付き合っているわけにも行かないだろ?
さっき銃声も聞こえた。ロンが心配だ。」
グラントの言う事にも一理あった。ロンが心配…という点には彼女も強く共感できた。
「銃声…確かに煙幕を巻いた直後にも何発か聞こえたけど…。
――ねぇ、実際のところ帰って来られる自信は本当にあるの?」
「ああ、勿論だ。」
リリーの突然の問いかけにグラントは愚問だと言わんばかりに堂々と答えた。
そして、その様子に彼女は決断した。
「なら任すわ。確かにロンが心配だし、何時まで迷っていても始まらないってのも事実だし。
…ただし、必ず帰ってきてよね。今攻められたら1人で持ち堪えられるか分からないわ。」
念を押す…というより、彼女は少しでも1人になる事への恐怖を軽減したかった。
「安心しろ。それに例え一対二になったってお前なら勝てる。」
「そうだと良いわね。」
はぐらかしているのか、真面目に言っているのかは分からないが、
グラントらしい言葉を受け取り、リリーは少し自信を持った。
「じゃあ、そろそろ行って来る!夕飯までには絶対帰ってくるから。」
「夕飯までって…まあ、とにかく急いでね!」
太陽が燦燦と輝いている昼下がり。夕飯までとはまた随分と先の話だな
…と彼女は思ったが、改めて考えればさほど気になる事でもなかった。
「おうよ!」
返事をするとゴジュラスは煙の中へと足を進めた。



350 :三虎伝説 エピソード21 セカンドバトル・前編:2005/05/24(火) 00:59:23 ID:???
…一方その頃、ロンは大分厳しい状況下にあった。電子機器を狂わせる奇怪な煙が身を包
んでいるだけでなく、足元にはさらに得体の知れないガム状の物体が粘りつき、レオの行
動を奪っていた。
「畜生〜」
ロンはコクピットに沈み込んで、深い溜息を付いた。
「全然周りが見えねぇ所か、通信も出来ないとは…ファイの奴も
全く厄介な事を思いつくもんだ。しかも、なんだこりゃ?」
ロンは操縦桿を握り動かそうとするが、グニャグニャした感覚が返ってくるのみで、
レオは飛び跳ねる事は愚か、前進すらしてくれない。
「畜生!」
ロンは苛立ちからメインモニターに拳を叩きつけた。
「折角修理が間に合って、これからって時にこんな事じゃ全然駄目じゃねぇか。
ああ〜もう、どうにかなんねぇのかよぉ!!」
ロンの叫びに呼応してレオも大声で唸った。

「…?今のは…。」
煙の中に侵入したグラントはその声に真っ先に反応した。
ライオンタイプの鳴き声…今回の参加者でライオン型に乗るのはロンただ1人のみ。
間違いない、声の方向にロンが居る、しかもまだ無事だ。
「そうと分かれば…」
言いかけてグラントは口を閉じた。勢い良く踏み込んだ前足が
先ほどから地面を離れようとしてくれ無いのだ。
「だぁ、もう!こんの、離しやがれ〜!!!」
今度はグラントの嘆きに呼応してゴジュラスが吼えた。


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